耳コピを支援するBand Producer 4

DTMでの音楽制作においてもバンド演奏においても、その第一歩となるのが耳コピではないでしょうか。バンドスコアなどが販売されているのであればラッキーで、そこから各パートのメロディーやリズムを確認できますが、新曲や著名でない曲だとなかなか入手も困難です。

そうなると、やはり耳コピとなるわけですが、これが結構大変。同じところをループ再生しながら繰り返し聴いたり、EQをいじって目的の音だけを大きくしたりしても、難しいフレーズはなかなか聴き取れないものです。そんなときに結構大きな助けになってくれるソフト、カワイのBand Producer 4(バンドプロデューサー4)について紹介しましょう。
CDやMP3を元に楽曲を解析してくれるBand Producer 4


Band Producer 4を一言でいえば、CDやMP3などのオーディオを解析してコードやメロディーを抽出してくれるというアプリケーションです。「おぅ、そんなソフトがあるなら、今後コピーは楽勝だ!」なんて思う方もいるかもしれませんが、実はこれ、できそうに見えて、非常に難しい夢の技術ともいうべきものなのです。

人間の耳もしくは脳というものはすごいもので、複数の楽器が同時になっていても、ギターのフレーズ、ピアノの伴奏、ベースの旋律、そしてボーカルとそれぞれ違う音として聴き分けることができます。その際、仮に同じ音程の音が出ていたとしても、それぞれを判別することができるでしょう。でも、現在のコンピュータにおいてそれは非常に難しいことなのです。

確かに鼻歌を認識する、ギターのソロ演奏を認識するということであれば、それなりにできるようになってきました。でも和音、さらには複数のパートの同時演奏となるとかなり厳しいのです。さらに、たとえばバイオリンやディストーションのかかったギターなど、倍音成分が多くなると、コンピュータ側はその倍音を別の音程と認識してしまうなど、なかなか大変なようです。

そんな中、その夢のような技術に挑戦しようとカワイが作ってきたのがBand Producerというソフトです。目標は譜面作成だけれど、まずはコードを認識できるようにする、ということで作られたこのBand Producer、5年ほど前にその初期バージョンが出た際は私も試してAV WatchのDigital Audio Laboratoryで記事にしました。その後、着実に進化してきたようで、このたび新バージョン、Band Producer 4が登場したのです。

DAWとしての機能も強化されてきたBand Producer 4

進化に伴って、かなり機能も増え、マルチトラックでのレコーディングやMIDIデータの作成などDAWとしての機能も充実してきているようですが、やはりキーとなるのはコードの認識です。ためしに、手元にあるMP3ファイルを読み込ませ、そのまま初期設定状態で解析させてみました。

デフォルトの設定でMP3を解析すろと、かなりの正答率でコード分析してくれる
これ、すごいですね(笑)。テンポや拍子はほぼ自動で完璧に抽出してくれるし、初期バージョンのころに比べて、割り出すコードの正解率は大きく向上しているようです。確かに曲によってほぼ完璧に割り出すものと、正解率が7割程度に落ちるものもありますが、耳コピ支援ツールとしてはかなり大きな力になってくれます。

また、耳コピ支援という意味ではセンターキャンセルやLチャンネル、Rチャンネルだけを再生したり、LチャンネルとRチャンネルの差分を再生する機能などもあります。また結構便利なのが、「再生帯域設定機能」です。これ周波数成分から見てギターだけを浮かび上がらせたり、ピアノを目立たせたりといったことができるのです。

目的の楽器だけを浮かび上がらせることもできる

また耳コピ支援機能として大きいのは、ピッチを変えずにテンポをゆっくりにすること、反対にテンポを変えずにピッチを何音かずらすことなども簡単にできてしまうのです。

割り出したコードを元データと合わせてMIDI演奏したり、そのMIDIだけを演奏させることができるというのも面白い点です。さらには、コード検出にとどまらず、耳コピ支援機能ということでベースパートの検出、メロディーの検出といったことまで可能となっており、夢の技術へとさらに近づいていっているのです。

さすがにメロディー検出などは完璧にはかなり遠い感じではありますが、それでも検出した結果をMIDIでソロ演奏させると、それなりな雰囲気は出ています。また結果をTAB譜ならぬTABロールで表示させることもできるんですよね。私、ギタリストじゃないけど、ちょっと弾きたくなってしまう感じです。
メロディー検出をするとTABロールも表示されるけれど、正答率は3、4割か……

まあ、夢の技術ですから、完璧を求めるのは厳しいものの、かなりいいレベルにまでは来ているように実感しました。ここでは割愛しますが、Band Producer 4には前述のDAW的な機能のほかにも、譜面を作る機能や歌詞入りの歌本を作る機能などかなりさまざまな機能が用意されているのも魅力ですね。

譜面や歌本を制作する機能も装備されている 

このBand Producer 4、パッケージの定価は19,950円。いきなり買うのは怖いという人は、カワイのサイトからデモ版をダウンロードすることができ、ほぼ製品そのものという機能を15日間使うことができるので、試してみてはいかがでしょうか?

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