Steinbergから、また新たなUSBオーディオインターフェイス、UR242が発表されました。現在、オーディオインターフェイス市場でのトップセールス製品であるUR22UR12などのURシリーズの新ラインナップとして登場したこのUR242はマイクプリアンプ×2、入力×4、出力×2ということで、この型番になっているようで、スペック的には24bit/192kHzに対応したモデルです。

WindowsでもMacでも、さらにはiPadでも利用することが可能で、DAWであるCubase AIのダウンロード版も付属して、実売価格が20,000円程度(税抜)ととても手頃な製品となっているようです。とはいえ、現在URシリーズはエントリーモデルのUR12から、1Uラックマウント型のUR824まで6ラインナップとなるので、UR242がどんな位置づけなのかが気になるところ。そこで、他の機種とどう違うのかも整理しながらチェックしてみたいと思います。


Steinbergの新しいオーディオインターフェイス、UR242 

まず、このSteinbergのURシリーズ6機種を簡単に表にまとめてみたので、以下をご覧ください。


UR12 UR22 UR242 UR44 UR28M UR824
入出力合計 2IN/2OUT 2IN/2OUT 4IN/2OUT 6IN/4OUT 6IN/8OUT 24IN/24OUT
アナログ入力 1XLR,1TS 2Combo 2Combo,
2TRS
4Combo,
2TRS 
2Combo,
2TRS
8Combo
マイク入力 1 2 2 4 2 8
Hi-Z入力 1 1 1 2 2 2
アナログ出力 2RCA 2 2 4 6 8
最高bit/kHz 24/192 24/96 24/192
USBバスパワー × × × ×
CCモード ×
ループバック機能 ×
DSP機能 × ×
実売価格(税抜) 10,000円前後 14,100円前後 20,000円前後 28,000円前後 33,200円前後 76,000円前後

どうですか?これを見れば、URシリーズの状況が一目瞭然。6機種ある中の真ん中、UR22UR44の間に位置するのがUR242というのがよくわかると思います。これはUR12~UR44までを重ねて並べてみても、横幅の違いからその位置づけはハッキリ分かりますよね。


上からUR12、UR22、UR242、UR44 

改めて、その外見から分かる基本スペックを見ていくと、URシリーズはいずれもハイレゾに対応したUSBオーディオインターフェイスである中、UR242はフロントにコンボジャックの入力が2つ、リアにTRSフォン入力が2つと出力が2つ並ぶというもので、ヘッドホンジャックも用意されているという仕様です。


UR242のフロントパネル 

フロントにあるコンボジャックは、いずれも+48Vのファンタム電源を搭載しているので、コンデンサマイクへの接続ができるとともに、ヤマハ自慢のマイクプリアンプ、D-PREが2chともに搭載されています。この入力レベルはフロントのツマミで調整できるほか、PADボタンも用意されているため、大音量が入る場合にはPADボタンをオンにすることで大音量にレベル抑制を掛けることがでるためUR22よりも幅広い入力ソースに対応できます。

またこの入力のうち、左側の1chのほうにはHi-Zスイッチが用意されており、これをオンにすることでギターとの直接接続も可能になるというのが、オーディオインターフェイスの基本的な入出力における仕様となります。


UR242のリアパネル。TRSの入出力のほか、MIDI入出力も装備

でも、ここまでの内容はあくまでも入出力の話であって、UR242の凄さはこの先にあるのです。そう、ここにはDSPが搭載されているためUR12やUR22とは次元の異なる、高機能・高性能なハードウェアとなっているのです。「DSPってどういうこと?」という方のために簡単に説明すると、これはデジタル信号処理を行うための頭脳。DSPが搭載されていることで、UR242を高性能なデジタルミキシングコンソールとして扱うことができるようになったり、各入力チャンネルのインサートエフェクトにEQとコンプをコントロールできるチャンネルストリップやギターアンプシミュレータが搭載されていたり、システム全体でセンドエフェクトとして使える高性能なリバーブが利用できるのです。


PCでUR242の全機能をコントロールできるdspMixFx

実際、dspMixFxというソフトを起動させると、UR242をミキサーとして見ることができるようになります。ここでは、UR242の本体のノブやボタンなどでは操作できない設定まで含め、さまざまなことができるようになっているんですね。

単純なところでいえば、レベルの調整やパンの調整といったものはもちろん、位相の反転やハイパスフィルターのON/OFFといったことができるほか、INS.FXところへはインサーションのエフェクトを各チャンネルごとに独立して割り当てることができます。そのエフェクトとして用意されているのは5種類。


DSPのパワーによって処理してくれるチャンネル・ストリップ 

まずは前述のチャンネル・ストリップでコンプレッサと3バンドのパラメトリックEQで構成されています。一方、ほかの4つはギターアンプシミュレータで、Clean、Crunch、Lead、Driveの4種類が用意されています。実際に使ってみると、「あ、あの著名アンプのシミュレーションだよね」とすぐ分かる音作りとなっていますよ!


アンプ・シミュレータ、Clean 

さらに、全チャンネル共通で使えるリバーブも搭載されているなど、これだけで強力なエフェクトを搭載した立派な4chのミキシング・コンソールになっていることが分かると思います。


アンプシミュレータ、Crunch 

でも中には「エフェクトもミキサーもDAWがで処理できるので、とくにハードウェアである必要はない……」なんて思う方もいると思います。確かにその通りだし、実はここに挙げたチャンネルス・トリップやギターアンプ・シミュレータ、それにリバーブはVST3プラグインとしても用意されているので、DSPなどなくても使えてしまうのです。ただ、DSPで処理するか、PCのCPUで処理するかによって、一つ大きな差が出てくる点があります。それはオーディオインターフェイスのレイテンシー問題を回避できるという点です。


センド・リターンのシステムエフェクトとして使えるリバーブ、REV-X 

たとえばギター奏者が自身の演奏をモニタリングする際、パソコンのCPUで動作するプラグインエフェクトを使うと、オーディオインターフェイスとPCとの信号の往復に時間がかかり、これがレイテンシーと呼ばれる音の遅れを生じさせてしまいます。ところがDSPで処理すれば、PCを介さずにすむダイレクトモニタリングという方法が取れるので、ほぼ遅延のないモニタリングが可能になり、気持ちいい演奏ができるんですよね。さらに、設定の切り替えで、素の音を録ることも(ドライ)、エフェクトの掛かった音を録ることも(ウェット)できるのは大きなポイントです。


Cubaseのミキサー機能の中にdspMixFxを有機的に統合することも可能

ところで「DAWのミキサーがあるのに、オーディオインターフェイスにもミキサーがあると分かりにくい……」なんて思う人も大丈夫です。Cubaseシリーズであれば、CubaseのMixConsoleの中にUR242のミキサーやエフェクトを統合することができるのです。これこそ、ハードもソフトも手掛けてるSteinberg/ヤマハだからこそできることなんですよね。たとえば、Cubaseにギターをレコーディングする際も、DSP処理のアンプシミュレーターやリバーブでレイテンシーのないモニター音を聞きながらギター演奏して、Cubaseには素の音を録音することで、その後、同梱のVST3のプラグインで処理して同じ音を再現できるだけでなく、細かな調整も後から可能になりますよ。

なお、「この画面、以前にどこかで見たことがあるぞ…」という方も少なくないと思います。そう、実はこれと同じミキシング処理、チャンネル・ストリップ、アンプシミュレータ、リバーブが上位機種(つまり、UR44、UR28M、UR824)でも使うことができ、それがそのままUR242に搭載されたということなのです。でも、これだけの機能が、20,000円で実現できると考えるとすごいと思いませんか?ちなみにUR28Mで、このエフェクトを使ったレコーディングのデモを私が進行役でローリーさんに演奏してもらったビデオがあるので、これが分かりやすいかもしれませんね(結構長いビデオですが…)。

 

そして、もう一つのトピックスとして挙げておきたいのが、UR242がUSBクラスコンプライアントなシステムであるという点です。そのため、iPadやiPhoneでも使うことができるんですよね。スペックを見ると、「iPad対応」とはなっているけれど、「iPhone対応」とは書いていないのには一つ理由があるようです。私の手元でiPhone 6plusと接続してみたところ、問題なく動作したのですが、UR242をコントロールするためのdspMixFxはiPad用のみであり、iPhone用には出ていないんです。


UR242をiPadと接続し、iPad上のdspMixFxからコントロールすることもできる 

そのため、オーディオインターフェイスとしてiPhoneで使うことはできますが、フル機能を活用するためにはiPadでなくては無理ということなんですね。この設定さえしてしまえば、Cubasisはもちろんのこと、AuriaでもMultitrack DAWでも、FL Studio Mobile HDでも何でも利用することができ、PCでの使用と同じようにチャンネル・ストリップを使ったり、アンプ・シミュレータを使ったり、リバーブを活用することもできるので、かなりパワフルなレコーディングが可能になります。

以上が、UR242の概要ですが、いかがだったでしょうか?DSP搭載のオーディオインターフェイスをかなり低価格で購入できるという面で、UR242は非常に強力なアイテムだと思います。でもDSPよりも、とにかくレコーディングができるオーディオインターフェイスで安いものが欲しい、ということであればUR12やUR22を選択するのも手。どれがいいか、自分の目的と照らし合わせながら、よく検討してみてください。

【製品情報】
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