iPadやiPhoneなどのiOSデバイスだけでなく、Androidデバイスとも連携することができ、かつPCと組み合わせてレコーディングもできるというこのAMPLIFi TT、本当にさまざまな使い方ができるのですが、ここではDTM的にどのように活用できるのか、という観点から見ていきたいと思います。
iOS、Android からも操作でき、オーディオインターフェイスにもなるギターアンプシミュレータ、AMPLIFi TT
AMPLIFi TTの上にSteinbergのUR22を置いてみるとこんな感じ
ここにはDRIVE、BASS、MID、TREBLE、REVERBといったパラメータが並んでいるし、その風貌からもギターアンプのヘッド部分みたいにも見えますが、別にキャビネットが存在するというわけではなく、これで単独の機材です。これ単体で動作させることができ、左側にギターのシールドを、右側にヘッドホンを取り付けてギターを弾けば、まさにアンプシミュレータとして機能してくれるのです。
もっと言ってしまえば、これはLine 6の最新で超強力なPODなんですよ。したがって、FenderでもMarshallでもVOXでも、さまざまなアンプモデルが用意されており、それらを選択するだけで、それらのアンプの音を再現してくれると同時に、各種ストンプエフェクトもシミュレーションしてくれます。でも、PODと違ってAMPLIFi TTには液晶ディスプレイなどがありません。どうやってアンプモデルの選択などを行うのでしょうか?
予めセットされている4つのプリセットについては、左にあるTONEボタンで切り替えることができるようになっていますが、自分でアンプモデルを選んだり、エフェクトの細かな設定を行うには、スマホやタブレットと組み合わせるというのが、まさに今どきのPODという感じです。リモコンとしてスマホ/タブレットを使うわけですが、これはiPhoneやiPadなどのiOSデバイスに限らず、Androidデバイスでも利用できるというのも大きなポイントとなっています。
この際、スマホ/タブレットとAMPLIFi TTの接続はBluetoothで行います。あとはAMPLIFi Remoteというアプリを起動させれば、アンプやキャビネットの選択はもちろんのこと、ゲート、ワウ、コンプ、EQ、ボリューム、モジュレーション、ディレイ、リバーブなど、各種パラメータを自由自在に調整することができます。
またストンプエフェクを選択することもできる、ここでの音作りもかなり自由度高く行っていくことができますよ。もちろんBluetooth接続なので、データは双方向通信となっているため、AMPLIFi側でDRIVEやTREBLEといったノブを動かすと、画面上にもその結果がリアルタイムに表示されるようになっています。
しかも、Bluetooth接続なので、スマホ/タブレット内の楽曲を再生できてしまうというのも大きなポイントなんです。たとえばiTunesで管理している曲を再生させながら、それに合わせてギターを弾くこともでき、その場合の楽曲再生とギターとの音量バランスなども自由に調整できるので、なかなか便利に使えますよ。
実はこれはAMPLIFiなどのユーザーが各種パラメータを駆使して作ったパッチをネット上にアップしているもの。すでに膨大なデータがあり、洋楽の著名曲であれば何でも揃っているという状況ですが、ユーザーが勝手に作ったものだから、すごくいいもの、あまり似てないものもあったりするのも事実。ただそれを使ったユーザーが星で点数をつけているので、高得点のデータでRecommendedとなっているものなら、かなりいい感じになると思いますよ。
では、このAMPLFiのもう一つの顔ともいえるオーディオインターフェイス機能のほうは、どうなっているのでしょうか?リアを見るとUSB端子があり、USBクラスコンプライアントなデバイスとなっているので、Macではそのまま接続、Windowsでは事前にネットでAMPLIFi TTのドライバをインストールした上で接続すれば簡単に認識させることができます。
Windowsから見ると16bit/24bitで44.1kHz、48kHz、88.2kHz、96kHz、2IN/2OUTで動作する仕様となっています。一方Macでは最高で24bit/48kHzとなっています。というのも、Windows版のドライバを使うことで、サンプリングレートコンバートをしているため88.2kHzや96kHzが扱えるとのことです。2INとなっているのは、モノラルでギター入力されたものが、エフェクトを通してステレオ化されるためなので、実質的には1IN/2OUTというほうがいいかもしれませんね。
MacであればCore Audio、WindowsであればASIOドライバで扱うことができるので、各種DAWで普通に扱うことができますよ。もちろん、バッファサイズの調整をしてレイテンシーを詰めるといったことも可能です。ちなみに、以前紹介したAMPLFi 75およびAMPLIFi 150も最新のファームウェアであるv2.10にアップデートすることで、AMPLIFi TTと同様、オーディオインターフェイスとしても使えるようになっているそうです。
一方で、DAW側から再生させる音はAMPLIFiのギターアンプシミュレータは通りません。そのままヘッドホン出力や、リアのメイン出力から出すことができますよ。もう一つ、ここでこのメイン出力についても触れておきましょう。
写真を見てもわかる通り、フォン端子とRCA端子、さらにオプティカル端子が用意されていますが、いずれからも同じように出力できるので、DTMユーザーであれば、フォン出力をモニタースピーカーへ接続することで、かなり快適な環境を構築できるはずです。またRCA出力やオプティカル端子を用いて家庭用のミニコンポに接続すれば、これをギターアンプとして使うことが可能で、ここにスマホ/タブレットからの楽曲再生を高品位なサウンドで鳴らせるというのも便利なところですね。
なお、このAMPLIFi TTのライブユース仕様のモデルともいえるAMPLIFi FX100という製品もあります。これはフットスイッチのついたフロアタイプであり、AMPLIFi TTに搭載されているRCA端子やオプティカル端子はありませんが、中身的にはまったく同じもの。用途によってどちらを選ぶかを考えてみてもよさそうですね。
その最新のサウンドでPCへ音質劣化させることなく、USB経由でデジタルレコーディングできるというのは、なかなか強力な機材といえると思います。
【関連情報】
AMPLIFi TT製品情報
AMPLIFi 75/150製品情報
AMPLIFi FX100製品情報
AMPLIFiファームウェアダウンロードページ
【価格チェック】
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