生ドラムの音をレコーディングしてみたいけれど、なかなか難しくて……」そう思っている方は少なくないと思います。もし、しっかり録音しようと思ったら、数多くのマイクを立てる必要があるし、そのチャンネル数のオーディオインターフェイスが必要になるし、そのためのレコーディング機材を持ち込む必要があるし……、ちょっと考えただけでも、かなり大がかりなことになりますもんね。

そんな大変な生ドラムの音を、スタジオに入ってすぐに録音できるとしたら、どうでしょう?しかも、プロが調整したいいサウンドで、Studio OneCubasePro ToolsLogicAbleton LiveといったDAWも用意されていて、それが即使えるとしたら、ものすごく便利だと思いませんか?そんなレコーディングができるドラム専用のスタジオが都内でオープンし、1時間3500円(税込み)、3時間パックなら9800円(税込み)と破格値で使えるという話を聞いたので、先日ちょっと行ってきました。


スタジオ入りすれば、すぐに生ドラムを8chパラでレコーディング可能なDrumスタ

そのドラム専用のスタジオ、Drumスタを5月にオープンさせたというのは、東京・神田にある楽器店、宮地楽器。1階にはDTM機材やレコーディング機材が数多く展示されているDTMerにとっての天国のようなお店なのですが、その2階にはリハスタが並んでいます。ここでバンド練習をしたり、個人練習もできるようになっているのですが、その中の一つがドラムレコーディング可能なセッティングになっているんです。


スネア、タム、キックなどに予めマイクが仕掛けてある

Drumスタ」と名付けられたこのスタジオは、一見普通のリハスタなのですが、よく見ると、ここに置かれているYAMAHAのドラムセット、YAMAHA STAGE CUSTOMにはマイクが取り付けられているんです。


プロのレコーディングエンジニアの手によって取り付けられたマイク

キック、スネア×2、ハイタム、ミッドタム、フロア、エア×2と計8つのマイクが仕掛けられており、これらがUniversal AudioのDSP内蔵オーディオインターフェイスであるapolloおよびapollo 8Pにそれぞれ接続されているんです。そして、このオーディオインターフェイスの先にはiMacが接続されていて、ここでDAWにレコーディングできるようになっているんですね。


LEWITTの「DTP BEAT KIT PRO7」というマイクセットが取り付けられている

このDrumスタを企画した宮地楽器の澤田玲さんによると
ドラマーの人が1人で来ても、サクっとレコーディングできるように、このDrumスタを作りました。このiMacには各種DAWが入っていて、お客さんが自由に起動できるようにしているので、ご自身が使っているDAWを立ち上げてここに録音し、そのデータをお持ち帰りいただけるようになっています」とのこと。具体的にいうと
  • Cubase Pro 9
  • Studio One 3
  • Pro Tools 12
  • Logic Pro X
  • Ableton Live 9
が入っているので、好きなものを使ってOK。「普段使っているのがWindowsなんだけど……」という人であっても、このMac版のCubaseで録ったものを持ちかえってWindowsで開けば、まったく問題なく読み込むことができますから、気にすることはないですよね。



各マイクがapolloおよびapollo 8Pに接続されている

レコーディングエンジニアでもある澤田さんによると、このドラムにセットされているのはLEWITTの「DTP BEAT KIT PRO7」という12万円程度のマイク。



お話を伺った宮地楽器の澤田玲さん

いろいろと試してみたところ、この部屋には、このマイクがちょうどいい感じでした。スネア用に下からAUDIX i5というものもセットしていますが要望に応じてSM57に差し替えることも可能ですよ。その他オプション料金で、別のマイクを立てることも可能ですが、1時間3500円と手ごろな価格でいい音を実現できるようにと、このマイクを選んでいるです」とのことです。


apollo経由で入ってきた音がiMacで動く各種DAWでレコーディングできる

DAWの操作はiMacの前に行って行ってもいいのですが、ドラマーの後ろにiPadが置かれており、これで操作できるから1人でも使えちゃうというのも、このDrumスタのすごいところ。まあ、エンジニア兼プロデューサーとドラマーのように2人で来れば、より操作がスマートに行えるのは間違いないのですが、1人でも使えるのは、やっぱり強力ですよね。


ドラマーの隣に置かれているiPadでDAWをコントロールできる。画面はStudio One Remote

ご存知の通り、CubaseにはCubase iC、Studio OneにはStudio One Remote、Pro ToolsにはPro Tools | Control……というように、現在各DAWには無料のリモートコントロールアプリが配布されていて、Wi-Fi環境があれば、録音ボタンや再生ボタンの操作はもちろん、ミックスバランス調整やミュートの設定といったことがiPadでできるため、これが導入されているわけなんです。


座りながらiPadを操作してレコーディングができるのは便利

実際、ヘッドホンでモニターしながら、ちょっぴり叩かせてもらいましたが、すごくキレイにいい音で録音できるし、8ch分が完全に独立した形で、録れるんですよね。先ほどのマイクの設定を見て、「ハイハットとシンバルにマイクがセットされていなくて大丈夫なの……」とも思ったのですが、上から狙っているマイクで、すごくキレイに録れていました。


Studio One、Cubase、Pro Tools、Logic、Liveなど各種DAWを使うことができる

自分でセッティングして、これだけキレイに録るのは、普通不可能では……なんて思うほどの音でしたが、Drumスタで録った音のサンプルとして、以下のものが公開されているので、ちょっと聴いてみてください。まさにレコーディングスタジオで録音したというレベルのサウンドですよね。



ところで、このSoundCloudでのファイル名から「おや?」と思った方もいるかもしれませんが、実はDrumスタではレコーディングの際に、エフェクトをかけられるようになっています。そう前述の通り、オーディオインターフェイスにapolloおよびapollo 8Pがあるほか、iMacの隣にはapollo twin DUOもあるため、トータル14入力を持っているほか、これらの中にDSPも搭載されているため、UAD-2のエフェクトが掛けられるようなっているのです。


iMacの隣にあるapollo twinも含め、計14入力、10DSP環境でのレコーディングが可能

このDrumスタを構築するにあたり、マイクのセッティング、さらにはUAD-2のプラグインエフェクトの設定のために、La'cryma ChristiのドラマーであるLEVINさん、そしてアメリカでの経験も長いプロのレコーディングエンジニアである小嶋"ojjy"淳一朗さんのご協力をいただきました。これによって、この部屋で最適なサウンドでレコーディングができるようにしているのです」と澤田さん。

LEVINさん、ojjyさんのインタビュー記事が宮地楽器のサイトにもあるので、それを読むと、このスタジオでの音作りのコンセプトなども分かって面白いですが、かなり本格的な仕掛けがされているんですよね。以下のビデオには、そのセッティング時の様子が記録されているので、参考になりそうですよ。



しかも、このシステムにおいてはUAD-2のすべてのプラグインが利用できるようになっているため、もともと用意されているプリセットの設定だけでなく、ユーザーが自由にセッティングして、好みの音に仕立て上げるといったことも可能になっているのです。


プロレコーディングエンジニアが設定したUAD-2を活用した強力なエフェクトも利用できる

ちなみに、14入力あるうちの8chしか使っていないので、オプション料金扱いにはなりますが、さらにマイクを追加してレコーディングすることもできるし、500円のオプションであるDIを経由させてベースも録音する……といったことも可能です。


Rupart Neve DesignのDIは500円のオプション料金で利用可能

ところで、ここまでDrumスタの話を読んできて、「あれ?前にボーカル録りのためのスタジオもなかったっけ?」と思った方は、正解。そう、同じ部屋には以前に記事でも紹介したボーカル録りのためのRecスタもあり、日々活発に使われているとのこと。


ドラムだけでなく、ベースなども同時にレコーディングしていくこともできる

Recスタのほうは、当初は『歌ってみた』系の方が多かったのですが、最近はボーカリストとプロデューサーが2人で来て、完全に業務用のレコーディングに使われるケースも増えています。先日は5人グループできて、コーラスを順番に録っていましたが、安く活用できるレコーディングスタジオとして活用されることが多いですね」(澤田さん)。


上部に設置した2本のエア・マイクで全体をレコーディングし、ハットやシンバル系はこれで録る

ドラムの録音というと、非常に大掛かりで難しいものというイメージがあると思いますが、ここなら本当に手軽に簡単に使うことができるので、ぜひ気軽に録音に来ていただければと思います。ビデオの持込みも自由ですから、『叩いてみた』といったものを録るのにもいいと思うし、ボカロ楽曲のドラムのみを差し替えるための差し替え屋さん用途での使い方なんかにもいいんじゃないでしょうか。ぜひ、いろいろと活用していただければと思います」と澤田さんは話してくれました。

なお、交渉してみたところ「DTMステーションで見た!」と言っていただければ、2017年7月末までは「オプション料金500円引き」で対応してくれるとのこと。つまり1機材追加が無料となるとのことなので、まずはお試しに使ってみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
Drumスタ・情報ページ
RECスタ・情報ページ
宮地楽器 & ojjy & LEVIN Drumスタ インタビュー!

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