iZotope(アイゾトープ)というソフトウェアメーカー、DTMユーザーであれば知っている、または名前は聞いたことがあるという人がほとんどだと思います。ここはアメリカ・マサチューセッツ州ボストンにあるオーディオ技術開発メーカーであり、ここで開発されたプラグインはレコーディングスタジオはもちろん、ゲーム会社のサウンドチーム、放送局など、世界中のオーディオを扱う人たちにとって必須のツールとなっています。

先日も「人工知能プラグイン、Neutronはホントに使い物になるのか!?」という記事を書きましたが、昨年登場したNeutron(ニュートロン)などは、「Track Assistanat」というボタン一つでトラックの音調整を行ってくれる画期的なソフトとして大きな話題となりました。そのNeutronに加え、マスタリングソフトのOzone、オーディオリペアソフトのRXというiZotopeの3大ソフトのエントリー版をまとめたiZotope Elements Bundleという製品が7月1日より発売されます。価格はオープン価格(実売価格は19,800円)ですが、8月1日までの1か月間はイントロパック期間として14,800円(税抜き)の激安価格。ここには、そのTrack Assistant機能もフル搭載されてるから、これだけでも入手しておくべき価値のある製品だと思います。実際、どんなことができるソフト群なのか簡単に紹介してみましょう。


Neutron、Ozone、RXの3本のエントリー版をセットにしたiZotope Elements Bundleが発売

今回、新たに発売されることになったiZotope Elements Bundleは
  • Neutron Elements(単体価格:12,000円)
  • Ozone 7 Elements(単体価格:13,000円)
  • RX 6 Elemnets(単体価格:16,000円)
の3ソフトから構成されています。Neutron、Ozone、RXのエントリー版であるElementsというバージョン、実は私自身もつい先日までその存在を知らなかったのですが、今回その3つがセットとなって発売されるわけですね。

その意味では、まったく新しい製品が誕生したというわけではないのですが、単体で購入した際の価格が、ここに記した金額なので、今回のiZotope Elements Bundleが破格値であることは一目瞭然ですよね。

とはいえ、「安かろう悪かろう」というのでは意味がないわけですが、この3ソフト、ある意味、これで十分では……とも思えてしまうほどの充実内容なんです。Neutron Elementsから順番に見ていきましょう。


単体では12,000円で販売されているNeutron Elements

先日の記事でも書いた通り、Neutronは人工知能を用いてオーディオトラックの中身を解析した上で、それがいい感じのトラックに仕上がるように調整してくれるプラグインソフトです。内部的にはEQ、コンプレッサ×2、エキサイター、トランジェントシェイパーの5つのエフェクトが入っており、これらを使ってトラックを調整するシステムとなっています。

本来であればレコーディングしたり、作成したトラックを聴きながら、EQを調整したり、コンプをいじったり、またエキサイターなどを使って音を少しずつ変えては、また確認して……という作業を繰り返してトラックを仕上げていきます。経験豊富なエンジニアであれば、最初に音を聴けばだいたいどう調整すればいいか、すぐに見当を付けて魔法のように仕上げてくれますが、不慣れなDTMユーザーにとっては、なかなか難しい作業だし、正解というのもなかなか導き出すことができません。


Track Assistantボタンを押すとトラックの音を人工知能が自動解析し、最適な設定にしてくれる

でもNeutronはTrack Assistantというボタンを押せば、すぐに解析して、プロのレコーディングエンジニアのように、いい感じに仕上げてくれるんですよね。その意味でも「Track Assistantだけ欲しい」という人が大半なのではないかと思いますが、Neutron Elementsには、そのTrack Assistantを装備しているので、まさにこれで十分ともいえるソフトなんです。


Neutron Elementsは4つのエフェクトで構成されている

ただ、上位版のNeutronやNeutron Advancedはコンプレッサが2組入っているのに対し、Neutron Elementsは1つのみ。でも、実際使ってみたところ、これだけでも十分な気はしました。また、Track Assistantを使わない手動の調整用に上位版は500以上のプリセットがあるのに対し、Neutron Elementsは200程度となっていること、マスキング・メーターやトゥルーピーク標準規格準拠のメーターが搭載されていないことなどの制限がありますが、とりあえず欲しい機能はNeutron Elementsでいいかな、というのが個人的な感想です。

続いてOzone 7 Elementsです。これはOzone 7のエントリー版なのですが、そもそもOzoneは業界標準ともいえるマスタリングソフトであり、多くの音楽作品がOzoneで仕上げられているといっても過言ではありません。OzoneはEQ、ダイナミクス、ラウドネス・マキシマイザー、ステレオ・イメージング、ハーモニック・エキサイター、各種メーター、ダイナミックEQなどから構成されており、非常に大きな効果を持つ一方で、使いこなすには、それなりの知識と経験も必要となってくる、というソフトです。


単体では13,000円で販売されているOzone 7 Elements

このOzone 7を活用するための「Ozoneマスタリングガイドブック」は、iZotope製品の発売元であるタックシステムが無償公開しており、Ozone関係なしにマスタリング入門としても非常に役立つガイドブックなので、ぜひ読んでみることをお勧めしますが、Ozone 7 Elementsは、このガイドブックを読まなくても簡単にいい音に仕上げられちゃう、すごいソフトでもあるのです。


Ozone 7 Elementsは基本的にプリセットを選ぶだけ。かかり具合と音圧の調整が若干手動でできる程度

というのも、Ozone 7 Elementsの使い方の基本はプリセットを選ぶだけ。だから各エフェクト機能の使い方など覚えなくてもいいわけです。最終的な音圧調整と、エフェクトのかけ方バランスだけは少し調整可能ですが、それも感覚的に使えるので、まさにインスタントで使え、しかもプロの世界で実績のあるプリセットがそのまま使えちゃうの、結構いい感じに仕上がってくれます。でも、さらに突っ込んで調整したいと思っても、それはできないので、上位版のOzone 7やOzone 7 Advancedが必要になってきます。


単体では16,000円で販売されているiZotopeのRX 6 Elements

そしてもう一つのRX 6 Elementsはオーディオ修復ソフトといわれる、まさにプロ御用達ソフトの定番、RX 6のエントリー版です。「オーディオ修復ソフトって何?」と思う方も少なくないと思いますが、これはレコーディング時に、ちょっとマイクが吹かれてノイズが入ってしまったとか、ほんのちょっとだけクリップして失敗してしまったものなどを修復してくれるとっても便利なツール。また失敗を修復するだけでなく、アナログテープから録音した素材からヒスノイズを取り除くとか、レコードのプチプチノイズを取り除くなど、いわゆるノイズリダクションソフトとしても非常に大きな威力を発揮してくれるソフトなんです。


スタンドアロンで起動するRX 6 Audio Editor

NeutronやOzoneとはやや趣の異なるソフトで、スタンドアロンで起動するRX 6 Audio Editorが中心的なソフトとなっています。またRX 6 Audio Editor搭載の各修復機能を分離独立させたプラグイン版もあり、これはDAWの中で使えるようになっているのです。


クリップを取り除くプラグインDe-Clip

プラグイン版を具体的に挙げると、
  • De-Click
  • De-Clip
  • De-Hum
  • Voice De-noise
の4種類。名前からも想像できると思いますがDe-Clickはクリックノイズ、プチプチするポップノイズを取り除くもの、De-Clipはレベルオーバーでクリップしてしまった音を修復するもの、De-humはブーンというハムノイズを取り除くもの、Voice De-noiseはボーカルレコーディング時のノイズ部をうまく処理してくれるものとなっています。


ボーカルレコーディング時のノイズを取り除くVoice De-noise

それぞれプラグインとして使える一方、RX 6 Audio Editorを使えば、このソフト単独で、それぞれの処理ができるほか、フェード処理やゲイン調整、ノーマライズ、位相調整、なども同時に行えるようになっています。

これも上位バージョンのRX 6やRX 6 Advancedならば、ボーカルレコーディング時にヘッドフォンからの音漏れによりクリック音が別トラックに入り込んでしまったのを取り除くDe-bleed、衣服に装着してマイクによって発生してしまった擦れ音を取り除くDe-rustle、風によるマイクの吹かれを取り除くDe-wind……といった機能が入っています。


RX 6 Elementsの上位版であるRX 6 Advanced

こうした機能が必要となれば、やはり上位版へのアップグレードが必要となりますが、まずはRX 6 Elementsから試して、やはりさらに機能が必要となったらアップグレードすればいいですよね。

ちなみに、やや裏技的ではありますが、Neutron、Ozone 7、RX 6の上位版を購入する場合であっても、今ならiZotope Elements Bundleをイントロパック価格で購入してからアップグレードするほうが、安くなる計算です。しかも、目的のソフトがRX 6だとしても、RX 6 ElementsだけでなくNeutron Elements、Ozone 7 Elementsも同時に入手できるのですから、かなりお得な買い物といえるのではないでしょうか?

iZotopeのプラグイン、前からちょっと気になっていた……」なんて人は、まさにこのタイミングで購入するのがよさそうですね。

【関連情報】
iZotope Elements Bundle製品情報
Ozoneマスタリングガイドブック

【価格チェック】
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