ソニーグループが始めたMTR型コラボアプリ、Jam Studioが面白い!

昨年11月からソニーのグループ会社であるソニーエンジニアリングがiPhone/iPad用にオンライン録音スタジオアプリ「Jam Studio」というものを無料でリリースし、サービスがスタートしていたのってご存知でしたか?音楽をオンライン上でコラボできる、という意味ではnanamelocyなどにも近いのですが、これらより圧倒的にDTM寄りのサービスとなっているんです。

ステレオで最大8トラックまでのレコーディングが可能で、誰かほかの人が作った楽曲に対して自分自身で別トラックに音を重ねることができるというもの。コンプ、EQ、リバーブといったエフェクトが使えたり、ミックス機能を装備していたり、また最大10分までの録るという点もDTM的に見てなかなかよさそうと感じたところです。実際Jam Studioでどんなことができるのか、紹介してみましょう。


ソニーのiPad/iPhone用の音楽コラボアプリ、Jam Studio


最初にJam Studioを知ったときは「ソニーなのにiOS専用のサービスなの!?」と不思議にも思ったのですが、ソニーもiPhone用のイヤホンを発売したり、Lightning接続のヘッドホンアンプを出す時代なので、ごく普通のことなのかもしれませんね。それより、本気の音楽制作用アプリということでiOSにターゲットを絞ってきたところのほうが正しい考えともいえそうですよね。


Jam Studioは無料アプリとしてApp Storeからダウンロードできる

このJam Studioは前述のとおり無料のアプリで、iPhone画面、iPad画面に対応するユニバーサルアプリとなっています。さっそく起動させるとログイン画面が出てくるので、まずはFacebookまたはメールアドレスを利用してアカウントを作成してから入ります。

ログインするとトップ画面にはさまざまな楽曲がジャケット表示される
実際に入ってみると、ユーザーの方々がアップされた楽曲がジャケット表示される形でズラリと並んでいます。……

  • ジャムスタジオ(まずはここから、公式ジャムセッション名曲集)
  • Beginner’s Lounge(録音ビギナーのためのコミュニティ)
  • Expert Arena(技が光る! エキスパートミュージシャンコミュニティ)
  • Beautiful vocals(歌声きらめくボーカリストコミュニティ)
  • Guitar Hero(ギタリストコミュニティ)
  • Bass Booster(ベーシストコミュニティ)
  • Dance Floor(MC/DJ/トラックメイカーコミュニティ)

などなど、ジャンルごとというかコミュニティごとにカテゴライズされて、ジャケットが並んでいます。

プレイボタンをタップすればすぐに再生できる
プレイボタンをタップすればすぐに再生することができるので、聴いてみると、かなりクォリティーの高いものから、ビギナー作品だよね、と思われるものまで、いろいろ。また大半はカバーものの楽曲で、著名なものが中心ですが、コミュニティの中には

  • The Original songs(新しい音楽との出会い、オリジナル曲コミュニティ)

というものあり、ここにはJam Studioユーザーの方々のオリジナル曲がいろいろアップされています。中には、この人の作品いいかも!と感じるオリジナルもあるのが楽しいところです。

オリジナルソングもアップされている

もちろん、Jam Studioの利用目的は単に、ユーザーの人たちの曲を聴くだけではなく、やはり自分で参加すること。ジャケットの下の曲名のあたりをタップすると現在UPされているトラックが表示されます。


マルチトラックでアップロードされている楽曲もいろいろある

曲によっては1トラックだけのものもあれば、4トラック、5トラック、さらには8トラックとフルで入っているものまでいろいろです。ここに自ら新しいトラックを追加する形で参加するというわけなのです。


「コラボレーション」というボタンをタップすると、自分のトラックを追加することができる

方法は「コラボレーション」というボタンをタップすればいいのです。すると、まずはネットにアップされているマルチトラックのデータが手元へとダウンロードされます。


ダウンロードするのに、トラック数や曲によって1分以上かかる場合も…

長い曲だったり、トラック数が多いとダウンロードに多少時間がかかりますが、これが完了するとレコーディングの画面が表示されます。コンデンサマイクっぽい画面が表示される辺りはnanaなどとも近い感じですね。

マイク画面が出てくるので、ここで歌ったり演奏してレコーディングする
ここで録音ボタンをタップすれば、すでにレコーディングされているトラックに新たなトラックを追加する形で録音していくことができるのです。この際、iPhone/iPadのスピーカーを鳴らしながら、iPhone/iPad内蔵のマイクで録ることも可能ではありますが、その方法だと再生音がマイクにフィードバックされてしまうので、最低でもヘッドホンだけはしたいところです。

また、前述のとおりJam Studioはステレオレコーディングが可能となっており、Lightningコネクタ経由でオーディオインターフェイスと接続すれば、高音質にステレオで録ることも可能なわけです。


レコーディングするトラックをアイコンで設定することが可能

何のトラックであるかはアイコンで設定することも可能で(後で変更することも可能)、ボーカルなのかギターなのか、キーボード、さらにはDTMなのかなどを一目で分かるようにすることが可能です。

複数テイクをレコーディングし、その中からベストなものを選ぶこともできる
また、よくできているのは一発録って成功というだけでなく、何度もトライできるように複数テイクが可能になっており、ベストテイクをトラックとして採用する機能も持っていること。さらにA-B間を指定して繰り返し録音ができるパンチイン/パンチアウト的な機能も備えるなど、使い勝手もいいんです。

ミキサーを使って、レコーディングした結果のバランスを調整できる

その上で、ミキサーを起動して、オリジナルの各トラックとのバランスを設定することも可能になっているのです。パラメータを見てみると、トラックごとのボリュームとPanの設定ができるようになっています。また鳴らしたくないトラックはミュートしてしまうこともできますね。

「やってみたいけれど、下手な自分が参加するのは申し訳ない」、「アップしている人に迷惑になるのでは」、「アップした人と方向性が違ったりしないだろうか」……と不安に思う方もいるとは思いますが、全然大丈夫です!というのも、とりあえず、ここにトラックを追加することは誰にも知られずに自分だけで試すことが可能だからです。

プライバシー設定を非公開にすることで、ほかの人に聞かれない形でアップすることもできる
一回録音して遊んでみて、それで終了でもいいし、それをコラボ作品としてアップするのもOK。またとりあえず保存はしておきたいけれど、人には聴かれたくない…といういうのなら、非公開でアップロードすることもでき、あとで落ち着いてから改めて公開に設定することも可能ですよ。

こんな形でほかの人の作品にコラボしていくことができるのですから、なかなか楽しいですよね。人によって1トラックだけを公開していたり、マルチトラックで公開している人がいますが、DTM的にはマルチトラックだと、人がどうやって作っているのか、各トラックごとにどんな音が鳴っているのかなどもチェックできて楽しいところです。

iPhone Xでの表示だとこんな雰囲気になる
もちろん、誰かが作ったトラックにコラボして自分のトラックを追加するだけでなく、まったくゼロから自分のトラックをアップするのもOKですよ。まだスタートして間もなく、発展途上で参加人数も比較的少ないJam Studioだからこそ、ニコニコ動画やYouTubeなどと比較して、より高い注目を集めることもできるのも魅力の一つだと思います。

一人でDTMをコツコツとやっているユーザーがここに作品をUPしたところ、上手なボーカリストが歌トラックを追加してくれたら楽しいですしね。

フリープラン スタンダードプラン※
※6か月の無料トライアルあり
月額利用料 無料 580円(税込み)
コラボレーション回数 無制限 無制限
最大保有曲数 300 300
利用可能なエフェクト リバーブ リバーブ
コンプレッサ
イコライザ
グループ機能 なし あり

基本的にすべて無料で使えるJam Studioですが、有料のスタンダードプラン(月額580円)というメニューも用意されています。それぞれの違いは上記のとおり。

フリープランとスタンダードプランの大きな違いの一つがエフェクト有無。双方ともにリバーブは使えるのですが、スタンダードプランの場合、コンプやEQを使うことが可能になっているのです。


ミキサー内でエフェクトを利用することも可能。スタンダードプランの場合、コンプやEQも利用可

スレッショルドとレシオを設定したり、EQの周波数特性を細かくしていするのではなく、あらかじめ用意されているプリセットから選ぶだけの比較的単純なものなので、VSTプラグインのビンテージコンプの画面などを想像すると、やや拍子抜けしてしまうかもしれませんが、誰でも簡単にいい感じで使えるというのがポイントともいえます。

さらに、スタンダードプランの場合、グループ機能が搭載されているというのも面白いところ。グループ機能というのは、「仲間同士だけで使うスタジオを持てる機能」といえばいいでしょうか……。要するに非公開で仲間だけでセッションすることができるというわけなのです。いわゆるコーライティング用の場として使うというのもありですよね。

ソニーとしては、かなり本気でこのサービスをスタートさせた模様で、キャンペーン期間として月額580スタンダードプランの料金は6か月間無料とのこと。まずは一度アプリを入手した上で、フリープランで試してみてはいかがですか?

【ダウンロード】
App Store ⇒ Jam Studio

【関連情報】
Jam Studioサイト

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