自分の制作した楽曲をCDでプレスするだけでなく、iTunes MusicmoraOTOTOYAmazonデジタルミュージックGoogle Playミュージックなどでダウンロード販売できるようにしたり、SpotifyApple MusicLINE MUSICなどでストリーミング配信できるようにしたい……。そんな思いの方は結構多いのではないでしょうか?

世の中、音楽ビジネスはCDからストリーミングへ変わってきている」なんて言われている時代だからこそ、すごく気になるところですよね。そこで4月にスタートさせた、実験的なレーベルであるDTMステーションCreativeでも、先日制作したVRミックスも入れたアルバム「Sweet My Heart」の音楽配信を始めてみました。実際どんな手続きが必要であり、いくらかかるのかなどレポートしてみたいと思います。


DTMステーションCreateveレーベルで音楽配信ビジネスを始めてみた!(画面はSpotify)

私、藤本健と、作曲家の多田彰文さんで立ち上げたDTMステーションCreative。以前にも「DTMステーション、M3-2018春に参戦。作曲家の多田彰文さんと新レーベル始動し予算・会計も大公開。第1弾シンガーは小寺可南子さん!」、「DTMステーションCreativeでM3に初出展。滑り出しは上々!?売上情報、収支状況を全公開」といった記事でも収支状況を交えつつ、その実態を赤裸々にレポートしてきました。


現在ネット通販でも販売中のアルバム「Sweet My Heart」

そのスタートの時点から、当然、音楽配信もやっていこう、という話は多田さんともしていました。そして当初から頭にあったのは「TuneCore Japanに登録して手続きをすればいい」ということ。というのも、多くのインディーズレーベルや個人レーベルのミュージシャンから「TuneCoreを使ったよ……」と聞いていたからで、とくに他のルートというのは考えてもいませんでした。

ところがCDのリリースを行ったM3の会場において、企業出展していたクリムゾンテクノロジーのブースに寄った際「ウチも音楽配信のためのサービスを行っているので、ぜひ検討してみてください」と言われたのです。そうクリムゾンテクノロジーは「自分の声をキャラクターの声にリアルタイム変換するSFのような技術、リアチェンvoiceが楽器フェアに登場!」や「自分の声をキャラクターの声にリアルタイム変換するアプリ、リアチェンvoiceが無料で登場!佐藤聡美さんや小岩井ことりさんになれちゃうぞ!」の記事でも紹介した会社であり、私もよく知っていた会社のブースだったので、覗いてみたのですが、ここがTuneCore Japanなどと同様のサービスを行っていたとは知りませんでした。


長い実績を持つクリムゾンテクノロジーの音楽配信のアグリゲーションビジネス

後日改めて話を伺ったところ、クリムゾンテクノロジーは、2003年ごろからARTS事業部として、この音楽配信ビジネスを行っており、これが同社の基幹ビジネスなのだとか……。「でもiTunes Musicが日本でサービスを開始したのが2005年なので、それよりも古く??」と思って聞いてみたところ、着うたのタイミングで始めたビジネスなのだそうです。そう考えると、音楽配信アグリゲーションビジネスの老舗なわけですね。


数多くの音楽配信サービスで配信することが可能


現在はダウンロード型だとiTunes Musicやmora、OTOTOY、Amazonデジタルミュージック、Google Playミュージック……、サブスクリプション型だとSpotifyやApple Music、LINE MUSIC、Amazon Music Unlimited……と思いつくほとんどのサービスで配信を行えるのに加えて、レコチョクやMySound、music.jpなどの着うたフルでの配信も行っているとのこと。こうしたラインナップはTuneCoreとほとんど変わらない感じですね。


TuneCore Japanでは配信するのに年間費用がかかる

もちろん知っている会社にお願いするというのは安心なところではあるけれど、一番肝心なのは、いくらかかって、どれくらの収入が見込めるのか、ということ。やはり、弱小とはいえレーベルオーナーとしては、お金の話は一番重要。クリムゾンテクノロジーから細かい話をヒアリングしつつ、音楽配信を行っている知人からも話を聞いたり、ネットに書かれているTuneCore Japanのメニューなどを元に2社を簡単に比較してみたのが以下のものです。


クリムゾンテクノロジー TuneCore Japan
シングル料金 無料 1,410円/年
アルバム料金 無料 4,750円/年
ISRCコードの取得 必要 不要
1,000円売れたときの収入 500円 600円強
振込手数料 無料 有料

これを見ると分かる通り、1つのアルバムを配信するのに、TuneCore Japanだと年間で4,750円(税抜)かかるのに対して、クリムゾンテクノロジーの場合は無料であるというのが大きな魅力。でも、TuneCore Japanの場合、収益は100%、レーベル側に還元されるというメリットがあるんですよね。


Apple Musicでも音楽配信サービスをスタート!

ただ100%とはいっても、1,000円のアルバムが売れたら手元に1,000円が入ってくるほど甘くはありません。当然配信運営会社の利益やJASRACなどへの著作権の支払いもあるため、ダウンロード型で1,000円売れた際に、手元に入ってくるのは600円ちょっとのようです。それに対し、クリムゾンテクノロジーの場合は売上の半分である500円が入ってくる。差額は100円ちょっとということになります。


Amazonでも音楽配信サービスをスタート!

TuneCore Japanだと最初に4,750円かかり、その後も毎年4,750円かかることを考えれば、毎年48枚以上売れるかどうかが、どちらを選ぶかの損益分岐点となります。ここではサブスクリプションのほうはカウントしていませんが、1再生されても0.x円という世界ですから、そんなに収入には繋がらないだろうと考えました。


moraでも音楽配信サービスをスタート!

頑張れば、アルバム50枚を売ることは不可能ではないかもしれません。けど毎年50枚というのは、なかなか厳しそうです。実数予測をする上で、参考にしたのがM3後に、BASEというサービスを使ってスタートしたCDの通販です。この際なので、これまでの売り上げ実数も公開しちゃいましょう。


BASEを使ったCDのネット通販は今も絶賛運営中!

そう、M3直後は、M3に来れなかった方などが購入してくれたので、そこそこ売れました。が、ここ1か月は正直なところゼロ。その結果が59枚=59,000円の売上。ほかにも、その後の物販などで数十枚売れていますが、トータルでいうと40万円以上の赤字が解消されておらず、レーベル事業として考えれば、まったくダメダメな状況。レーベルオーナーとしての判断は、「ここで毎年4,750円の出費は無理。クリムゾンテクノロジーのサービスを利用して試してみよう」という決定を下したのです。

ところで、先ほどの比較表の中にあって、まだ触れていなかったのがISRCコードの取得についてです。ISRCとは「International Standard Recording Code」の略称で、「国際標準レコーディングコード」のこと。CDを流通に乗せるために必要なコードであり、日本では一般社団法人日本レコード協会が発行しているもの。音楽配信においても、このコードが必須なんですね。

クリムゾンテクノロジーのサービスを使う場合、このISRCを自分で取得する必要があるのに対し、TuneCoreを使う場合、必要ないようです。ちょっと調べていたところ、世界中で音楽配信ビジネスを手掛けているTuneCoreの場合、少し特殊な位置づけにあるようです。そう、そもそも国別コードがJPではなく、TCとなっているんですよ!(https://isrc.jmd.ne.jp/codelist/country.html)。そのため日本レコード協会を通さず、自らISRCを発行する権限を持ってるみたいなんですよね。ここがTuneCoreを利用する際のメリットではあるけれど、まあ1度取得してしまえばいいので、自ら行ってみました。


日本レコード協会に登記簿謄本や印鑑証明とともにISRC申請書を提出

詳細は省きますが、FAX、メール、郵便などのやりとりにより、ISCRコードを無事取得することができました。かかった費用は1曲につき300円(税抜)なので、今回4曲入りアルバムだから300×4=1,200円。また、そのほかに、個人の場合は住民票写し原本、法人の場合は商業登記簿謄本(コピー可)と印鑑証明必要であるため、役所に行って計950円ほど別途かかりました。まあ、これは1回取得してしまえばOKなので、いいか、ということで。

さて、一方で、クリムゾンテクノロジー側とも手続きを進めていきましょう。まずはメールのやりとりで契約書のドラフトを作成。基本的には「原盤供給契約書」というものがWordファイルで送られてくるので、名前や銀行口座などを記載するだけ。その後、郵送のやりとりで、書面に捺印をして戻します。

その一方で、データ入稿の作業が必要になります。具体的には、配信する楽曲を16bit/44.1kHzステレオのWAVファイルで送ると同時に、ジャケット写真を1400×1400ピクセル以上のJPEGファイルで送ります。ハイレゾ配信の場合は別途ハイレゾ用のWAVファイルが必要となるのですが、これについては後日行うということで、まずは通常版として入稿しています。


申し込みや問い合わせなどは、このフォームから行う

それと同時に、クリムゾンテクノロジー側から送られてきたExcel形式のエントリーシートにメタデータを入力していきます。つまり、楽曲名やアーティスト名、作詞者・作曲者名などを細かく入力していくのです。そして、ここに取得したISRCコードも記載していくわけなのです。この辺のやりとりはメールで行う形で、システム化されているわけではありませんでしたが、大きなトラブルもなく行うことができました。記入の仕方などについては、クリムゾンテクノロジーのスタッフの方が懇切丁寧に教えてくれるので、メタ情報についてまったく分からない人でも、心配はないと思いますよ。


Excelシートでメタ情報や価格情報を入力して入稿

なお、このエントリーシート入力において、それぞれの価格の設定も行います。設定できる価格はiTunes Storeで利用可能なものから選択するのが基本となっているようでしたが、ここでは1曲250円、4曲入りのアルバムとしての価格は900円と設定しました。

こうした情報を送った結果、クリムゾンテクノロジー側で作業を行い、それから約2週間ほどで配信スタート、ということになりました。そう、サービスによって配信スタート日に違いはあるのですが、実は多くのところで7月20日からこっそり配信をスタートしていたのでした。が、これまでしっかりアナウンスしていなかったので、本日正式に公開です!


Google Playミュージックでも配信スタート!

具体的に「Sweet My Heart」を聴くことができるようになったのは、以下の全36サービス。こんなにいっぱい音楽配信サービスってあったんですね。


ストア名 納品種別 配信日
1 Amazonデジタルミュージック PC配信 7月20日
2 DL:mu-mo SUB:スマホでUSEN SMPフル 8月8日
3 DL:レコチョク SUB:dヒッツ/3DSコミュニティ/パイオニアカーナビ向けreplay/OTORAKU -音・楽-/dミュージック月額コース/レコチョク Best/ひかりTVミュージック/ANIUTA SMPフル 8月8日
4 Google Play ミュージック PC配信 7月20日
5 iTunes Music Store PC配信 7月20日
6 mora ~“WALKMAN”公式ミュージックストア~ PC配信 7月25日
7 music.jp SMPフル 7月25日
8 MySound SMPフル 7月25日
9 OTOTOY PC配信 7月20日
10 Amazon Music Unlimited(JP) SUB 7月20日
11 Amazon Prime Music SUB 2018-07-20より180日後
12 Amazonデジタルミュージック PC配信 7月20日
13 Apple Music SUB 7月20日
14 AWA SUB 7月20日
15 DL:mu-mo SUB:スマホでUSEN SMPフル 8月8日
16 DL:mu-mo SUB:スマホでUSEN SUB 8月8日
17 DL:mu-mo SUB:スマホでUSEN 待ちうた 8月8日
18 DL:mu-mo SUB:スマホでUSEN 着うた 8月8日
19 DL:mu-mo SUB:スマホでUSEN 着うたフル 8月8日
20 DL:レコチョク SUB:dヒッツ/3DSコミュニティ/パイオニアカーナビ向けreplay/OTORAKU -音・楽-/dミュージック月額コース/レコチョク Best/ひかりTVミュージック/ANIUTA SMPフル 8月8日
21 DL:レコチョク SUB:dヒッツ/3DSコミュニティ/パイオニアカーナビ向けreplay/OTORAKU -音・楽-/dミュージック月額コース/レコチョク Best/ひかりTVミュージック/ANIUTA SUB 8月8日
22 DL:レコチョク SUB:dヒッツ/3DSコミュニティ/パイオニアカーナビ向けreplay/OTORAKU -音・楽-/dミュージック月額コース/レコチョク Best/ひかりTVミュージック/ANIUTA 待ちうた 8月8日
23 DL:レコチョク SUB:dヒッツ/3DSコミュニティ/パイオニアカーナビ向けreplay/OTORAKU -音・楽-/dミュージック月額コース/レコチョク Best/ひかりTVミュージック/ANIUTA 着うた 8月8日
24 Google Play ミュージック PC配信 7月20日
25 Google Play ミュージック SUB 7月20日
26 Google Play ミュージック クラウド
27 iTunes Music Store PC配信 7月20日
28 iTunes Music Store クラウド
29 KKBOX,うたパス SUB 7月20日
30 LINE MUSIC SUB 7月25日
31 mora ~“WALKMAN”公式ミュージックストア~ PC配信 7月25日
32 music.jp SMPフル 7月25日
33 MySound SMPフル 7月25日
34 OTOTOY PC配信 7月20日
35 Rakuten Music SUB 7月20日
36 Spotify SUB 7月20日

見ると分かるとおり、ダウンロード販売型の「PC配信」、サブスクリプションの「SUB」、フル尺のスマホ向けダウンロードの「SMPフル」など形態はいろいろ。今回の登録によって、これだけ多くのサービスに一括で配信が可能になったのです。

配信の日程については予めクリムゾンテクノロジーから連絡があり、確認することが可能です。また必要に応じて、iTunes Storeなどの直リンクのURLももらうことができるので、事前告知などにも使えそうです。


もちろんiTunes Storeでも配信開始

というわけで、音楽配信をスタートするに至るまでの過程を紹介してきましたが、レーベルオーナーとしての願いは、やはりぜひこのアルバムの曲を多くの方に聴いていただくとともに、可能であれば購入していただけると嬉しいな、ということ。ぜひ、各サービスにおいて「Sweet My Heart」&「小寺可南子」で検索して聴いてみてくださいね。

もっと欲をいえば、こうした音楽配信で、試聴いただいたうえで、やっぱり利益率が一番高い、CDを購入いただけるといいな、ということです。

以上、音楽配信を開始するまでのレポートでした!

【関連情報】
クリムゾンテクノロジーARTS事業部
音楽配信に関する問い合わせ・申し込み

【CD購入】
◎DTMステーションCreativeストア ⇒ Sweet My Heart

【ダウンロード】
◎iTunes Music ⇒ Sweet My Heart
◎mora ⇒ Sweet My Heart
◎OTOTOY ⇒ Sweet My Heart
◎Amazon ⇒ Sweet My Heart
◎Google Play ⇒ Sweet My Heart

【ストリーミング】
◎Spotify ⇒ Sweet My Heart
◎Apple Music ⇒ Sweet My Heart
◎LINE MUSIC ⇒ Sweet My Heart