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ChatGPTでは答えられないDTMトラブルを即解決!?SONICWIRE「AIサポート」が約30年分の事例で実現した、専用AIの実力

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プラグインが突然起動しなくなったり、ライブラリが読み込めなかったり、認証エラーで弾かれたり……。DTMerなら誰しも、こうしたトラブルに頭を抱えた経験がありますよね。慣れている人でも解決に時間がかかることがあり、初心者にとってはなおさら高いハードルです。そんなDTMerの悩みをスピーディに解決すべく、サンプルパックやソフト音源などを扱う世界最大規模のダウンロードストア「SONICWIRE(ソニックワイヤ)」が、2026年1月14日よりテクニカルサポート窓口に「AIサポート」を導入しました。

これは、約30年にわたりSONICWIREが蓄積してきたマニュアル、FAQ、サポート事例などのテキストデータをAIに参照させ、24時間いつでも一次回答を返してくれるという仕組み。すでに稼働開始から約4ヶ月が経過しており、問い合わせの約37%が人手に到達する前にAIだけで解決できているというのです。DTMステーションでもこれまで数多くの製品を紹介してきたSONICWIREですが、そのSONICWIREを運営するクリプトン・フューチャー・メディアは、なぜ今このタイミングでAIサポートを導入したのか。実装の舞台裏や開発の苦労、そして今後の展望について、開発者にお話を伺ってきたので、紹介していきましょう。

SONICWIREのDTM特化型AIサポートがスゴイ!

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SONICWIREのテクニカルサポートに搭載された「AIサポート」とは

新しく導入されたAIサポートは、SONICWIREのテクニカルサポート窓口にアクセスし、購入した製品を選択、動作環境、お問い合わせ内容を入力すると、確認画面に「AIサポートの回答」が表示されるというもの。もしAIの回答で問題が解決すれば、そこで完了。解決しなければ、そのまま送信ボタンをクリックすることで、これまでと同様にSONICWIREのスタッフへとお問い合わせが送信されるという流れです。

テクニカルサポート窓口にトラブルの内容を入力して、「次へ」をクリック

ユーザーから見た操作の流れはほぼ従来通り。それでいて、サポートスタッフが対応している平日10時から17時の時間帯以外、たとえば深夜や休日でも、AIがその場で一次回答を返してくれるというわけです。深夜や休日に「今すぐ動かしたい」と思った経験は、DTMerならきっと誰にでもあるはず。トラブルが起きた際にすぐに解決できる可能性が上がったことは、嬉しいところです。

すると、AIの回答が表示される。それでも解決しない場合は「送信」を押すことでスタッフに連絡を取れる

ちなみに、現在AIサポートが対応するのは「購入済み製品」に対する質問のみで、利用にはSONICWIREアカウントへのサインインが必要。また「製品購入前のご質問・ご相談」については現状AIサポートの対象外となっているとのこと。

クリプトン創業30年、SONICWIREの蓄積データが土台に

改めてSONICWIREについてですが、このサービスは2007年11月にスタートしたサウンド素材のダウンロードストア。サンプルパックからソフト音源、プラグインエフェクト、DAW、効果音、BGMまで、実に31,000タイトル以上を取り扱う、まさに国内DTMシーンを支える存在です。運営元のクリプトン・フューチャー・メディアは1995年に札幌で創業した会社で、初音ミクをはじめとするバーチャルシンガー製品の開発元としてもおなじみ。クリプトンは2025年7月に設立30周年を迎えており、その積み重ねの中で蓄積された膨大なノウハウが、今回のAIサポートのベースとなっているのです。

設立30周年を迎えたクリプトン・フューチャー・メディア

そんなSONICWIREのルーツをたどると、実はクリプトン創業期から続く長い歴史があります。クリプトンはそもそもサウンド素材を海外から輸入販売する「音の商社」としてスタートし、サンプルパックのディストリビューションを中心に事業を展開。

世界最大規模のダウンロードストアSONICWIRE

その後は、海外メーカーのバーチャルインストゥルメントの取扱いも広げていきました。そして2007年11月、ダウンロード販売を行うストアとして立ち上げたのがSONICWIREでした。当時はまだPlugin Boutiqueといったサイトも存在しておらず、サウンド素材をダウンロードで販売するという発想自体が業界の先駆け的なもの。以来約20年、社内に開発チームを抱え進化を続け、現在では世界中の主要メーカーが手がけるソフト音源、プラグインエフェクト、サンプルパックなどを網羅的に扱う、世界最大規模のダウンロードストアへと成長しているのです。

なぜ今、AIサポートを導入したのか?

そんなSONICWIREが新たに踏み出した「AIサポート」。いったいどんな経緯で生まれ、どこに向かおうとしているのか。今回はクリプトン・フューチャー・メディアでAIサポートの開発に携わる、花房竜馬さん、林有希寛さん、立花達朗さんのお三方にお話を伺いました。

花房さん(左)、林さん(中央)、立花さん(右)にお話を伺った

花房 竜馬
クリプトン・フューチャー・メディア SONICWIRE・音楽事業チームの技術研究開発ユニットでAI研究/開発を担当。入社2年目。”テキストにまつわるAI”を専門に研究しており、SONICWIREの「AIサポート」では、過去の質問内容を詳細に分析して自動返答チャットボットを設計・構築した。趣味はアコギの弾き語り。歌うことが日々の息抜き。
林 有希寛
クリプトン・フューチャー・メディア SONICWIRE・音楽事業チームのサブマネージャー。2018年入社以来、SONICWIREにおける製品リリース/プロモーションやサポートなどの業務全般を担当。現在はシステム開発方針の策定や、サービスの将来設計に携わっている。もともとはミキシング・エンジニア志望で、新作エフェクトをチェックするのが入社以来欠かさない日課になっている。
立花 達朗
クリプトン・フューチャー・メディア SONICWIRE・音楽事業チームのウェブシステム担当者。入社2年目。SONICWIREのシステムをメインに、サイトの保守・機能改修・新機能の開発を担当。バックエンドを中心に、ユーザー向け機能の設計から実装までを行う。プライベートではDTMを趣味とする音楽好き。

ーーまず、なぜ今回AIサポートを導入することになったのか教えてください。
林:もちろんサポート人員の手間を削減したい、という側面もあります。ただ、それ以上に大きいのは、ユーザーが困ったときに、いかに早く解決にたどり着けるか、という部分です。我々はこれまでもFAQやマニュアル、ダウンロード可能な資料など、ユーザーがセルフでトラブルシュートできる環境を整えてきました。ただ、そこにもどうしても限界がありますし、そもそも情報を探すこと自体が大変だったりするんですよね。かといって、サポート窓口にご連絡いただいても、当然ながら回答までにタイムラグが発生してしまう。お客様としては「今すぐ動かしたい」のに使えない、という状態が続いてしまうわけです。この「自分で調べるのも難しいし、聞いても時間がかかる」というジレンマをなんとか解消したい、というのが今回もっとも取り組みたかった部分なんです。

ーー実際のデータとしては、どんな手応えがありますか?
林:現時点では問い合わせの37%くらいが、AIだけで解決できているという状況ですね。これは、AIサポートの回答画面から先の「送信」ボタンを押さずに完了した割合になります。つまり、3分の1強のユーザーが、人を待たずにその場で問題を解消できたということなんです。

ーー37%というのは、結構な数字ですね。
花房:いわゆるChatGPTやGeminiにそのまま聞いて、これくらいの数字を出すのはたぶん難しいと思います。やはり、特化したサービスとして動くように設計しているからこそ、高い精度で答えられているのかな、と感じています。

ChatGPTとは何が違う?仕組みを聞いてみた

ーーそもそも、最近のAIチャットボットは、ひと昔前のチャットボットとはだいぶ違ってきているんですよね?
花房:世間のイメージとしては、決まったキーワードに対してテンプレ的な答えを返すだけの「使えないシステム」というネガティブな印象を持っている方もまだ少なくないと思います。ただ、ここ数年でAI技術が大きく進化したことで、こちらの質問の意図を汲み取って柔軟に答えてくれるチャットボットが急速に増えてきました。旧来のテンプレートを返すようなチャットボットはどんどん減ってきていて、独自に情報を解釈して答えられるものが増えていくというのが、今後のトレンドなのかなと思っています。

ーーそうした流れの中、SONICWIREのAIサポートを実現する上で、何が一番大きかったのでしょう。
林:ソフトウェアという限定的な領域ではありますが、制作におけるトラブルシュートの事例は、本当に多岐にわたるものがあります。それを倉庫に置いたままにせず、適宜取り出せる状態にできたというのが大きいですね。

ーーちなみに、その倉庫に積み上がってきたデータというのは、どんな形で蓄積されてきたものなんですか?
林:SONICWIREのテクニカルサポート窓口はメールベースでのご対応のみなので、過去のやりとりがすべてテキストとして残っているんです。もし電話対応中心だったら、ここまでスムーズには進まなかったと思うんですけれども、メールベースで蓄積してきたからこそ実現できた部分は大きいですね。これまでサポート担当者は、よくある対応集を参考にしつつ、最終的に「これわからないぞ」というものは過去のメールから探して、過去の事例にないかを見ていたわけです。

林 有希寛さん

ーー具体的にAIチャットボットはどんな仕組みで動いているのですか?
花房:概要としては、まずSONICWIRE側にある製品データベースや、これまで蓄積してきたトラブルシュートの解決事例を、AIが解釈できる形に整理しておきます。これを素早く参照できる仕組みを、AIの外付けプラグインのような形で組み合わせていって、GPTのAI単体だけでは答えられない部分にも、的確に答えを返せるように全体を設計している、というイメージですね。

ーーということは、一つのAIがすべてを判断しているわけではない、と?
花房:単一のAIに丸投げするのではなく、それぞれ役割を持った複数のAIが連携することで、より的確な回答を出せるようになっています。

ーーちなみに、ChatGPTに同じことを聞いてみたら、答えはどのように変わってくるものなんですか?
花房:たとえば、KONTAKTをインストールしたのに立ち上がらない、音が出ない、と打ったときに、普通のChatGPTだと「認証は通っていますか?」「オーディオインターフェースはつながっていますか?」みたいな、表面の部分のことしか返ってこないんですね。これに対して、もう一段踏み込んだ部分、たとえばインストール時にプリセットが読み込めないみたいな問題があったとして、その原因がWindowsのOneDriveだったりすることがあるんですよ。そういうケースに対しては「OneDriveを一旦無効化して再インストールし直してください」というような、もう一段奥に踏み込んだ答えが返せるようになっています。

「人につながらない」AIにはしない

ーー海外のAIチャットボットだと、いくら問い合わせても自動応答ばかりで、結局人にたどり着けない、というケースも多いですよね。Amazonの問い合わせなんかも、なかなか人につながらなくてやきもきすることがあります。
林:本当に多いですよね。我々としても「あれは顧客のためになっていないな」と感じていまして、SONICWIREのAIサポートでは、AIで解決しなかった場合はちゃんと人につながる仕組みにしているんです。理想は、お客様に「全然人が出てこない」というストレスを与えず、それでいて「これAIだけで解決できたじゃん」と思ってもらえること。即座に問題が解消できるかどうかが、我々としての最終ゴールですから、いかに解決までの時間を短くするか、というところを意識しています。

ーー実際に利用するとしたら、どういった流れなのでしょうか?
立花:操作の流れとしては、これまでの問い合わせフォームに、確認画面としてAIの一次回答が一段挟まる形ですね。ユーザーから見える操作はほぼ従来通りで、追加で覚えることはありません。AIの回答で解決すれば、そこで完了。解決しなければ、そのまま送信ボタンで、いつも通りにサポート窓口にメールが届く、というシンプルな仕組みになっています。
花房:ただ、今のところAIとは双方向のやりとりができない状態でして、今後ステップを踏んで、AIと対話しながらトラブルシュートできるようになっていけば、よりお客様ご自身で問題を解決しやすくなっていくのかな、と思っています。

立花 達朗さん

ーーちなみに、添付ファイルの扱いはどうなっているのでしょうか?
立花:SONICWIREのサポート窓口に問い合わせをいただく際、画面のスクリーンショットなどファイルを添付できる仕組みになっていまして、今のAIサポートでは、その添付ファイルの中身まではまだ読めていない状態です。AI内部自体にはOCRなどの機能は持っているんですけど、ウェブからファイルの中身を取得してAIに読ませる部分の実装が、まだ間に合っていない感じですね。

ーーでは、画像のエラーメッセージなどは、現状では人間が見る段階まで持ち越されると。
林:現状はそうなっています。ある種、ベータというか、お試しの段階という側面も一つあって、いかんせんこのAI技術を使った最初のサービスでもあるので、世間の評判がどうなるかも予想できなかった部分があります。「絶対便利であろう」というところでまずは導入して、様子を見ながら対応できる範囲、答えられる範囲を広げていきたい、と考えています。

テキスト系AIの専門家が社内にいるから作れたAIチャットボット

ーーちなみに、立花さんと花房さんは普段はどんなお仕事をされているのでしょうか?
立花:SONICWIRE専属のシステム担当として、保守や「こういう機能を追加してほしい」というときの追加開発などをしていまして、そこから今回、SONICWIREのAIサポートの仕組みを立ち上げるプロジェクトに入っていったという感じです。
花房:私のほうは基本的に研究開発部門に所属していて、対話できるAIをどう実現していくかという構想を、モックを作りながら検証していくのがメインの仕事です。研究開発部門には音声系に強い人、テキストに強い人など、それぞれ専門が分かれていて、私はテキスト、対話型のAIが専門ですね。

ーー専門の方が社内にいるからこそ、こういうサービスができるわけですね。外注したら、相当なコストも時間も掛かりそうですね。
林:うちはなんでも自社で手がけたがる、という社風がありまして。SONICWIREのシステム自体も自社開発ですし、AIについても、世の中には汎用的なサービスがいろいろある一方で、SONICWIREの個別の事情に合わせて細かくチューニングしようとすると、結局自分たちで作るのが一番早いんです。今回も、そういう発想で自前で作っています。

ーーそうした自社開発の余裕があるからかもしれませんが、これだけの機能追加にもかかわらず、SONICWIREとして大々的に告知している印象があまりないですよね。
林:打ち出し方はかなり控えめなものにしていて、「AIチャットボット実装しました、バーン!」みたいなことはしていないんです。なので結構知らない人も多いかもしれません。世間の評判が怖いというのも正直あって、「AIサポートを実装しました」と派手に出したあとに、もし「使い物にならない」という評判が立ってしまうと、それも嫌だなと。ある程度の運用期間を経て、数字として「使い物にならないわけではない」とわかった段階で、改めて「便利になりましたよ」と告知していきたい、と考えています。

ーー実際、ユーザーが派手に感激するタイプの機能ではない、というのもあるかもしれないですね。
花房:AIチャットボットというと、前述の通り「テンプレ的な答えしか返ってこない」「ChatGPTみたいに間違ったことをいう」といったネガティブな印象を持つ方が、まだ多いと思います。ただ、特定のドメインに特化して、しっかり作り込めば、ChatGPTとはまったく違うレベルの体験を提供できる。そういう深掘りされたAIを作っていく価値は、市場としても十分にあるのかなと思っています。

花房 竜馬さん

これからのAIサポート、その先にあるもの

ーー今回のAIサポートは、これで完成というわけではなくて、まだまだ発展させていく予定ですよね。
林:ある種、我々の姿勢を示すような機能追加でもあるかな、と思っています。「こういう方向に進んでいきますよ」というメッセージが、一つの形で見せられたかなと。だからこそ、今回こうして取り上げていただけるのは、本当に嬉しいですね。

ーー将来的な展開についても、ぜひ教えてください。
林:これは将来的な野望の一つ、というくらいの話ではあるのですが、どうしてもAIってコストがかかってしまうので、何でもかんでもというのは、ビジネスの設計として難しい部分があります。ただ、SONICWIREでご購入いただいた製品以外についても、なんだったら制作上の悩みについても、いずれは答えられるようなサービスにできたら、と考えているところです。

ーーまさにそこは大きいですよね。今、DTMの専門家にいつでも相談できる場所って、世の中になかなかないですから。ChatGPTに相談はできるけど、なかなかドンピシャの答えは返ってこない。そこにSONICWIREの知識が役立てば、相当大きな価値になりそうです。
林:私たちが大事にしているのは、ひとことでいえば「音楽文化への貢献」、ここに尽きると思っています。今、作曲をする上での大きな課題として、DAWをインストールしてはみたものの、そこから形にならないという人がたぶん8割、9割くらいいるのではないかと。その障壁を取っ払ってあげないと、創作の人口がどんどん減ってしまって、業界として先細ってしまう。AIで「ポンと投げたらポンと出てくる」みたいな曲作りもあるわけですけど、創作の楽しみってそこにはないと思うんです。

ーーつまり、AIサポートで「設定で詰まる」みたいな障壁を取り除くことが、結果として音楽文化に貢献することにつながると。
林:今後も音楽文化が豊かであり続けるように、我々として何ができるかを考えるなかで、今回のAIサポートは「設定で詰まる」という障壁を減らすという意味で、貢献できればと考えています。

ーーありがとうございました。

以上、SONICWIREのテクニカルサポートに導入されたAIサポートについて、開発を担当する林さん、立花さん、花房さんに話を伺いました。約30年分のサポート事例をAIに参照させることで、テンプレ的な回答とは一線を画す踏み込んだ答えが、24時間その場で得られるのが大きな魅力。SONICWIREで購入した製品でトラブルが起きた際は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

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SONICWIRE

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