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UR22Cなど定番オーディオIFのブランドがSteinbergからヤマハに! URX22CやUR22MK3など品番も変更

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10月9日、ヤマハからちょっと意外な発表がありました。それはこれまでDTMのオーディオインターフェイスとして定番中の定番ともいえる、UR22CをはじめとするオーディオインターフェイスのブランドがSteinbergからヤマハへと変更されるとともに、品番も微妙に変わるというものです。

具体的にはDSP内蔵のオーディオインターフェイスであるUR22C、UR44CはURX22C(税込み希望小売価格:28,600円)、URX44C(49,500円)へ、DSPが内蔵されていない手ごろな価格のUSB-Cオーディオインターフェイスとして昨年誕生したIXO12およびIXO22がUR12MK3(14,300円)、UR22MK3(19,800円)となるのです(実際の品番としては、それぞれブラックモデルのUR12MK3 BとUR22MK3 B、ホワイトモデルのUR12MK3 WとUR22MK3 W)。ロゴや配色などが微妙に変わりますが、機能・性能・仕様はもちろん、端子やボタン、ノブなどはすべて同じで、実質同じもののようです。また、このタイミングでDSP搭載機用のアプリケーションであるdspMixFxがバージョン3.3にアップデートし、Elgato Stream Deckでのコントロールが可能になるなど、より利便性が向上しています。このdspMixFxは無料ダウンロードが可能で、もちろん従来のSteinbergブランド製品も同様に使うことができるようになっています。実際に、そのヤマハブランドになった製品を入手するとともに従来のSteinberg製品とも並べて比較してみたので、紹介してみましょう。

Steinbergブランドのオーディオインターフェイスはヤマハブランドに変わって新登場

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ブランド名がSteinbergからヤマハに

今回のリブランディングは、ヤマハグループ内での事業戦略によるもの、ということのようです。とはいえ、ユーザーにとって大きな影響があるわけではありません。

Steinbergのロゴは消えYAMAHAのロゴに

そもそもSteinbergはヤマハの100%子会社であり、これまでもハードウェアやドライバはヤマハが開発していました。CubaseなどのSteinberg製DAWとの連携を全面に出した製品として、Steinbergブランドを冠していたという経緯があります。今回のリブランディングは、その関係性をより明確にし、ヤマハブランドの統一性を高めるための施策といえると思います。

IXOシリーズからUR-MK3シリーズに変わり、ロゴもヤマハに

実際のところ、製品の中身は全く変わっていません。機能、性能、仕様、そして端子配置やボタン、ノブの位置まで完全に同一です。価格も据え置きとなっており、既存ユーザーも新規ユーザーも安心して選べる製品となっています。

新旧製品対応表

旧モデル(Steinbergブランド) 新モデル(ヤマハブランド) 税込価格
IXO12 B / IXO12 W UR12MK3 B / UR12MK3 W 14,300円
IXO22 B / IXO22 W UR22MK3 B / UR22MK3 W 19,800円
UR22C URX22C 28,600円
UR44C URX44C 49,500円

URX22Cの天板には音叉が3つ重なるおなじみのヤマハのロゴマークに

新旧製品を比較してみた

実際に手元にある新旧製品を比較してみましたが、予想通り、ほぼ完全に同一でした。

UR22CとURX22Cの比較

まずUR22CとURX22Cを並べて比較してみると、本当に細かい部分以外はまったく同じです。強いて違いを挙げるとすれば、筐体のデザインがわずかに変更されている点でしょう。

YAMAHAのURX22C(上)とSteinbergのUR22C(下)を見比べてもツマミや端子などまったく同じであることが分かる

リアパネルを見てもまったく同じ端子配置になっていることもわかります。個人的には電源供給用のUSBがmicroUSBからUSB-Cになるといいのに…とは少し思ったところですが、そこも含めて変わっていませんでした。

リアパネルをみてもYAMAHAのURX22C(上)とSteinbergのUR22C(下)でまったく同じ

UR22Cは筐体においてシルバー部分とブラック部分で色が分かれており、その継ぎ目がはっきりと見えていました。一方、URX22Cは全面ブラックの仕上げとなっており、継ぎ目がなくなっています。より統一感のある、洗練されたデザインになったといえるかもしれません。

サイズも同じだが、デザインが代わっているのが分かる

IXO12/IXO22とUR12MK3/UR22MK3の比較

エントリーモデルであるIXO12とUR12MK3、IXO22とUR22MK3についても同様に比較してみました。手元にある機器の白黒が逆という状況ではありましたが、こちらもほぼ同一です。

YAMAHA UR22 MK3(上)とSteinberg IXO 22(下)

細かい点では、IXOシリーズは天板にSteinbergロゴがプレス加工されており、凹凸がありました。対してURシリーズは天板にロゴはなく、フラットな仕上げになっています。これも統一感を重視したデザイン変更といえるでしょう。

YAMAHA UR12 MK3(上)とSteinberg IXO 12(下)

いずれにしても、機能面では一切の変更がないため、既存のIXOシリーズやUR-Cシリーズのユーザーは、新製品が出たからといって買い替える必要は全くありません。これから購入を検討している方にとっても、どちらを選んでも同じ体験が得られるということです。

UR816CとPodcast PackおよびRecording Packは生産完了

今回のリブランディングに伴い、一部の製品は後継機なしで生産完了となっています。

生産完了製品

  • UR816C (8イン/16アウトの上位モデル)
  • IXO Podcast Pack (IXO12のマイク付きパッケージ)
  • IXO Recording Pack (IXO22のマイク付きパッケージ)
  • UR22C Recording Pack (UR22Cのマイク付きパッケージ)

特にUR816Cは、より多くの入出力を必要とするユーザーにとって重要な選択肢でしたが、残念ながら後継機は用意されていません。もし購入を検討していた方は、在庫があるうちに入手しておくことをおすすめします。

また、各種マイクとセットになったPackについても後継モデルはありません。とはいえ、マイク体単品の販売は継続されるため、必要に応じて別途購入する形になります。

DSP搭載モデルのURX22CとURX44C

ヤマハブランドになったURX-Cシリーズは、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)を内蔵した上位モデルです。

主な特徴

高音質録音・再生 URX-Cシリーズは最大32bit/192kHzの高解像度録音・再生に対応しています。これにより、演奏の細かなニュアンスまで正確に捉え、音のディテールを忠実に再現できます。

DSP内蔵による低レイテンシー 内蔵DSPにより、コンプレッサー、EQ、リバーブなどのエフェクトをリアルタイムに処理できます。PC側のCPUに負荷をかけることなく、レイテンシー(遅延)のないモニタリング環境を構築できるのが大きな魅力です。

ハイレベルな配信機能 配信者向けの機能も充実しています。マルチオーディオストリームドライバーにより、PC上の複数のアプリケーションの音声を同時にコントロール可能。さらに、自分用のモニターミックスとは別に、配信先(リスナー)に届けるストリーミングミックスを作成できるため、より高度な配信が実現できます。

仕様比較表

モデル URX22C URX44C
入出力 2in / 2out 6in / 4out
マイクプリ 2系統 4系統
AD/DA 32bit/192kHz 32bit/192kHz
ヘッドホン端子 1系統(独立ボリューム) 2系統(独立ボリューム)
DSP
寸法 159 x 47 x 159 mm 252 x 47 x 159 mm
質量 1.0kg 1.5kg
税込価格 28,600円 49,500円

URX22Cは2イン/2アウトのコンパクトなモデルで、ソロの配信やホームレコーディングに最適です。一方、URX44Cは6イン/4アウトと入出力が多く、バンドでの同時録音や、より複雑なルーティングが必要な場合に対応できます。

エントリーモデルのUR12MK3とUR22MK3

UR-MK3シリーズは、DSPを搭載しない代わりに手頃な価格を実現したエントリーモデルです。

主な特徴

高品質な録音・再生 エントリーモデルとはいえ、最大24bit/192kHzの高解像度録音・再生に対応しており、本格的な音楽制作に十分な音質を備えています。

コンパクトで持ち運びやすい 小型軽量なボディながら、高品質なマイクプリアンプと入出力を搭載。自宅での使用はもちろん、外出先でのモバイルレコーディングにも最適です。

配信に便利なループバック機能 UR-MK3シリーズには、楽器の演奏音やPC上のサウンドを本機内でミックスして配信できるループバック機能が搭載されています。ループバックのON/OFFはハードウェア上のモニタースイッチで切り替え可能。また、各インプットにはミュートスイッチも装備されており、配信中に席を離れる際にマイクだけをミュートするといった使い方もできます。

マルチプラットフォーム対応 Mac、Windows、iPad、iPhoneに対応しており、iOS端末と接続時は自動的にクラスコンプライアントモードに切り替わるため、面倒な設定なしにすぐ使い始められます。

仕様比較表

モデル UR12MK3 UR22MK3
入出力 2in / 2out 2in / 2out
マイクプリ 1系統 2系統
AD/DA 24bit/192kHz 24bit/192kHz
ヘッドホン端子 1系統(アウトプットと共通) 1系統(独立ボリューム)
DSP
寸法 158 x 47 x 102 mm 159 x 47 x 159 mm
質量 450g 1.0kg
カラー ブラック/ホワイト ブラック/ホワイト
税込価格 14,300円 19,800円

UR12MK3は1系統のマイクプリを搭載した最小構成のモデルで、ボーカルや楽器のソロ録音、配信に最適です。UR22MK3は2系統のマイクプリと独立したヘッドホンボリュームを備えており、より柔軟な使い方が可能です。

Cubase AIのほかSteinberg Plusも入手可能

すべてのモデルには、SteinbergのDAWソフトウェア「Cubase AI」のダウンロード版ライセンスが付属します。Cubase AIは、購入したその日から24bit(32bit)/192kHz対応の音楽制作環境を構築できる本格的なDAWです。

さらに、以前「UR-Cシリーズユーザーなら絶対ゲットすべき、4つの音源+2GBのサウンドライブラリ、Steinberg Plus入手法」という記事でも紹介した「Steinberg Plus Download Access Code」も同梱されており、Steinbergが誇るVSTインストゥルメントやループセットの一部を無償で使用できます。Steinberg Plusの内容は定期的に更新されるため、常に新しいコンテンツにアクセスできるのも魅力です。

URX-Cシリーズには、さらに「Basic FX Suite License Card」も付属し、より多彩なエフェクトを利用できます。

付属ソフトウェア比較

モデル Cubase AI Steinberg Plus Basic FX Suite
UR12MK3
UR22MK3
URX22C
URX44C

dspMixFxバージョン3.3登場でElgato Stream Deckにも対応

URX-Cシリーズに搭載されているDSP制御アプリケーション「dspMixFx」が、このタイミングでバージョン3.3にアップデートされました。このアップデートは無料で提供され、従来のSteinbergブランドのUR-Cシリーズでもそのまま利用できます。

バージョン3.3の新機能

1. Elgato Stream Deckとの連携が可能に 配信者に人気の高いElgato Stream Deckから、dspMixFx上の各機能を直接コントロールできるようになりました。ミュートやボリューム調整、エフェクトのON/OFFなどを物理ボタンで操作できるため、配信中の操作性が大幅に向上します。

ElgatoのStream DeckがdspMixFxと連携できるようになった

2. 複数の音声ソースを同時に調整可能 マルチオーディオストリームドライバーにより、マイクなどのインプットチャンネルに加えて、PC上の複数のアプリケーションの音声ソースをdspMixFx上で一元管理できます。配信中に各アプリ上で音量を調整する必要がなく、dspMixFx上でまとめてコントロールできるため、作業効率が大幅に向上します。

3. 配信先専用のストリーミングミックスを搭載 自分のモニタリング用とは別に、配信先(リスナー)に届けるミックスを別途作成できるようになりました。これにより、歌配信やゲーム配信など、モニターするバランスと配信に送るバランスを変えたい状況でも、快適な配信環境を構築できます。

4. 豊富なDSPエフェクト コンプレッサー、EQ、リバーブなど、多数の高品質なDSPエフェクトが搭載されています。これらのエフェクトはハードウェア内のDSPによりリアルタイムで処理されるため、レイテンシーフリーのモニタリング環境を実現できます。

SteinbergからMixKeyがリリースに

Steinbergはハードウェアビジネスをヤマハに引き継ぐ一方で、ソフトウェアビジネスに集中する形になるわけですが、このタイミングで、Steinbergから配信用オーディオミキサーソフトウェア「MixKey」のパブリックベータがまもなくリリースされる、とのことです。

配信用ソフトウェアミキサー、MixKeyのパブリックベータが誕生

ソフトウェアミキサーにはオンラインソフトのBananaなどが存在していますが、Steinbergとしてより快適にルーティングができるものをWindows、Mac両対応の形でリリースするとのこと。モニタリングとキューを別々にコントロールでき、dspMixfxに近いことをコンピュータのCPUのみで動作可能にするようです。詳細については、また改めてレポートしたいと思いますが、より低コストで配信を行いたい人にとっては強力なアイテムになりそうで。


今回のSteinbergからヤマハへのリブランディングは、製品の中身は変わらず、ブランドと品番が変更されるだけという、ユーザーにとっては影響の少ない変更です。

むしろ、dspMixFx 3.3の登場により、DSP搭載モデルの使い勝手が大幅に向上したことのほうが重要なニュースといえるでしょう。Elgato Stream Deckとの連携や、より高度な配信機能は、特に配信者にとって大きな魅力となるはずです。

これからオーディオインターフェイスの購入を検討している方は、エントリーモデルのUR12MK3/UR22MK3、DSP搭載のURX22C/URX44Cのいずれも、引き続き安心して選べる定番製品です。ヤマハブランドになったことで、サポート体制もより充実することが期待できます。

なお、UR816Cや各種Recording Packは生産完了となるため、これらの製品を検討していた方は、在庫があるうちに入手しておくことをおすすめします。

【関連情報】
URX22C、URX44C製品情報
UR12MK3、UR22MK3製品情報

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この記事を書いた人

DTM、デジタルレコーディング、デジタルオーディオを中心に執筆するライター。インプレスのAV WatchでもDigital Audio Laboratoryを2001年より連載。「Cubase徹底操作ガイド」(リットーミュージック)、「ボーカロイド技術論」(ヤマハミュージックメディア)などの著書も多数ある。趣味は太陽光発電、2004年より自宅の電気を太陽光発電で賄うほか、現在3つの発電所を運用する発電所長でもある。

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