昨年、2025年のNAMM Showでのプロトタイプ発表時から注目を集めていた、KORG初となるオーディオインターフェイス、microAUDIOシリーズ。ついにその正式版となるmicroAUDIO 22とmicroAUDIO 722が今年のNAMM Showのタイミングである1月24日に発売されました。コンパクトなデスクトップサイズでありながら、最大24bit/192kH対応、USB Type-C接続という現代的なスペックを装備。そして、上位モデルのmicroAUDIO 722には、あの伝説的シンセサイザであるminiKORG 700S由来のアナログフィルターがハードウェアのアナログ回路として搭載されている点が、最大の特徴となっています。
価格は、シンプルかつ高音質なスタンダードモデルのmicroAUDIO 22が24,750円(税込)、そしてアナログフィルターを搭載したmicroAUDIO 722が32,780円(税込)。この価格帯でハードウェアのアナログフィルターが手に入り、さらに次世代フィルターデザインツールであるFilter Arkをはじめとする強力なプラグインもバンドルされる、非常にコストパフォーマンスが高い製品となっています。そんなKORGが満を持して発売したmicroAUDIO 22とmicroAUDIO 722を実際に試してみたので、紹介していきましょう。
シンプルを極めた高音質設計、microAUDIO 22
昨年のNAMM Showのレポート記事「【NAMMレポート5】miniKORG 700Sのフィルター搭載オーディオIFも参考出品! NAMM 2025で数々の新製品をお披露目したKORGブース」で紹介したmicroAUDIO 22とmicroAUDIO 722。
正式発表を心待ちにしていた方も多いと思いますが、ついに2026年のNAMMのタイミングで製品化されました。
まずは、スタンダードモデルであるmicroAUDIO 22から見ていきましょう。筐体は幅150mm、奥行128mm、高さ68mmと非常にコンパクトで、重量は407g。DSP内蔵で、トップパネルにツマミやスイッチが搭載されているタイプのオーディオインターフェイスとなっています。デスクの上に置いても邪魔にならず、快適に操作でき、カバンに入れて持ち運ぶのにも最適なサイズ感ですよ。
左側にはIN1とIN2のゲインノブが配置されており、それぞれのチャンネルには入力信号が過大になったことを知らせるクリップインジケーターも備わっています。IN2の下には+48Vのファンタム電源スイッチがあり、これをONにすることで、IN1および2の両方に電源が供給され、コンデンサマイクを使用することが可能になります。個別ON/OFFではなく、一括切り替え仕様となっています。
さらにIN1の下にはLINKスイッチが搭載されていて、これをONにすると、IN1と2がステレオペアとして扱われるようになります。つまり、IN1のゲインのツマミだけで両チャンネルのゲインを調整可能なので、シンセサイザやドラムマシンなどのステレオ出力を持つ楽器を録音する際、ステレオのゲインを同じ値に保ったまま調整がすることができます。
その横にあるMONO/STスイッチは、ダイレクトモニタリング時の聴こえ方を切り替えるもの。ボーカル録音などの際はMONOにして自分の声をセンターから聴き、ステレオ楽器の録音時はSTにしてL/Rの広がりを確認しながら演奏するといった使い分けが即座に行えます。
そして右側には大型のMAIN VOLUMEノブに加え、MONITOR MIXノブが搭載されています。これは、入力音であるダイレクトモニター音と、コンピューターからの再生音であるUSB PLAYBACKの音量バランスを調整するためのノブです。左に回せば入力音が、右に回せばPCからのオケが大きくなります。録音時に自分の声をもっと大きく聴きたいといった場合でも、DAW側のフェーダーを触ることなく、手元のノブ操作だけで遅延のない快適なモニタリング環境を作れるというわけです。
リアパネルには、コンピューターと接続するためのUSB Type-C端子を装備しています。PCからのUSBバスパワーで動作するので、別途電源アダプターを持ち歩く必要はありません。入出力端子としては、XLRと6.3mm TRSフォーンの両方に対応したコンボジャック仕様のIN1と2、そしてモニタースピーカーなどを接続するためのOUT1と2が用意されています。OUTPUT端子は6.3mm TRSフォーンのバランス接続に対応。また、6.3mmのヘッドホン端子もリアに搭載されています。
ちなみにスペック面でいうと、マイク入力のダイナミックレンジはA特性で109.5dB、入力インピーダンスは1.5kΩ。ゲインを上げてもノイズフロアが低く保たれており、繊細な録音にも十分に耐えうるクリアな音質を実現しています。さらに、OUTPUT端子がDCカップリング接続となっている点も見逃せません。DAWからCV信号を出力してモジュラーシンセをコントロールするといった用途にも対応可能です。
またmicroAUDIO 22にはDSPが搭載されているので、PCに一切負荷を掛けずリアルタイムでエフェクト掛けることもできます。Noise GateやCompressor、Limiterといったエフェクトなども使えるmicroAUDIO専用Editorについては、後ほど詳しく書いていきますね。
伝説のフィルターを操る、microAUDIO 722
続いて、上位モデルのmicroAUDIO 722を見ていきましょう。こちらは幅207mmと、microAUDIO 22に比べてフィルターセクションが追加されているので横幅が広くなっています。奥行128mm、高さ68mmというのはmicroAUDIO 22と同様。重量は553gと、こちらも十分に軽量設計となっています。
本物のアナログ回路を搭載した700S FILTERセクション
microAUDIO 722の700S FILTERセクションを紹介していく前に、まずは少し歴史を振り返ってみましょう。そもそもminiKORG 700Sとは、1974年にコルグから発売されたアナログモノフォニックシンセサイザです。その前年に発売されたコルグ初の量産型シンセサイザーminiKORG 700の改良モデルであり、2つのオシレーターやリングモジュレータなどを搭載した、まさにKORGシンセサイザの原点ともいえる名機なのです。
当時、Travelerコントローラと呼ばれた2つのスライダーでフィルターを操作する独特の機構と、その太く存在感のあるサウンドは、世界中のミュージシャンに愛用されました。そんな伝説的なシンセサイザの魂ともいえるフィルター回路が、50年以上の時を経て、最新のオーディオインターフェイスに搭載されたというわけです。
ここでポイントとなるのは、これが単なるデジタルモデリングではないという点。パネルにANALOG FILTER & AUDIO INTERFACE、700S BUILT-IN FILTERと刻まれている通り、ここには伝説の名機miniKORG 700Sの回路を再現した、正真正銘のアナログ回路が搭載されているのです。FILTER TYPEスイッチがあり、ローパスを表すLO、ハイパスを表すHI、そしてバイパスを物理スイッチで切り替えることができます。マウスではなく、指先でツマミを回して本物のアナログフィルターの変化を楽しむ快感は、ハードウェアならではの醍醐味。
CUTOFFノブを回して周波数を削り、音色を明るくしたり暗くしたりする基本操作に加え、RESONANCEノブを上げてカットオフポイント周辺の倍音を強調すれば、あの独特の「ミョンミョン」という発振音を楽しむことも可能です。このレゾナンスの効き具合は音楽的で、上げても音が痩せすぎることなく、太く存在感のあるアナログサウンドを維持してくれます。
またこのセクションにはIN/USBスイッチが配置されています。これが非常に重要なスイッチで、フィルターをかける対象を「外部入力音(IN)」にするか、「PCからの再生音(USB)」にするかを瞬時に切り替えることができるのです。INに設定すれば、接続したシンセサイザの音を録音する際に直接フィルターをかける、いわゆる掛け録りが可能。一方、USBに設定すれば、DAW上のソフトシンセをmicroAUDIO 722に送り、アナログフィルターで加工した音を再びDAWに戻して録音する、といったリアンプ的な使い方ができます。デジタル音源に本物のアナログの温かみや動きを加えたい場合、このスイッチ一つで柔軟に対応できるのはかなり強力ですね。
表現力を広げるLFO/ENVセクション
またフィルターセクションの右側には、LFO/ENVセクションが配置されています。ここでは、フィルターに対するモジュレーションをハードウェア上で直感的にコントロールできます。
LFO/ENV SELECTスイッチでは、フィルターを変調するソースとしてLFOを使うか、ENVを使うかを選択できます。LFOを選べば周期的な揺らぎを、ENVを選べば入力音の強弱に追従した動きを与えることができます。そしてその上にあるのがINTENSITYノブ。このノブで、選んだモジュレーションソースがどれくらいの深さでフィルターにかかるかを調整することが可能です。
さらに、このセクションにはRATEを調整する機能も備わっています。FREEかSYNCをスイッチで切り替えることができ、エディターソフトを開かなくても、トップパネルの操作だけでモジュレーションの速さまでコントロールできるため、ライブパフォーマンスや直感的な制作において使い勝手よく、強力な武器となります。
そのほか、入力セクションやメインボリューム周りの配置はmicroAUDIO 22と共通ですが、リアパネルには722ならではの端子が追加されています。それが、3.5mm TRSミニフォーンジャック仕様のMIDI INおよびMIDI OUT端子です。製品にはTRS-DIN変換ケーブルも付属しているため、お持ちのハードウェアシンセサイザーやMIDIキーボードを即座に接続可能です。
また、PCと接続しないスタンドアローン動作にも対応。USB端子にDC 5VのUSB規格準拠ACアダプターを接続すれば、PCを繋がずに単体のアナログフィルター兼ミキサーとして機能するのです。ライブパフォーマンスなどで、手持ちの機材の音をこのフィルターに通して過激に変化させるといった使い方ができるのも、microAUDIO 722の大きな魅力となっています。
機能を拡張するmicroAUDIO EDITOR
ハードウェアだけでも十分に魅力的ですが、microAUDIO 22とmicroAUDIO 722の真価を発揮させるのが、専用ソフトウェアであるmicroAUDIO EDITORです。WindowsおよびMacに対応しており、ここから本体のノブにはない詳細な設定へアクセスすることが可能です。
まずmicroAUDIO 722ユーザーにとって最も重要なのが、エディター内のFILTERタブです。ここではフィルターの設定だけでなく、モジュレーション機能の設定が行えます。LFOセクションでは、LFOのスピードを調整するRATEや、かかり具合を調整するINTENSITYを設定できるのですが、さらにRATE RANGEというパラメータでLFOの速度範囲を切り替えることが可能です。これにより、ゆっくりとした周期的な変化から、高速変調まで幅広く対応できます。LFO波形もサイン波、三角波、矩形波、ノコギリ波など5種類から選択でき、SYNC MODEをSYNCに設定すれば、DAWからのMIDIクロックに完全に同期したフィルターアクションが可能になります。
また、入力音の強弱に合わせてフィルターを開閉させるENVELOPE FOLLOWER機能では、ENV RATEやENV INPUT GAINを細かく調整できるため、ギターのカッティングに合わせてワウのような効果を出したり、ドラムのキックに合わせてベースのフィルターを開いたりといった、ダイナミックな表現が可能になります。LFOとエンベロープフォロワーはスイッチで切り替えて使用でき、アナログフィルターの可能性をデジタルの力で最大限に引き出すことができます。
そしてmicroAUDIO EDITORにはFXタブも用意されており、ここでは入力チャンネルごとにNOISE GATEとCOMPRESSOR/LIMITERを設定できます。このDSPエフェクト機能はmicroAUDIO 722だけでなく、microAUDIO 22にも搭載されています。重要なのは、これらがPCのCPUで処理されるプラグインエフェクトではなく、インターフェイス内部のDSP、つまりデジタル信号処理によって実行されるという点です。そのため、PCの負荷を気にすることなく、また限りなくゼロに近いレイテンシで、録音時の掛け録りに使用することができるのです。この価格帯で実用的なDSPエフェクトを搭載しているインターフェイスは珍しく、特に配信などでノイズゲートやリミッターは非常に重宝するでしょう。
NOISE GATEは、入力音が小さいときに出力を絞ってノイズを軽減する機能。TYPEをSOFTとHARDから選択でき、SENSITIVITYで感度を、RELEASEで出力を絞るまでの時間を調整できます。COMPRESSOR/LIMITERセクションでは、ダイナミックレンジを調整するコンプレッサと、ピークを抑えるリミッターの切り替えが可能で、こちらもTYPEをSOFTとHARDから選択できます。さらに音量を圧縮するまでの時間を決めるATTACKや、動作感度を決めるSENSITIVITYといったパラメーターを調整できます。
microAUDIO 722の場合、FX ROUTING機能により、これらコンプレッサやリミッターを700S FILTERの前にかけるか後にかけるかを選択することも可能です。
SETTINGSタブでは、システム全体の挙動を設定できます。REC OUT設定では、USBオーディオの1チャンネルと2チャンネルに出力する信号を、エフェクトやフィルターを通した後の音であるPROCESSEDにするか、通す前の音であるRAWにするかを選択できます。配信などでフィルター効果を聴かせたい場合はPROCESSEDに、後でDAWで加工したい場合はRAWにするといった使い分けが可能です。
また、microAUDIO 722ではMIDI関連の設定も充実しています。CLOCK SOURCEでクロックの同期元をAUTO、MIDI、USBから選べます。ROUTING設定では、MIDI INからのメッセージをコンピューターへスルーするMIDI I/Oモードか、microAUDIO本体のコントロールに使用するCONTROLLERモードかを選択できます。またAUTO RECALL機能をONにしておけば、PC接続時に本体の設定を自動的にエディターへ読み込んでくれるため、シームレスな作業が可能となりますよ。
フィルターを作るツール「Filter Ark」と充実のバンドルソフト
そして忘れてはならないのが、microAUDIOシリーズにバンドルされるFilter Arkです。これは単なるおまけプラグインの域を遥かに超えた、次世代のフィルターデザインツールとなっています。Filter Arkは、最大4つのフィルタースロットを持ち、MS-20、Polysix、そしてminiKORG 700Sといったコルグの歴代名機はもちろん、ARP OdysseyのRev1〜Rev3まで網羅。さらにvolca drumのWave Guideなど最新技術も融合し、これらを自由に組み合わせて音作りが可能です。また、LFOやステップシーケンサーなどのモジュレーション機能も強力で、まさにフィルターを作るプラグインとなっています。
さらにmicroAUDIOには、このFilter Arkに加え、Ableton Live Lite、Native Instruments Komplete Select、iZotope Ozone Elementsなど、制作に必要なソフトウェアが多数同梱されています。これらがあれば、作曲、レコーディングからミックス、マスタリングまで、音楽制作のすべての工程をカバーすることが可能。購入したその日から即戦力となるパッケージが収録されていますよ。
以上、1月24日に発売されたKORGのmicroAUDIO 22およびmicroAUDIO 722について紹介しました。NAMMの会場でも、興味を持って展示されていた機材をチェックする人が数多くいました。
単なるオーディオ入出力装置にとどまらず、音を作る、音で遊ぶという楽器的な楽しさを詰め込んだmicroAUDIO 722。そして、その高音質設計をシンプルに凝縮したmicroAUDIO 22。どちらもKORGらしい、遊び心と技術力が融合した製品に仕上がっていました。特に722のアナログフィルターは、一度触ると病みつきになる魅力があります。ソフトシンセの音に物足りなさを感じている方や、もっと直感的に音色変化を楽しみたいという方には、ぜひ一度体験してみてください。
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