34年の歴史を誇る打ち込みの老舗、デジパフォが大きくVer UP。Digital Performer 10は機能強化と同時に年配者にも優しい仕様に!

「MIDIの打ち込みなら、やっぱりDigital Performerに限る」、そうした職人気質のユーザーも多いMOTUのDigital Performer。先日、米アナハイムで行われたNAMM Show 2019で新バージョンとなるDigital Performer 10が発表され、3月1日よりパッケージ版の発売が開始されます(すでにアップデート用のダウンロード版は発売開始)。前身となるMIDIシーケンサのPerformerが誕生した1985年から数えて、今年で34年目。まだまだその進化は止まらないようです。

今回のバージョンアップでは、Ableton Live風なループ/フレーズをトリガーしてライブパフォーマンスを実現するCLIPS WINDOWやビートを自動解析するBEAT DETECTION 2.0、さらには音源の拡充、UIの改善、エディット・ミックスにおいての操作向上、オーディオストレッチ性能の劇的向上、VST3のサポート……など大きく機能向上しています。一方で、これまで多くのユーザーから出ていた「文字が小さくて見づらい」という声に応え、大きく見やすい文字、画面で操作できるようになりました。もちろんMacだけでなく、Windowsでも使えるDigital Performer 10。どんな進化を遂げたのか、ファーストインプレッションという形で紹介してみましょう。


Digital Performer 10がいよいよリリース。手前がMac版、奥がWindows版

先日の「なぜカラオケはCDリリース日から歌えるのか?Digital Performerでの打ち込みが支える通信カラオケの世界」という記事でも取り上げましたが、特に打ち込みの世界においてはDigital Performerの使用比率って非常に高いんですよね。その昔のPerformer時代から使っている人も多いようですし、数値エディット機能が充実しているからDigital Performerがいいというユーザーも数多くいます。


数値入力がしやすいイベントリストが搭載されているのがDigital Performerの特徴の一つ

ただ、そうしたDigital Performerユーザーから多く出ていた不満が、文字が小さいという点。デザイン面からすると文字は小さいほうが、カッコイイのは分かるのですが、数値エディットをすることを考えると、40歳代以上の世代にとっては、なかなか厳しい状況だったんですよね。


デフォルトの状態だと非常に文字が小さくて、40歳代以上だとなかなか厳しい!?

また最近は4Kディスプレイを使うユーザーも増えていますが、4Kディスプレイになれば、ますます文字が小さくなり、ほとんど操作不能な感じに陥っていました。そうした声は日本国内だけではなかったようですが、今回のDigital Performer 10で、その問題が完全に解消されました。まあ、DAW性能の向上とはなんら関係ない話ではありますが、個人的にはこのことだけで十分バージョンアップする価値があるアップデートだな…と思っています。


拡大していくと、こんな感じで見やすくなる

Macなら[Command]+[+]、Windowsなら[CTRL]+[+]を押していくことでどんどん拡大されていき、[Command]+[ー]または[CTRL]+[-]で縮小していきます。デフォルトの文字サイズは従来通りの小さいサイズのため、まずはこれで拡大するのがお勧めですよ。一度拡大してしまえば、再起動してもその大きさが保持されるので使いやすくなりますよ!


Ableton Live風なCLIPS WINDOW

さて、そのDigital Performerの目玉機能の一つがCLIPS WINDOWです。これは前述の通り、Ableton Liveに代表されるループ素材を用いたライブパフォーマンスを可能にするもの。クリップを自由に組み合わせてリアルタイムにプレイしていくことができます。考え方、使い方はAbleton Liveなどとほぼ同等であり、クリップタブにループ素材を張り付け、各トラックごとにプレイボタンを押していけば、その素材がピッタリのタイミングで再生されるようになります。


クリップを選ぶと、ストンとしたに落ちて溜まっていく

UI的にはちょっと面白く、再生したいクリップをクリックすると、それがアニメーション的に下のキューのところに落ちて積もっていき、順番が来ると、さらに下の再生中のところに落ちてプレイされるという感じ。これはDigital Performerとしては完全な新機能ですね。

一方、BEAT DETECTION 2.0は、非常に優秀なビート検出機能です。WAVファイルやAIFFファイルなど、小さなクリップでも、1曲丸ごとのオーディオファイルであっても、それをDigital Performer上に読み込ませると、自動的にビート検出を行い、テンポを解析してくれます。


オーディオファイルを読み込むだけで自動的にビート検出されている

したがって、読み込んだオーディオクリップを曲のビートに合わせることもできるし、反対に読み込んだオーディオのテンポに合わせて各種素材を並べていくといった使い方も可能。微妙なテンポの揺れもしっかりと検出してくれるのはとっても優秀です。ちなみに、ACIDファイルやApple Loopsなど、すでにテンポ情報が入っているデータの場合は、BEAT DETECTION 2.0は機能せず、最初から入っている情報が優先されるというのも、とてもよくできた仕様ですね。

また、これと関連して、ストレッチオーディオという機能も搭載されています。これはオーディオクリップなどを正確にテンポに合わせることを可能にするもの。トラックのストレッチモードを有効にした状態でオーディオを貼り付ければ、テンポチェンジがあってもそれにピッタリと合わせてくれます。英語のデモではありますが、以下のビデオを見れば、その様子がよくわかると思います。

なお、このタイムストレッチにはZynaptiqのZTX PROというエンジンが使われており、これによって、テンポに大きな変化があっても非常に高品位なサウンドを実現してくれます。

そのほかにも、最近多くのDAWが対応してきているVCAフェーダーにもDigital Performer 10で対応しています。これは古くからあるアナログコンソールが装備していた機能でもあるのですが、1台のVCAフェーダーを上下することで、任意の数のトラックに対して、相対的な音量コントロールを可能にしてくれるもの。従来のグルーピングよりも、さらに自然なオートメーションが可能になるのです。


相対的な音量コントロールを可能にしてくれるVCAフェーダー

さらにWindows版もMac版もVST 3に対応したことで、サードパーティーのプラグインをより簡単に追加できるようになっています。もちろん従来のVST 2にも対応しているし、Mac版の場合はAudioUnitsにも対応しているので、互換性における心配もなさそうですね。


マスタリング用のエフェクトMasterWorksシリーズを標準装備

もちろんDigital Performer 10にはマスタリングにもマッチするプラグインスイートであるMasterWorks SeriesやギターアンプやストンプエフェクトをモデリングするギターFX、ギターをシンセサイザ化することが可能なMEGA SYNTHや非常にリアルな空間を再現するコンボリューションリバーブのProVerb、クラシックシンセサイズドリバーブのeVerbにビンテージスプリングタンクリバーブのSpringamabob、独自のツイストを持つコーラスエフェクトのEnsemble Chorus、アルティメイト・モジュレーション・マシーンのSonic Modulator……と膨大なエフェクトが標準装備されているので、これだけでも十分すぎるライブラリとなってますよ。


ギターサウンドなどをシンセサウンドに変換できるMega Synth

それに加え、UVI Workstationベースの約4.5GBの音源ライブラリが付属しているのも、Digital Performer 10の大きな特徴となっています。これは、Digital Performer 10のユーザー登録した上でダウンロードするものとなっていますが、音源は、MOTUのマルチサンプラーであるMachFive 3のサウンドをベースに抜粋したライブラリで構成されています。


ユーザー登録すると、UVI Workstationベースの音源ライブラリ、soundbankが入手可能

これらはアコースティックピアノ、オルガン、ブラス、ストリングスなどアコースティック楽器を中心に構成されており、非常にリアルなサウンドで奏でることが可能です。シンセ系に関してはMiniMoog風なBassLine、JUNO-106風なPoly Synth、ハイブリッドのシンセシスエンジン(サブトラクティブ、ウェーブテーブル、FM、AM)のMX4などが用意されているので、これらと使い分けるとよさそうです。


soundbankはアコースティック楽器を中心とした音源ライブラリとなっている

ちなみにMOTU Instruments Soundbanksについては、別途iLokアカウントが必要となっており、このiLokアカウントは2つのデバイスに対してオーサライズが可能となっています。つまり1本のiLokと1台のPCオーサライズという認証方法もできるのです。なのでiLokを持ってない人もすぐに使うことができるほか、iLokがあれば持ち運びも可能になるので、この機会に一つ入手しておいてもいいかもしれませんね。。

この音源集のほかにも、ダウンロードできる6GBにもおよぶフリーループ&サンプル集も入手可能となっています。具体的にはBig Fish Audio、Lucidsamples、Loopmastersといったもの。かなりの使いでがありそうです。

以上、ファーストインプレッションとしてDigital Performer 10について紹介してみました。これまでDigital Performerを使ってきた方のバージョンアップはもちろんですが、MIDIでより細かな表現での打ち込みをしてみたいという方、また以前、Digital PerformerやPerformerは使っていたけど、文字が小さくて最近敬遠していた…なんて方も、この機会にDigital Performerに戻ってみるというのもいいかもしれません。


打ち込み用DAWとしては非常に歴史があり、優秀なDigital Performer 10

Performer時代のユーザーの方も含め、旧バージョンを使っていた方にはアップグレード版(実勢価格¥21,450税別)というものも用意されているので、これを入手してみるのがよさそうですね。

【関連情報】
Digital Perfomer 10製品情報
旧バージョンのDPから、DP10へのアップグレード

【価格チェック&購入】
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