USBドライブ入りのボックス版がお勧め!膨大なライブラリを持つSampleTank 4は持っておくべき!

先日ドイツ・ベルリンで行われた世界最大のシンセサイザーの祭典「SUPERBOOTH 19」。このタイミングでイタリアのIK Multimediaからはアナログ+デジタルのハイブリッドドラムマシン、UNO Drumが発表されると同時に予約受付が開始されて大きな話題になっています。ぜひ、これも試してみたいと思っているところですが、今回ここで取り上げるのは同じIK Multimediaが2月にリリースしたソフトサンプラーのSampleTank 4です。

KONTAKT、UVI Workstation、HALionと並ぶ4大ソフトサンプラーの一つ、SampleTank。SamleTank 3以来5年ぶりのバージョンアップとなったわけですが、まさにあらゆる音色が詰まったマルチ音源であり、DTMユーザーであれば持っておいて絶対に損のない音源といえそうです。実際に使ってみたので、SampleTank 4とはどんな音源なのか紹介してみたいと思います。

膨大なライブラリを持つ超強力なソフトサンプラー、IK MultimediaのSampleTank 4

2月にダウンロード販売がスタートし、3月末からボックス版の販売がスタートしたIK MultimediaのSampleTank 4。ラインナップとしては上から

SamleTank 4 MAX
SamleTank 4
SampeTank 4 SE

の3つのラインナップとなっています(SampleTank 4 SEはダウンロード版のみ)。いずれも音源としての機能は同じですが、それぞれで収録されている音色=インストゥルメントに違いがあります。その収録されている音色の比較表があるので、興味のある方はIK Multimediaサイトで見てみると驚きますが、この比較表がPDFで205ページに渡っているのです。

https://www.ikmultimedia.com/products/include/st4/soundlist/SampleTank_4_comparison.pdf

多すぎて数えられませんでしたが、最上位版のSampleTank4 Maxで8000種類のインストゥルメント、SamleTanke 4で6,000種類、SampleTank 4 SEでも2,000種類程度のようです。もちろんただ多ければいいってもんじゃないですが、まさにあらゆる音源が詰まったサンプラーといえそうですね。

今回、真ん中のグレードであるSampleTank 4のクロスグレード版を入手

容量的にみると、そのSampleTank 4 MAXが250GB以上、SampleTank 4が100GB以上、SampleTank 4が30GB以上。私は今回、真ん中のSampleTank 4を試したのですが、あえてダウンロード版ではなくUSBドライブが入ったボックス版を使いました。価格的にはボックス版のほうが微妙に高いようではありますが、過去の経験から「USBドライブが絶対に楽!」と確信していたからです。そう、100GB以上ものライブラリーをダウンロードするのには、かなりの時間がかかる、そのライブラリーが数十本のZIPファイルに分かれているので、1つずつダウンロードしては解凍し、インストールする必要があるのです。

ボックスのパッケージに入っている128GBのUSBドライブを使ってインストール

それが今回USBドライブからのインストールだったので、とってもスマートに行うことができました。時間的には1時間程度はかかったものの、まあ、待ってるだけですからね。手間がかかっても、とにかく少しでも安く済ませたい、というのなら、ダウンロード版を選ぶのはありですが、私はボックス版をお勧めしますよ!

※追記

また製品登録後180日を経過するとサウンド・ライブラリーのダウンロードができなくなってしまいます。再ダウンロードするためには有料のSounds Download Reactivation Credit(€9.99)を購入する必要があるため、ダウンロード版の場合、必ずすべてをHDDなどにバックアップしておく必要があります。その点を考えても、ボックス版を購入してUSBで持っておくというのは有用ですね(詳細情報はこちら)。

インストールボタンを押して待つこと1時間。無事インストールが完了した

ちなみにSampleTank 4にはSampleTank 4の新音色が詰まっていると同時にSampleTank 3の音色もすべて収録されています。

ではこのSampleTank 4はどんな音源なのでしょうか?これは音を聴いて判断してもらうのが早いと思うので、IK Multimediaが公開しているデモ演奏を以下にいくつか載せておきますね。

どうですか?ピアノサウンドあたりを聴いてみるとよくわかると思いますが、かなり使える音源がいっぱい詰まっているという印象。さすが莫大な容量のサンプラーだけありますね。

膨大にある音色の中から目的のものを絞り込んで見つけ出すことができる

「KONTAKTやUVI Workstation / Falcon、またHALionと比較してどう?」という方も多いとは思います。ちょっと玉虫色の回答になってしまうけれど、個人的にはどれもいいし、ハードディスク容量があれば全部持っていても損はないのではないか、と。いずれの音源もいっぱいの音色を持っているだけに、ピアノはSampleTank 4のC7 Grand Cinematic 1が好きだけど、チェロはKONTAKTのSession Strings Pro 2のがいい……などなどありますからね。

強力なシンセサイザー機能を持つエディット画面

少し機能面についても見てみましょう。今のソフトサンプラーは、膨大なライブラリの中から音色を選び、それをそのまま使っていくというのが基本だとは思いますが、やっぱりこれはシンセサイザーなので必要に応じて自由に音色エディット、音作りをしていくことが可能です。

モジュレーションマトリックスで自由自在なモジュレーションの組み合わせが可能

完全に新しくなったサウンドエンジンは、フィルター、エンベロープ、LFOなどが自由に調整できるのはもちろんのこと、16種類のフィルターの選択ができたり、モジュレーションマトリックスによってエンベロープ、LFO、オシレーター…と自由に掛け合わせができたりと、まさに何でもできるシンセサイザーとなっているのです。

AmpliTube、T-Racks譲りのエフェクトが計70種類も用意されている

また、IK Multimediaが誇るAmpliTube、T-RackS譲りのエフェクトが70種類も搭載されているのも見逃せないポイント。ビンテージエフェクトをモデリングしたものなど、使えるエフェクトが、あらかじめプリセット音色に組み込まれているからこそ、即戦力な音源として使えるわけですが、この辺をより自分の好みに調整することも可能。「エフェクトはDAW側で調整すべき」という思いの人も少なくないとは思いますが、音源側でエフェクトまで含めた音作りがしっかりできるのは、使いやすいポイントだと思いますよ。もちろん、これが重くないのも重要なところですね。

16マルチティンバーの音源になっている

またSampleTank 4をDAW内で複数起動させるのもいいのですが、SampleTank 4自体が16パートマルチティンバーの音源であり、16系統の独立したステレオ出力が可能になっているので、1つ起動するだけでほぼ事足りてしまうというのも大切な点。SampleTank 4自身がミキサー機能も備えているので、バランス調整まで含めてできてしまうのです。

アルペジエーターも装備

そのほかにもアルペジエーターでステップシーケンサ的な使い方をしたり、ストラマーでコード、ポジション、方向などをせて地して自然なストロークを作成できたり、フレーザーで、4000以上のMIDIパターンをブラウズして素早くキーに割り当てて、感度やヒューマナイズ量、スウィング量を調整できるなど、とにかくいっぱいの機能を備えています。

Windows版はVST2、VST3、AAX、スタンドアロン、Mac版はそれに加えてAudio Unitsの環境で動作する

なお、SampleTank 4は64bitネイティブでの動作となり、32bitOS環境では使うことができないので、古いWindows 7などを使っている場合は要注意です。プラグイン環境としてはWindowsの場合はVST2、VST3、AAX、Macの場合はVST2、VST3、AAX、Audio Unitsで動作するようになっています。

またスタンドアロンでも動作するので、SampleTank 4を楽器として使用し、ライブなどで演奏するという場合は、わざわざDAW上で使うよりもスタンドアロンで動かしたほうが軽くなっていいですよ。

購入においては前述の通り、パッケージ版、ダウンロード版があるわけですが、いずれの場合も通常版とクロスグレード版があります。クロスグレード版というのはIK Multimediaのソフトやハード(IKオンラインストア価格が€99.99以上の製品)を購入し、ユーザー登録した人が購入できるというものですが、IKユーザーならこれを選ぶのが良さそうです。また、現時点においては、初回限定版というさらに安いものが残っているので、早いもの勝ち。ぜひ、無くならないうちに入手することをお勧めしますよ!

なお、IK Multimediaではサポート関連の情報を集めた、日本語のリンク集を用意しています。SampleTankに限らず、同社製品において何か困ったことが起きたときなどに大いに役立つので、知っておいて損はなさそうです。

【関連情報】
SampleTank 4製品情報(フックアップ)
SampleTank 4製品情報(IK Multimedia)
IK Multimediaサポート情報リンク集

【価格チェック】(ボックス版)
◎Rock oN ⇒ SampleTank 4 MAX クロスグレード 初回限定版
◎宮地楽器 ⇒ SampleTank 4 MAX クロスグレード 初回限定版
◎Amazon ⇒ SampleTank 4 MAX クロスグレード
◎サウンドハウス ⇒ SampleTank 4 クロスグレード 初回限定版
◎Rock oN ⇒ SampleTank 4 クロスグレード 初回限定版
◎宮地楽器 ⇒ SampleTank 4 クロスグレード 初回限定版
◎Amazon ⇒ SampleTank 4 クロスグレード 
◎サウンドハウス ⇒ SampleTank 4 クロスグレード 初回限定版
【価格チェック】(ダウンロード版)
◎beatcloud ⇒ SampleTank 4 MAX クロスグレード
◎IK Online Store ⇒ SampleTank 4 MAX クロスグレード
◎beatcloud ⇒ SampleTank 4 クロスグレード
◎IK Online Store ⇒ SampleTank 4クロスグレード
◎beatcloud ⇒ SampleTank 4 SE
◎IK Online Store ⇒ SampleTank 4 SE

【SampeTank4サポート情報】

SampleTank 4 本体のインストール(Windows)
SampleTank 4 音源ライブラリーのインストール
SampleTank 4 音源ライブラリー・フォルダの設定

音色データがうまく読み込めない場合は…

上記のとおり、今回USBドライブが入ったパッケージ版を使ってWindows 10にインストールしました。そのインストール自体はうまくいったのですが、SampleTank 3のライブラリはすぐに使えたものの、肝心のSampleTank 4ライブラリを読み込もうとするとエラーが出てしまう、というトラブルが起きました。ネット検索をしてみると、海外にこうしたエラーが起きている人が少なくなく、Settings画面のSound Contentで「Rescan Instruments」をクリックすることで解決した人が多くいた一方、私の環境ではうまくいきませんでした。

こんなエラーメッセージが表示されて読み込めない事態に…

が、エラーメッセージを見ると、なんらかのキッカケで正しくないフォルダ構成になっていたようでした。そこで、SampleTank 4フォルダ(正しくはユーザー > パブリック > パブリックのドキュメント > IK Multimedia > SampleTank 4)の中にあるSamplesフォルダを開き、ここに「SampleTank 4」フォルダを作成。そして、このSamplesフォルダにあるフォルダ一式を、新たに作成したSampleTank 4フォルダに移動させた上で、「Rescan Instruments」をクリックしたら、うまく使えるようになりました。私だけの問題だったかもしれませんが、もし同様のトラブルに遭遇した場合は、参考にしてみてください。

 

 

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