小岩井ことりさんがASMRレーベル“kotoneiro”を旗揚げし、2作品をリリース。DTM的にも面白く、実験的なことをやっていきたい!

声優で、作詞作曲家で、超マニアックなDTMerとしても知られる小岩井ことり@koiwai_kotori)さんが、10月20日、ネット上での発表会を行い、自身のレーベル「kotoneiro(コトネイロ)」を立ち上げることを明らかにすると同時に、2つの作品をリリースしました。kotoneiroは小岩井さんがレーベル代表でプロデューサーとしてスタートさせるもので、ASMRを主軸にしたネット配信専門のレーベル。小岩井さん自身が声優として作品に出演するだけでなく、小岩井さんプロデュースの元、さまざまな声優も参加して作品を作り出していくとのこと。

その発表会においては、声優で歌手の愛美@aimi_sound)さんも特別ゲストとして同席。“おしごとねいろ”シリーズなる作品群をリリースしていくことを発表するとともに、その第一弾作品として小岩井さんCVの「家庭教師 奥池未鈴」、第二弾作品として愛美さんCVの「美容師 和澄あかり」が発売されたことが発表されました。小岩井さんによると、今後できる限り毎月作品を出していくとのこと。そして来月リリース予定の作品では藤井ゆきよ@yukiyofujii0508)さんが第三弾をリリースすることも発表されました。マルチな才能を持ち、とにかく多方面に活躍の場を広げている小岩井さん、この新しいレーベルで何を実現しようとしているのか、独占インタビューをしたので、紹介していきましょう。

10月20日のkotoneiroの発表会。小岩井ことりさん(右)と愛美さん(左)

ーー新レーベル、kotoneiro設立おめでとうございます。新しいことへの挑戦が、あまりにも多方面に及んで驚いてばかりですが、ついに、ついにレーベルまで作ってしまったのですね!
小岩井:ありがとうございます。ようやく念願叶って、レーベルを設立することができました。2年ちょっと前からネットラジオ「ことりの音」という番組を放送していますが、この番組の中でもASMR的なことを大事に取り上げてきました。そういうものを、もっと多くの人たちに届けたい、そして、私の周りにいる声優さんたちのすごい実力も、もっと多くの人に知ってもらいたい、そんな両方を実現するためにレーベルを立ち上げられないかな……と2、3年前から思っていました。もちろん、レーベル運営なんて、私一人ではできないのですが、一緒に手伝ってくれる強力なスタッフが揃ったので、このタイミングでkotoneiroを立ち上げました。

新レーベル、kotoneiroについて、インタビューに応えてくれた小岩井さん

ーーkotoneiroはASMRのレーベルとのことですが、実際どんな作品を作っていくのですか?
小岩井:少し語弊はあるかもしれませんが、これまでASMRというとセクシー路線の、18禁のものというイメージが強かったように思います。ASMR作品の制作をする人たちも、いろいろいらっしゃいますが、ASMRを聴かせるために、ちょっと強引にセクシーな、お子様には難しいかな……と思わせるような内容のものが少なくなかったかな、と。でも、ASMRって、本来、セクシー路線だけに特化するものではないと、ずっと考えていました。うまく、この技術を利用することで、本当に癒される作品が作れるはずなんです。だからASMR作品を聴いて、すごくリラックスできる作品を作れたらいいな、家族で聴いて楽しめるようなものが作れたらいいな……と考えていたんです。

小岩井さんがレーベル代表としてプロデュースを行う、kotoneiroのロゴ

ーー確かに、ASMRというと、ちょっと「いかがわしいもの」という印象があります。
小岩井:そうなんです。どうしてもそちらに寄ったイメージがあるので…。だから、ASMRにあまり良いイメージがない方たちがいるのを残念なことだと感じていました。ASMRは、本来は声優さんの実力を大きく発揮できる、すごく面白い技術だと思うのです。そこで、自分の考えを貫き、私が思うASMR作品作りを実現するために、自分がプロデュースするレーベルを立ち上げたのです。

ーー昨年末、DTMステーションCreativeレーベルでも、小岩井さん提案の元、睡眠をテーマにしたASMR手法を用いた音の睡眠導入剤CD「OYASUMIRY」を制作し、すごく新鮮に感じました。それをさらに多方面に展開していくイメージですね。
小岩井:少し方向性に違う面もありますが、ASMRという意味では大きく関連するところです。本日発売した第一弾作品である「家庭教師 奥池未鈴」では私自身、声優として出演していますが、私一人でできることは限られるので、私がプロデュースするという形で、さまざまな声優さん、役者さんにお声がけさせていただいています。その一人目として、愛美さんに快く引き受けていただいたので、「美容師 和澄あかり」を本日同時にリリースさせていただきました。これまでダミヘ(ダミーヘッド)マイクというと、抵抗があった方々もいらっしゃると思いますが、そういう人にも気兼ねなく参加してもらえるようにしていきたいですね。シリーズ化していき、毎月1本の作品をリリースできることを目標に取り組んでいきたいです。

“おしごとねいろ”シリーズの第一弾作品、小岩井さんがCVを務める「家庭教師 奥池未鈴」

https://youtu.be/vLGIxYbiPSs

--“おしごとねいろ”シリーズと銘打っていますが、これはどういうものなのですか?
小岩井:さまざまな職業をテーマにして、その仕事内容をASMRの手法を用いて紹介していくものなんです。たとえば家庭教師では、生徒の視点?聴点?から隣にいる先生を感じられるようストーリー仕立てにしています。その中で、隣にいる先生のささやきや、息遣いを感じられたり、雨の日のシチュエーションを味わえたり、読み聞かせで心地よい眠りを誘うもの……など従来の朗読作品などとは違い、もっと立体的でリアルな体験を得られるものにしています。一方、愛美さんの「美容師 和澄あかり」では、リスナー方がお客さんとして美容院に行ったかのような体験ができる内容にしています。たとえばシャンプー台で、髪を洗ってもらっているシーンでは、ASMRのサウンドでまさに自分がシャンプーされているような、心地いい感覚を味わえるように、やはりストーリー仕立てで演出しているんです。

“おしごとねいろ”シリーズの第二弾作品、愛美さんがCVを務める「美容師 和澄あかり」

https://youtu.be/hm5zH5cotuc

ーー発表内容を見ると、kotoneiroはダウンロード専門のレーベルなんですよね?
小岩井:当面はDLsiteという二次元総合ダウンロードショップを通じての専売の形で展開していく予定です。DLsiteはダウンロードだけでなく、ストリーミングで再生できるので、スマホユーザーの方々にも気軽に楽しんでいただける作品になると思います。そして、イヤホン好きの方々やオーディオ好きの方々にも楽しんでいただける、音、音質にも徹底的にこだわった作品作りをしていくつもりです。

ーー小岩井さんの音質へのこだわり、具体的にどんな作戦なのかちょっとお伺いできますか?
小岩井:私が愛用しているダミヘであるNEUMANNのKU100を中心に据えつつ、ソニーのマイクC-100を連携させたレコーディングをして、24bit/96kHzのハイレゾのASMR作品にしていきたいと思っているんです。まだ、いろいろ試行錯誤は必要なのですが、KU100の上にC100を取り付けて、位相などがいい感じになるように、ミックスしていく手法を確立していきたいなと。また、kotoneiroの立ち上げにはヘッドホン・イヤホンメーカーであるfinalさんにも協力をいただいており、レーベル立ち上げと同じタイミングで、VR3000というASMRに特化したイヤホン新製品も発表されています。これをひとつのリファレンスとして作品作りに取り組んでいきたいとも考えています。

NeumannのバイノーラルマイクKU100の上にソニーのC-100を設置してレコーディング

ーー小岩井さんに伺うのも、ちょっと妙ではありますがVR3000って、どういうイヤホンなんですか?
小岩井:正式にはVR3000 for Gamingという製品名だそうです。final VRシリーズは2chステレオ方式で制作された音源とバイノーラル技術で制作された音源の違いの研究から生まれた新たなシリーズで、バイノーラルサウンドの音源特有の違和感が少なく、自然な音色により、音源そのものに集中できるようになっています。今回のVR3000は、新開発ドライバー「f-Core DU」を搭載することで、より精度の高い再現を可能にしたそうで、kotoneiroの世界に、より没入でき、気持ちよく聴くことができます。その意味で、制作する上で、このVR3000をリファレンスにしており、聴いていただく際にも、VR3000であれば、確実に制作側の意図、思いが伝わると思います。

kotoneroと同日発表になったバイノーラルサウンドに最適化したイヤホン、final VR3000 for Gaming

ーーやっぱり、小岩井さん、かなりマニアックな制作テクニックを考えているわけですね。
小岩井:技術的な実験もしつつですが、kotoneroが軌道に乗ってきたら、ASMRに限らず、コンテンツ的な実験もしていきたいなと思ってるんです。たとえば音のゲームブックとかを作れたら楽しいんじゃないかって。トラック1を再生して、お題が流れて、手を握るならトラック2、握らないならトラック3……なんて物語が分岐していくようなのができたら、面白くないですか!?

ーーJAPAN MENSA会員である天才、小岩井さん、どこまで突き進んで行っちゃうんだろう……と心配になるくらいですが、これからがますます楽しみですね。まずは、今回の2作品をじっくり聴かせていただくとともに、これからの作品を心待ちにしています。ぜひ、今度、プロデューサーとしての制作現場なども取材させてくださいね。ありがとうございました。

※2020.11.04追記
2020.10.27に放送した「DTMステーションPlus!」から、第162回「世界初公開!Rob Papen新製品発表会」のプレトーク部分です。「小岩井ことりさんがASMRレーベル“kotoneiro”を旗揚げし、2作品をリリース。DTM的にも面白く、実験的なことをやっていきたい!」から再生されます。ぜひご覧ください!

【関連情報】
kotoneiroサイト
【ダウンロード購入】
◎DLsite ⇒ 家庭教師 奥池未鈴
◎DLsite ⇒ 美容師 和澄あかり

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