クラウドファンディングに成功した、歌って喋る新キャラクター、小春六花が3月18日に発売。仕掛人のアカサコフさんにインタビュー

昨年クラウドファンディングが行われて大きな話題になった歌って喋る新キャラクター、小春六花(こはるりっか)。声優の青山吉能@Yopipi555)さんがCVを務め、手島nari@_17meisai23)さんがキャラクターデザインを行ったというもの。数年前であればVOCALOIDとVOICEROIDを組み合わせて……というのが定番でしたが、今回の小春六花は歌声はSynthesizer V、喋り声はCeVIO AIトークボイスを使うという組み合わせで3月18日にAHSから一般に発売されることになりました。
状況をご存知の方も少なくないと思いますが、クラウドファンディング開始当初、喋り声はVOICEROIDでのリリースとされていたのが、クラウドファンディング終了後に希望者には返金も受け付けた上でCeVIO AIトークボイスに変更になり、ネット上でも話題になっていました。その後、順調に開発は進み、すでにクラウドファンディングで出資した人には製品の発送が行われ、一般への発売準備も整ったとのこと。この小春六花をプロデュースしたのは、以前VOCALOMAKETSのメンバーとして結月ゆかりや紲星あかりを手掛けてきたTOKYO6 ENTERTAINMENTアカサコフ赤迫竜一@s_akasakov)さん。どのようなキッカケでアカサコフさんが小春六花を作ることになったのか、その際どんな過程を経てきたのか、またVOICEROIDからCeVIO AIトークボイスへの変更がなぜ行われたのか、ストレッチゴールでSynthesizer Vが加わったのはどうしてなのか……などなど、気になる疑問を率直にぶつけてみたので、そのインタビューを紹介してみましょう。

3月18日から小春六花がCeVIO AIトークボイス、Synthesizer Vとして発売開始


ーーアカサコフさんには、VOCALOMAKETSのメンバーとして何度かインタビューさせていただいたこともありましたが、ご存知ない方もいると思うので、改めて自己紹介も含め、小春六花を手掛けることになった経緯などを教えてもらえますか?
アカサコフ:私はもともとソフトウェアのエンジニアとして仕事をしてきた一方で、ボカロPとして音楽を作ったり、「ドキ生」というボカロPを集めたライブイベントなどを主催してきました。そうした中、自分でもVOCALOIDを作ってみたい、会社を作って独立してみようか……と考えたのが10年ほど前になります。当時、同じような思いを持った人が何人かいて、一緒にやらないかと声をかけられ、VOCALOMAKETSのメンバーとしていろいろな活動をしてきました。結月ゆかり、紲星あかりという2つのキャラクターのプロデュースに参加させていただいていたのですが、2年前、私自身に子供が生まれたこともあり、しばらくは子育てに専念しよう……という思いで2020年1月、VOCALOMAKETSから脱退し、しばらくお休みしていました。ところが、ちょうど音声合成界隈が再び盛り上がってきたタイミングでもあり、傍観しているより、やっぱりプレイヤーになりたい……といてもたってもいられなくなってしまいました(笑)。

小春六花を手掛けたTOKYO6 ENTERTAINMENTのアカサコフさん
ーー確かに、ここ1年でAI歌声合成など、急に進化しだしてきて、従来のVOCALOIDブームとはまた違った動きで賑わっていますもんね。実際どんなことをしようと考えたのですか?
アカサコフ:VOCALOIDなどの世界では疑似立体映像のライブが中心に行われています。それはそれで魅力的だと思うのですが、みんなが同じ方向を見ていても界隈が面白くならないと思うんですね。自分は生バンドのライブの主催者でしたし、俳優や声優が舞台に立ってキャラクターを演じる2.5次元コンテンツが好きでしたので、音声合成のキャラクターにおいても声優さん自身がキャラとしてステージに立つ……そんな世界を作ってみたいと思いました。Wake Up, Girls!、アイドルマスターやラブライブなどとも近い世界観です。時にいつも以上の実力を発揮できたり、失敗したところが大きな感動を呼んだり、MCで何も話せなくなったりすることにお客さんが涙するのを間近で見てきましたので、生のライブをどうしてもやりたい、と。AI音声合成、AI歌声合成の技術が出てきて、環境も整ってきたので、すごくいいタイミングに感じました。それを実現するのであれば、歌が上手で、ステージパフォーマンスができる人がいいのでは……と考えていたところ、Wake Up, Girls!の活動がいったん終わるという話を聞き、以前、ステージパフォーマンスが素晴らしかったのを見て気になっていた青山吉能さんにオファーさせていただきました。もちろん、先にできていたイラストに声がハマったというのも大きな理由の一つです。

小春六花のCVは青山吉能さんが担当

ーーでも、どうしてクラウドファンディングで小春六花を作ることになったのですか?
アカサコフ:私自身にはキャラクターを作るお金はあっても、音声合成のソフトを作るほどの大きな資金はありませんでした。そこで、東北ずん子や東北きりたんなどを手掛けたSSSさんの先例もありますのでクラウドファンディングでのチャレンジをAHSさんに提案しました。以前からの付き合いもあり、では一緒にチャレンジしてみましょうとAHS代表の尾形さんにおっしゃっていただき、そこから会社を立ち上げました。会社立ち上げの際には尾形さんにいろいろとアドバイスをいただき、クラウドファンディングの際には尾形さんからSSS合同会社CEOの小田恭央さんを紹介いただき、お二人のご協力をいただきつつ、起業とクラウドファンディングの実施までこぎ着けました。

ーークラウドファンディング自体、大成功でしたよね。そこまではよかったと思いますが、もともとVOICEROIDで小春六花を作るという話が、クラウドファンディングの終了後にCeVIO AIトークボイスに変更することが発表されたのには驚きました。いろいろ事情はあったのだと思いますが、その辺の経緯を改めてお伺いできますか?また、今だから話せる…といったことがあれば、ぜひお聞かせください。
アカサコフ:まず時間的な経緯を振り返ると、2020年6月28日にクラウドファンディングが終了し、その後、8月27日にエーアイさんからからA.I.VOICEの発表がありました。エーアイさんはVOICEROIDのエンジンを開発した会社ではありますが、販売などのビジネス的な観点からするとVOICEROIDの競合となるものだったのです。これは私たちとしても予想外の展開だったのですが、その時点で「今後VOICEROIDとして本当に展開出来るのか?」「出せたとして最新の世代のエンジンで出せるのか」などの不安点が生まれました。その不安はその後、的中することになります。

小春六花のクラウドファンディングは1399人の支援者が集まり、目標の457%を達成して終了した

ーーその辺の経緯については、以前、AHSの尾形さんに「AI歌声合成に対応したSynthesizer V AIがいよいよリリース。既存ユーザーは無料アップグレード可能。併せてAHSが各種新情報を一挙公開」という記事の中で伺ったことがありました。
アカサコフ:AHSさんからは今後の音声合成ソフトの展開をどうするかについての判断については迷われているという話を伺いました。私としてはせっかく数多くの方々に小春六花を応援いただきましたので、小春六花として何も出せないということは絶対に回避しなければいけません。そして、小春六花を確実に世の中にリリースし、出資者のみなさんにしっかりとリターンしたい。それから、この技術進化が激しい中において、この新しいキャラクターがすぐに旧世代のものに陥ってしまうことがないようにするにはどうしたらいいか悩み、AHSさんと相談をしていました。

ーー確かに、せっかくキャラクタを生み出しても、すぐに時代遅れのソフトになってしまっては悲しいし、クラウドファンディングで出資した人たちにとっても嬉しいことではないですね。
アカサコフ:そんな不安を抱えている時に、AHSさんより、Synthesizer V AIが想定していたよりも早く完成し、かなりのクオリティを出せそうなので制作してみないか?というご提案をいただきました。また、タイミングよくCeVIO AIトークボイスというものもリリースされるという情報があり、「Synthesizer V AIとCeVIO AIトークボイスを用いたAI機能で歌とトークの両方で展開してみないか?」というアイディアをいただいたのです。新しい技術に関しての熱量のある提案もあり、それに魅力を感じましたし、その提案には弊社の不安点を解消できるメリットもありました。

AHSからの提案を受けてCeVIO AIトークボイスを採用する形にしたと語るアカサコフさん

ーークラウドファンディング終了後に、前提が変わったということもあり、ネット上でも話題になっていましたよね。
アカサコフ:VOICEROIDということでご期待、ご支援をいただいたみなさまには当初のお約束と違うターゲットになってしまったことに対し、改めてお詫び申し上げます。クラウドファンディング後にいろいろな動きが起こってしまい、かといって途中で未確定な情報を出すと余計に混乱を招くことになるだろうと、ある程度状況が確定してからの発表となりました。また、当時は発売を控えるだけになっていたVOICEROIDライブラリ・キャラクターがいましたので、そのキャラクターにご迷惑をかけたくない思いもあり、VOICEROIDに対してネガティブに取られる発言はできませんでした。その時お話できることのすべてを嘘なく正直ベースで発表しようということになったのですが、どうしても解りにくい部分もあったかと思います。また、最初にVOICEROIDリターンがあるコースのみを全額返金にしていた点など、私達のミスもあり、ご迷惑、ご心配をおかけしてしまいました(※後日、VOICEROIDリターンの無いコースも含め、全コース返金になりました)。

ーー結果的にCeVIO AIトークボイスを選んだわけですが、A.I.VOICEで出すという選択肢は無かったのですか?
アカサコフ:弊社はそもそもの起業のきっかけが、AHSさんに後押ししていただいたことにあります。AHSさんと個人的に長い付き合いをさせていただいたことで信頼をいただき、AHSさんが小春六花を出すことにGOサインを出してくださったこと、また、諸々のご協力をいただけることになったからこそ、起業でき、その後の運営もできています。小春六花の権利元は弊社ですが、AHSさんとの共同事業だと思っています。そうした経緯から、A.I.VOICEがAHSさんでは難しいとなった時点でその選択肢はありません。

ーークラウドファンディングを一度ゼロにする選択肢は無かったのでしょうか?
アカサコフ:クラウドファンディングは各社手数料が違いますが、一般的には20%の手数料を各社とる形となっています。今回、小春六花のクラウドファンディングを行ったGreenFundingさんの料率や金額は、守秘義務の点で、私からは明言できませんが、弊社に入った時点でそれなりの金額の手数料が抜かれた金額が入っています。ゼロリセットするとなると、その手数料を補填することが必要になりますが、正直なところ、それだけの経営資源がありません。ほかにもすでに制作費もいろいろかかっていましたので、やはりゼロにする選択肢は事実上ありませんでした。

ーー今回の処置について納得いかない方に対して、返金対応をされていましたが、その点に関する規約的な問題はなかったのですか?
アカサコフ:その点については私も心配だったので、GreenFundingさんに規約に問題が無いかを確認した上で、返金という対応をとさせていただきました。

ーーそうしたことについて、もう少し早くアナウンスされていてもよかったのでは…とも思いますが、なぜ今なら話すことができるようになったのですか?
アカサコフ:先ほども触れた通り、既にリリースが決まっていたVOICEROID(=音街ウナ)がリリースされたことが大きいです。VOICEROIDを否定したと受け取られる方もいらっしゃるかと思いますので。また、当然ですはありますが、もっと詳しく説明をして欲しいという声もたくさんいただいており、どこかでお話がもう少し詳しくお話させていただければと考えていました。今回その機会をいただいてありがたく思います。

ーーなるほど、よくわかりました。その喋る小春六花に加え、クラウドファンディングのストレッチゴールとして最後のタイミングで歌う小春六花が登場することになり、Synthesizer Vで作ることになりましたよね。このSynthesizer Vを選んだ経緯についても少しお話いただけますか?
アカサコフ:これは、1年半前に藤本さんに開発者であるKanru Huaさんを紹介いただいたのがキッカケで、その時からこれで作ってみたいという思いがありました。非常に使いやすいUIだし、歌声も滑らかで、面白いと感じていたからです。AHSさんがSynthesizer Vを扱うことになったキッカケも、あの紹介いただいた飲み会でしたね。

ーーそうでした。もうずいぶん昔のような気もしますが1年半前ですね。あの飲み会がひとつのキッカケで新しいキャラクタが誕生と思うと、ちょっと光栄ですね。ところでちょっと話題は変わりますが、CVを務められた青山吉能さん、VOCALOIDに関しても結構詳しいらしい…という話をちょっと聞いたことがありましたが……。
アカサコフ:そうなんです。青山さんは中学生時代、かなりどっぷりとボカロの聞き専として過ごしてきた方で、ボカロの週間ランキングをノートに書き写し、次週のランキングを予想するようなハマりっぷりだったそうです。昨年は「たかぴぃ」さんのラジオ番組(InterFMの「たかぴぃのクリエイターズ ミッドナイト V4」)内でもコーナーとして、毎週1人のボカロPを掘り下げてトークをするというコーナーを持っていました。初音ミク発売から13~14年経ち、そうした世代の人たちが音声合成の中の人になる時代になったというのは、感慨深いと感じています。

さて、このインタビューを終えた後、3月12日の夜、計13人の著名作家さん、著名ボカロPさんたちから一斉に、小春六花のSynthesizer Vを用いたデモ曲が公開され、大きな話題になっています。具体的にはKanaria(@Kanaria390)さん、篠崎あやと(@mnk_jenkinsC)さん、アゴアニキ(@agoaniki)さん、ハヤシケイ(@homing_echo)さん、未来古代楽団(@sunamori)さん、buzzG(@buzz_g)さん、40mP(@40mP)さん、ライブP(@mrlive2)さん、デッドボールP(@deadballp)さん、タカオカミズキ(@takaokamizuki)さん、梨本うい(@nashimotowe)さん、ちょむ(@chom)さん、たかぴぃ(@niconico_takap)さん(順不同)という、そうそうたるメンバー。

以下にその13曲を紹介しておきますので、ぜひご覧になってみてください。小春六花の実力が存分に発揮された曲ばかりなので、その面白さ、すごさが分かると思います。

【関連情報】
小春六花製品情報
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2件のコメント
  • えこ

    チェビオより使いやすいが慣れたボイスロイドの方が使いやすい、ほぼコンプリートしたボイスロイドででた方が本来良いのですけどね
    チェックアウトのトーク、ソングライブラリが引き継げれば良かったのですがそれも無し
    クラウドファンディングで届いたがもう使う予定無し

    2021年3月15日 8:49 AM
  • りりり

    現時点でAIの台頭が目覚ましいので、この当時としては結構いい判断されたっぽくて嬉しいです。最近小春六花使おうと思ってたら記事見かけました。シンセV出来が大変よかったです、ありがとうございます。

    2021年9月14日 1:21 PM

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