先日リリースされたKORGのiMS-20や、PropellerheadのReBirth(RolandのTR-808/909やTB-303という意味で)、昔懐かしい機材がiPad上で出会えるようになっていますが、また新たなデバイスがTASCAM(ティアック)から登場しました。そう、昔お世話になっていた人もすごく多いと思われるTASCAMの4トラックのカセットMTR、PortaStudioです。
見た目もまさにPortaStudioというか、そのコンパクト版であるPortaOneソックリな感じです。私自身も、25年ほど前でしょうか、PortaOneはずいぶんと使いましたが、とっても懐かしい感じです。
とはいえ、実はそのPortaOne、今でも手元にあるんです。その昔、PortaOneを使ってライブをしているとき、上からコーラをこぼして、途中で動かなくなったことを思い出してしまいましたが、その後修理した結果、25年壊れておらず、ちゃんと電源も入り動きますから、立派なもんですよね。
さて、今回登場したiPadアプリであるTASCAM PORTASTUDIO iPad、とってもシンプルなMTRでiPad内蔵のマイクまたは接続した外部マイクからモノラルで4つあるうちの1つのトラックを選んで録音するというもの。録音ボタンとスタートボタンを押すと録音が開始され、カセットテープが回転し出し、その上のカウンターも動いていきます。
1つのトラックのレコーディングが終了したら、一旦巻き戻します。この際、いま録音した音が逆回転にキュルルルとちゃんと鳴ってくれるのも面白いところです。先頭にまで戻ったら、次に録音する別トラックを選択して録音を開始すると、先ほど録った音が鳴りながら、重ね録りができるというわけです。こうして最大4トラックまで重ねていくことができます。
この録音するとき、再生するときに、アナログのメーターが振れるところは、なんともいい感じですね。また再生する際には、HIとLOWのEQで音質をいじれるほか、PANで左右のコントロールが可能になっています。このようにして4トラックを作り上げたら、トラック間のレベル調整をして、ミックスダウンしてWAVファイルとして保存することも可能になっています。
ところで、当時のPortaStudioやPortaOneでは、ピンポンという機能がありました。そう4トラックで終わってしまっては物足りないので、トラック1~3を再生しながら、その音をトラック4に入れるといった機能がありました。最近でいうところのバウンスというヤツですね。残念ながら、今回リリースされたPORTASTUDIOに、ピンポン機能はありませんでした。これは次のバージョンアップでの機能強化に期待したいところです。
また、私が使っていたPortaOneではステレオの録音、つまり2トラック同時録音も可能になっていましたが、それもサポートされていません。これはデザイン上も変更する必要があるし、バージョンアップでの対応は難しいでしょうか……。
まあ、DAW全盛の時代、4トラックしか使えないわけですから、貧弱と捉えるか、それとも牧歌的なシンプルアイテムと捉えるかは、人それぞれだと思います。個人的には制約がいっぱいあったほうが、アイディアも浮かんでいいのではと思うのですが、いかがでしょうか?
【追記】
Camera Connection Kitを利用したUSBオーディオの対応についてもチェックしてみました。基本的には使うことができ、再生においてはステレオで利用可能です。一方、録音はPORTASTUDIO自体がそもそもモノラルにしか対応していないため、ステレオで入力してもモノラルとなります。これはLchのみとかRchのみを録音というわけではなく、LとRをミックスしたものが録音されるようです。