作曲できてボカロみたいに歌もうたえる「ほぼ全自動作曲支太郎」

1ヶ月ほど前に、ネット上で「ほぼ全自動作曲支太郎」(3,990円)という変な名前のソフトを見かけ、何だろう?と、なんとなく気になっていました。そんな中、先日、このソフトの発売元であるパソコンソフトメーカー、株式会社デネットの広報担当の方から連絡をいただき、サンプルをいただいてしまったので、使ってみました。

まさに名前の通り、自動で作曲してくれるソフトで、ボタンを押せば、次々とメロディーを作り出してくれるのが最大の特徴。また、歌声合成機能も搭載されているため、歌詞を入力すれば、VOCALOIDのように歌わせることもできるのも大きなポイントとなっています。

3,990円のユニークなソフト、「ほぼ全自動作曲支援太郎」



さっそくインストールして、起動してみると、あれ?どこかで見たことがあるソフトだな、と思ったのが最初の印象。そう先日「実践DTM入門」というフリーソフトのムックを作った際に、試しに使った「作曲ホイホイ」というソフトとソックリだったんですよね。調べてみると、作曲ホイホイの上位版、Music Factoryの改良版という位置づけのようでした(IT Mediaの松尾公也さんのブログ「CloseBox and OpenPod」の情報)。

フリーウェアの「作曲ホイホイ」と画面も機能もソックリ
いかにも、昔のWindowsのソフトという感じの、ちょっと冴えないデザインの画面ではあるのですが、機能的にはなかなかユニークです。手順としては、
  1.コード進行を入力する
  2.「作曲する」ボタンで作曲する

という、たったそれだけ。これでメロディーと伴奏が自動的にできてしまうのです。もしメロディーが気に入らなければ、再度ボタンを押しなおせば、別のメロディーを自動生成してくれるのです。


「作曲する」ボタンをクリックすればメロディーが作成される

もっとも、音楽についてまったく知識がないという人の場合、そもそもコードをどうやって入力するのか、という点でお手上げになってしまいそうですが、サンプルデータもいろいろ用意されているので、まずはこれを読み込んで使ってみるというのもひとつの手。また「自動コード」という機能もあるので、これで適当にコードを変更して使うということもできるようです。

歌詞を流し込んだり、メロディーエディットができるピアノロール
さらに面白いのは、このソフトを使って歌をうたわせることもできます。これは、ボーカルパート専用のピアノロールエディタがあるので、ここに歌詞を流し込んでいくのです。もちろんピアノロールエディタですから、単に歌詞を入力するだけでなく、メロディーラインをエディットすることも可能です。

また、すでにメロディーは固まっていて、ほぼ全自動作曲支太郎に伴奏だけを作らせたい、というのであれば、このエディタでゼロからメロディーを打ち込んでいくことも可能になっています。

その後、「WAVE作成」ボタンで歌声合成をさせると歌声の入った曲が完成となります。とりあえず、この一連の動作で曲を作ったところをビデオにしてみましたので、ご覧ください。

※歌声合成エンジンに関する追記
記事を公開後、Twitterなどを通じて、歌声合成エンジンに関する問い合わせを多数いただいたので、株式会社デネットに確認してみました。その結果、この歌声合成エンジンはオリジナルとのことで、開発者が歌声機能を作るために、知り合いの女性に協力してもらい、声のサンプルを集めたそうです。そのサンプルを元に、子音と母音の接続やエンベローブなどの基本的なプログラムを作成。音色パラメータは、ネット上で収集した声、市販ソフトから収集した声を解析して、調整を行って使っているとのことです。

これを見てもわかるとおり、基本的にはMIDIで作曲するソフトとなっています。ただし、MIDIの設定画面もオーディオの設定画面もまったく存在せず、Windows標準のソフト音源、オーディオ出力を使うだけなんですよね。DTMに無縁の人が使うのであれば、すぐに使えて便利ではあるけれど、多少なりとも知っている人だと、あれ?と思う仕様ではありました。とはいえ、MIDIファイルとして書き出すことはできるので、DAWへ受け渡して使うということはできるようです。

またコードの入力において、思ったのはメジャーコードとマイナーコードが存在するだけで、7thや6th、SUS4などのコードもまったく存在していないんですよね…。仕方ないので、7thもメジャーコードとして入力してみると、作曲結果によっては譜面上には7th表示になるなど、ちょっと不思議な構造になっていました。またもし、必要であれば自分でコードを設定して使うこともできるようにはなっています。


リズムやベースなどのパターン変更は可能
一方、これで生成される伴奏のほうは、設定によってパターンを変更できるようになっています。リズム、ベース、ドラム、アルペジオとそれぞれ自由にパターンを選択できるので、適当に試してみるのもいいかもしれません。

機能的にはいろいろと搭載されていますが、あまり使い勝手のいいソフトとはいえません。たとえば、歌詞を流し込んでも、WAVE作成しないと歌声を聴くことができなかったり、ピアノロールの操作が2小節ごとしかできないなど、わかり難い点もいろいろ。また、VOCALOID Editorと文字の入力ルールがかなり違うところも戸惑うところではあります。イントロやエンディングなども作ってくれないので、突然始まり、突然終わるという唐突感があり、Music Maker MXなどの自動作曲機能と比較すると見劣りする点も多々あります。

とはいえ、たった3,990円のソフトではあるし、ここにVOCALOIDとはまた別の歌声合成エンジンまで搭載されているわけですから、部品的に機能を利用するソフトとして割り切って考えると、なかなか面白いソフトといえるのではないでしょうか?

Commentsこの記事についたコメント

3件のコメント
  • TM STUDIO

    藤本さん、こんにちは
    こちらの会社の「ほぼ全自動 耳コピ支太郎」というのも
    レビューしていただけないでしょうか?
    この値段で使い物になるなら買ってしまいます…

    2013年2月9日 12:16 AM
  • 藤本健

    TM STUDIOさん
    こんにちは。お返事が遅くなって失礼しました。
    知りませんでした。ちょっとメーカーに問い合わせてみます!

    2013年2月12日 12:45 PM
  • TM STUDIO

    是非よろしくお願いします!

    2013年2月16日 12:10 PM

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