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ライブレコーディングの新しい潮流、32chをDTMシステムで録る

ライブ会場でのレコーディングってどんな機材、どんなシステムを使っているのでしょうか?実は、それが最近結構難しいことになっているそうなのです。とくに大きい会場はPAにデジタルコンソールを入れてあるケースが多く、各チャンネルをパラ出しすることができなくなっているため、単にMTRを持ち込むだけではうまく録れないそうなのです。もちろんレコーディング用のコンソールを持ち込んで、PA卓とは別に操作すればいいのですが、予算だけでなく手間も大きく掛かります。

そんな中、先日、渋谷 duo MUSIC EXCHAGEで行われた大石昌良さんのライブでは、Pro Tools 9を入れたiMacとRolandのSTUDIO-CAPTUREの組み合わせだけで32chのレコーディングが行われたとのこと。それってDTMユーザーでも実現できそうな組み合わせですが、実際どんなシステムだったのかちょっと気になるところです。そのレコーディングを行ったシンク シンク インテグラルの岸田充善さんにお話を伺ってみたので、紹介してみたいと思います。


4月18日に行われた大石昌義さんのライブレコーディングのシステムについて話を聞いてみた
撮影:
土橋 健 


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--大石さんのライブレコーディングをDTM的なシステムで行ったという話を聞いたのですが、そもそもSTUDO-CAPTUREでレコーディングをすることになったキッカケを教えてもらえますか?

岸田:もともとSound&Recording Magazineの使用レポートということで、RolandからSTUDIO-CAPTUREを借りて大石のレコーディングに使ったのがキッカケなんですよ。そうした中、duo MUSIC EXCHAGEでのライブレコーディングという話が来たのです。通常ならモバイル録音車またはスタジオ機材を仮設置で組み上げます。しかし、いろいろな制約がある中でライブ録音する場合、PAエンジニアとの相談のもと、PAコンソールのDirect OutからHA後の信号をいただき、ALESISのHD24あたりを2台持ち込んで48chで録るんですが、、最近それができなくなってきていて、duo MUSIC EXGHAGEもできなくなっていたんです。


大石さんのライブのレコーディングを行ったシンク シンク インテグラルの岸田充善さん 

 

--最近できないというのは、どういう意味なんですか?

岸田:いま大きい会場は、みんなデジタル卓が入っていて、duo MUSIC EXCHAGEもMACKIEのデジタルコンソールです。こうしたコンソール、INPUTは数多くあるけれど、アナログのOUTPUTは8つしかないんです。やはりライブは一発勝負ですから、できるだけ全チャンネルをパラで独立して録音しておきたいところ。8chでは厳しいですからね…。そのため、スプリッターを使って、PA用のコンソールに行く前に分岐させて、信号を取り出し、それを録っていくという形になります。ただ、HD24にはマイクプリがないので、ラインレベルでしか録ることができなく、これを使うには大掛かりになってしまうため、どうしようかと思っていたのです。


渋谷のライブ会場に持ち込まれた2台のSTUDIO-CAPTURE

 

--なるほど、そこでSTUDIO-CAPTUREが登場するわけですね。

岸田:はい、ちょうど直前に触っていたので、もしかして……と思ったのです。STUDIO-CAPTUREなら2台リンクできて32chまで行け、マイクプリも12基ずつ搭載されているため、計24chまで使うことができます。ちょっと偶然ではあったけれど、この会場でも32chだったため、ピッタリだなぁ、と。ただ、ライブにコンピュータを持ち込むというのには不安があったのは事実です。現場に持ち込んで起動しなかったり、何か不具合が出たりしたら大変ですからね……、正直なところ実績がないだけに、不安だったんですよ。ただ、そうはいってもほかに手段はないし、今回のシステムはiMacに2台のSTUDIO-CAPTUREを繋ぐだけで、かなりシンプル。このシステムの可能性に賭けてみました( 笑 )。


iMacにPro Tools 9を入れたマシン+STUIDO CAPTURE×2が、ステージ脇に設置された

--DAWには何を使ったのですか?
岸田:サンレコでの使用レポートではProTools 10を使っていたのですが、このライブレコーディングではProTools 9です。32chをそのまま24bit/48kHzでレコーディングしていきました。2時間半、ライブの最中、ずっと回しっぱなしです。

 

--32chの同時レコーディングって、HDDにとっても転送速度の面で、ちょっと過酷のような気もしますが、大丈夫なのですか?

岸田:メーカーからは内蔵のSSDが推奨だとは言われていましたが、HDDで問題ありませんでしたよ。ちなみに使ったのは外付けのHDDでFireWire 800での接続というものでした。大石の通常のセッションデータって、コーラスをいっぱい重ねるので、50chを超えることがよくあります。だから32chなら大丈夫だろうと考えていました。とはいえ、セッティング位置がステージ脇だったので、スピーカーの位置も近く、振動もちょっと心配でした。でも、本番はトラブルもまったくなく、うまくレコーディングすることができました。


Pro Tools 9に32chがそのまま2時間半連続でレコーディングされていった

 

--ALESIS HD24のような単体のレコーダーを使うのと比べて、いかがでしたか?

岸田:便利でよかったですよ。とくに重宝したのが、STUDIO-CAPTUREに搭載されている、AUTO-SENS機能です。これは入力レベルの調整をするのに、すごく楽で助かりました。チャンネル数が多いと、一つ一つのレベルを調整するのにかなり時間がかかりますが、これなら、すぐですからね。ライブは、やり直しは効かないから、安全策としてリハ時の最大音量が各チャンネルとも-12dBに設定する形でAUTO-SENSを使って自動設定。その後、ドラムなどを微調整してバランスをとれば終了ですから、本当に効率的でいいですね。ちなみに、その微調整も本体のつまみを使うのではなく、画面上のコントロールパネルで操作しています。そのほうが、全体を見渡すことができ、調整しやすかったからです。


スタジオに置かれていたSTUDIO-CAPTURE。本番ではAUTO-SENSが活用された

 

--なるほど、確かにチャンネル数が多いとAUTO-SENSは便利そうですね。

岸田:スタジオでのレコーディングと異なり、ライブのレコーディングは時間的な制約もあるので、役立ちますよ。本来ならもう少し音量を上げて録ってもいいのですが、初めての機材ということもあって、-12dBの設定にしました。とはいえ、24bitで録音していますから、ミックス時に音量を上げればいいだけで、まったく問題はないですね。


実際に音を出しながら、お話してくれた岸田さん

 

--先ほどの話で、ステージからマイク信号を直接受けたということでしたが、STUDIO-CAPTUREの内蔵のVS PREAMPはいかがでしたか?
岸田:このヘッドアンプ、とってもよかったですよ。ステージ側から来る32chのうち、半分くらいがマイク、残りがラインだったので、数的にもちょうどよく、本当に使える、という印象です。

 

--全体的な音質としてはどうでしょうか?

岸田:まだ、本当にラフなミックスですが、これを聴いてもらうとわかるように、すごく臨場感のあるサウンドで、またとても太い音で録れているんですよ。普段は192I/Oを使っているのですが、それと比較しても元気があるサウンドでいいんですよ。ある意味、楽器っぽくなるというか……。


本番においても操作は画面上のSTUDIO-CAPTUREコントロールパネルを用いて行われた

 

--楽器っぽいというのは?

岸田:192I/Oって、よくも悪くも素なんですよね。だからこそ分かりやすいということはあるんだけど、素直で何もない。それに対しSTUDIO-CAPTUREで録ると、楽器っぽさがより表に出て、楽しい音になるんですよ。内蔵のコンプを入れてみたところ、音に暖かみが出るのもよかったです。


ライブ当日のシステム構成図 

 

--各チャンネルの入力段にそれぞれ独立してコンプがありますが、これを活用したというわけですね。
岸田:そう、元気のいい音、躍動感があるというか……。アナログシミュレータを挟んでいるような感じですかね。雰囲気的にはVSっぽい音ですね。以前、RolandのHDレコーダーVS-1680を使ったことがありましたが、ちょうどそんな感じです。

 

--コンプの設定はどうされたのですか?

岸田:全チャンネルをオンにしたけど、スレッショルドを引っかけない、つまり何もかからない形にしています( 笑 )。でもこれによっていい音になるんですよね。ただ、これを使うかどうかはシチュエーションにもよるかもしれませんね。何のキャラクタも入れないのであれば、オフにしたほうがいいでしょうし、今回のようなロックのサウンドで、アナログのテープを回したような雰囲気を出すのなら、オンにすると元気が出るという印象です。なお、二階席とPAスピーカーの脇に立てた4本のオーディエンスマイクだけはローカットを入れています。それ以外は何も使っていません。


ボーカルにコンプをかけて、少しリバーブを加えたというだけという音を再生してもらったが、
非常に臨場感のあるサウンドだった 

 

--USBのオーディオインターフェイス、大丈夫そうですね。
岸田:今回、現場でも大石に関わっているエンジニアが2、3人覗きに来ていたんですよ。こんなシステムでできるのか、とみんな興味を持っていてね……。やはりスタジオ業界、Mac信仰が強いこともあって、FireWireなら安心、という思いがあるんです。みんな003とか現場で使っていましたからね。だから、私も含め、みんなUSBで大丈夫なのかとUSBに対する不安感は持っていました。とはいえ、MacからもFireWireが無くなってきているので、みんな興味はすごく持っているんですよ。また、今回試した限り非常によかったので、ぜひ今後も使っていきたいですね。

 

--ありがとうございました。

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【製品情報】 
STUDIO-CAPTURE製品情報

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