MIDIトラックもオーディオトラックも扱うことができ、レコーディングからエディット、ミックスまで可能。外部のMIDIキーボードで演奏してブラウザ上のソフトシンセを鳴らしてリアルタイムレコーディングもできるし、ギターを接続してのオーディオレコーディングやボーカルのレコーディングも可能。しかも、ブラウザ上の各種エフェクトを通してリアルタイムにモニターすることだってできてしまうのです。実際、どんなものなのか使ってみたので紹介してみましょう。
これまでもWeb Audio APIやWeb MIDI APIを使ったソフトシンセやシーケンサなどを紹介したことがありましたが、今回紹介するSoundtrapはさらにもう一歩踏み込んだシステムで、オーディオトラックも自由自在に使えるものとなっているのです。ただし、その仕組み上、利用可能なブラウザが限定されます。
具体的にはChromeかFirefoxかOperaということになります。またプラットフォーム的にはWindows、Mac、LinuxさらにはAndroid上のChromeからもアクセス可能になっているようですね。IEやSafariでは動かないので、まずはChromeをインストールすることをお勧めしますよ。
このSoundtrapを利用するためには、まずSoundtrapへアクセスし、ユーザー登録が必要となります。メールアドレスを使って登録するかGoogle+またはFacebookと関連づけて登録することも可能になっています。
この画面でトラックを作成し、曲を入力していく
ユーザー登録が完了し、ログインすると、「Enter the Studio」ボタンを押して、スタジオの中に入ります。これが一般のDAWでいう新規プロジェクトを開いたときのまっさらな画面です。
という5つのメニューが登場します。これらを選ぶことで、どんなトラックを作るかが決まるというわけです。簡単に説明するとUse compture micはPC内蔵マイクを使ってレコーディングするオーディオトラック、Soundtrap instrumentsはソフトシンセまたはドラム、Importは手持ちのMP3ファイルをそのトラックにアップロードするというもの、Connect instruemnt or external micはギターやベース、ボーカル用マイクなどを接続してレコーディングするもので、エフェクトも同時にインサートするというもの、さらにMidi deviceは先ほどのSoundtrap instrumentsと同じ音源だけど、外部MIDIキーボードなどからコントロールする、というものになっています。
こうしたトラックを作成しては、オーディオやMIDIでレコーディングしていけばいいのです。オーディオの場合、ちゃんと入力レベル調整などの仕組みも用意されており、適正な音量レベルでのレコーディングが簡単にできるようになっています。またチューナーも用意されているから、これでギターやベースをチューニングできるので、結構便利ですよ。
ここで、まず見てみたいのが、ソフトシンセです。ずいぶんシンプルなデザインですが、画面上のキーボードを弾くと音を鳴らすことができます。またプリセットで各種音色を呼び出すことができ、パラメータをいじると、ある程度音色を変えることも可能です。
そう、これは2オシレータ、1VCF、1VCA、2LFOという構成のシンセサイザであり、結構しっかりとした音作りも可能です。さらに、外部からのMIDIポートを設定すれば、MIDIキーボードからリアルタイムでの演奏、さらにはそれをレコーディングしていくことも可能なのです。
ピアノロールによるMIDIのエディット画面も用意されており、クォンタイズなどの処理もできる
そのレコーディング結果をより細かくチェックしていくことができるよう、MIDIのエディット画面も用意されており、ここでミスタッチを修正したり、クォンタイズなどの処理も可能。もちろん、ゼロから音楽を作っていくこともできそうですね。
一方、Connect instruemnt or external micを使うことによって、オーディオトラックを作成した上でギターやベース、ボーカルなどをレコーディングしていくことが可能になります。
ボーカルトラックを設定するとリバーブがパラメータとして用意されるほかトーン調整などもできる
この際、エフェクトが利用できるというのが大きな特徴で、たとえばボーカルの場合なら、リバーブが組み込まれていて、リバーブのかかった音をモニターしながらレコーディングが可能です。
ギターのトラックならアンプシミュレータに、各種エフェクトも設定される
また、ギターの場合、アンプシミュレータにフランジャー、ディストーション……といったエフェクトを加えてのレコーディングもできます。これらエフェクトは、一般的なDAWと同様にリアルタイムにかけているため、トラックにレコーディングされるのは生音であり、再生時にパラメータを変えれば音色も変わるようになっています。
そう、Soundtrapは無料で使えるFREE会員と、PRO会員、PREMIUM会員があり、それぞれサービス内容に違いがあるのです。主な違いとしては以下のようになっています。
FREE | PRO | PREMIUM | |
プロジェクト数 | 5 | 50 | 無制限 |
ソングの最大時間 | 2分 | 無制限 | 無制限 |
PROエフェクト | × | ○ | ○ |
著作権管理 | × | ○ | ○ |
プロジェクトからの シングルトラック書き出し |
× | ○ | ○ |
月額利用料 | 無料 | $5.99 | $14.99 |
ちなみにFREE会員であっても、PROエフェクトの試用は可能。これを使うと30秒に1度くらい、サーというのノイズが出るようになっているので、どんなものかは十分に分かります。
実際にWindowsおよびMacのChromeで使ってみたところ、Macにおいては非常に快適に使えた一方、Windowsにおいては一つ大きな問題がありました。そう、レイテンシーです。開発するPlaywerk ABもその点については十分に認識しているようで、Windowsにおいてはレイテンシーが大きくてリアルタイムモニターは使い物にならないという判断から、Windowsで使う際にはオーディオのモニタリングはオフになっているんですよね。