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曲のアイディアに困ったら、BEATSTEPの偶発的なパターンを活用する

DTMステーションにも何度か登場いただいているマリモレコーズの社長、江夏正晃さん。作曲家として、プロデューサーとして、レコーディングエンジニア、マスタリングエンジニア……と幅広く活躍されている江夏さんですが、先日お話をした際、最近のライブでの必須アイテムになっているのがArturiaBEATSTEPだと聞き、かなり面白い活用法をしているようなのです。

 

BEATSTEPは以前にも「USBもMIDIもCV/GATEも使える16ステップシーケンサ、BEATSTEP」という記事で取り上げたことがありましたが、単なるUSB-MIDIコントローラではなく、これ自身にコンピュータ機能を搭載したステップシーケンサ。ちょうど、先日BEATSTEPの上位版、BEATSTEP PROが発表されたばかりですが、江夏さんがBEATSTEPをどう利用しているのか、いろいろと伺ってみました(以下、敬称略)。


マリモレコーズの江夏正晃さんに、BEATSTEPの活用法を伺ってみた


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--江夏さんがをステップシーケンサを使うようになったのはいつごろなんですか?

江夏:もともとはサンプラーやハードシンセ、音源モジュールなんかを使ってシーケンサで音楽制作をしていましたが、PCの発展やDAWの登場で、数年前の制作環境はすっかりプラグイン派になっていました。みなさんもそうだと思うんですよね。ですから、ハードのステップシーケンサなんて、そのころはほとんど興味ありませんでした。でも2011年に「DAW自宅マスタリング 音圧&音質アップのための実践テクニック徹底解説」という本を出した後くらいから、DAWの限界というわけじゃないけれど、PCだけで完結する方法以外のことを模索しだしたんです。ミックスバッファとか、アウトボードだとか……、そんな中アナログシンセの良さを再発見しました。トラックを増やして音楽の厚みを増すのではなく、ひとつの音をどこまで追求できるかがとても面白くなったんです。


Arturiaのステップシーケンサ、BEATSTEP 

 

--普段はプラグインのシンセを使っていたから、当時はハードのシンセってあんまり使っていなかったんですね?
江夏:はい。これをMIDIでCubaseに接続して、鳴らしてみたら、なんかいい感じだったんです。最初は大したことないな……と思ったものの、ラインアンプを噛ましたり、音色と向き合って作っていくと、音を重ねるよりも表現力があるように感じられたのです。1つの音を、どうやってよく聴かせるか……と真剣に細かくエディットしていく。アナログだから、エディットしたら、そう簡単にもとにには戻れないですよね。これがだんだんと面白くなっていったんです。もともとDJもやっているので、ちょっとしたシーケンスフレーズって16ステップくらいがちょうどいいな、とも思うようになってきていました。

 

--まだBEATSTEPは登場していませんでしたよね?

江夏:それで、DOEPFER(ドイプファー)のシーケンサを買ってみたんですよ。Dark Timeとシーケンサでしたが、これが多機能で便利。シャッフルがついているのでリズムを跳ねさせることができるし、音符をスキップさせるということも簡単で、ライブでも使うようになっていました。ただ、複雑なことができる反面、トグルスイッチのパラメータがたくさん並んでいて、操作ミスが怖いところでもありました。「ライブ中にこのスイッチを動かすと、絶対ダメ」というのもあったので、スイッチにキャップをつけて目立たせるなど、ドキドキしながら使っていたんです。そんな中、たまたまBEATSTEPと出会ったんです。


暗いライブステージなどでの利用でも視認性が高いのがポイント

 

--BEATSTEPはそこからだったんですね。だいぶ雰囲気の違う機材だと思いますが……。

江夏:試しに使ってみたところ、すごくよかったんですよ。パッドは大きいので間違えることはないし、とくに自照式だから暗いライブ会場でも、どこのステップを走っていて、どこがオンなのかがハッキリわかるのがいいですね。ツマミも分かれているので、操作しやすい。ファームウェアもバージョンアップされていくので、使いやすさも増し、今ではすっかりBEATSTEPをよく使うようになっています。そして何よりいいのが、スタート・ストップがデジタルなので、バチッと合う点。アナログシーケンサだと、微妙にずれたり、電圧の差で曖昧になったりすることがあるのですがBEATSTEPはデジタルなので、そんな心配はありません。この点はライブなんかの時は事故ることがないのですばらしいです。

--Dark Timeの役割をBEATSTEPが担うことができた、と。

江夏:確証はありませんが、BEATSTEPの開発においては、かなりDOEPFERのシステムを参考にして作ったんではないかと思いますよ。見た目はだいぶ違うものの、基本的な機能はほとんど同じですし、かつ現代的な操作仕様になっていますからね。ステップをメモリーできるメリットもかなり大きいです。もちろん、Dark Timeでないとできない機能もいろいろあるのですが、僕のライブでの使用という意味ではBEATSTEPで十分。しかも値段が圧倒的に安いのも魅力でした。

まもなくの発売が予定されているBEATSTEP PRO

--最近では、KORGからSQ-1なんかも登場しましたよね。

江夏:SQ-1ももちろん、すぐに買いましたよ。これも素晴らしい機材ですよね。2系統のCV/GATEとトリガーが出せるというのは、大きなメリットだと思います。これでシンセとともに、リズムマシンも使えますからね。ただ、僕の場合、ライブで使いたいというのが大きいため、視認性の高いBEATSTEPが使いやすいと感じています。もうすぐ登場するといわれているBEATSTEP PROなら2系統のステップシーケンサと1系統のリズム用シーケンサという構成なので、かなりよさそうと期待しているところです。

--ここでまた話題を音楽制作というところに持っていきたいのですが、音楽制作においてもアナログシーケンサ、BEATSTEPは活用できるものなんですか?

江夏:すごく使えますよ。なんといっても、偶発的な音楽制作ができるという点はとても大きいですね。通常はDAWのMIDIシーケンス機能でノートを打ち込んでいくけれど、BEATSTEPならDAWと同期させながら自由に作業ができ、能動的ではなく、受動的にフレーズを気に入るまで探すことができます。能動的に打ち込んでいくとどうしても自分のクセが出て、ワンパターンに陥りがちですが、これを使えば思ってもみなかったフレーズに出会えたりするんですよね。


江夏さんが愛用しているアナログシンセ、MOOG Pdodigy 

 

--その偶発性について、もう少し、具体的に教えてもらえますか?

江夏:今、僕にとってとっても重要な音源がMOOGのProdigyというシンセです。古い機材ではあるのですが、このシンセのサウンドがとても気に入っていて……。もちろんMiniMoogやARP ODDESYなんかもいいけれど、特にProdigyの気に入っている点がSYNCサウンド。これでしが出ないサウンドがあるんです。実際のCubaseでの使い方でいうと、まずはSpectrasonicsのSTYLUSなどを立ち上げて、適当にリズムループを鳴らすと同時にProdigyを接続したBEATSTEPを動かし、まさに適当に操作をしながら、偶発性に任せて気に入ったパターンを探していきます。この際、BEATSTEPでコードを指定しておけば、それに伴ったコードでパターンが作られるので、それに合わせて、エレピやシンセなんかを重ねていくんです。


STYLUSでリズムパターンを鳴らし、BEATSTEPを同期させる 

 

--Cubase自体は何もしてないんですね!
江夏:はい、何もしてません。で、なんとなく出来上がってきたら、その状態でCubaseをREC状態にして録る。どんどん、RECしていくんですよ。また気に入ったパターンができたところで、BEATSTEPのSTOREボタンを押せば、そのパターンをどんどん保存していくことが可能。たった、これだけでそれなりのフレーズを作っていくことができるし、自分の感性で作っていけるんですね。もしこのコードが弾くにくいと思ったら、そこで転調すればOK。曲を作るときに、思い浮かばずに困った……というときにこうやって遊んでみると広がりますよ!


偶発的なコードパターンにエレピを重ねていく江夏さん

--見ていると、ものすごく簡単そうですね。これはやっぱりProdigyがあるからこそできるのですか?

江夏:いいえ、Prodigyである必要はまったくないですよ。たとえばArturiaのソフトシンセであるSEMを起動し、BEATSTEPの出力先をSEMに設定すれば、それでまったく同じことができます。もちろん、フリーのソフトシンセでも、自分の好きな音源を使えばいいと思います。Prodigyのようなハードのアナログシンセなら、どんどんオーディオで録っていきますが、ソフトシンセならMIDIで録っていくこともできますね。

 

--ライブで使うときは、これとはだいぶ違うセッティングなんですか?
江夏:基本的には大きく変わらないですよ。2月に行ったFILTER KYODAIのライブにおいても、BEATSTEP+Prodgyの組み合わせてでやっています。このYouTubeのビデオにおいて、「デデッてデデデデデ」となっているのが、それですね。リズムはAKAIのRythmWolf、ここにEWIが入ってくるという感じ。ちなみに、「ピュンピュン」いってるのが、REONのDriftBoxで、同期させて鳴らしています。ここでマスタークロックとして使っているのはREONのRMS-1、ここからBEATSTEPへMIDIで信号を送り、さらに、RythmWolfなどのアナログ機材にはBEATSTEPからパルスでクロックを分配しているという構成です。


BEATNICのCVGATE ADAPTERをPCの代わりにUSBでBEATSTEPに接続

--BEATSTEPはスタンドアロンで使っていて、コンピュータは接続していないんですね?
江夏:BEATSTEPはとても良くでているのですが、MIDI INの端子を持っていません。PCがあると、外部からクロックを受けてコントロールできて便利なのですが、そのためだけにPCを一台用意するというのもちょっと面倒くさかったりします。そんときに便利に使っているのがBEATNICのCV GATE ADAPTERという機材。これ、もともとは学研のPocket MIKU用に作られた機材らしいのですが、これはUSBのホストとしても機能するため、BEATSTEPとUSB接続すると電源供給するとともに、MIDIの入出力、さらにはCV/GATEの入力にまで対応してしまうんですよね。これを利用して、RMS-1からのクロック供給を受けてくるわけで、まさに無敵な機材になってくれますよ。


CVGATE ADAPTER経由でRMS-1のクロックをBEATSTEPへ供給

 

--なるほど、それも試してみたいですね。それにしても、先ほどのCubaseでの曲作りはちょっと驚きでした。楽器の演奏がまったくできない人でも、ドラムループを鳴らし、それに合わせて偶発的なシーケンスパターンをBEATSTEPで鳴らすところまでなら、すぐにできてしまいますもんね。

江夏:ソフトだけで何でもできる時代ではあるけれど、ここにハードを組み合わせることで、可能性が大きく広がるというのが面白いところだと思います。僕としては、早くBEATSTEP PROを導入して、実践で試してみたいですね。


江夏さんお気に入りのシンセ、ProdigyとCubase/Nuendoを連携させるのにBEATSTEPがいつも活用されている

 

--それは楽しみです。導入したら、ぜひまた見学させてください!ありがとうございました。

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