クリプトン・フューチャー・メディアが「SONOCA」というスマホ用音楽カードの制作サービスを開始した
SONOCAはクレジットカード、キャッシュカードなどと同サイズの紙製のカードで表面は自分の好きなデザインを施せるようになっています。CDでいうところのジャケットに相当するものですね。
一方、裏側にはシリアルコードとQRコードが印刷されています。これらはいずれも1枚1枚異なるコードとなっているのですが、このコードを利用することで、楽曲データをダウンロードできるようになっているのです。ちなみに、この写真にあるコードは私がすでに使ってしまったので、これを再度利用することはできませんよ。
そのダウンロードはiPhoneアプリ、Androidアプリを使ってできるようになっており、いわゆるストリーミングではなく、MP3-320kbpsのデータとして手元に届く形になっています(ほかのファイルフォーマットについては後述)。もちろん、iPhoneやAndroidをPCと接続することで、PCで再生することもできるほか、オフィシャルサイトでPCから曲をダウンロードすることもできます。
最近、CDを買っても、CDプレイヤーで直接聴くことはほとなく、PCのCDドライブでリッピングしてからiPhoneなどで聴くという人が大半なのではないでしょうか?私も、その一人ですが、今使っているメインPCはデスクトップもノートもCDドライブを搭載していないため、CDをリッピングすること自体が結構面倒。そういう意味でも、ダウンロード型メディアというのは、便利ではありますよね。
このSONOCA、1枚で扱えるのは1曲のみというわけではなく、アルバムとして使うことも可能なのも便利なところ。そう出す側のニーズとしては、シングルとして販売したい場合も、アルバムとして販売したい場合もありますから、そのどちらのニーズにも対応できるというのは嬉しいところです。
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SONOCAとして印刷するカードの枚数をしてし、収録する曲数などを指定
所定サイズのJPEGデータのアップロードを行うとカードやアプリ画面のプレビュー表示がされる
オプションとしてカードを入れる台紙が白と黒の2色用意されている
あとは、アルバム名、アーティスト名などを入れて、楽曲情報の入力、音楽データのアップロードへと進んでいきます。その後、音楽データをSONOCAサイトへとアップロードしていくのですが、ここでポイントとなるのが、オーディオフォーマットです。
WAVファイルでデータをアップロードする。1枚のアルバムとしては最大700MBまで
そう現状ではMP3のみなのですが、クリプトンによると、今後ハイレゾへの対応も予定しているとのことですので、そうなると、ますますCDからSONOCAへ切り替えるメリットも大きくなってきそうですね。
なかには、自分のオリジナル楽曲をJASRACやNexToneといった著作権管理団体に信託しているという方もいると思います。そうした場合、クリプトンに費用を支払うことで、著作権処理を代行してくれるというメニューも用意されているので、SONOCAへの収録楽曲の幅も大きく広がりそうですよね。
さて、このSONOCA Playerというアプリを使ってダウンロードしたデータ、iPhoneやAndroidにおいては、このアプリでそのまま再生できるようになっているのですが、このアプリがまたよくできているんです。ここで再生できるのは、ダウンロードしたデータだけでなく、あらかじめiPhoneやAndroidに入っていた自分の音楽ライブラリも同じように再生することができるんです。
SONOCA Playerの画面。ここでは「進んだ時に 見える光が」に色がついており、歌詞が音楽と同期してカラオケのように表示される
つまりiPhoneの場合なら、iTunesで管理している楽曲(DRMがかかっているものを除く)はすべて、これで再生できるわけです。そして、SONOCA Playerが、非常に優れているのは、単に曲を再生できるだけでなく、ここに歌詞の表示ができるということなんです。もちろんユーザーは、これに課金されることなく、無料で歌詞表示できるというのは、なかなか画期的ですよね。
SONOCAの入稿画面において、歌詞を入力する機能も用意されている
では、自分の作った歌詞を表示させるにはどうしたらいいのでしょうか?まだできたてのオリジナル楽曲であれば、当然プチリリには投稿されていないわけですが、SONOCAでデータ入稿する際に歌詞を入力する画面があるので、ここで入力してしまえば、SONOCA Player上ですぐに表示させることができるというわけなのです。
ただし、このデータ入稿する際に行う歌詞入力でプチリリのデータベースに登録されるわけではないとのこと。SONOCA Playerへ表示するための専用データベースなんですね。プチリリの場合、カラオケのように曲の進行と同期して歌詞を表示する機能があるため、見やすいけれど入力がその分、面倒になります。それに対し、SONOCAのデータベースは同期機能はないけれど、歌詞をコピペで入力できるから簡単なんです。
両方のデータベースに登録されている場合は、当然プチリリが優先されるとのことなので、まずはデータ入稿時に歌詞を入力しておき、その後、時間のあるときにプチリリへ投稿するのがよさそうです。もっともリスナーさんは、プチリリの歌詞情報なのか、SONOCAの歌詞情報なのかといったことはまったく意識することなく使えるので、なかなかうまくできていると思います。

SONOCA timeshiftの流れ (MAMI KAWADA FINAL F∀N FESTIVAL “F” © Fuctory Records / IVE All Rights Reserved.)
さらに、もう一つ予定されているサービスが、「SONOCA timeshift」というものです。すでに法人向けにはスタートしているとのことですが、先にカードを作成してから、後で楽曲登録をできるというサービスなんです。これが何を意味しているのか、分かりますか?そう、ライブの物販でSONOCAを販売し、数日後にそのライブを収録した音を届けるといったことが可能になるのです。なかなか画期的だと思いませんか?やろうと思えば、ライブ終了後、すぐにレコーディングデータの編集作業を行えば、その日のうちに、その日のライブの音をダウンロード可能にする、なんてことも実現できるわけです。
timeshiftやハイレゾ対応については、来年あたりの対応になる可能性もあるとのことですが、手ごろな価格でこうしたカードを発行できるというのは、音楽制作をする多くの人たちにとって、大きな武器になりそうです。
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