ヤマハからVOCALOID Keyboard VKB-100が発売になった
VOCALOID Keyboardはこれまで、いろいろなイベントでそのプロトタイプが参考出品され、多くの人たちがその発売を期待していた歌う楽器です。私も、何年も前からプロトタイプを見てきただけに、「ついに発売されたのか!」とちょっと感慨深くなるほどです。まずは、どんな音が鳴るのか以下のビデオを見ると、雰囲気が分かると思います。
今回発売された、VOCALOID Keyboard、使い方はとってもシンプルです。まずプリセットで「千本桜」や「天ノ弱」など5曲の歌詞が用意されているので、これを選択した上でキーボードを弾くと、その音程に合わせて歌詞の順番に発音してくれるのです。
VOCALOID Keyboardにはステレオミニのヘッドホン端子やモノラル標準フォーンジャックのライン出力があるので、ここから出力できるほか、0.7W出力の内蔵スピーカーも用意されているので、これ単体で鳴らして遊ぶことも可能です。またAUX INもあるので、外部入力に合わせてVOCALOID Keyboardを弾くといった使い方もできそうです。
左からAUX IN、ライン出力、電源スイッチ ボリューム
LYRICSに設定し、右のダイアルを回すことで予め用意しておいた20種類の歌詞を選択することができる
ミスタッチしたら、当然間違った音程で歌いますし、「タタっ」と誤って2回キーを弾いてしまえば、歌詞の文字がズレてしまいます。そこでフレーズボタンというものを押して、1フレーズ前に進めたり、後ろに戻ったりすることが可能になっています。このフレーズというのは歌詞入力における改行ごととなっているので、バラードなどテンポがゆっくりな曲なら改行は短めに、テンポの速い曲なら長めにするのがお勧めです。
「今日は」は「こんにちわ」と入力するなど、基本的にはVOCALOIDの書式がそのまま使えるようになっています。ただ、ひとつ便利にできているのが1音に複数文字を割り当てる方法が用意されていること。たとえば「だーいすき」という歌詞において「だーい」で1音、「すき」で1音となっていた場合、「だ_い」、「す_き」とアンダーバーでつなぐことで1音にすることができます。またわざわざアンダーバーを打ち込まなくても、エディタ画面上にある「キーオフ発音」を選ぶことで、連続にまとめることが可能になっています。
基本的にPC版のVOCALOIDと同じ文法だが、1音に複数文字を割り当てるアンダーバーも使える
用意されているのはVY1、初音ミク、Megpoid、IA、結月ゆかりの5キャラクタの歌声ライブラリです。このうちヤマハのVY1のみが標準搭載となっており、買ってすぐにVY1で歌わせることが可能ですが、ほかの4人はオプション扱いなので追加購入(1キャラクタあたり2,400円)する必要があります。
また、この追加はiOSやAndroidのアプリで購入し、転送する形になっています。ただし、4人中最初の1人だけは無償で追加できるようになっているため、事実上2人分の歌声を利用することが可能です。
PC版のVOCALOIDと同様、Gender Factor、Brightness、Clearness、Breathiness、Openingなどのパラメータが用意されており、これらをアプリを使って調整することで、同じ初音ミクであっても、結構違う歌声にすることが可能です。また、この調整した結果をシンガー(VOCALOID Keyboard上のセレクター項目としてはVOCALOID)として記録することが可能です。また1つのシンガーの中にパラメータを調整したものを4種類までメモリーさせて切り替えることも可能となっています。
Gender FactorやBrightnessなどのパラメータで声色を変化させることも可能
VOCALOID Keyboardはリアルタイム演奏のための楽器であるため、演奏しながらパラメータを大きく動かすということはあまりないと思います。とはいえ、VOCALOIDの歌唱表現としてよく使われる「しゃくり」や「こぶし」、「巻き舌」、「ビブラート深め」といったことができるように、SKILLボタンというものが2つ用意されており、これを演奏時に使うことが可能です。
VOCALOID KeyboardにMIDI端子は装備していません。ただし、USB端子とBluetoothを利用してのMIDI信号のやりとりはある程度可能となっています。まずMIDI端子にはTO DEVICEとTO HOSTの2種類あがりますが、TO DEVICEは将来的なファームウェアアップデートなどに使うもので、普通は利用しません。TO HOSTを使うことで、PCとの接続してMIDIのやりとりをするのです。ただしUSBの場合もBluetoothの場合もMIDI OUTのみとなるため、外部からMIDI信号でVOCALOID Keyboardを歌わせるということは不可能です。
MIDI端子はないが、USBのTO HOST端子もしくはBluetoothでMIDI接続は可能
PCM音源としてピアノ、エレピ、エレキギター、サックスなど計13音色が用意されています。VOCALOIDの場合は単音で歌わせるシステムなので和音は弾くことができませんが、PCM音源の場合、最大同時発音数48音となっているため、十分演奏を楽しむことが可能です。
回すだけでいい感じのエフェクト設定にできるワンノブエフェクター
電源としては付属のACアダプタが利用できるほか、内部の単3電池6本を入れられるようになっています。スペックを見ると、アルカリ電池またはニッケル水素電池の場合、約7時間の使用ができるとのことなので、結構使えそうですね。
単3電池6本で駆動させることも可能
気になるのはミスタッチなく、正しい歌詞で歌わせることができるのかという点。これは練習次第だとは思いますが、フレーズボタンを使うことで結構いけそうではありました。ただ、演奏を間違ってしまいパニックに陥ってしまった場合でも、フレーズ送りボタンを押したままにすると「ララララ」とか「ルルルル」のように事前に決めたハミング文字を歌わせることが可能です。さらに、ループボタンというものをつかうことで、決まった言葉を繰り返し歌わせることも可能となっていますね。
BluetoothでMIDIを飛ばすことは可能