一言でいえば普通のステレオトラック、マスタートラックに刺すことでMS処理が可能となり、Mid、Sideそれぞれ独立してEQ処理、コンプ処理ができるというプラグイン。とくにマスタートラックに刺すことで大きな力を発揮してくれそうです。とはいえ、MS処理って何?という人もいると思うので、MS EQ COMPの使い方について簡単に紹介してみたいと思います。
昨日、インターネット社からのメールで「VSTプラグインエフェクト、MS EQ COMP無料配布のご案内」というものが届き、「Abilityユーザーにでも配布するのかな?」と思って中身を読んでみると、一般ユーザーに向けての無料配布であり、とくにDAWを指定するものではない、オープンなプラグインです。
6月19日、「VSTプラグインエフェクト、MS EQ COMP無料配布のご案内」というメールが届いた
Cubase Pro 9.5でも問題なく動作させることができた
名前からも想像できるとおり、Midとは真ん中、センターの音を表し、Sideとは、左右の音を表しています。普通のステレオの世界ではLとRという信号に分かれていますが、MS処理の世界ではMidとSideに分かれるのです。
先日リリースされたばかりのStudio One 4でも使うことができた
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- Mid = (L + R)÷2
- Side = (L – R)÷2
という式で表されるとおりで、LR信号からMS信号へ変換を行っています。÷2は音量を半分に下げることを意味するから、音の成分としてはLとRを足したものが、Midで、LからRを引いたものがSideとなるのです。感覚的にはわかりにくいかもしれませんが、このMS信号に変換した上で、Midに対して、Sideに対して、それぞれ別処理をすることで普通のLRのステレオではできない面白い効果が得られるのです。
MidとSideの関係
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- L = Mid + Side
- R = Mid – Side
このMS EQ COMPの画面の一番左が入力、一番右が出力となっていますが、それを含めてデザイン的には左右対称になっていますよね。このうち左側がMid、つまりセンターの音、Sideがサイドの音をコントロールするものとなっています。ここでまずは、中央左側のレベル、つまりMidの音量を下げてみてください。すると、センター定位しているボーカルなどが消えてカラオケっぽい音になっていきます。反対に上げていくとボーカルやベースなどが、よりクックリ出てくるんですよね。
たとえばMidを下げてみるとカラオケのようにボーカルが消えていく
いまは音量だけで調整しましたが、それでも大きな効果が得られるわけですが、たとえばMidのコンプを強めにかければ、さらにボーカルなどセンター定位している音が強く打ち出すことができますし、SideのEQのハイを落ち上げていくと、より響きのある感じになってくると思います。
インターネット社のAbility Proのページ内のMS EQ COMPの紹介部分
このMS EQ COMPはインターネット社のサイトから無料でダウンロードできるのですが、簡単にその手順を紹介しておきましょう。まず下記のAbilityページ内のMS EQ COMPの紹介部分から、Windows版かMac版を選択します。すると、オンラインショップにジャンプするので、ソフトウェアダウンロード規約に同意した上で次のページへと進みます。
オンラインショップから0円での購入手続きを進める
すると名前や住所を記載するページが表示されるので、ここに必要事項を入力して次へと進みます。すると入力したメールアドレスにインターネット社からメールが届くのですが、ここにダウンロード先のURLおよびシリアル番号が記載されています。
入手するには氏名や住所、メールアドレスなどを記載する必要がある
これを使ってMS EQ COMPをダウンロードするわけです。その後、ダウンロードしたものを用いてインストールしていくと、再度シリアル番号を聞いてくるので、これに答え、指示にしたがっていけばインストール完了です。
届いたメールを元にダウンロードページへと進む
ただし、MS EQ COMPはVSTプラグインですから、スタンドアロンで動作させることはできません。DAWなどのVSTホストを用いて使うので、各DAWでVSTプラグインのインストール先を指定するようにします。
インストール後、DAW側でVSTプラグインが入っているフォルダを指定する
そして、DAWを起動し、MS EQ COMPを起動しようとすると、アクティベートを求めてきます。これはActivateCenterというツールを使って行うのですが、先ほど登録したメールアドレスやシリアル番号を用いて、インターネット経由で行います。とくに難しいことはないと思いますが、この作業をしないと使うことができないので注意してくださいね。この作業を1度行ってしまえば次回以降、普通に使うことができるようになります。
ActivateCenterを用いてアクティベートすれば完了
いずれにせよ、MS EQ COMPという、非常にパワフルであり、有用なツールが無料で登場してくれたことは大歓迎。みなさんもぜひ試してみてはいかがですか?
【関連情報】
MS EQ COMP製品紹介ページ
MS EQ COMPダウンロード
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