Cubase、Live、Logic、FL Studio、Bitwigで超快適に使えるコントローラーキーボード、Arturia KeyLab Essential mk3がスゴイ!

フランスArturia(アートリア)から、DAWユーザーにとって、非常に重宝する強力なMIDIキーボードが、先月末に発売されています。49鍵のKeyLab Essential 49 mk3(メーカー希望小売価格:39,600円[税込])と61鍵のKeyLab Essential 61 mk3(同49,500円)のそれぞれで、いずれも標準のホワイトモデルに加えブラックモデルが用意されています。フルキーサイズのセミウェイト鍵盤とともに、大きな液晶ディスプレイとクリッカブル・エンコーダーを備え、9つのフェーダーと9つのノブ、8つのパッド、さらにはトランスポートコントロールなどを装備する、DAW用に開発されたコントローラーキーボードとなっているのです。

特筆すべきポイントは、このKayLab Essential mk3が、Cubase、Ableton Live、Logic Pro、FL StudioそしてBitwig Studioに最適化されており、接続すればすぐに認識して超快適に利用できる、という点。MCU(Mackie Control Universal)/HUI対応のデバイスだから、もちろん、ほかのDAWでも使うことは可能なのですが、とくにこの5つのDAWですごく使いやすくできているのがポイントとなっています。実際どんなものなのか試してみたので紹介してみましょう。

ArturiaのMIDIキーボード、KeyLab Essential mk3がDAWとの連携において超便利だった

軽量ながらフル鍵盤で多彩な機能を持つKeyLab Essential mk3

このKeyLab Essential mk3はその名称からもわかるとおり、KeyLab Essentialの後継機。これまでMIDIキーボードを持っていなかったという初めてユーザーはもちろん、他の製品を使っているという人、さらにはKeyLab Essentialの旧モデルユーザーにとっても、新たに導入することで、DAW環境が非常に快適になるという、とっても嬉しい製品なんです。

KeyLab Essential mk3には49鍵タイプと61鍵タイプがあり、ホワイトモデルとブラックモデルがあるので、計4種類が存在する

まずは外観からチェックしていきましょう。私が試したのは49鍵タイプのホワイトモデルですが、最初に持ち上げてみて驚いたのは、非常にガッシリしたボディーなのに、とっても軽いという点。スペックを見ると

・本体寸法/重量(49 鍵)… 790 x 240 x 70 mm / 2.76 kg
・本体寸法/重量(61 鍵)… 890 x 240 x 70 mm / 3.08 kg

となっていますが、とにかく軽いからパソコンのデスクにポンと置いて、使い終わったら脇に立てかける…なんて使い方も気軽にできてしまいます。

とっても軽量なKeyLab Essential mk3。サイドパネルが木目調になっているのもワンポイト

コンピュータとの接続はUSB Type-C端子。付属ケーブルがL字型で刺さるため、奥行きを気にせずに使えるのありがたいところ。電源はもちろん、このUSB Type-Cからのバスパワー供給なのでACアダプタなども不要でスッキリ。「机の上に大きいキーボードを置くスペースなんてない!」という人でも、これなら大半の人が問題なくフル鍵盤環境を構築できると思います。

付属のUSB Type-CケーブルはL字型になっているので、奥行きが短くて済むのも嬉しいところ

その鍵盤の上にはたくさんのボタンやフェーダー、ノブなどが並んでいますが、簡単に紹介していきましょう。まず、その中心にあり、操作する上での中枢となるのが、2.5インチの高輝度LCDディスプレイと、その下にある4つのコンテキストボタン、そしてクリッカブル・エンコーダーです。これらを使って、基本的な操作を行っていきます。

KeyLab Essential 49 mk3のトップビュー

また右側にあるのが9つのノブ=ロータリー・エンコーダーと9つの30mmフェーダー。これらを使ってDAWのミキサーのフェーダーやPANのコントロールができるだけでなく、DAWや各プラグインのパラメーターをコントロールすることもできるようになっているのです。

フェーダーを動かすことで、DAWのミキサーのフェーダーをコントロール可能

一方、左側にあるのはタッチ&プレッシャー・センス付きのパッド。これを使ってドラムやパーカッションを叩くのに便利に使うことができるし、ポン出しなどに使うスイッチなどとして利用することも可能です。8つそれぞれ色もカラフルにコントロールできるようになっているので、シチュエーションに合わせて色を変化させていく…といった使い方もできそうです。

8つあるパッドはタッチ&プレッシャー・センス付きとなっている

トランスポート機能はもちろん、コード機能やアルペジオ機能も

さらに再生・停止、録音といった操作が可能なトランスポートボタンも備わっています。よく見ると気づくと思いますが、ここにはメトロノームボタンで繰り返し設定はもちろん、自分のタップでテンポを設定できるTAPボタン、さらにはプロジェクトを保存するためのSaveボタン、クォンタイズをするためのQuantボタン、Undoボタン、RedoボタンとDAWの操作をしやすくしてくれるボタンがズラリと並んでいるのです。

通常のトランスポートボタンのほかにSaveボタンやQuantボタン、Undo/Redoボタンなどもある

そして演奏用の強力な機能も装備されています。クリッカブル・エンコーダーの右には、Hold、Chord、Scale、Arpという4つのボタンが並んでいます。Holdはペダルを踏む代わりをするものですが、ペダルがない場合に便利に使えます。あ、もちろん、リアにはサステインペダル接続用の端子が用意されていますよ。

Hold、Chord、Scale、Arpの各ボタンも用意されている

そして、Chordはワンキーでコードを弾くためのもの。メジャー、マイナーはもちろん、Maj7、sus4、min9……と各種コードを選択できるのはもちろんユーザー設定により自分でコードを作ることも可能になっています。

コードを選択しておけばワンキーでコードを鳴らすことができる

またScaleボタンはスケール設定をすることで、適当に弾いてもスケールにマッチした音階になるようにキーボードを設定するもの。キーを指定するとともに、メジャースケール、マイナースケール、ドリアン、フリジアン、リディアン、ミクソリディアン……とさまざまなスケールを選択できるようになっています。

Scaleボタンをオンにすれば、選択したスケールで弾くことができ、音程を外すこともない

Arpはアルペジオを行うためのもの。コードを弾くと自動でアルペジオにしてくれます。もちろんChordキーと併用してワンキーでアルペジオを弾くことも可能だし、必要に応じて自分でアルペジオパターンを設定することも可能になっています。

Arpボタンをオンにすればコードを押さえればアルペジオ演奏される。各種設定も可能

5つのDAWと接続するだけで完全統合される

さて、ここからが本題。このKeyLab Essential mk3がほかのMIDIキーボードと大きな違いがあるのです。それは、プラグ&プレイで、各種DAWに即最適化される、という点。実際に試してみたところ、現時点においては、まだ、すべてのDAWで全自動というわけではなさそうですが、簡単な手順で手動設定することで、KeyLab Essential mk3を各DAWでフル活用できるようになっているのです。ここでいう各種DAWとは

Cubase
Ableton Live
Logic Pro
FL Studio
Bitwig Studio

の5つのDAWです。前述のとおりKeyLab Essential mk3はMCU/HUI対応のデバイスとなっているので、ほかのDAWでも使うことは可能ですが、上記5つのDAWであれば、完全最適化するためのプリセットが用意されているので、簡単に、そして確実に使えるというのが重要なポイントなんです。

どういうことなのか、もう少し具体的に見ていきましょう。最初に試してみたのがAbleton Liveでした。というのも、後述の通り、KeyLab Essential mk3にはAbleton Live Lite 11がバンドルされているので、これなら一番相性がいいのでは…と最新版のAbleton Live 11をインストール。そのうえで、とくにドライバなどの設定も何もなしに、USBでKeyLab Essential mk3をパソコンと接続した上で、Ableton Liveを起動してみると……、そう、液晶ディスプレイに「Live Connected」と表示されるんです。

ドライバのインストールも何の設定もなくてもUSB接続するだけで、有機的に接続される

ここまでにおいて、Arturiaサイトからは何もダウンロードなどしてないのに、すでにこれで完璧!これでキーボードの演奏ができるようになっているのはもちろん、再生ボタンや録音ボタンなどトランスポート関係は動作するし、クリッカブル・エンコーダーを回すことで、トラックの選択などができます。またフェーダーで各トラックの音量をコントロールでき、その上のノブでPANのコントロールも可能と、何もしないでここまで最適化してくれるハードってあまりないですよね。

クリッカブル・エンコーダーを回すことで、トラックを選んだりクリップを選ぶことができる

続いて試してみたのはCubase Pro 12。こちらも最新版を入れたのですが、全モジュールをインストールしていなかったからか、全自動とはいきませんでした。とはいえ、大きな心配はいりません。Arturiaのサイトに行き、KeyLab Essential mk3のResourcesのページ

に行けば、インストールすべき素材=Daw-Integration-Scriptが入手できるようになっています。上記5つのDAW用のスクリプトがあるので、これをダウンロードし、同梱されているPDFの通りにインストールすればWindowsでもMacでも使うことができます。

必要に応じてスクリプトをダウンロードの上、ドキュメントにしたがってインストールする。画面はLogic用のインストーラ

実は、このCubase Pro 12のほかに先日記事でも紹介したばかりの最新版Bitwig Studio 5、FL Studio 21、そしてLogic Pro Xとそれぞれ試してみたのですが、私の手元ではAbleton Liveのように完全自動での認識とはいかず、それぞれスクリプトを手動でインストールしましたが、それでも簡単に使えるようになるので、その点は安心です。

DAWのほとんどの機能をコントロールできる

では、その使い勝手をCubaseの場合を例にちょっとだけ紹介してみましょう。まず、CubaseなどDAWでコントロールするには、液晶ディスプレイ右にあるProgボタンを押して、DAWモードにしておきます。

Progボタンを押して、DAWモードにしておく

CubaseがKeyLab Essential mk3を認識するとCubaseの下ゾーンにドカンと、KeyLab Essential mk3の画面が出てきます。これはCubaseのMIDI Remote機能によるものですね。

Cubaseを起動して、新規プロジェクトを作成すると、下ゾーンにKeyLab Essential mk3の画面が表示されている

この状態で先ほどのトランスポートボタンやSaveボタン、Undoボタンなどが使えるようになっています。

またフェーダーを触ると、各トラックの音量レベルが、ノブを触ると各トラックのPANが動くようになっています。この際、Cubaseのミキサー画面を表示させなくてもこれでコントロール可能になっています。また液晶画面には、どのくらいの値にしているかが数値で表示されるのも便利ですね。

フェーダーを動かすと、液晶には現在の値が表示される

また、クリッカブル・エンコーダーを回すことで、トラックを選択していくことが可能になっています。この際、トラック名が液晶にも表示されるから、マウス操作よりも断然扱いやすい感じです。液晶の下にある4つのコンテキスト・ボタンを使うことで、各トラックのミュート、ソロ、録音といった設定も可能になっています。

4つのコンテキスト・ボタンで録音モード、ミュート、ソロの設定ができるほか、ミキサー機能と通常機能の切り替えも可能

ここでインストゥルメントを選び、一番左のコンテキスト・ボタンを押してプラグインモードにしてみます。この際、Cubase付属のHALion SonicやRetrologueなどでも、他社のプラグインでもなんでもOK。この状態で、ノブを回してみると……、液晶にはFilterとかResonanceといった表示が出るとともに、これでインストゥルメントのパラメータをいじることができるんです。かなり便利ですね。

プラグインシンセを立ち上げている状態でノブを動かすと、各パラメータを操作することができる

試しに大昔のソフトシンセである、Synth1をインストールして試してみましたが、これでもちゃんとパラメータを動かせたので、何でも大丈夫そうです。同様にプラグインエフェクトでも、これらのノブでパラメータを動かすことができました。

ここまでCubaseで見てきましたが、ほかDAWでもまったく同様ですね。

昔懐かしいSynth1もしっかりノブでコントロールできた

豊富なソフトをバンドル。Analog Lab Vとの連携は秀逸

一方で、このDAWモードのほかに、Arturiaモードというのがあります。これはいったい何なのでしょうか?

このKeyLab Essential mk3にはさまざまなソフトがバンドルされているのが大きなポイントの一つとなっています。具体的には

Ableton Live Lite 11
Arturia Analog Lab V
Native Instruments The Gentleman
UVI Model D

さらにはサンプル&ループ集であるLoopcloud、キーボード練習ソフトであるMelodicsのそれぞれなんですが、それぞれの詳細はここでは割愛するとして、ここでピックアップしたいのがAnalog Lab Vです。これについては、今年1月の記事「超ハイコストパフォーマンスなMIDIキーボード&ソフトシンセのセット、Arturia MiniLab 3は全部込々で18,150円!?」の中でも紹介していましたが、Arturiaのソフトシンセ全部入りともいえるプラグインです。

KeyLab Essential mk3にバンドルされているAnalog Lab V

Arturiaモードにすることで、このAnalog Lab Vをフルコントロールできるようになっているのです。

各ノブ、各フェーダーでそれぞれのパラメーターを動かすことができるのはもちろん、クリッカブル・エンコーダーを使って音色のカテゴリを選択したり、その中にある2,000を超えるプリセットを選択していけるなど、Analog Lab Vをフルコントロールできるようになっているのです。

Progボタンを押してArturiaモードに変更すると、Analog Lab Vをフルコントロールできるようになる

これはDAWの中でプラグインとして起動させても、スタンドアロンのソフトとして起動させても同様で、とってもよくできている、という印象でした。ちなみにArturiaモードとなっているので、ほかのArturiaのインストゥルメントでも同じようにコントロールできるのかな…と思って試してみたのですが、それはうまく動かなかったので、ArturiaモードというよりAnalog Lab Vモードと言ったほうがいいようです。

クリッカブル・エンコーダーや各ノブ、フェーダーを動かすことで、Analog Lab Vを操作していくことができる

MIDI Control Centerで自在にカスタマイズも可能

このように、あらかじめさまざまな機能が割り当てられていて、とっても便利に使えるKeyLab Essential mk3ですが、人によっては、「この機能を追加したい」、「この部分だけは違う機能に」…なんてケースもあると思います。

もちろん、そうしたことにも対応しているのも嬉しいところです。具体的にはArturiaが提供しているMIDI Control Centerを使うことで自由にカスタマイズすることができ、その結果をユーザーメモリに入れることができるようになっています。

先ほどのDAWモード、Arturiaモードに加えてユーザーメモリモードがあり、ここに設定していくことができるのです。もちろん、ゼロからすべて自分で作っていくことも可能ですが、すでに出来上がっているDAWモードやArturiaモードを少し修正したい、というケースが多いでしょう。このDAWモード、Arturiaモードは、書き換えはできないのですが、これをコピーしてエディットできるようになっているので、その結果をユーザーモードに書き込むことができるわけです。

MIDI Control Centerを利用することで、各機能を細かくエディットしていくこともできる

ユーザーメモリも最大6つ用意されているので、必要に応じて複数設定しておくことも可能となっています。

以上、ArturiaのKeyLab Essential mk3について紹介してみました。実際に触ってみると、本当によくできていて驚くと思います。Cubase、Ableton Live、Logic Pro、FL Studio、Bitwig Studioのユーザーのみなさんは検討してみてはいかがでしょうか?

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Arturia KeyLab Essential mk3製品情報

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