超ハイコストパフォーマンスなMIDIキーボード&ソフトシンセのセット、Artiria MiniLab 3は全部込々で18,150円!?

フランスのArturia(アートリア)が先日発売したMiniLab 3(ミニラボ3)は、ちょっと驚愕するほどのコストパフォーマンスを持った製品でした。実売価格が税込みで18,150円前後というこのMiniLab 3は25ミニ鍵のUSB-MIDIキーボードとAnalog Lab Introというソフトシンセ、さらにAbleton Live 11 Lite、さらにはNative Instrumentsのアップライトピアノ音源であるThe Gentleman、UVIのグランドピアノ音源であるMODEL D、キーボード&パッド学習ソフトであるMelodics、そしてサンプル&ドラムループ集であるLoopCloudをセットにした製品です。

キーボードには8つのノブと4つのフェーダー、8つのパッドなどが搭載されており、各種DAWと連携してコントローラとしても利用可能。圧巻なのはAnalog Lab Introというソフトで、ここには設立20年の歴史を持つArturiaのソフトシンセのすべてが詰まっているといっても過言ではない音源で、Prophet-5、MiniMoog、JUPITER-8、MS-20、ARP 2600、Emulator II、Fairlight CMI、DX7……と数々のビンテージシンセを正確に再現するサウンドを物理モデリング技術を用いて出すことができるのです。この価格で、これはやりすぎでは?……と思う内容で、DTM初心者、ソフトシンセ初心者はもちろんのこと、各種DAWを使い込んでいるというユーザーでも持っておいて損のない製品です。実際どんなものなのか試してみたので紹介していきましょう。

USB-MIDIキーボードとビンテージシンセサウンドを正確に再現するAnalog Lab IntroなどをセットにしたArturiaのMiniLab 3

ArturiaのMiniLab 3、あまりにも内容がテンコ盛り過ぎるので、どこから説明するといいのか悩ましいところではありますが、まずはハードウェア部分から見ていきましょう。

今回使ったMiniLab 3のホワイトモデル

MiniLab 3という名前からもわかる通り3世代目となる製品であり、初代から25鍵のミニ鍵盤+コントローラーという構成ではあったのですが、今回の3世代目になって、USB Type-C接続になるのとともに、仕様・設計が大きく進化し、非常にクオリティーの高い機材に仕上がっています。鍵盤は非常にしっかりしたタッチのものになっていて、25キーしかないとはいえ、ミニ鍵盤のキーボードとしてはトップクラスに入るのではないかと感じます。

MiniLab 3のブラックモデル

今回、使ったのはホワイトモデルでしたが、ほかにブラックモデル、さらに日本限定カラーのDeep Blackの3つのカラーバリエーションが用意されています。

日本限定カラーのDeep Black

8つあるエンコーダーノブはかなりトルクのある重めなもので、気持ちよく回すことができます。同様に4つあるフェーダーもしっかりしていますね。高輝度なOLEDディスプレイを搭載したものも大きなポイント。このディスプレイとその下にある黒いプッシュ式のローターリーエンコーダーを使って音色を選んだり、パラメーターを変えたり……といった操作が可能になっているのも従来モデルとの大きな違いです。

高輝度・高精細なOLEDディスプレイ

8つあるパッドはベロシティー&プレッシャー(アフタータッチ)対応のRGBパッドになっています。これでドラムを叩いたり、コードを弾いたりできるほか、アルペジエーターや各種モードのスイッチとして機能したり、DAWのコントローラーとしても使えるようになっているんです。

8つあるパッドは、ドラムを叩いたり、コードを鳴らしたり、DAWのトランスポート操作などにも使える

そう、Ableton Live、BITWIG Studio、FL Studio、Logic Pro、ReasonにおいてはUSB接続すれば自動認識されるようになっており、即使うことができます。この際、再生、停止、録音、ループなどのトランスポーズ機能も利用可能です。CubaseやStudio OneなどのほかのDAWの場合はMackie Control Universalとして利用できるので、まったく問題なく使えますよ!

標準対応のDAW以外はMackie Control Universalの設定で利用できる

ピッチベンド、モジュレーションコントロールはタッチセンス式となっていて気持ちよく使うことができるし、Holdボタンでサステインペダルを踏んだ状態になりますが、もちろんサステインペダルの取り付けも可能です。また前述の通りパッド操作でアルペジエーターを機能させることもできるし、コードモードにすればワンキーでコードが弾けるなど、かなり多くの機能が盛り込まれたキーボードとなっています。

タッチセンス式のピッチベンドとモジュレーションコントロール

が、このキーボードよりも、大きな存在といっていいのがAnalog Lab Introというソフトシンセです。Windows、Mac(Intel、Apple Sillicon対応)のVST2/3、AAX、Audio Unitsのぞれぞれの環境で動作するとともに、スタンドアロンでも動作するので、DAWなしに、とりあえず起動させて、MiniLab 3のキーボードで弾くということも可能です。

MiniLab 3という製品の心臓部にあたるのが、このAnalog Lab Intro

このAnalog Lab Introという名前から、ちょっとオマケ的なソフトと勘違いしてしまう人も多そうですが、これがモンスターソフトなんです。Arturiaは20年の歴史を持つメーカーであり、創業当初から取り組んできたのがビンテージシンセのソフトウェア化です。True Analog Emulation (TAE) という独自の物理モデリング技術を用いて、古いアナログシンセのサウンドを正確に再現していることから、多くのミュージシャン、作曲家、アレンジャーなどがArturiaのソフトシンセを使っています。

Arturiaのシンセサイザ再現の歴史は20年前に出したMOOG Modular IIIをエミュレーションするソフトからスタートしている

その集大成ともいえるのが、各ビンテージシンセを再現するソフトシンセをセットにしたV Collection 9。その詳細は「MS-20やSQ80も登場!32種類のシンセをパックにしたArturiaのV Collection 9が発売開始」という記事でも紹介しているので、そちらを参照してみてほしいのですが、そのV Collection 9から美味しいところを抜き出したのがAnalog Lab Introなんです。

そうAnalog Lab Introには以下の27種類+αのソフトシンセのエンジンがそのまますべて搭載されているのです。

ARP 2600 V B-3 V Buchla Easel V
Clavinet V CMI V CS-80 V
DX7 V Emulator V Farfisa V
Jun-6 V Jup-8 V Matrix-12 V
Mellotron V Mini V Modular V
OP-Xa V Piano V Pigments
Prophet-5 V / Prophet-VS V SEM V Solina V
Stage-73 V Synclavier V Synthi V
Vocoder V VOX Continental V Wurli V

たとえば、YAMAHAのCS-80を再現するソフトシンセであるCS-80 VがそのままAnalog Lab Introの中に入っているから、CS-80 Vで出る音とまったく同じ音がAnalog Lab Introから出てくるのです。ただし、ここで利用できるのはAnalog Lab Introに収録されている500種類のプリセット音色に限られ、シンセサウンドをゼロから作っていくとか、プリセット音色を大きくエディットする……ということはできません(※プリセット数を2,000以上に拡張したAnalog Lab Vという製品もあり、ここへのアップグレードも可能です)。

シンセサイザの種類からプリセット音色を検索していくことも可能

でも、各シンセの代表的なサウンドが収録されているので、これがそのまま使えるのはかなり魅力です。大きくエディットできないとはいえ、MiniLab 3の8つのエコーダーノブおよび4つのフェーダーにパラメーターが割り当てられているので、これを使って結構音色を調整することは可能です。ちなみに、Analog Lab Introという名前なので、アナログシンセの集合体のようにも見えますが、先ほどのラインナップの通り、YAMAHAのDX7やFairlight CMI、E-muのEmulator II、CASIOのCZ-101など、デジタルシンセもいろいろ収録されていますね。

その500あるプリセットは、楽器のジャンルやシンセの名前から絞り込むこともできるし、このプリセットを作成した作者から選ぶこともできます。作者の写真も出ているので見てみると、氏家克典さんや、生方則孝さんのプリセットも収録されていますね。

プリセット音色制作者から検索していくこともできる。生方さんや氏家さんの顔写真も…

一方、Analog Lab Introを起動してしまえば、マウス操作をしなくてもMiniLab 3だけで音色を選んでいくことも可能です。OLEDディスプレイと、黒いプッシュ式のロータリーエンコーダーを使うことで、ジャンルを絞り込み、音色を選択することが可能で、あとは各ノブで音色を調整することも可能。この辺の使い勝手は非常によくできていますね。

Analog Lab Introをマウス操作しなくても、OLEDディスプレイとメインのロータリーエンコーダーで音色選択などができる

スタンドアロンで起動させている場合でも、プラグインで起動させている場合でも同様に操作が可能です。ちなみに、DAWモードにすると、パッドなどが各DAW用にアサインされ、Arturiaモードにすると、Analog Lab Intro操作用にアサインされる形となっています。

一方、Analog Lab Introのプリセット選択画面においてEdit Presetというボタンをクリックすると、画面が切り替わり、2つのシンセを組み合わせて鳴らすことができるほか、4つのエフェクトを自在に調整してい音作りをしていくことは可能になります。シンセ好きからすると、物足りないとは思いますが、「シンセの音作りはよくわからないので、プリセットを選んで使っている」という人にとっては、これだけできれば十分ではないでしょうか?

2つのプリセットを並べた上で、4つのエフェクトを設定し音作りができる

ユニークなのは、V Collection 9に入っている各ソフトシンセと完全連携されているという点です。たとえば、MiniMoogを再現するMini Vがインストールされている環境であれば、Analog Lab Introのプリセットを選んだ状態でMini Vの画面を開くことが可能になります。ここで細かくエディットしていくことができるんですね。このことからもまったく同じエンジンが搭載されていることがわかると思います。

ArturiaのV Collection 9収録のソフトを持っていれば、細かなパラメーターを動かして音作りが可能

さて、そんなAnalog Lab IntroがMiniLab 3におけるメインソフトなのですが、これに留まらず、さまざまなソフトがバンドルされているのもMiniLab 3の大きな魅力となっています。それぞれを簡単に紹介していきましょう。

まずはDAWであるAbleton Live 11 Liteです。このMiniLab 3をキッカケにDTMを始めてみようという人にとっても、Live 11 Liteが付属しているので、これを使って曲を作っていくことができます。前述の通り、Analog Lab Introはスタンドアロンでも起動するため、DAWなしでも演奏が可能ですが、その演奏をレコーディングしたり、打ち込みでフレーズを作っていくという場合はDAWが必須。そのDAWとしてかなりパワフルな機能を持っており、もちろん、このLive上で動作するプラグインとしてAnalog Lab Introを利用することができるわけです。

Ableton Live 11 Liteがバンドルされており、この中でAnalog Lab Introを立ち上げて使うこともできる

続いてNative InstrumentsのThe GentlemanはAnalog Lab Introとはまったく異なり、サンプリングベースのピアノ音源となっています。1908年製のアップライトピアノをサンプリングしたというこのThe Gentlemanは、Native InstrumentsのサンプラーであるKONTAKT(もしくは無料のKONTAKT Player)上で動作する形となっています。圧縮されたデータ容量で3.65GB、非圧縮の状態なら、9.8GBと大容量だけあって、サウンドのほうもとってもリアルで温かみのある気持ちいいサウンドになっています。単体で13,400円という価格ですから、これ1本でMiniLab 3の7割の元がとれちゃう感じですね。

Native Instrumentsのアップライトピアノ音源、The Gentlemanもバンドルされている

もうひとつピアノ音源がバンドルされています。UVIのModel Dというのがそれで、こちらはグランドピアノの音源となっており、UVIのFalconもしくは無料のUVI Workstation上で動作するサンプリング音源です。パリのトップスタジオ:Guillaume Tellのサウンドステージで収録したという、このコンサートグランドピアノは非常に高品位なピアノサウンドであると同時に、シンセパラメーターでサウンドエディットできたり、数多くのエフェクトを設定できるのも面白いところ。こちらは実売価格6,000円というソフトです。

UVIのグランドピアノ音源、Model DもMiniLab 3にバンドルされている

さらにMelodicsはゲーム感覚でキーボードやパッドの叩き方を学習するソフト、そしてLoopcloudはサブスクリプション型のサンプル&ループ集。そのLoopcloudを使うための2か月のサブスクチケットが付属しているのとともに、1GBのウェルカムパックも付属しているので、とりあえずウェルカムパックだけでももらっておくとよさそうですね。

音ゲー感覚でキーボードプレイなどを学習できるMelodics

以上、ArturiaのMiniLab 3について紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?このAnalog Lab Introは非常に強力なシンセの集合体なので、シンセサウンドを拡充させたいという人にとっては強い味方になってくれるはずです。しかも、それをコントロールするとともに、手持ちのDAWも操作できるUSB-MIDIキーボードが同梱されていて、パワフルなピアノ音源も2種類付属しているのですから、買わない手はないですよね。

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MiniLab 3製品情報

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