スタンドアロンで動く37鍵キーボード版のMPC、AKAI MPC KEY 37が誕生。DAWとも連携可能でオーディオIFとしても動作する

本日2月7日、AKAI ProfessionalからMPC KEY 37という新製品が発表&発売されました(税込実売価格:129,800円)。真っ赤なボディーのMPC KEY 37は37鍵のキーボードでありながら、4×4のパッドを備えたMPCとしてコンピュータ不要でスタンドアロンで動作する製品。マルチタッチ&ジェスチャー対応の7インチ・カラー・タッチスクリーンを装備しているので、これを使ってすべての操作が可能であり、この中には10GBを超えるサウンドとインストゥルメントが収録されているので、超強力なシンセサイザとして外に持ち出して、プレイすることも可能です。

一方で、USB端子も備えているのでWindowsやMacと接続し、DAWと完全統合させて利用することも可能なのもMPC KEY 37の大きなポイントとなっています。バンドルされているソフト、MPC2 Softwareを介し、MPC KEY 37のキーボードや16個のパッドがフルに利用できるのはもちろん、各ボタン、ノブなどがコントロールサーフェイスとして動作してくれ、これがDAWのプラグインとして使うことができるようになっています。さらにMIDIデバイスとしてだけでなく、2in/2outのオーディオインターフェイスとしても動作させることができるため、コンピュータとMPC KEY 37の2つだけで完全なDTM環境を構築することが可能になっているのです。まさにオールマイティーな機材となっているわけですが、実際どんな機材なのか紹介してみましょう。

2月7日に発表&発売されたAKAI ProfessionalのMPC KEY 37

37年の歴史を持つAKAI MPCをキーボードでも演奏できるように

1987年、日本のメーカーであるAKAI ProfessionalがMPC初号機であるMPC 60を発売してから37年。4×4のパッドを持つシーケンサでありサンプラーであり、ドラムマシンであるMPCは世界中のビートメイクの世界で、デファクトスタンダードとして広まっていったという歴史があります。

1987年に発売された最初のMPC、MPC 60

そのAKAIのMPCは4×4のパッドで演奏し、打ち込み、制作していくという、鍵盤楽器でも弦楽器でも管楽器でもない、まったく新しいスタイルの楽器として定着していったわけですが、この時代になってMPCとキーボードを融合させたのが、このMPC KEYなのです。

長い歴史を持つMPCの機能、操作性はそのままにキーボードでの演奏も可能にしたMPC KEY 37

MPCとしての4×4のパッドの操作性、演奏性はそのままに、サンプラーエンジン部分をキーボードでも演奏できる機能を付加したものであり、まさにサンプラーであり、シンセサイザとして使えるようにしたワークステーションとなっています。以下に、MPC KEY 37のティーザー動画があるので、ぜひご覧になってみてください。

コンパクトながらフル機能装備のMPC KEY 37

すでに、お気づきの方も多いと思いますが、1年半前に「MPCがキーボードに!? モンスター級ワークステーション、AKAI MPC KEY 61爆誕」という記事で、MPC KEY 61というワークステーションを紹介したことがありました。今回登場したMPC KEY 37は、そのMPC KEY 61の機能、性能はそのままに、コンパクトで断然安い価格にしたという意味で、よりインパクトの強い機材になっています。もちろんスタンドアロンで利用でき、これ一つでどこにでも持って行って演奏できるという点も同様です。

MPC KEY 37(奥の赤)とMPC KEY 61(手前の黒)

2つを並べて比較してみると、断然小さなボディーになっているのが分かると思います。小さいとはいえ、キーボードはフルサイズであり、4×4のパッドのサイズもまったく同じで、7インチのディスプレイも同サイズ。

MPC KEY 37(手前)とMPC KEY 61(奥)のリア

MIDIの入出力だけでなく、4系統のCV/GATE端子を備えているからアナログシンセサイザを接続してコントロールするといった点もMPC KEY 61と同様です。またBluetooth-MIDIにも対応しており、Ableton Linkを通じてAbleton Liveをはじめとする各種DAW、シーケンサとも同期できるようにもなっています。

MPC KEY 37のリアにはCV/GATE端子が4系統、8ch搭載されている

ちなみにMPC KEY 61がブラックのモデルのみであったのに対し、今回登場したMPC KEY 37はレッドのモデルのみという潔さもいい感じです。ちなみに最近のAKAIのMPCシリーズではMPC ONE+が赤いボディーで人気ですが、並べてみると微妙に色のトーンが違うようです。そうMPC ONE+のほうが深い赤で、MPC KEY 37のほうが少し明るい赤のようです。

MPC KEY 37(左)とMPC ONE+(右)、ともに赤だが、色のトーンが微妙に異なる

電源を入れれば、即シンセサイザとしてプレイできる

では、ここからもう少し具体的な機能について見ていきましょう。

MPC KEY 37は本体の電源を入れれば、すぐに使えるスタンドアロンのプロダクション・センター=ワークステーション。7インチのディスプレイには、さまざまな音源が表示されるので、その中から使いたい音源を選んでプリセットを選択すれば、即演奏できるようになっているのです。

MPC KEY 37で動作するINSTRUMENTS(デフォルトで用意されているもののほかオプションも含む)

32GBあるSSDによるストレージにはMPCプラグインをはじめとするXpansionライブラリから10GBを超えるサウンドとインストゥルメントが収録されているので、これらをすぐに読み込んで使うことができるのです。

MPC KEY 37標準搭載のINSTURMNETS

なお、MPC KEY 37にデフォルトで用意されているINSTRUMENTSは上記の7つとなっています。

デュアルオシレータのシンセサイザ、HYPE

たとえばデュアルオシレータのシンセサイザであるHYPE、テープを使った元祖サンプラーともいえるメロトロンを再現するMellotron、ARP ODYSSEYを再現するOdyssey、TB-303風なBASSLINE……などなどさまざまな音源が、デフォルトで用意されています。

ARP ODYSSEYを再現するOdyssey

一方でMPC KEY 61には搭載されていなかったJuraやMini Dを付属のクーポンで一つ入手し搭載可能というのも大きなポイントとなっています。

JUNO-60を再現するJura

Juraは1982年にRolandから発売されたJUNO-60をモデルにした音源で、JUNOシリーズのシンボル的エフェクト、JUNOコーラスも再現されています。またMini Dはminimoogを再現する音源。4ボイスの太いアナログサウンドを再現してくれます。クーポンの引き換え方法についてはinMusicの「無料プラグインの入手方法」にあるので、そちらを参考にしてみてください。

7インチディスプレイを利用しすべてスタンドアロンで操作可能

この音源を選択する操作はもちろん、サンプリングサウンドの波形を表示させてエディットする機能、そしてシーケンサの操作など、すべての操作を7インチのタッチスクリーン対応のディスプレイと各ボタン、ノブを使って操作していくことが可能です。

音色作りからシーケンサのエディットまですべてMPC KEY 37単体で操作していくことができる

そのノブとして、タッチセンス対応でリアルタイム編集やパフォーマンスに最適なアサイナブルQ Linkノブが4つ搭載されているのもポイントとなっています。

タッチスクリーンに表示させたX-Yパッドを使って音色を変化させていくといったことも可能

またこのタッチスクリーンでは、KAOSS PAD風なX-Yパッドを使って、エフェクト操作をしていく、といったこともできます。そのエフェクトには100種類を超えるスタジオ品質のハイクオリティなエフェトが標準で搭載されているのも大きな特徴です。

Wi-Fi機能搭載し、インターネットと接続できるシンセサイザ

ところで、61鍵のMPC KEY 61にはLANポートが搭載されており、ここを介してインターネット接続できたというのがユニークな点でしたがMPC KEY 37のリアを見てもLANポートは見当たりません。各種ライブラリのダウンロードやファームウェアのアップデートなどをLAN経由でできたのがMPC KEY 61のユニークなポイントでもあったのですが、MPC KEY 37ではできないのでしょうか?

まさにワークステーションという感じのMPC KEY 37のホーム画面。内蔵Wi-Fiを使ってネット接続も可能

確かに有線接続するLANポートはないのですが、Wi-Fi機能が内蔵されており、これを使ってWi-Fi接続は可能であり、各種アップデートが可能です。ちなみにMPC KEY 61にもWi-Fi機能は搭載されています。

またMPC KEY 61に入っていた一部のプラグインがMPC KEY 37には標準では入っていませんが、これらについてもプラグインとして購入すれば、Wi-Fiを通じてダウンロードし、利用可能となっています。さらにSpliceとも統合し、Wi-Fiを介してSpliceのライブラリにある音源を即座にMPC内で使用する、といったこともできるようになっています。

ちなみにMPC KEY 37の内部には前述の32GBのストレージのほか、クアッドコアのARMプロセッサ、そして2GBのRAMが搭載されています。ある意味、コンピュータを内蔵したシンセサイザともいえるわけで、インターネットとも非常に相性のいい楽器といえるわけです。

MPC2 SoftwareとMPC KEY 37のシームレスな関係性

そんなスタンドアロンで使えるMPC KEY 37ですが、リアにあるUSB TypeBのポートを介してWindowsやMacと接続することで、まさにコンピュータと一体化し、シームレスな関係になるというのもMPC KEY 37の大きな特徴です。

その接続において重要な役割を果たすのがMPC2 Software。これはWindowsやMacでMPCを実現するソフトウェアであり、多くのMPC製品は、これを心臓というか頭脳として使う形になっています。まさに、各MPCハードウェアはMPC2 Softwareのコントロールサーフェイスとして機能する形になっているわけです。

Windows/Macで動かすMPC2 Software。MPC KEY 37をコンピュータモードにすることで連携する

では、内部にコンピュータ機能を持ったMPC KEY 37の場合どうなのか?MPC KEY 37にはコンピュータモードというものがあり、この状態にした上で、USBケーブルを用いてWindowsやMacと接続することにより、その頭脳をコンピュータに委ねてしまうことができるようになっているのです。

この場合、WindowsやMacではMPC2 Softwareを起動させるのですが、MPC2 SoftwareとMPC KEY 37側はシームレスになっていて、ほぼすべての機能を同じように使えるようになっているのです。つまり、MPC KEY 37に搭載されているインストゥルメントやエフェクトもすべてMPC2 Software上で動かすことが可能であり、機能、性能も基本的に同じになっているのです。

オーディオインターフェイス機能搭載でDAWと融合

MPC KEY 37とWindowsやMacを接続した際に、もう一つ重要なポイントがあります。それはコンピュータ側から見てMPC KEY 37がMIDIデバイスであると同時にオーディオインターフェイスとして認識される、という点です。

具体的には2in/2outのオーディオインターフェイスとして使えるようになっており(サンプリングレートは44.1kHzに固定)、WindowsではASIOドライバ、MacではCoreAudioに対応する形で利用可能です。これを利用することで、スタンドアロンの場合もコンピュータ連携の場合も、まったく同じようにオーディオの入出力が可能になるのです。

2in/2outのUSBオーディオインターフェイスとしても機能するMPC KEY 37

とはいえ、当然のことながら今のWindowsやMacのほうが、よりパワフルなCPUやメモリ、ストレージを搭載しているわけですが、このことはどんな意味を持つのでしょうか?

実はMPC2 SoftwareがVSTやAudioUnitのプラグインに対応しているため、MPC KEY 37本体にはないさまざまなエフェクト、インストゥルメントが利用可能になります。

さらに、MPC2 Software自体がプラグインとして機能し、CubaseやAbleton Live、FL Studio、Logic…といったDAW上で動作させることが可能となっているのです。まさに、DAWと融合して使うことができるため、音楽制作の幅を大きく広げることが可能なのです。

MPC2 Softwareは各DAWのプラグインとしても使うことができるようになっている

以上、新たに誕生したMPC KEY 37についてざっと紹介してみましたが、いかがでしょうか?MPCをDTMでより積極的に活用したいと思っている人、DTMで制作したサウンドをそのまま外に持ち出してライブなどで利用したい、といった人には最高のツールの誕生だと思います。すでにMPC KEY 61という製品はありましたが、よりコンパクトで手ごろな価格で入手できる機材なので、どちらがいいかしっかり検討してみてはいかがでしょうか?

※2024.2.13修正
MPC KEY 37標準搭載の音源について、記事掲載後inMusic Japanとやり取りした結果、いくつか間違いがあったので、修正しました。具体的にはMPC KEY 37に標準搭載のINSTURMENTSは7つであり、そのほかに付属のクーポンを使うことでjuraまたはMini Dがもらえる形です。またオーディオインターフェイスのサンプリングレートは44.1kHz固定であることも記載しました。

【関連情報】
MPC KEY 37製品情報
MPC KEY 61製品情報

【AKAI Pro Japan公式動画】
MPC KEY 37 レビュー : KO-ney ✕ Nagipan First Impression | AKAI Professional
AKAI Pro Japan YouTubeチャンネル

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Commentsこの記事についたコメント

6件のコメント
  • gema

    こちらの記事を拝見して購入しましたが、
    OPx4やminiD, STAGE Pianoなど、写真にあるいくつかのプラグインはインストールされておらず、トライアルもダウンロード出来ないようです。デフォルトのプラグインは少ないのではないでしょうか?
    また、設定を色々みたり、Macに接続しましたが、オーディオインタフェースとしても使用出来ないようです。

    2024年2月11日 12:49 AM
  • 藤本 健

    gemaさん

    私の手元に機材があるわけではないので、inMusicのほうに確認しております。連休明けになってしまうかもしれませんが、
    もうしばらくお待ちいただけますか?またminiDについてはデフォルトで入っているわけではなくクーポンを使って追加するものだと聞いております。juraを選ぶかminiDを選ぶ形になるかとは思います。

    一方オーディオインターフェイスにする場合は、MPC KEY 37をコンピュータモードにする必要があると思いますが、なっているでしょうか?その点確認してみてください。

    2024年2月11日 3:44 PM
  • gema

    ご確認頂きありがとうございます。
    昨日、「PREF→ACTIVE PLUGINS」でiMusicのIDでログインして、Opx4やminiDなど、複数のプラグイン
    が「Get Trial」状態になっていてダウンロードを試みましたが、エラーになってしましました。
    本日再度行ったところ、GetTrialになっているすべてのプラグインがダウンロード出来て、鳴らすこと出来ました(写真の「MPC KEY 37でデフォルトで用意されているINSTRUMENTS」のプラグインや、miniD, Juraも全てダウンロード出来ました)。
    ただ、ダウンロードしたすべてが「Trial -9(or10) days left」となっており、購入して2日目ですが、トライアル9日、または9日が過ぎていると表示されています。結局デフォルトは、7〜8プラグインで、他は購入しないといけないように見えます。

    > 一方オーディオインターフェイスにする場合は、MPC KEY 37をコンピュータモードにする必要があると思いますが、なっているでしょうか?その点確認してみてください。

    こちらは私がオペレーション理解しておりませんでした。コントローラモードというのに切り替えたところ、オーディオインタフェースとして機能しました。
    ただ、44.1KHzしか対応しておらず、24bit, 48KHzで動作することを期待していたので、その点残念でした。
    本当は、スタンドアロンモードで、PCのDAWのオーディを出力しながら同時に使用したいと思い、期待して購入したのですが、モードを切り替えて、PCのMPCソフトウェアをコントロールできるようにしてオーディオインタフェースが使用する、というようです。

    2024年2月11日 9:22 PM
  • 藤本 健

    gemeさん

    諸々のレポートありがとうございます。今回の記事、私も発売前の機材をinMusic Japanで見せてもらって、少し触るとともに、inMusicからもらった資料を元に記事を書いて形でした。そのため情報不足だった点がいろいろあったようで、ご迷惑をおかけしました。11日にinMusicに問い合わせメールは出していますが、連休でまだお返事がいただけていない状況です。追加情報も含めて確認してもらおうと思います。

    2024年2月12日 5:55 PM
  • 藤本 健

    gemeさん
    お返事がおそくなりました。やはり標準搭載の音源は7つであるとのことでしたので、その点修正いたしました。またサンプリングレートも44.1kHz固定とのことでしたので、その旨、記載しました。大変ご迷惑をおかけしました。

    なおmini Dまたはjuraについてはクーポンを使うことで利用可能になるはずです。無料プラグインの入手方法のページにあるので、それを参考にしてみてください。うまくいかない場合はinMusicのサポートに問い合わせてみてください。

    2024年2月13日 2:44 PM
  • gema

    返信遅くなりました。
    早々のご確認、記事の訂正を頂きありがとうございます。
    今回、急遽の発売でメーカーHPでも情報が少なかったのもあり、メーカー自体も色々と混乱していたんだろうと思っております。

    私はMPC製品の購入は初めてで、スタジオにシンセとハードシーケンサーを持っていくことを前提にこちらのKEY37を購入しましたが、自宅に据え置きで考えている方は、標準搭載が豊富なKEY61の購入がおすすめですね(直近値下げもしているようですし、お得ですね)。

    KEY37は、音源の標準搭載が少なくお得感が無かったのは残念ですが、多機能で強力なソフトシンセのHYPEや、ODYSSEYのようなアナログソフトシンセが標準搭載されており、しばらくはこのまま遊べそうです。
    また、ソフトシンセなので音のクオリティは落ちるのではと思いましたが、音質が良いのも嬉しかったです。
    そしてこれは購入しないとですが、STAGE PIANOのクオリティは秀逸で、いつかセールになったときに購入したいと思います。

    オーディオインタフェースが44.1KHz固定なのは、ライブではこのクオリティで問題ないという判断なのでしょう。

    まずはMPCワークフローを勉強して、KEY37単体でどこまでできるか試してみようと思います。

    最後になりましたが、
    いつもシンセ情報記事を参考にさせてもらっております。
    特に、他社にない詳細な情報が書かれていてありがたいです。
    これからも応援しております!

    2024年2月15日 12:55 PM

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