昨年11月に発売になり、一部で話題になっている「πλ²」という小さなシンセサイザをご存じですか? 手のひらに乗るとっても小さなシンセサイザでπλ²と書いて「ピーエルスクエアド」と読むんだそうです。

サイズ的には45mm×45mm×27mmでたったの30g。MIDIの入力端子が1つと、RCAピンジャックのオーディオ出力が1つ、それに電源用のMicroUSBが1つというだけのシンプルな構造。しかも、MicroUSBを使わずにMIDIからの電源供給が可能という前代未聞の音源なのです。気になっていただけど、品不足でなかなか入手できなかったのですが、年末無事手に入れることができたので、どんなものなのか紹介してみたいと思います。


手のひらに乗るとっても小さなシンセサイザー、Ploytecのπλ²(ピーエルスクエアド)
 
このπλ²を一言で紹介すれば、「MIDIで動く2オシレータのアナログ・デジタルのハイブリッドシンセ」。市販のMIDI搭載ハードウェアシンセとしては、おそらく世界最小なのではないでしょうか? 以前コルグから発売されたmonotronもとっても小さいなアナログシンセサイザと言われていましたが、そのmonotronと並べてもさらに小さいですからね。


KORGのmonotronと並べてみてもずいぶん小さいことが分かる 

まあ、monotronの場合はそれ自体で演奏までできる完全な楽器となっているのに対し、πλ²の場合はMIDI接続し、シーケンサやキーボードから演奏情報を送る必要があるので、この2つを直接比較するというのは、正しくないのかもしれませんが……。

すでに、いろいろな方がπλ²の演奏ビデオなどをUPされていますが、島村楽器のサイトで、キーボーディストの坂上暢(@metpatheny)さんが掲載されていたビデオが分かりやすかったので、以下に掲載しておくので、ぜひご覧になってみてください。坂上さんによる解説記事もあるので、併せてご覧いただくといいと思います。


坂上さんによるデモビデオ

このπλ²が面白いのは、やはりMIDIからの電源供給ができるため、まるでMIDIケーブルをオーディオケーブルに変換するコネクタのように使えてしまう、という点ではないでしょうか?そう、MIDIの出力がそのままオーディオ出力として使えてしまう、というわけです。


MIDIをオーディオに変換するコンバータのように使うことができる 

確かに考えてみればMIDIケーブルにも+5VとGNDの信号が通っているので、これを電源に使ったというわけですが、そんな発想はなかったので、このアイディアにはビックリです。でもMIDIの規格から考えて、これから電源供給するって、ちょっと反則ワザのような気もするのですが……。まあ、反則ワザなだけに、100%の機器でMIDIの電力供給を保証しているわけではなく、そのためにMicro USBによる電源供給を用意しているみたいですね。


片方にはMIDI入力端子が搭載されている


反対側にはRCA ピンのオーディオ出力と電源供給用のMicro USB端子が搭載されている

さっきの坂上さんのビデオで、音の雰囲気は分かったと思いますが、πλ²がアナログとデジタルのハイブリッドであるとは、どういう意味なのでしょうか? 本体カバーをうまく外すことができなかったので、内部を確認することはできませんでしたが、メーカーであるドイツのPloytecは内部のブロックダイアグラムを公開しており、これを見ると、基本的にはデジタルシンセであり、フィルタ部にデジタルのものと別にアナログのフィルタも搭載されている、という構造のようですね。


πλ²のブロックダイアグラム

ただ、国内の代理店であるDirigentのサイトにあった開発者インタビュー記事を読むと「ウェーブテーブルを持たず、アナログの矩形波が125KHz/8bitのデジタルフィルターを通って、最後にアナログフィルターを通過します。その結果、出てくる音は時にCommodore 64のSIDチップにも似たクールな電子音で、まさに今ベルリンで流行している音になりました」とあるので、オシレータ部もある意味アナログ的なものになっているようです。

2オシレータとなっているので、モード変更によりモノフォニックシンセにもポリフォニックシンセにもなります。ただポリにした場合、同時に出るのは2和音までなわけですが……。

MIDIを使って操作するだけに、単にノート情報を送って演奏するというだけでなく、すべてのパラメータをMIDIのコントロールチェンジを使って制御し、音色をエディットすることが可能になっています。このπλ²に割り当てられているコントロールチェンジは以下の通りです。


πλ²のエディターソフトの画面
 
また、これらのパラメータをPCの画面上でコントロールできるようにしたエディターソフトもWindows用、Mac用それぞれ無料で公開されているので、これらを使っていじってみるのも分かりやすいですね。

ただ、このエディターソフトを使ってみたところ、πλ²で利用できるパラメータすべてがコントロールできるわけではなさそうです。2013年1月6日にダウンロードしたバージョン番号を見ても0.9.2となっていますから、まだ発展途上なのかもしれませんね。

ところで、「このPloytecってメーカー、どこかで聞いたことがある」と思った方もいるのではないでしょうか?同社はUSBオーディオのドライバを作るメーカーであり、たとえば最近だとTASCAMのUS-366のドライバを開発していたのが同社です。またSteinbergブランド以前のヤマハのオーディオインターフェイスのドライバを作っていた時期もありました。


TASCAMのUS-366のドライバインストール画面。このドライバもPloytecが開発したもの

またUSB Class Audio 1.0のオーディオインターフェイスをASIO化する「USB-ASIO」というドライバがフリーウェアで配布されて、広く使われていた時期もあったので、使ったことがある方も少なくないのではないでしょうか?そのPloytecが半分遊びで開発したのが、このπλ²だったわけですね。

今後ファームウェアをアップデートさせることでπλ²の機能強化を図る、ということも明言されているので、どんな進化をしていくのかも楽しみなところです。

【関連サイト】

【価格チェック】
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