手のひらに乗るとっても小さなシンセサイザー、Ploytecのπλ²(ピーエルスクエアド)
このπλ²を一言で紹介すれば、「MIDIで動く2オシレータのアナログ・デジタルのハイブリッドシンセ」。市販のMIDI搭載ハードウェアシンセとしては、おそらく世界最小なのではないでしょうか? 以前コルグから発売されたmonotronもとっても小さいなアナログシンセサイザと言われていましたが、そのmonotronと並べてもさらに小さいですからね。
坂上さんによるデモビデオ
このπλ²が面白いのは、やはりMIDIからの電源供給ができるため、まるでMIDIケーブルをオーディオケーブルに変換するコネクタのように使えてしまう、という点ではないでしょうか?そう、MIDIの出力がそのままオーディオ出力として使えてしまう、というわけです。
確かに考えてみればMIDIケーブルにも+5VとGNDの信号が通っているので、これを電源に使ったというわけですが、そんな発想はなかったので、このアイディアにはビックリです。でもMIDIの規格から考えて、これから電源供給するって、ちょっと反則ワザのような気もするのですが……。まあ、反則ワザなだけに、100%の機器でMIDIの電力供給を保証しているわけではなく、そのためにMicro USBによる電源供給を用意しているみたいですね。
さっきの坂上さんのビデオで、音の雰囲気は分かったと思いますが、πλ²がアナログとデジタルのハイブリッドであるとは、どういう意味なのでしょうか? 本体カバーをうまく外すことができなかったので、内部を確認することはできませんでしたが、メーカーであるドイツのPloytecは内部のブロックダイアグラムを公開しており、これを見ると、基本的にはデジタルシンセであり、フィルタ部にデジタルのものと別にアナログのフィルタも搭載されている、という構造のようですね。
ただ、国内の代理店であるDirigentのサイトにあった開発者インタビュー記事を読むと「ウェーブテーブルを持たず、アナログの矩形波が125KHz/8bitのデジタルフィルターを通って、最後にアナログフィルターを通過します。その結果、出てくる音は時にCommodore 64のSIDチップにも似たクールな電子音で、まさに今ベルリンで流行している音になりました」とあるので、オシレータ部もある意味アナログ的なものになっているようです。
2オシレータとなっているので、モード変更によりモノフォニックシンセにもポリフォニックシンセにもなります。ただポリにした場合、同時に出るのは2和音までなわけですが……。
MIDIを使って操作するだけに、単にノート情報を送って演奏するというだけでなく、すべてのパラメータをMIDIのコントロールチェンジを使って制御し、音色をエディットすることが可能になっています。このπλ²に割り当てられているコントロールチェンジは以下の通りです。
ところで、「このPloytecってメーカー、どこかで聞いたことがある」と思った方もいるのではないでしょうか?同社はUSBオーディオのドライバを作るメーカーであり、たとえば最近だとTASCAMのUS-366のドライバを開発していたのが同社です。またSteinbergブランド以前のヤマハのオーディオインターフェイスのドライバを作っていた時期もありました。