ソフト版も登場!?KDJ-ONEの驚くべき戦略

先日、ゲーム機風DAW、KDJ-ONEが間もなくクラウドファンディングという形でネット上での販売が開始されることをお伝えし、大きな反響になりました。今日現在、まだ値付けについては検討中とのことですが、KDJ-ONEの開発元であるサイバーステップの社長、佐藤類さんによると「5万円を切る価格に設定したい」、と話していたので、期待できそうです。

一方、標準タイプとは別にカラーバリエーションも用意されるようです。まだデザインしたばかりだという画像がこれ。そう某レトロ・ゲーム機風カラーのKDJ-ONEも登場するようなので、これは魅力的ですよね。

レトロゲーム機風カラーのKDJ-ONEも登場する

さらに、このレトロゲーム機の海外版のカラーリングのKDJ-ONEも用意するそうですよ。そうKDJ-ONEは国内だけでなく、海外でも大きな話題になっています。だからこそ、海外でも購入できるネットの販売方式としてまずはKickstarterを利用するわけですが、そうした人たちにウケそうなのがこのカラーなんでしょうね。


海外版レトロゲーム機風カラーのKDJ-ONEも登場する予定 

ところが、KDJ-ONEが目指しているのは、単に1つのガジェット楽器というところに留まらないようですよ。改めてデモなどを見せてもらってちょっと驚いたので、新たに分かった情報をピックアップして紹介してみたいと思います。


標準モデルは無地の白になる

まずは、この下の画面見てみてください。お分かりになりますよね?そう、これウチのMac mini(OSはまだアップデートしてないのでMac OSX 10.9 Mavericksですが)で動かしたものなのですが、KDJ-ONEの標準的な機能すべて動いているのです。もちろんMac版だけでなくWindows版もあり、Windows上でも同じように動かすことができます。


Mac上で起動するKDJ-ONEのソフトウェア版

まだ、アルファ版の段階なので、仕様や画面内容なども、これから大きく変わる可能性はあるとのことでしたが、こんなものが存在していたとは驚きです。これは完全にスタンドアロンのソフトとして動いており、KDJ-ONEのハードとの接続は不要。

でもここでいろいろな疑問が頭に浮かんできます。「ハードであるKDJ-ONEと、このソフト版の関係はどうなっているのか?」、「ソフトがあれば、ハードは不要かも!?」、「これってソフト単体で発売されるのだろうか?」……。

3年前にKDJ-ONEの開発をしているという話を聞いたときから、「KDJ-ONEのシステムはPCで開発し、それをハードに移植している」とは伺っていました。しかし、まさか、こんな形でユーザーが使えるソフト版が登場してきたのには、正直ビックリしました。


サイバーステップの社長、佐藤類さん 

まだ詳細が決まっているわけではないのですが、ハードのKDJ-ONEを購入した方には、ソフト版も付属する形にしようかと思っています。KDJ-ONEはPCと接続すると機能が拡張され、さらに高度な使用方法ができるようになります」と佐藤さん。


ハード版にはPCにはない、ゲーム機風なピッチレベル、モジュレーションコントロールができる操作子もある…

ちなみに、このソフトを起動すると、PCのキーボードがKDJ-ONEのハードのキーの役割を担い、演奏したり各種操作ができます。またマウスホイールがKDJ-ONEのロータリーエンコーダーの役割となるなどそれなりに快適に使えます。さらに、USB-MIDIキーボードを接続しておけば、これを使って演奏することもできますよ。このUSB-MIDIキーボードが利用できるというのはハードのKDJ-ONEでも同様です。ここにはUSB端子があり、ここにキーボードを接続すれば使えちゃうのも楽しいところですね。


KDJ-ONEの開発を担当した取締役の大和田豊さん 

一方、3年前に話を伺ったときには、KDJ-ONEのハードをPCとUSB接続すると、KDJ-ONE側をVSTプラグインの音源として使える仕組みも用意するというアイディアがありました。これはどうなったのでしょうか?開発を担当するサイバーステップ取締役の大和田豊さんによると、ソフト版の登場で、方針を少し変えたようです。
当初は、このハードをPCにUSB接続してプラグインの音源として使えるような設計にしていました。でもソフト版があるなら、これをプラグインとして使えるようにするのが効率的ですよね」とのこと。つまりCubaseやSONAR、StudioOneなどの各種DAWのプラグインとしてKDJ-ONEを組み込むことができる、というわけ。これなら、PCのDAWとKDJ-ONEが競合するどころか、協調することができそうです。

もちろんハード版、ソフト版のデータの互換性もあるので、PCでじっくり作った楽曲データをハード版のKDJ-ONEに持って行ってライブを行う…なんてこともできそうですね。


開発中のソフト版。KDJ-ONEのハードとUSB接続するとソフト側が機能拡張される

そんな話をしているときに、「ちょっと見てみてください」と言われて、開発ルームで見せてもらったのがこの写真です。分かりますか?ソフト版を起動している状態でKDJ-ONEのハードとUSB接続すると、画面が上下に広がると同時に連動して動くようになるんですね。まだプロトタイプであり、機能については、これからいろいろ詰めていくとのことですが、これはかなり楽しみですよ。

ちなみに、先日記事にした際、TwitterやFacebookなどで読者のみなさんからは「現代版のQYだよね」とか「ちょうどYAMAHAのQYの販売が完全終了したので、後継機種ですよねw」といったコメントが寄せられていたので、私の手元にあるQY70と並べて写真を撮ってみました。こうしてみると、確かに現代版QYといっていいかもしれませんよね。もちろん、性能・機能は遥かに向上し、使い勝手もすごく良くなっている上、コンパクトになっているわけですが……。

QY70と並べてみるとこんな感じ。新旧ガジェット型DAW対決! 

ところで、このKDJ-ONEについて、もう一つ大きな情報をキャッチしました。それは複数の著名クリエイターがKDJ-ONEのプロジェクトに参加しているということです。このKDJ-ONEは、パターンを作成し、それを6つのトラックに並べていくことでソングを作成するというシステムになっており、そのパターンを自分で作成するだけでなく、豊富なプリセットを利用できるというのも大きな魅力です。そのパターン作成をいろいろなクリエイター、ミュージシャンが行っているのです。

現在名前が出せる人としては、ゲームミュージック作曲家である細江慎治さん、DTMステーションにも何度も登場いただいている同じくゲームミュージック作曲家の佐野電磁さんなど……。今後、さらにクリエイターへの協力を仰ぐとのことなので、この辺も楽しみに待ちたいところです。以下に細江さんのメッセージビデオがあるので、ご覧になってみてください。

また、KDJ-ONEの操作方法に関するビデオも新たにアップされていました。これを見れば一通りの使い方が分かるので、参考になりそうですよね。

なお、11月に行われるIT系のイベントにサイバーステップが出展し、ここでKDJ-ONEの実機を触ることが可能になるそうです。1つはTechCrunch Tokyo 2014というイベントで11月18日、19日に渋谷のHikarie Hallで行われるもの、もう1つは11月24日に3331 Arts Chiyodaで行われるEngadget Fes Winterです。どちらもAOL Online Japanが主催する有料イベントではありますが、興味のある方は行ってみてもいいかもしれませんね。
【関連情報】
KDJ-ONE製品ページ

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