ちょうど1年前、「仙台の5人のベンチャーが開発した小型デジタルDJ機が秀逸!より高機能・低価格化してクラウドファンディング実施中」という記事で紹介したJDSoundGODJ Plusというオールインワンのポータブル・デジタルDJ機。そのクラウドファンディングを行ったMakuake(マクアケ)では、GODJ Plusは1292人のサポーターから過去最高額となる5,300万円を調達した、とニュースにもなりました。大成功となったクラウドファンディングの後、いろいろと苦労はされたようですが、3月末には生産がスタートし、1日約50~60台のペースで出荷が進んでいて、サポーターの元には続々と製品が到着していっているようです。

GODJ Plusの設計をJDSoundの会社がある仙台で行い、生産は石巻と、MADE IN 被災地で行っていることも話題となりましたが、4月中旬に1292人分の製品の生産が完了し、本日4月28日より一般に向けた販売がスタートしました。実際、GODJ Plusとはどんな機器なのか、気になる方も多いと思うので、先日、JDSoundの代表取締役である宮崎晃一郎さんにお話しを伺いました。



クラウドファンディングで大きな話題となったポータブルDJ機、GODJ Plusがまもなく一般発売に

--クラウドファンディングの大成功おめでとうございます。TwitterやFacebookなどを見ていても購入した知人が多く、「届いた!」といった声をよく見かけています。
宮崎:ありがとうございます。今まさに生産のほうが佳境に入っており、トラブルがないか、不具合がないかなど、ドキドキしているところですが、現在のところ順調に進んでいます。少しでも早くお届けするため、生産数アップなど改善を進めているところです。そのサポーターのみなさんへの出荷が完了したら、一般の方に向けての販売を開始したいと思っており、4月28日には発売できる見込みです。


GODJ Plusを開発したJDSoundの社長、宮崎晃一郎さん

--もともと、もっと小さいGODJという製品もありましたが、これとは併売であると考えていいんですか?また、それぞれの価格はどうなりますか?
宮崎:現行製品はGODJの廉価版であるGODJ-Cという機材で34,800円+税で購入することが可能です。一方で、今回新たに発売するのがクラウドファンディングを行ったGODJ Plusで、こちらは49,800円+税となっており、これらは今後も併売していく予定で、お好みに合わせて購入していただければと思います。


GODJ Plus(上)とGODJ-C(下)

--改めてGODJとはどんな機材なのか、そしてGODJ-Cと新しいGODJ Plusで何が違うのかを教えてもらえますか?
宮崎:GODJはコンパクトなポータブルDJシステムで、内蔵メモリやSDカードに音楽を入れて、これでDJを楽しめるオールインワンのシステムとなっています。数多くのDJの方々に使っていただきながら意見をいただき、改良に改良を重ねてきたものであるだけに、DJを楽しみたいというみなさんに自信を持ってお勧めできる機材です。GODJ-CもGODJ Plusも基本性能は同じですが、GODJ Plusのほうはアンプとスピーカーを内蔵し、これ単体でかなり迫力ある音量でDJを楽しめるというのが大きな違いです。また見比べてみても分かるとおり、GODJ Plusのほうにはノブが10個ディスプレイの上に並んでいるので、ここでEQのコントロールができたり、CueとMasterの調整をおこなったり、モニターレベルを調整できるのも大きな特徴です。



GODJ Plusのディスプレイ上部にはスピーカーと10個のノブが並んでいる

--ディスプレイの下にはパッドも並んでいますよね。
宮崎:そうですね。GODJにはドラム音源を鳴らす機能があり、液晶を叩いて鳴らすことも可能なのですが、GODJ Plusでは物理的なパッドを左右に8つずつ置いているので、より叩きやすくなっています。またクロスフェーダーだけでなく、縦のフェーダーも2つ並んでいるので、この点も使いやすくなっているところ。さらにCUEボタン、PLAYボタンが大きくなったことも、DJのみなさんには評価いただいています。そのほかピッチベンドボタンも物理的なものを搭載したので、使いやすくなっているはずです。こうした点は、写真で見比べてもらえれば分かるとおりのものでして、機能的には液晶画面でもできるものを、あえて物理的に触れるようにして使いやすくした、という感じです。


左右に8つずつのパッドとCUEボタン、PLAYボタンが配置されている

--入出力に違いはありますか?
宮崎:GODJ-Cでは出力がミニジャックだったのが、GODJ PlusではRCAのラインアウトに変更になっています。そのほかのヘッドホン出力、マイク入力、ライン入力に関してはいずれも同じですね。一方で、GODJ-CではUSB MINI-Bの端子だったのがmicro USBになったほか、USB Aの端子も搭載しています。このうちUSB MINI-Bとmicro USBは基本的には同機能であり、電源供給と内蔵バッテリーの充電用、またPCとの接続用に使用するものです。一方、USB Aの端子にはUSBメモリーを刺せるようになっているんです。GODJ-CにもGODJ PlusにもSDスロットがあるので、SDカードにWAVやMP3などのデータを入れて使うことが可能ですが、これに加えてUSBメモリーでもデータを扱えるようにしているのです。さらにGODJ PlusではWi-FiやBluetoothに対応したのも大きな機能的な違いとなっています。



GODJ Plusのオーディオ出力はRCAのライン出力になっている

--Wi-FiやBluetooth機能が中に入っているのですか?
宮崎:Wi-FiやBluetoothもUSBにアダプタを取り付けることで使えるようになる、というものです。このWi-Fi機能は、PCがなくても、ここに直接音楽をダウンロードして使えるようにするため、という目的で搭載しました。具体的に、どの音楽ダウンロードサービスと連携させるかについては、現在各社と交渉中であり、実現可能になったところでファームウェアのアップデートの形で提供していく予定です。ダウンロードだけでなく、ストリーミングにも対応できれば……と目論んでいるところですが、詳細についてはもう少しお待ちください。一方、Bluetoothにおいては2つの使い方を可能にしています。ひとつはせっかく持ち運べるコンパクトなDJ機材なので、クラブ内を歩き回っても使えるように、外部のBluetoothスピーカーから音が出せるようにする、というものです。もう一つは反対に、外部機器から信号を受けて、GODJ Plus自体をBluetoothスピーカーとして鳴らせるようにする機能です。ライン入力からも信号を受けることが可能ですが、それに加えてBluetoothでも同様のことを可能にしたわけですね。



SDカードスロット、micro USB端子に加え、USB A端子もあり、USBメモリ、Wi-FiやBluetoothアダプタが利用できる

--その内蔵スピーカーについてもお伺いしたいのですが、ここで鳴らすとかなり莫大な音量が出ますよね。
宮崎:このスピーカーについては、石巻にある生産ラインである工場とかなりのやり取りをしながら調整していきました。もともと、この工場はソニーのウォークマンを生産していたところなので、オーディオに関するノウハウはかなり持っているんです。ただ震災以降、仕事が減っているという話を、仙台の市役所から伺って紹介してもらった経緯があるんですよ。被災地の企業同士でタッグを組んでいこうと力を合わせているところですが、このスピーカー部では真ん中にパッシブラジエーターがあり、150Hz以下の低音をここで出しているのが特徴です。ただ1kgという軽い筐体で重低音を出すと、どうしても振動してうまく音が出せなかったんです。そこでPORONという振動吸収体を用いてスピーカーを浮かせて、完全に固定されていない状態にしたんです。さまざまな硬さのPORON材を入手しmm単位の調整を何度も何度も行った結果、大音量でも音割れが発生しない構造を実現することができました。


DJプレイは液晶ディスプレイに表示されるターンテーブルなどを使って操作する

--石巻の工場の話や、これまでのGODJ、GODJ Plusの開発の経緯などの話が、先日Timelineのビデオで紹介されていましたよね。知っているつもりではいましたが、あのビデオを見るとなかなかグッと来ますよね。
宮崎:Timelineさんには、たまたまお声がけをいただき、わざわざ仙台や石巻にいらして、取材して、2回に分けてビデオニュースにしていただきました。本当にありがたいことです。ぜひ、こうしたビデオによって、多くの人にわれわれの活動を知っていただければと思っているんですよ。


TimelineのFacebookページより


TimelineのFacebookページより

--DTM的な視点でいうと、先ほどのドラム音源に加え、ピアノ音源やギター音源もあるのも気になります。
宮崎:DJで楽曲を鳴らしながら、それに合わせて弾けるようにドラム、ピアノ、ギターの3つの音源を搭載していますが、GODJ-Cではドラム音源のみとなっていて、ピアノとギターは使うことができません。ここがソフト的な機能の違いになっています。この中のドラム機能はGODJ Plusではパッドを使えるので、かなり気持ちよく叩けるし、レイテンシーもまったく気にならないレベルまでつめているので、ぜひ触って確かめてみてください。こうした機能の違いとしては、GODJ PlusではAACに対応していること大きなポイントです。このAAC対応はMakuakeでのストレッチゴール達成で搭載することをお約束したもので、ここにはかなり開発パワーをかけました。このAAC対応により、iTunesやレコチョクなどで購入した楽曲をそのままGODJ Plusに取り込むことが可能になりました。


GODJ Plus、GODJ-Cに搭載されているドラム音源、シーケンスパターンを組んで使うことも可能

--機能についてはファームウェアで更新できるというお話でしたが、今後、GODJ-C、GODJ Plusともまだまだ機能アップしていくと考えていいですか?
宮崎:これまでのところ、ファームウェアアップデートについては無償で行ってきました。今後も基本性能の向上やバグフィックスなどは無償で行っていく方針ではありますが、たとえばエフェクトの追加やハイレゾデータへの対応などの新機能については、有償にて行うことも検討しているところです。われわれとしても小さな企業で、開発にかなりのパワーが掛かるので、そうしたご協力をお願いする一方、このハードウェアでさらに新しいサービスをお楽しみいただけるように、力を入れていきたいと思っているところです。ぜひ、ご期待いただければと思います。


さまざまな画面が用意されており、細かな設定、細かな操作までが可能になっている

--ありがとうございました。

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ゲーム機風DAWのKDJ-ONEがJDSoundによって製造される!?

ところで、クラウドファンディングという話から、以前、DTMステーションでも何度かとりあげたゲーム機風DAW、KDJ-ONEについて思い出した……なんて方も少なくないと思います。私もサポーターとしてKDJ-ONEを1つ申し込んだのですが、クラウドファンディング実施してから2年以上経った今も、まだ完成に至っておらず、メーカーであるサイバーステップも苦労しているんだな……と思っていたところです。


製造について大幅に見直し、KDJ-ONEの生産にようやくメドがついた

そんな話を雑談的に、宮崎さんにお話ししたら、驚くような回答が返ってきたんです。「実はまだ公開されてないんですが、うちでKDJ-ONEの生産を請け負ったんですよ」と! その数日後、サイバーステップからも、JDSoundにKDJ-ONEの生産を委託したことが発表された次第。実際に手元に届くのは、まだもうちょっと先になりそうとのことですが、こんなつながりがあったんですね。また、詳細情報が入ったらお伝えしようと思います!

【追記】2017.5.1

4月30日に行われたM3にKDJ-ONEが企業ブースとして出展した

残念ながら私は参加できなかったのですが、4月30日に開催されたM3=音系・メディアミックス同人即売会において、JDSoundが生産を請け負って作り直しているKDJ-ONEが一般にお披露目されました。氏家克典さんがデモをするとともに、4台の新マシンが展示され、好評だったとのこと。完成を楽しみに待ってます!


M3開催の前日、KDJ-ONEブース設営完了時の写真

【関連情報】
GODJ Plus製品情報(Makuake)
GODJ-C製品情報
KDJ-ONE製品情報

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