DTMステーションでも、これまでさまざまな角度から紹介してきた、日本生まれのユニークな電子楽器、インスタコード(InstaChord)。そのインスタコードの姉妹製品として、ギターが弾けなくても弾き語りができてしまう新製品、ストラモ(Strummo)が誕生し、現在Makuakeで応援購入という形で先行予約販売が行われています。この応援購入は2026年8月23日22:00までの受付で、税込価格が24,800円。来年5月以降の一般販売が予定されており、その時点での市場想定価格は30,000円程度とのことです。インスタコードも指1本でコードが弾ける電子楽器として、大きな話題になってきましたが、斬新な電子楽器であったが故に敬遠していた人もいるかもしれません。
ストラモもボタンでコードを選んで、じゃら~んって弾くこと自体は同様ですが、もっと気軽に簡単に、まったく楽器経験がない人でも、ギターのような弾き語りができてしまう、という製品。見た目も小さなギターというか、ウクレレ風で、基本的にギターサウンドで演奏できる、というものです。このストラモを開発したInstaChord代表の永田雄一(ゆーいち)さんに、開発の背景や製品コンセプトについて話を聞くことができたので、実際ストラモがどんなもので、インスタコードと何が違うのか、またDTMユーザーにとってストラモを導入するメリットなど、いろいろ伺ってみたので、インタビュー形式で紹介していきましょう。
ストラモとは何か? DTM機器ではないけれど
ーーまずはストラモとは何なのか教えてください。
ゆーいち:ストラモは、ギターの形をした新しい電子楽器です。左手で数字のボタンを押さえて、右手でストラムパッドを、ジャラ~ンと撫でるだけで、コードを鳴らしながら弾き語りができます。コードを覚える必要も、複雑な指使いも必要ありません。もともと弊社で出している「インスタコード」という電子楽器の姉妹製品にあたるんですが、あちらよりもさらに機能を絞り込んで、まったく楽器経験がない人でも気軽に手に取れるようにした製品です。見た目もウクレレぐらいのコンパクトなサイズにしています。
ーーこれはDTM機器ではないんですよね。
ゆーいち:そうですね、USBでMIDIが出るという話ではないんです。ただ、電子楽器ではありますし、DAWにつなげて使うこともできます。
ーーどうやってつなぐんですか?
ゆーいち:オーディオインターフェースにつないで、アンプシミュレーターを通すという形で、普通にオーディオを入力することになります。DTMをやっているけれどギターは持っていない、ギターは弾けないという人にとって、アンプシミュレーターの音を今まであまり楽しめなかったと思うんです。それが、ストラモならジャーンと鳴らせるようになります。
ーー確かに数多くあるアンプシミュレーター、ギターを持っていて弾けるのが前提になりますもんね。
ゆーいち:アンプシミュレーターって無料でも色々ありますが、ギターを弾けないと「ギュイーン」、「ジャーン」ってかき鳴らすことはできないじゃないですか?でもストラモがあれば、ギターを弾けない人でも、ジャーンって鳴らす快感を味わえるんです。AIで何でもできる時代だからこそ「楽器の価値」は高まるんじゃないかと思います。自らの身体を動かして音のフィードバックを感じられる物理デバイスの体験価値を私自身も再確認しましたね。
名前の由来
ーー今回の名前、ストラモですが、どんな意味なんですか?
ゆーいち:「strum」は英語でギターをジャランと掻き鳴らす、という意味の動詞です。ストラミングとかストラムという言葉自体は日本語にはないですけど、英語圏だとギターのあの動作をイメージさせる言葉なんです。それに「モダン」「ムーブ」「モバイル」「エモーション」といった意味を持たせた「MO」をつけました。アクティブで楽しくて可愛い、そういう複数の意味を込めた造語で、語呂もポップになるようにしています。
ーーストラモはゆーいちさんによる造語なんですね。
ゆーいち:特に英語圏での聴こえ方の良さを意識して作ったので、日本人にどう受け入れられるかはあまりリサーチしていなかったんですが、実際に出してみるとみんな普通に「ストラモ、ストラモ」と呼んでくれています。カタカナにすると、ちょっと可愛いんですよね。英語的には「ストラ」にアクセントが入るんですけど、日本語的にも発音しやすいみたいで、意外に受け入れられている印象です。
インスタコードとの違い
ーーインスタコードと比べて何がどう違うんでしたっけ?
ゆーいち:インスタコードはMIDI音源を鳴らしているので、GM準拠で128音色使えます。一方でストラモは、ギター音をオリジナルでサンプリングした専用音源で、音色数は7種類に絞っています。
| 項目 | インスタコード | ストラモ |
| 主な用途 | PCを使った作編曲やライブパフォーマンス向け | 気軽な弾き語り向け |
| 価格 | 42,800円 ※近日値上げ予定 |
先行予約価格 24,800円 市場予想価格 30,000円程度 |
| 弾けるコード | 140種類以上 メジャー、マイナー、7、m7、Maj7、6th、sus4、dim7、m7-5、aug、各種オンコード |
96種類 メジャー、マイナー、7、m7、Maj7、6th、sus4、dim |
| 内蔵音色 | 128音色 General MIDI 準拠 |
6音色 リアルなサンプリング音源 |
| ストラムセンサー | 感圧パッド 繊細な演奏向き(特許取得) |
ストラムタッチ 撫でるように弾ける光るセンサー |
| 出力端子 | 3.5mm ミニ | 6.3mm 標準 ギターアンプ直結可 |
| サイズ・重さ | 全長42cm・約680g | 全長38cm・約450g |
| MIDI出力 | あり | なし |
| メロディ演奏 | あり | なし |
| ルーパー機能 | あり | なし |
| 左利き用の配置 | あり | なし |
ーースタンスも結構違うんですよね。
ゆーいち:はい。インスタコードは電子楽器という文脈の製品で、電子楽器として必要な機能をいろいろ盛り込んでいます。逆にストラモは、電子楽器を知らない人でもさっと触れる、たとえばウクレレを触っていた人が次に手にする、そういう楽器文脈の延長線上にある製品というスタンスにしています。だから機能をとにかく絞っていて、カスタマイズという概念自体をなくすぐらいの思想で設計しています。インスタコードのほうができることはずっと多いので、「こんな機能はないの」と言われたらそれはインスタコードにあります、という切り分けをしています。
なぜ今、海外展開なのか
ーー名前も英語圏に響くように作ったという話でしたが、海外に出ていくという意識がかなり強くあるんですね。
ゆーいち:そうですね。もともと、グローバルに出せる製品を作りたくてこのビジネスを始めたところがあります。インスタコード発売からもうすぐ5年経つんですが、ずっと日本国内でマーケティングテストをして、どんな機能が受け入れられるか、どんなフィードバックがあるかをリサーチしてきた段階でした。品質面の課題も含めて、いろいろ分かったこともあります。
今のところ会社としては、これまでの形でのインスタコードのグローバル展開はしない方針にしています。今までのフィードバックを踏まえて、よりグローバルに出しやすく、生産性も含めて考えた製品として、その第一弾がこのストラモというわけです。
価格とサイズ
ーー金額的にインスタコードとストラモを比べるとどうなんでしたっけ?
ゆーいち:インスタコードは現在税込42,900円です。この金額を維持するのも正直難しい状況ではあります。ストラモは一般販売予定価格が28,000円前後になる見込みです。発売は2027年5月を予定していて、その時の物価や情勢によって多少前後する可能性はあります。Makuakeでは24,800円で応援購入を募集しています。直販だからこそ実現できる価格ですね。
ーーMakuakeはいつからスタートしたんですか?
ゆーいち:5月28日にスタートしました。実は6年前のインスタコードのクラウドファンディングもまったく同じ日付だったんですが、これは狙ったわけではなく偶然です。締め切りは8月23日の22時までとなっています。
ーーサイズ面はどうですか?
ゆーいち:全長は38cmで、インスタコードの42cmより一回り小さくしています。ウクレレは一般的に52cm前後あるので、それより10cm以上短いことになります。カバンに入れて持ち運べるサイズにこだわりました。ギター型の電子楽器をそのままギターの大きさで作ってしまうと「ギターのおもちゃ」になってしまうので、そうではなく、どこにでも持ち運べて、家でもどこにでも置いておける。そのおかげで演奏がいつでも身近にある生活を実現できるんじゃないかと思っています。
触ってみて:光る静電容量センサーの正体
実際にストラモを試奏させてもらいました。電源を入れるとストラムパッドが光り、指で軽く触れるだけで音が鳴ります。ストラムパッドには弦の太さの凹凸があり、本当に弦をはじいているような感触が指に伝わります。そして手のひらでパッと触れるとミュートがかかる感触も新鮮でした。強弱の付け方によって表現も変わり、インスタコードを知っている人ほど「全然違う」と感じるはずです。
ーーこれ、まったく物理的には動いていないんですか?
ゆーいち:動いていないです。仕組みとしては、基板に開けたスリットの下から透明の樹脂を通していて、
静電容量センサーというと、スマホのようにオンオフだけのものを想像しがちですが、こういうセンサーは近接センサーとしても働いていて、指がどれくらい近づいたかという値も取れます。それでベロシティが取得できるわけです。この仕組みは特許出願中とのことです。
今後搭載予定の機能
ーースライダーのようなものも入っているんですか?
ゆーいち:静電容量センサーのスライダーも用意していて、電子キーボードのモジュレーションホイールやベンドホイールのような使い方を想定しています。半音まで上げるほどではないけれど、コードを少し揺らしたいというときに、アコースティックギターで左手をエッと動かすような感覚で使えるようにしたいと考えています。現状の製品説明においては「ベンド・ハンマリング・プリングオフには非対応」としていますが、できれば今後の搭載を目指していこうと、開発しています。
ギターアンプ直結で本領発揮
ーー出力端子はどうなっていますか?
ゆーいち:6.3mmの標準ステレオジャックです。出てくる音自体はヘッドホン出力兼ライン出力ですが、受け側でゲインを合わせてもらえればギターアンプなどにも対応できます。もうひとつの特徴として、サンプリング音源にエレキギターのピックアップから録った音、いわゆるテレキャスターのドライの音を入れています。これを普通にギターアンプにつなぐと、エレキギターの感覚で音作りができるんです。
ここ最近、ギターアンプのモデリングプラグインやアンプシミュレータがたくさん登場していますよね。ただ、あれはあくまでギターを弾ける人のためのツールで、ギターを持っていない人にとっては宝の持ち腐れになっていたと思うんです。ストラモなら、ギターがまったく弾けない人でも、ドライのエレキギター音をそのままモデリングアンプに通して音作りを楽しめます。ジャラーンとストロークするだけで、誰でも気持ちよく鳴らせる。DTMをやっている人にこそ、ぜひ試してほしいですね。もちろんMIDI出力や多彩なコード対応など、機能・性能面で言えばインスタコードのほうが間違いなく上です。でも、もっと手軽に、というところがストラモの価値だと思っています。
ギターを持っている人にとって、音作りは楽しみのひとつですが、DTMをやっていてギターを持っていない人にとっては、ちょっと憧れでもあると思うんです。最近は安価なポケットアンプシミュレータもたくさん出てきていますし、ギター用のコンパクトなマルチエフェクターも安価で購入できる時代です。そういうものを使って音作りを楽しめます。インスタコードと違ってメロディは弾けませんが、コードをギュイーンと鳴らすだけでも気持ちいいものです。
ーー7音色というのは、具体的に何が入っているんですか?
ゆーいち:スチール弦、ナイロン弦、ウクレレ(ナイロン弦の音域違い)、エレキギターのドライ(テレキャスター)、そして内部でエフェクトをかけたクリーンとドライブ、それにエレクトリックピアノを加えて7音色になります。ドライの音色を使えば、これだけで演奏用としても、外部アンプに通す用としても使えます。
サンプリング音源の秘密
ーーサンプリング音源の容量が気になるところです。
ゆーいち:インスタコードは512KBだったんです。今では考えられないくらい小さいんですけど、ストラモでも3MB程度に抑えています。今の時代からすると3MBはかなり少ないほうですが、サウンドフォントの考え方を使って、アタック部分の波形とループ部分の波形を組み合わせて音を作っています。ベロシティレイヤーもそこまで多くは持たせていません。
このエンジンは、bs-16iの開発で知られるbismarkさんに手がけてもらっています。bs-16iのエンジンをかなり軽量化してカスタマイズしたものを搭載しています。サンプリングレートは48kHz、16bitで処理していて、モノラルで十分なので容量を抑えられています。88鍵分をカバーする必要がなく、コード弾き用にギターの音域だけに絞れることも、サンプル数を減らせた理由のひとつです。今はメモリの価格が高騰していて、電子楽器メーカー各社が苦しんでいる時代なので、この軽さは大きなメリットになっています。
コード面の違い
ーーインスタコードと弾けるコード数も違うんですよね。
ゆーいち:はい、弾けるコードの種類が減っています。Augment、add9、m7-5、そしてオンコードには対応していません。インスタコードにあるメロディーモードのようなソロ演奏用の機能もありません。基本的にはストロークとアルペジオでコード弾きを楽しむ楽器という位置づけです。キー配置自体はインスタコードと共通で、選べるコードの数が絞られたことで、子供でもすぐ弾けるようになっています。
細かい話ですが、7番のボタンは実はちょっとトリッキーです。度数の5番を押しながら7番を押すと7thのコードになりますが、7度そのものはあまり登場しないコードなので、7番単体で押したときは7度そのもののコードが鳴るようにしています。ひとつのボタンに2つの役割を持たせているわけです。
海外のスマートギター市場との違い
ーー海外に出るという話でしたが、最近は中国のスマートギターもいろいろ出てきていますよね。そのあたりとの違いはどうですか?
ゆーいち:電子楽器を作れるメーカーがだいたい同じようなものを作っている状況ではあります。ただ、あちらは文脈がちょっと違っていて、カラオケ文脈の製品が多いんです。中国は日本以上にカラオケ文化が根付いていて、カラオケに合わせて伴奏も自分でできる、リッチな伴奏が半自動で出て、そこにコード選択がちょっと加わっている、という製品が多い印象です。
ストラモは自動伴奏はできませんし、どちらかというと自分で楽器を演奏したい人向けの製品です。あちらは音楽ガジェット、音ゲー的な楽しさがある製品で、その面白さを否定するつもりはありませんが、ストラモとは違う体験を提供するものだと思っています。この形がどの国で受けるのかは、正直まだやってみないと分からない部分もあります。ギターや楽器を弾くというベースがどれくらいあるかにもよりますし、アメリカだと「ギターじゃないから」という保守的な層も強そうです。むしろヨーロッパや東南アジアのほうが受け入れられるんじゃないかと今は考えています。
Makuakeでの応援購入について
ストラモは現在、Makuakeにて応援購入を受付中です。先行予約価格は24,800円(税込)で、一般販売予定価格の28,000円前後より手頃な設定になっています。締め切りは8月23日22時まで。お届けは2027年4月末を目安としていますが、2月末ごろのお届けを目指して開発が進められているとのことです。
なお、対談の収録後には、製品化に賛同したアーティスト9名によるコラボレーションモデルも発表されました。神園さやか、きゃすみる、工藤夕貴、小岩井ことり、トミタ栞、ピコ太郎、星野希望、宮本佳林、もりせいじゅの各氏がオリジナルデザインを手がけ、それぞれが選曲した専用楽譜も同梱されるとのことです。この点についてゆーいちさんに聞いてみると
ゆーいち:ファンの方はもちろん、デザインが気に入った方にもぜひチェックしてほしいですね。Makuake限定の受注生産になっています。
小さくて手軽、だからこそ生まれる演奏体験
ーー最後に何か言っておきたいことはありますか?
ゆーいち:小さくて手軽ということは、これまで楽器を弾くという場面がまったくなかった場所に、演奏という行動が生まれるということだと思っています。生活のいろいろな隙間に、演奏という体験が加わっていく。それは電子楽器だからこそ、小さな音でも大きな音でも鳴らせるからできることでもあります。シーケンスを組んで音楽を作る楽しみもありますが、自分の指で音を鳴らすという楽しみは、それとはまた違う、代えがたいものだと思っています。
ストラモは現在Makuakeにて応援購入を受付中で、締め切りは8月23日22時までです。ギターに憧れがあったけれど弾けなかったという人はもちろん、DTMでアンプシミュレーターを使いこなせずにいた人にも、ぜひ一度チェックしてみてほしい楽器です。
【関連情報】
ストラモ 応援購入ページ(Makuake)
ストラモ 公式サイト
【価格チェック&購入】
◎makuake ⇒ Strummo(ストラモ)












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