PCとの連携もバッチリ、アナログシンセ・Bass Station IIを内蔵するシーケンサ、Novation Circuit Mono Stationを使ってみた

昨年、Novationから発売されていた、Circuit Mono Stationという機材をご存知ですか?4×8のRGBパッドを持つこの機材、Launch PadのようなAbleton Liveなどを操作できるフィジカルコントローラのようにも見えますが、これはスタンドアロンでも動作するアナログシンセサイザ内蔵のシーケンサなのです。そう、Novationの人気アナログシンセサイザであるBass Station IIの音源部をそっくりそのまま内蔵すると同時に、それを自在にコントロール、演奏できるシーケンサ機能を備えた機材なのです。

もちろん、Novationの機材ですから、MIDIの入出力はもちろん、USB端子も搭載しており、MacおよびWindowsに接続して、PCとの連携して使うことも可能。またNovationからは専用のアプリケーションであるNovation Componentsが無償配布されており、これを使ってCircuit Mono Stationに記録された音色データやシーケンスデータなどを管理することも可能になっています。現在Novation製品の国内代理店はキョーリツコーポレーションとなっていますが、同社からそのCircuit Mono Stationを借りて使ってみたので、これがどんな機材なのか少し紹介してみましょう。


NovationのCircuit Mono Stationを使ってみた

KORG、Arturia、MOOG、Behringer……と各メーカーがアナログシンセサイザを発売して、いろいろと話題となっていますが、ある意味その火付け役ともなったのが2013年にリリースされたNovationのBass Station IIだったと思います。これは1990年代に発売されて大ヒットしたアナログシンセ、Bass StationをNovation自らが再設計して復刻させたもので、その音の良さから世界的にも爆発的人気製品となりました。


人気のアナログシンセサイザ、Novation Bass Station II

その一方で、Novationは同じグループ会社であるFocusriteのオーディオインターフェイス、Scarlettシリーズなどに、Bass Stationをモデリングしたソフトウェア版をバンドルしているので、こちらを使っているという人も少なくないでしょう。


Focusriteのオーディオインターフェイスなどにバンドルされるソフトシンセ、Bass Station

そのBass Station IIのアナログシンセサイザの音源を丸ごと内蔵する形でシーケンサ機能とセットなってリリースされたのがCircuit Mono Stationです。別の見方をすると、やはり以前から出ていたNovationのシーケンサ、Circuitに内蔵されていたデジタル音源をBass Station IIに載せ替えたのがCircuit Mono Stationなのです。


Bass Station IIとCircuitを合体させたのがCicuit Mono Station

まずは、Circuit Mono Stationの紹介ビデオを見ると、どんな機材なのか雰囲気がつかめると思います。単体で電源を入れれば即起動し、Cicuit Mono Station本体だけでシーケンスデータを作成し、内蔵のアナログシンセサイザで演奏をしていくことができるのが特徴。Bass Station IIの回路がそのまま搭載されているだけに、ぶっといサウンドを鳴り響かせることができるんですよね。

 

見ればわかる通り、Circuit Mono Stationの上半分はアナログシンセサイザそのものとなっており、ツマミを動かせば、即反応して、音が大きく変化してくれます。


6つの入力調整ができるMIXER部

MIXER部を見るとわかるとおり、Osc 1、Osc 2そしてSubと3つのオシレーターが搭載しているほか、Noiseジェネレーター、さらにはAudio Inも音源にすることが可能です。そう、Circuit Mono Stationのリアパネルには外部オーディオ信号をラインレベルで入力する端子があり、これをオシレーターとして使うことができるのです。

ミキサー部には6つの音源を入力できるようになっている

たとえばボーカルを入力した上で、Bass Station IIと同じ回路によるフィルターやエンベロープ、LFOなどを用いて声を変化させていくこともできるわけです。こうしたシンセサイザ全体を示すブロックダイアグラムを見ると流れが見やすいかもしれません。


Circuit Mono Stationの音源部のブロックダイアグラム

この中でBass Station IIにもない、ちょっとおもしろい構造となっているのがOsc 2です。Osc 2の出力スイッチをモード2に切り替えることで、ノイズとともに、フィルターを通さずにミックスされ、Osc 1とは別の動きをさせることが可能になっているのです。そう単なるモノフォニックシンセではなく、2つ独立した音が出せるパラフォニックシンセとなっているのです。


2つの音を独立して出せるパラフォニックシンセサイザとなっている

まあ、簡易的に2音が出るだけなので、あえてポリフォニックではなくパラフォニックと呼んでいるようですが、2音を独立させられるというのは大きな特徴だと思います。

一方、そのフィルターはブラックダイアグラムにもあったとおり、2段階の構造で、12dBと24dBを切り替えられるようになっています。またLow Pass、Band Pass、High Passの3種類を切り替えることが可能で、それぞれで大きく異なるサウンドづくりができるようになっているのです。


フィルターはモード切替によって、大きく特性が変わる

これをCircuitと同じUIのパッド型のシーケンサを使ってプログラムを組んでいくことが可能です。ここには3つのトラックシーケンサが搭載されており、そのうち2つがオシレーター用、1つがモジュレーション用で、ステップでの打ち込みが可能なほか、ベロシティセンシティブな32のパッドを叩いてレコーディングしていくことも可能です。


ステップレコーディングで簡単にパターンを作成していくことができる

音階については普通のクロマティックスケールでの入力ができるのはもちろんですが、メジャー、ドリアン、ブルース、マイナーペンタトニック……などを選択することも可能なので、さまざまな雰囲気の演奏パターンを簡単に作成することも可能になっています。
さまざまなスケールが用意されている

いずれにせよ、PCを接続することなく、すべてCircuit Mono Station単体でパターンを組み、シンセサイザを鳴らしていくことができるのが、大きなポイントです。

とはいえ、やはりスタンドアロンでの動作にとどまらず外部機器とのやり取りが可能なのも、Circuit Mono Stationの面白いところでもあるのです。リアパネルを見てみると、いろいろな端子が用意されているので、少し見ていきましょう。


Circuit Mono Stationのリアパネル

まずシンプルなところでいえば、CLOCKのIN/OUT。たとえば、ここにKORGのvolcaシリーズなどを接続すると、すぐに同期させることが可能ですね。


クロックの接続でKORGのvolcaと同期もバッチリ

また、NOTE OUTというところにはCVとGATEの端子があり、これは1oct/Vでの音程制御が可能になっているので、たとえばArturiaのMicroBruteなんかに接続すると、Circuit Mono Stationのシーケンサで組んだパターンでMicroBruteを演奏させることができますよ。


CV/GATEによる接続で、アナログシンセサイザをコントロールすることも可能

さらに、MIDIにおいてはIN、OUT、THRUの3つがあるので、INを使うと、外部からの信号でBass Station IIの音源を鳴らすことができるし、OUTを使えば、反対にCircuit Mono Stationのシーケンサから外部音源を鳴らすことが可能になります。


ミニ端子とMIDI端子の変換ケーブルも3本付属しており、これで外部MIDI機器との接続も可能

もちろん、CircuitとCircuit Mono StationをMIDI接続するなどして、連携させるというのも手。Circuitにはデジタル音源が搭載されており、この中にはドラム音源も装備しているので、プレイの幅も大きく広がります。


兄弟マシンであるCircuitとMIDIで同期させるのも簡単

そしてDTMユーザーにとって重要なのがUSB端子です。これも基本的にはMIDI端子と同様であり、Circuit Mono StationとWindowsやMacと接続した際、MIDIの入出力が可能になるというものです。Windows用にドライバがダウンロード可能になってはいますが、Circuit Mono Station自体がUSBクラスコンプライアントなデバイスとなっているので、Windows 10であれば、とくにドライバ不要で、そのまま使うことが可能です。

NovationサイトからダウンロードできるNovation ComponentsでCircuit Mono Stationを選択

そして冒頭でも触れた通り、Novation Componentsというソフトが無料でダウンロード可能となっており、これを使うことで、Circuit Mono Stationに記憶されているシーケンスパターンや音色データをPC側にバックアップをしたり、リストアしたり、その情報を管理することが可能になっているので便利に使えます。


Novation Compornentsで各種データの管理もPCでできる

またPCとのMIDI信号のやりとりにおいては、ノート信号の入出力のほか、コントロールチェンジ情報のやりとりも可能となっており、どちらのやり取りをするのか、片方なのか、両方同時なのかの設定も可能になっています。ノート信号であれば、演奏のためのシーケンス情報がやり取りできるわけですが、コントロールチェンジ情報も使えば、フィルターやエンベロープ情報のやり取りが可能になるだけでなく、各ツマミやボタンの動きをPC側に送れるため、フィジカルコントローラとしても使うことができるようになっているんですね。


MIDIの入出力に関して本体で各種設定ができるようになっている

なお、Circuit Mono StationをNovationサイトでユーザー登録すると、Novation Loopmasters Samplesという約4GBのサンプルデータ集のダウンロードが可能になるほか、Ableton Live Liteも入手可能となっています。つい最近までダウンロードできるのはAbleton Live 9 Liteというバージョンですが、今だとAbleton Live 10 Liteになっているんですね。


Ableten Live 10 Liteがバンドルされている

もちろん、このAbleton Live 10 Liteを用いて、Circuit Mono Stationを鳴らすこともできたし、同期させることもできたので、PCと連携したさまざまな活用ができそうです。

【関連情報】
Circuit Mono Station製品情報
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