LinPlugの超マニアックなソフトシンセ、CRX4を使ってみた

プラグインシンセメーカーとして老舗のドイツLinPlug。アナログシンセモデリングのAlphaやドラム音源のRM、マトリクスシンセのDELTA、またOrganSaxLabといった楽器シミュレータなどさまざまな音源があり、プロミュージシャンの使用例もよく聞く音源たちです。

そのLinPlug製品の中でもマニアックな音源として知られているサンプルベースのシンセ、CronoX3が、大幅に機能アップし、CRX4と改名して登場し、国内でも8月31日よりインターネットから発売されました。価格も大幅に下がりダウンロード版が15,225円。インターネットの村上社長にお願いしてみたところ、評価版を借りることができたので、ちょっぴり使ってみました。
新たに登場したマニアックなソフトシンセ、LinPlug CRX4


動作環境は従来と同様、WindowsとMacのハイブリッドで、Windowsの場合、VSTi、またMacの場合はVSTiに加え、AURTASで使えるというもの。今回はWindowsにインストールしてのCubase上で試してみましたが、32bit版だけでなくネイティブの64bit版にも対応しているようです。 また、Cubaseだけでなく、インターネットのSinger Song Writerはもちろん各社のDAWで使うことができますよ。

64bitネイティブにも対応している

さて、さっそくCubaseのインストゥルメントトラックに組み込んで起動してみたところ、妙にシンプルな画面。おや?と思ったら、初回起動時はこのセットアップ画面が出てくるんですね。

各種設定を行うセットアップ画面が初回起動時に登場

改めてSETUPボタンを押して、通常画面に戻してみると、CRX4のマニアックな画面の登場です。USB-MIDIキーボードを接続していたので、とりあえず「ド」の音だけを弾いてみたところ、こんな感じです。

ここではプリセットを3つ切り替えて、同じようにドを鳴らしただけですが、結構な迫力ですよね(すみません、キーボード、弾くのが得意じゃないので…)。これを見ても分かるとおり、CRX4には強力なアルペジエーターが搭載されているので、こんなプレイができるんです。

では、このシンセがどんなものなのか、概要を紹介していきましょう。CRX4も前身のCronoX3と同様、サンプルベースのシンセサイザですが、構造的には大きく7つのセクションに分かれています。そして、4つのジェネレータ、2つのアナログスタイルのフィルタ、4つのLFOエンベロープジェネレータ、そして23個のソース、50以上のディスティネーションを設定可能な10個のモジュレーション・マトリックスがあり、強力なアルぺジエータが搭載されているという構成です。

CRX4は大きく7つの セクションに分かれている

このすごいモジュレーション・マトリックスがある辺りで、もう何でもありの、膨大な組み合わせが可能なシンセであることが想像できると思いますが、注目すべき点のひとつがジェネレータです。
まったく異なる5種類のジェネレータを選択できる
CRX4はサンプルベースの音源なのですが、これは単にサンプリング音源を鳴らすだけのジェネレータというわけではありません。OscillatorTime SamplerWavetable SamplerLoop SamplerNoiseとまったく異なる5種類のジェネレータを選択可能となっているのです。

このうちOscillatorはアナログシンセっぽく、ノコギリ波とパルス波を合成するというシンプルなものですが、Time Samplerは読み込んだサンプルデータをタイム・ストレッチすることができ、時間はModulation Matrixで変調が可能という、かなり妙なジェネレータ。Wavetable Samplerはごく一般的なサンプリング音源で、Loop Samplerはボタンを押すと波形が表示され、ループポイントなどが設定できるというタイプのもの。しかも64の独立したスロットに複数のサンプルを割り当てベロシティスプリット、キーリージョンが設定できるというマニアックさ極めつけです!

そして、Noiseはその名のとおりのノイズジェネレータで、ここに搭載されたフィルタを使っていろいろなノイズ音にすることができるというものとなっています。

Loop Samplerでは画面下でループポイント設定などができる

このように5つの種類が選べるジェネレータが独立して4つ用意されており、それを自由に組み合わせることが可能です。しかも、ジェネレータ1と2、3と4という組み合わせにおいては、単に音をミックスするだけでなく、AM変調、FM変調を掛けて音を作ることができるのですから、どんな音になるのか、試してみないと想像もできないほど。だって、YAMAHAのDXなんて単純なサイン波をFM変調するだけで、あれだけいろいろな音が作れるのに、そもそも多彩な音となっているジェネレータ同士で変調するのですから、その音がどうなるのか想像できる人のほうが変ですよね。

ジェネレータについて軽く触れるだけでも、こんな感じなので、全部を説明していたらキリがないのですが、もうひとつ紹介しておきたいのが、やはりアルペジエータです。いわゆる普通のアルペジエータとしてUp/Downといったアルペジオパターンプレイも可能なのですが、本領を発揮するのが、数字が32個並んぶStepディスプレイです。
非常に強力なアルペジエーター
各Stepの設定を、127、127、Off、100、Tie、30、Off 、Tieに設定し、C-E-Gのコードが演奏されたとしましょう。すると、結果は以下のようになるのです(Tempo 1/16、Up modeの場合)。

[1]16分音符でCが、Vel 127 で演奏されます。
[2]16分音符でEが、Vel 127 で演奏されます。
[3]16分休符
[4]8分音符でGが、Vel 100 で演奏されます。
[5]再度16分音符でCが、Vel 30 で演奏されます。
[6]8分休符

そして最後のノートに達すると、再度初めのノートからアルペジオが始まるという具合。なかなかすごいですよね。このシンセ1つあれば当分これだけで遊べてしまいそうですが、いかがですか?

ほかに、どんな感じの音が出るのかなどは、インターネットのWebサイト上でも聴くことができるので、ぜひチェックしてみてくださいね。

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