でも探してみると、結構すごい機能、いい音質だけど、3万円以内で買えてしまうオーディオインターフェイスもいろいろあるのです。そこで、ここではワンランク上のオーディオインターフェイスとはどんなものなのか、何を基準に選べばいいのかというポイントをチェックするとともに、狙うべき製品を6つほどピックアップしてみたので、紹介していきましょう。
●マイクプリアンプの数
マイクプリアンプをいくつ搭載しているかは選択の大きなポイント
とりあえず買ったオーディオインターフェイス、マイクが1つしか接続できずに物足りなさを感じている、という人もいるでしょう。たとえば1人でアコースティックギターの弾き語りするというのでも、最低ギター用とボーカル用のマイクを接続する必要があるし、バンドの一発録りをするとなれば、やはり4つ、8つと同時に使える必要が出てきます。
S/PDIFやAES/EBUなどのデジタル端子が装備されているかもチェック
オーディオインターフェイスに求められる入出力はアナログがすべてとは限りません。外部のデジタル機器と接続ができれば、音質劣化のない、高品位な連携が可能になります。たとえば、デジタルミキサーとS/PDIFやAES/EBUという規格での接続ができれば、デジタルミキサー側の音質性能のままPCにレコーディングできます。
反対にS/PDIF出力を外部のオーディオ機器へ接続すれば、配線が多少乱雑であっても、高品位なサウンドでのオーディオ出力が可能になるので、簡単にDTM環境の音質を向上させることができるのです。
なお一言でデジタル端子としってもS/PDIF、AES/EBU、adatといった異なる規格があるほか、オプティカル(光)、 コアキシャル(同軸)といった物理的な違いもあるので、用途にマッチした端子になっているかもチェックポイントです。
24bit/96kHz、24bit/192kHzに対応しているかはチェックしておくべき
エントリー用の安価なオーディオインターフェイスの場合、24bit/44.1kHzや24bit/48kHzまでの対応となっている製品も少なくありませんが、やはり、より高音質なレコーディングをしていくのであれば、24bi/96kHzさらには24bit/192kHzへの対応は考えるべきでしょう。
DSPを内蔵したオーディオインターフェイスなら内部ミキシングやエフェクト処理が可能になる
DSPというのはDigital Signal Processorの略で、信号処理専用の演算ICのこと。オーディオを扱うためのコンピュータと考えればいいと思いますが、これを搭載しているオーディオインターフェイスの場合、PCのCPUパワーに頼ることなく、ミキシング処理を行ったり、エフェクト処理が可能になり、しかも高速に処理できるのです。
USBクラス・コンプライアンス対応機材ならiPadやiPhoneでの利用も可能
最近、オーディオインターフェイスをiPadやiPhoneで使う例も増えてきていますが、これらで利用するためには条件があります。それはAppleがMade for iPad、Made for iPhoneといった認証マークを出しているか、USBクラス・コンプライアントに対応しているか、のいずれかです。
※参照記事:USBクラス・コンプライアントって何のこと?
できれば筆者が連載しているDigital Audio Laboratoryのレビューで掲載している音質等もチェックしておくと参考になるはず
そして、最大のポイントはなんといっても、実際の音質がどうなのか、という点と、レイテンシーがどのくらいあるのか、ということでしょう。ただ、これらについては、実際に試してみないと分からないのが実情です。また、音は人によって好みもあるので、楽器屋さんの店頭などで音をチェックしてみることをお勧めします。

マイクプリアンプ4つを搭載し、6IN/4OUTを装備しています。デジタル入出力はりませんが、内蔵DSPでミキシング処理ができるほか、リバーブやEQ、アンプシミュレーションが行え、USBクラス・コンプライアントのモードも装備しています。

3万円以内で購入できる手ごろな製品でありながら、16IN/4OUTを装備し、このうち8つにはマイクプリアンプを搭載するという贅沢な設計の製品です。24bit/96kHzまでの対応ではありますが、デジタル入出力も装備しています。

非常に堅牢なボディーのAudioBox 44VSLは、アナログの4IN/4OUTのオーディオインターフェイスで、フロントに4つのマイクプリアンプ付コンボジャックが搭載されています。iPad/iPhoneでも利用可能で、内蔵DSPでリバーブ、ディレイ、コンプなどを利用できます。

赤いボディーで見た目にもオシャレなScarlettはイギリスの老舗レコーディング機器メーカーの製品。6IN/6OUTを装備し、そのうち2つがマイクプリアンプ付、2chのデジタル入出力となっています。内蔵DSPでエフェクト処理も可能になっているのもポイントです。
Avidの最新のMboxは以前のDTMパッケージとは位置づけが変わり、単体のオーディオインターフェイスとなっています。4IN/4OUTの仕様で、デジタル入出力も装備。また内蔵DSPによりリバーブを利用できるようになっています。
【追記】
最後に参考までに上記に紹介した6つの機種のスペックを簡単にまとめてみました。
マイクプリ | デジタル | 解像度 | DSP | iOS対応 | |
Roland QUAD-CAPTURE | 2 | あり | 24/192 | ||
Steinberg UR44 | 4 | なし | 24/192 | ○ | ○ |
TASCAM US-1800 | 8 | あり | 24/96 | ||
PreSonus AudioBox 44VSL | 4 | なし | 24/96 | ○ | ○ |
Focusrite Scarlett 6i6 | 2 | あり | 24/96 | ○ | ○ |
Avid Technology Mbox | 2 | あり | 24-96 | ○ | ○ |