DAWが登場するより少し前の時代、約20年前のMIDI打ち込み全盛期だったころ。通信カラオケ用のMIDIデータ需要が高まり、MIDI打ち込みバブル時代というのが存在していたのをご存知でしょうか?ミュージシャンの方々もアルバイト的に参加するなど、結構多くの人たちが通信カラオケ用データの制作を行って、ひと財産築いた……なんて話も聞きますからね。
とにかく効率が求められたMIDIの打ち込みにおいて、主流となっていた2つのソフトがありました。その1つがMOTU(当時は今の略称ではなくMark of the Unicornだったかな)のPerformer、もう1つがカモンミュージックのレコンポーザでした。考え方に少し違いはあるものの、いずれも数値入力をメインとしたソフトで、打ち込み職人の方々の間で重宝されていたんですよね。そうテンキーを使って、数字をカチャカチャと打ち込んでいたいたから「打ち込み」と呼ばれていたわけです。
もっともDAW全盛時代に入ってくると、プラグインなどオーディオ機能に多くの人の注目が集まるようになり、Cubase、Logic、Pro Toolsなどに乗り換える人が出てきたり、メインマシンをMacからWindowsに切り替えたことで、Performerを諦めた……なんて声もよく聞きました。
先日の「DAWを片っ端から入れてWinodws 10のDTM環境をチェックしてみたら…」という記事でも試してみたDP9、改めてクリーンインストールしたWindows 10環境にインストールして使ってみましたが、とっても安定して動作するし、DP8のときよりも、Windows適合した気がします。
もちろんMacでも今まで通り使用することが可能なのですが、ここで気になるのがプロテクトがどうなっているのか…という点。いや、もちろん不正利用したいってわけじゃないですよ。せっかくWindows版もMac版もあるなら両方使いたいところじゃないですか。たとえば家ではデスクトップの高性能Windowsマシンで使いつつ、MacBook Airにも入れて通勤時に電車の中で打ち込みするとか……、いろいろな使い方を想像できますが、そんなことができるのか、という点が気になります。
そこで、国内発売元のハイリゾリューションに問い合わせて聞いてみたところ、明確な回答を得ることができました。「DP9は同時に2台までインストールすることができ、それ以上にインストールした場合、最後に認証をかけた2台が有効になる」とのこと。この認証はネット接続された環境で、DP9のパッケージに入っている「Digital Performer 9キーコード」という文字列とメールアドレス、ユーザー名を入力して行う簡単なもの。これならドングルを紛失する心配もないし、ハードディスクがクラッシュしたって、マシンを新調したって引っ越しは簡単ですよね。
ビンテージコンプレッサの定番、1176LNをエミュレーションするFET-76
また1176LN コンプレッサ(Rev.D/E)を忠実にエミュレートしたMasterWorks FET-76、Craig Anderton氏開発の秀逸なマルチバンドディストーションキットであるQuadraFuzzを忠実に再現したMultiFuzz、さらには強力なギターシンセのMegaSynthなど5つのエフェクトが追加されたのも大きなポイントとなっています。
ただし、DP9自体にはプラグインの32bit/64bitブリッジ機能は搭載されていません。そのため、DP9の32bit版を動かした場合は32bitのプラグイン、DP9の64bit版を動かした場合は64bitのプラグインのみが認識されるので、64bit版DP9で古い32bit版プラグインを使うことはできません。実際、上記のSynth1においても最新のSynth1 Ver 1.13 beta3 32bit/64bitを組み込んで使っています。
そのほかにも、DP9へのバージョンアップによってオートメーションデータをさらに見やすくするためのオートメーションレーンが追加されたり、各オーディオトラックのスペクトラル解析された波形をカラフルに表示させるスペクトラルディスプレイ機能が搭載されたり、オーディオプラグインのMIDIラーン対応がされたり、MusicXMLのエクスポート機能が搭載されるなど、さまざまな進化があります。
さらに、MIDI機能のほうも進化しています。たとえばマーカーリストとチャンクリストに検索機能が搭載されたり、MIDIにMuteツールが搭載されたのもポイントです。このMuteツールは従来オーディオを一時的にミュートするのに使っていたものですが、MIDIノートもミュートできるようになり、複数選択されたノートもワンクリックでミュートが可能となるなど、便利になってますよ。
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