大ヒット継続中 MOTU M2/M4シリーズの最新機種、スタジオ向け新機能を追加したオーディオインターフェース、M6誕生

発売と同時に高い評価を受けたオーディオインターフェイスMOTU Mシリーズに新しく上位モデルとしてM6が仲間入りしました。2019年に発売されたM2とM4は、優れた音質と高いコストパフォーマンスで一気にユーザー数を増やし、定番機材の地位を確立。プロのレコーディングエンジニアの中でも「音質面から絶対にMOTU製品を選ぶ」という人も少なくない高品位オーディオインターフェイスを開発するのは、アメリカのMOTU。

その新製品となるM6は、USB-C対応の6in/4out、24bit/192kHzというスペック。価格は69,300円(税込)。Windows、Macで利用できるのはもちろんのこと、USBクラスコンプライアントなデバイスなのでiPhoneやiPadでも利用可能。また電源アダプタ付属で、PCに接続しなくてもスタンドアロンで起動し、マイクプリアンプまたヘッドホンアンプなどとしても使える仕様となっています。さらにPerformer LiteというDAWやSoundbank、Big Fish Audio、Lucidsamples、Loopmastersといった業界をリードする数百ものループ、ワンショットが付属。Amazonランキング1位を獲得したM2、M4に続くM6を試してみたの紹介していきましょう。

Amazonランキング1位を獲得したM2、M4の上位モデル。MOTUの新製品M6


ブラックのメタリックボディーのM6は、アナログの入出力とMIDI入出力を搭載したオーディオインターフェイス。音質を決めるDACチップには、MOTUの上位機種に搭載しているESS Sabre 32 Ultraを採用しているなど、かなりコストパフォーマンスの高い機材に仕上がっています。音質にこだわるクリエイターのために、性能面では妥協しないという開発方針がMOTUにはあり、必要な機能を必要なだけ搭載しているのが、このM6となっています。

M6は、2019年に発売されたM2とM4の上位機種にあたるわけですが、共通していえるのは、ワードクロックやS/PDIFやADATなどのデジタル入出力を装備しておらず、TIME CODEの入出力もなし、AVBとの接続機能もないなど、機能面を削り、音質はキープしたままコストを落としているという点。アナログの入出力とMIDIの入出力だけ搭載していれば十分という方にとっては、最良の選択だといえます。なお、M2とM4については、「高音質オーディオインターフェイスで定評あるMOTUが2万円台のエントリー機、M2とM4の2機種投入」という記事で紹介しているので、ぜひご覧ください。

機能面を限定し、コストを抑えつつも、音質は上位機種と同等なM6

さて、M6の特徴ですが、ざっと挙げると以下の通りとなっています。

・6in / 4out USB-Cオーディオインターフェイス Mac / PC / iOS接続互換
・個別に48Vファンタム電源とプリアンプゲインを操作できる4系統のマイク / 楽器入力対応コンボ端子
・2セットのスタジオモニターを比較・切替に対応するA/Bスイッチ
・ESSテクノロジーがもたらす迫力のヘッドフォン出力を2系統搭載(うち1系統はラインアウト3-4へソース切替に対応)
・数十万円クラスのオーディオインターフェースで使用されるESS Sabre32 Ultra DACを惜しみなく採用
・-129 dBu EINを実現したクリーンなプリアンプと120 dBのダイナミックレンジを測定したメイン出力
・クラス最速、レイテンシーを極限まで低減させたハイスピード通信
・ループバック機能を追加するドライバー / プロ仕様DAWソフトウェアPerformer Liteを提供

では、1つ1つ詳しく見ていきましょう。まずは、入出力部分から。M6の入出力の端子は、ヘッドホンアウト以外、リアパネルに集約されています。リアには、4つのコンボジャックを搭載しているので、コンデンサマイク、ダイナミックマイクはもちろん、ライン入力、ギターやベースとの直結可能となっています。それぞれ独立した形で48Vのファンタム電源を入れることができ、各チャンネルもそれぞれ入力ゲインの調整ができます。また5,6chはLINE INとなっており、ここにシンセ・キーボードを繋いだり、ミキサーアウトを入れたりすることが可能です。

リアパネルに入出力は集約されている

また出力は、TRSフォンアウトがステレオ2系統搭載されています。M2、M4ではRCAピンジャックでの出力が付いていましたが、M6はTRSフォンのみとなっています。そして、左側にはMIDIの入出力も用意されています。PCとの接続はUSB Type-Cの端子を用いる形となっており、付属のUSB C-Cケーブルを使えばバスパワーで駆動します。USB C-Aケーブルを利用する場合は、電源アダプタが必須となっています。

バスパワーでも動作するが電源スイッチも搭載されている

外部電源を取ることができるので、スタンドアローン操作が可能。つまり、PCと接続しなくても電源供給しておけば、ミキサー、マイクプリ、DI、ヘッドホンアンプとしても使用できるのです。また、M2とM4は外部電源がなかったため、iPhoneやiPadで使用する際にLightning-USB3アダプタか電源供給機能付きのUSBハブが必要でしたが、これがM6では必要ありません。

Lightning – USBカメラアダプタのみで、iPhone/iPadで利用できる

さて、フロントパネルを見てみると、右側にヘッドホン端子が2系統搭載されています。2系統ヘッドホン端子があるので、ボーカルレコーディングをボーカリストとエンジニアの2人で行うときなど、便利に使うことができます。また、「3-4」というボタンをオンにすると、DAW上で3-4チャンネルに設定した音を流すことができるので、ボーカル専用のCueミックスを出力できたりします。

ヘッドホン端子は2系統。3-4ボタンを活用することで、Cueミックスの作成も簡単にできる
その左隣の大きなノブは、メイン出力をコントロールできるもの。トルクがやや重めで滑らかで、気持ちのいい操作感ですよ。

ヘッドホン出力調整とメインアウト用の出力調整は独立している
入力チャンネルのゲインは、左側4つ並んだノブで操作します。それぞれ、「48V」のボタンとMONボタンが配置されています。MONボタンは、それぞれの入力をそのまま出力に送るためのダイレクトモニタリング用です。

48Vでファンタム電源、MONでダイレクトモニタリングがONになる

そして中央部分にもう一つノブが用意されていますが、これはINPUT MONITOR MIXと書かれていることからもわかるとおりPCからの出力音と入力のダイレクトモニターのバランスを調整するためのもの。レコーディングしている際、オケに対して自分の入力音のモニターバックが小さい……といった場合、これで調整できるようになっています。

中央部にあるINPUT MONITOR MIXノブ

メーターは入力1~6ch、出力1~4ch表示されていて、視認性はかなりいいですよ。

フルカラーLCD搭載で入出力がレベルメーター表示される
そして、M6にはA/Bスイッチが搭載されています。A/Bスイッチ機能がオフの場合は、1-2ch、3-4chはそれぞれ別の信号が出力されます。一方、A/Bスイッチボタンを長押しして、機能をオンにすると、同じ信号が出力されるようになり、M6がスピーカーセレクターに早変わりするのです。

A/Bボタン長押しで、機能がオンになる

リアパネルに注目すると、「A」「B」が確認できるのですが、これがフロントのA/Bボタンとリンクしています。つまり、Aの出力にメインモニタースピーカー、Bの出力にサブモニタースピーカーを繋ぎ、それぞれのスピーカーを用いて音作りすることが可能となっているのです。通常であれば、別途機材を追加しなくてはいけない部分も搭載されているのは、クリエイターにとって嬉しいポイントだと思います。

「A」「B」それぞれにモニタースピーカーを繋ぎ、スピーカーセレクターのようにM6を使用できる

さて、M6はUSBクラスコンプライアントであるためPCと接続すれば、すぐに使うことが可能です。ただし、DAWで使うことを考えるとWindowsの場合、MOTUが配布しているドライバをインストールするのは必須であり、これでASIOで利用可能になります。Macの場合はドライバなしでも使うことは可能ですが、ドライバをインストールすることでバッファサイズをさらに小さくし、レイテンシーを極めて小さい形で使用することが可能です。たとえば48kHzのサンプリングレートにおいてはバッファサイズを16サンプル、96kHzで32サンプルに設定することが可能になっており、非常に低レイテンシーでの運用ができるようになっています。

44.1kHz~192kHzのサンプリングレートで利用でき、バッファサイズは16サンプルにまで縮められる

ちなみにM6はループバック機能もしっかり搭載しているので、音楽制作のみならず、配信用途としても活用することが可能です。

ループバック機能が搭載されているので配信用途としても利用可能

そして、M6にはPerformer LiteというDigital Performerのライト版が付属しています。これは、オーディオ合わせて16トラックまで使うことが可能で、Mac、WindowsハイブリッドのDAWであり、Digital Performerに搭載されているインストゥルメント、エフェクトの半分程度がここでも使えるようになっているので、とりあえずこれでレコーディング、MIDI入力、ミックス……といったことをしていく上で十分な機能、性能を備えています。さらにPerformer Lite標準搭載のプラグインだけでなく、VST2、VST3、さらにMacであればAudio Unitsのプラグインも含めて、このPerfomer Liteで使用できるという柔軟性を兼ね備えています。

さらに6GB分のSoundbank、Big Fish Audio、Lucidsamples、Loopmastersといった業界をリードする数百ものループ、ワンショット、サウンドも無料で使うことができるので、これらのライブラリを利用した、音楽制作も可能。Ableton Live Liteも付属しており、M6を買って即日楽曲制作を行うことができるのです。

DAWやサウンドライブラリが付属しているので、すぐに楽曲制作をスタートすることができる

以上、MOTUのM6を紹介しました。なおPerformer Liteは物足りなくなったら、新規で購入するよりも安くDigital Performerにすることもできます。無駄な機能を削り、本当に必要なものだけを詰め込み、音質を追求しているM6をぜひ試してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
MOTU M6製品情報
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Commentsこの記事についたコメント

2件のコメント
  • サキ

    大変参考になりました、素敵な記事をありがとうございます…!
    ひとつ気になったところを質問してもよろしいでしょうか。
    記事終盤、「ループバック機能が搭載されているので配信用途としても利用可能」という一文の上にある画像についてですが、こちらは何のソフトウェアの画面ですか?
    現在M4を使用中なのですが、M6にのみこういったソフトウェアが追加されたということなのか確認したく質問させていただきました。

    2024年1月27日 4:48 AM
  • 藤本 健

    サキさん
    これは、単にStudio Oneの設定画面ですね。ループバックの表記が分かりやすかったので、スクショしたものです。とくにM6に何か付加されているわけではありません。

    2024年1月27日 8:45 PM

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