ついにMegpoidのSynthesizer V版が発売! VOCALOID版と併売?新製品登場の真意とは!?

本日11月21日、インターネットからSynthesizer V版のMegpoid、「Synthesizer V AI Megpoid」が発表されると同時にインターネット社のオンラインショップ(https://www3.ssw.co.jp/での予約と優待販売の申し込みがスタートしました。またSynthesizer VのエディタであるSynthesizer V Studio ProとセットにしたSynthesizer V AI Megpoid Studio Pro スターターパックもパッケージ版のみですが用意されており、すべてのラインナップが12/20発売とのことです。価格は単体のダウンロード版が9,680円(税込)、パッケージ版の実売予想価格が10,780円、スターターパックが19,800円のそれぞれとなっています。スターターパックはインターネット社のオンラインショップでのみの販売になるとのことです。

おそらく、今回の発表を見て多くの人が気にする点は、VOCALOID版のMegpoidがどうなるのか、という点でしょう。ちょうど1年前のVOCALOID 6誕生のタイミングで「VOCALOID6 Voicebank AI Megpoid」をリリースしたところなので、その位置づけが気になるところ。この点について、インターネットは「今回、VOCALOIDからSynthesizer Vに乗り換えたわけではなく、新しいバリエーションとして製品化したのです。ですからVOCALOID6 Voicebank AI Megpoidは今後も併売していきます」と強調しています。このVOCALOIDとSynthesizer Vの共存とは何を意味するものなのか、インターネットの社長である村上昇さんに話を聞いてみました。

Synthesizer V版のMegpoidが12月20日に発売される

VOCALOID6 Voicebank AI Megpoidが開発された経緯に関しては昨年「AI歌声合成に対応したVOCALOID 6が発表・発売に。インターネットからはAI Megpoidが同時リリース」という記事で紹介していました。そこから1年で、今度はSynthesizer V版のMegpoidが登場したわけですが、まずは、以下のサンプル曲の歌声を聴いてみてください。

Synthesizer V AI Megpoid 公式デモ

Synthesizer V AI Megpoid サンプル音声

いかがですか?人によって受け止め方はいろいろだと思います。歌声のトーンは明らかにMegpoidですが、その歌い方はVOCALOIDではなく、ほぼ人間という感じです。良いか悪いか、好きか嫌いかは、それぞれだとは思いますが、こんなMegpoidが登場することになったのです。最初のMegpoidが2009年に誕生してから、ずっとVOCALOID製品として親しまれてきて今年で14年目。このタイミングでSynthesizer V版が登場した経緯やその意味合いについて、いろいろと伺ってみました。

 

インターネット 村上昇社長にSynthesizer V対応の背景を聞いてみた

VOCALOID 6での収録を元に試しにSynthesizer V化してみた

--昨年、VOCALOID 6版のMegpoidを出したことで、Synthesizer Vという話はなくなったのだと思っていたので、今回の話を聞いて、非常に驚きました。
村上:まず最初に強調しておきたいのは、VOCALOID 6から乗り換えたわけでは決してなく、今後もVOCALOID 6版のMegpoidは販売を継続していきますし、Megpoidの主力製品であることは変わりありません。今回、そのVOCALOID 6版に加えて、ラインナップを増やした形です。もともと、われわれの中で、Synthesizer Vは次期製品候補として挙がっており、検討はしていました。それが今回ようやく形となったのです。

お話を伺った株式会社インターネットの代表取締役、村上昇さん

--以前のインタビューで、「ここでVOCALOIDを捨てて他社に行っていいのか…と。他社に行った後にやっぱりまたVOCALOIDに戻ります…ということはできないと思うので、簡単には踏み切れなかった…」とおっしゃっていました。どういう経緯でSynthesizer Vを出すことになったのですか?
村上:Synthesizer Vには興味を持っていました。製品化するとかしないとか、まったく関係なしに、MegpoidをSynthesizer Vで歌わせたらどうなるんだろう…と関心があったのです。そこで、発売するかどうかはわからないけれど、制作してみようと思い、AHSさんに開発をお願いしました。

Synthesizer Vの歌声データベースとして新たに加わったMegpoid=GUMI AI

--そこからレコーディングに入ったわけですか?
村上:新録したわけではなく、VOCALOID 6用の録音のほうが、Megpoidに近づけると考え、あえて、VOCALOID 6用に録ったデータをAHSさんに渡して作ってもらいました。それが9月下旬にできあがって、やってきたんです。歌わせてみると、まさにこれまでのGUMIの特徴を持ちつつも、歌い方は生々しいというか、人間的な歌い方。Megpoidの声質違い、歌い方のバリエーションと捉えると結構いいんじゃないか、と思うようになったのです。

VOCALOID 6版と併売の形で製品化へ

--それで製品化ということになったわけですね?
村上:いえ、そう簡単に製品化というわけにはいかないんです。先ほどお話したとおり、私の興味でSynthesizer Vの開発をお願いしたものであり、その時点では各所との調整はまったくしていませんでした。そこで、まずヤマハさんに伺って、状況を説明させてもらいました。VOCALOID 6版は、もちろん今後もメインで販売していきたい、と。一方で、MegpoidのバリエーションとしてSynthesizer Vで出し、Megpoidの幅を広げていきたい旨を伝えてご理解いただきました。VOCALOID 6はもちろん、VOCALOID 4版もこれまでどおり、販売を継続します。

パッケージ版のSynthesizer V AI Megpoid

--もう一つの調整先としては中島愛さんのところですかね?
村上:その通りです。以前にVOCALOID 6用に収録した歌声を元に、Synthesizer V版を作ったこと、そしてVOCALOID版は従来通り継続しつつ、バリエーションとしてSynthesizer V版を出したい旨を説明した結果、快諾いただき、いよいよ製品化できる、となったのが今回のタイミングなんです。

--VOCALOID 6版とSynthesizer V版が存在するのって、ちょっと不思議な感じもします。
村上:ここでもう一つ強調しておきたいのが、これはクロスプラットフォームというわけではない、ということです。クロスプラットフォームというのはWindows版とMac版というように、まったく同じことができるソフトが複数のプラットフォーム上で存在することを意味しますが、これはクロスプラットフォームではなく、それぞれ違うものなんです。それがバリエーションということ。作品の世界観に合わせて、どちらを使うのか選択してもらえると嬉しいですね。

AI中島愛ではなく、Megpoidにできた理由

--一方で、ここまで生々しい歌い方になると、Megpoidではなく、中島愛さんのAIになるのでは?と見方もあると思いますが、その辺はいかがですか?
村上:実際に歌声を聴くとわかると思いますが、確かに人間的な歌い方ではあるけれど、中島さんの普段の歌い方とはだいぶ違います。そして声の雰囲気はやはりMegpoidなんです。というのもVOCALOID 6の収録のときに「声質をできるだけ従来のMegpoidっぽく近づけて歌ってください」、「普段の中島さんの感情を込めた歌い方ではなく、Megpoid的な歌い方でお願いします」とお願いしつつ収録したため、結果として中島さんの普段の歌い方ではないんです。あえて、あまり感情を込めない歌い方にしているので、そこはあくまでもMegpoidなんです。そこが功を奏して、まさにMegpoidであり、中島さんの生歌とは違うものになったと思っています。

--VOCALOID 4のときにはNativeのほかにPower、Adult、Sweet、Whisperといったバリエーションがありましたよね?今回のSynthesizer Vはその点はいかがですか?
村上:Synthesizer Vの歌声データベースとしては、あくまでも1つです。ただし、Synthesizer Vの場合、ボーカルスタイルという項目があり、ここでBallade、Cute、Soft、Vividの4つのパラメータを動かすことで、歌い方を自然に変化させることが可能となっています。なので、ここをうまく活用していただければと思います。

Synthesizer V AI Megpoidには4つのボーカルスタイルのパラメーターが用意されている

--現在、御社のVOCALOID6製品とトークソフトには、ABILITY4 SE が特典として付いていると思いますが、今回のSynthesizer V AI Megpoid には付くのでしょうか?
村上:はい、もちろんつきます。ABILITY4 SEは外部VSTは使用できなくて、現在は、VOCALOID 6のVSTiとVOCALO CHNAGERのみ例外的に使用できるようにしていますが、 Synthesizer V AI Megpoid発売時には、Synthesizer V VSTも使用可能にアップデートします。

Synthesizer V AI Megpoidを購入すると、ABILITY4 SEが特典として入手できる

--ということはDAWを持っていない初めての方でもすぐにDAWと共に使えるということですね。
村上:はい、そうです。Synthesizer V AI Megpoidには Synthesizer V Basicが付属していますので、ボイスバンクのみの Synthesizer V AI Megpoidを購入いただいても、すぐに始められます。また、Synthesizer V AI Megpoid Studio Pro スターターパックは、Synthesizer V Studio Proがセットになってますので、こちらも、すぐに始められます。

Synthesizer V AI Megpoid Studio Pro スターターパックはパッケージ版のみとなっている

--インターネット社のVOCALOID 6製品としてはMegpoidのほかにも音街ウナがあるし、VOCALID 4シリーズであれば、がくっぽいど、さらにVOCALOID 3であればLilyやkotoneなどさまざまなキャラクタがあります。これらについてもSynthesizer V製品を出していくのでしょうか?
村上:現時点では予定はありません。まったくの白紙状態です。まずは、今回のSynthesizer V AI Megpoidがどのようにユーザーのみなさんに評価されて使われていくのか…、その点を見極めた上で、今後の展開については検討していければと思っております。

--最後にもう一つ、先ほど、今後のSynthesizer Vをお聞きしましたが、今後のVOCALOID 6製品についてははどうなるのでしょうか?
村上:VOCALOID 6製品も今後出していきたいと考えています。いまここで、具体的にお話することはまだできませんが、いろいろ企画はしておりますので、お楽しみに。

--ありがとうございました。

【関連情報】
Synthesizer V AI Megpid製品情報

【製品バリエーション】
Synthesizer V AI Megpoid パッケージ版 10,780円(税込)
Synthesizer V AI Megpoid ダウンロード版 9,680円(税込)
Synthesizer V AI Megpoid Studio Pro スターターパック パッケージ版 19,800円(税込)
※スターターパックはインターネット社のオンラインショップ(https://www3.ssw.co.jp/)でのみの販売

【購入特典】
ABILITY 4 SE(ユーザー登録者へ無償提供)
【発売日】
2023年12月20日