POD 2.0を再現するLINE6 Mobile In & Mobile POD

先日、「iPadやiPhoneがLINE6 PODになっちゃうぞ!ポイントは24bit/48kHz対応」という記事で紹介した、LINE6のiPhone/iPad用のオーディオインターフェイス、Mobile In。国内では11月30日に発売されることが決定し、実売価格8,400円程度で出てくるようです。

また11月12日、そのMobile In専用のアプリ、Mobile PODがAPP STOREでリリースされ、誰でも無償でダウンロードできるようになっています。そのLINE6 Mobile Inを一足早く入手することができたので、どんなものなのかレポートしてみましょう。
PODを再現するMobile PODがリリースされた


一言で紹介すれば、これはiPhoneやiPadでLINE6のPODを実現するためのツールなのですが、まずはハードとソフトを切り分けて見てみましょう。

Mobile InとiPhone 4Sを接続

今回発売されるのはハードウェアであり、Mobile Inという小さな機材。iPad2および、iPhone 4Sに接続してみたので、だいたいの大きさの雰囲気はお分かりいただけると思います(メーカー情報によると、2011年11月現在正式に対応している機材はiPhone 4、iPad、iPad2のそれぞれで、iPhone 4Sはリストにありませんが、問題なく動作しています)。

Mobile InとiPad2を接続

Mobile Inという名前からも想像できるように、これは入力に特化したオーディオインターフェイスで、2つのミニプラグ入力を装備しています。右側がギター入力左側がライン入力となっており、ギターはモノラル、ラインはステレオです。ギターからの信号をミニプラグで受けるケーブルはあまり見かけないため、2mのケーブルが付属していますが、もちろん何を使ってもOKです。

ミニプラグでの2種類の入力が用意されている

ただし、使えるのはギターかラインのどちらかであり、両方挿している場合はラインが優先される設計になっています。ミキサーなどを介して入力するならライン入力を使えばいいというわけですね。

では、オーディオインターフェイスとしての出力はどうするの?というと、これは標準のヘッドフォン端子を使うことになります。それなりに定評のあるiPhone/iPadのオーディオ出力ですから、これを利用しない手はない、ということですね。このような設計になっていることから、オーディオインターフェイス部分が喰う消費電力は非常に小さくてすみ、使っていてもバッテリーの心配がほとんどいらないというのがメリットです。また機材自体は非常に軽く、手元の秤で量ってみたら約20g。iPhoneに接続していても重さ的にはほとんど気がつかない程度のものなんです。

もちろん、これは普通のオーディオインターフェイスですから、GarageBandで使うこともできるし、Music Studio 2RecToolsでレコーディングといったことも可能となっています。これまでiPadであればCamera Connection Kit経由でUSBオーディオインターフェイスにつないで使ったり、いくつかのオーディオインターフェイスが存在していましたが、iPhone用となるとCamera Connection Kitが使えなかったため、高音質でレコーディングする手段がほとんどありませんでした。それを可能にしたというだけでも大きいポイントですよね。
Mobile Inを接続しないと警告が表示される
一方、やはり目玉となるのがアプリ、Mobile PODの存在です。これは無償で誰でもダウンロードできますが、プロテクトがかかっているため、Mobile Inが接続されていないと音の入出力はできず、警告メッセージが表示されます。とりあえず、アプリの操作性だけは確認できるので、気になる人は試してみるといいでしょう。
iPhone+Mobile InとPOD 2.0を並べてみると…

以前の記事でもお伝えしたとおり、これはまさにLINE6 PODをiPhoneやiPadで再現するためのアプリ。LINE6に聞いてみたところ、このモデリングはPOD Version 2.0に相当するものだとか……。そういえば、ほとんど使ったことがないまま、ウチの棚にそのPOD 2.0があったので、並べてみました。ずいぶん、小さくなったものだ……と実感しますよね! ちなみに、PODの最新版はPOD HDですが、POD Version 2.0も販売は継続しているようで、24,300円前後で販売されています。

32種類のアンプモデリングが用意されている

で、試しにアンプモデリングを比較してみました。確かにどちらも32機種のモデリングを搭載しており、内容は同じ。音を聴いてみると、オーディオ出力の関係か、まったく同じ音とはいえないものの、ソックリです。16種類あるキャビネットのモデリングも同じ構成となっています。
キャビネットも16種類から選択できる
またPOD 2.0ではストンプエフェクトは16種類ある中から1つだけが選択できるのに対し(実質的には7種類で、残りはDelay/Chorus1、Delay/CompressorなどDelayと別のエフェクトを組み合わせ)、Mobile PODでは実質的に15種類あるストンプエフェクトをアンプの前段に4つ、後段に4つの計8つを同時に使うことができるなど、大きくパワーアップしているのです。細かくいうと、CPUパワーを喰うためにリバーブは1つしか使えない、ノイズゲートはアンプの前段にのみ置ける、といった制限は多少ありますが……。
アンプの前段に4つ、後段に4つのストンプエフェクトをセットできる

このようなアンプ、キャビネット、ストンプエフェクトを組み合わせたプリセットがあらかじめ338種類用意されているし、各パラメータを自在にいじって、それをオリジナルのプリセットとして保存することができます。もちろんチューナーも備わっているし、使い勝手は抜群です。

iPhoneだと画面サイズは少し小さくなるが、同じモデリングができる

また、使い方に多少クセはありますが、iTunesのライブラリを再生しながら、Mobile PODで演奏することもできますから、ギターの練習用としては最適ですよね

【補足】
初期バージョンのMobile PODでの使い方が分かりにくいので簡単に流れを説明しておきましょう。まず「ミュージック」アプリで、演奏する楽曲を選択します。次にMobile PODを起動します。起動したらiPhone/iPadのホームボタンをダブルプレスしてください。画面下に現れるアイコンをスクロールさせ、一番左端にある再生ボタンで再生を開始します。ここで、再度画面上側のMobile PODに触れ、右下のスライダーでバランスを調整することで、iTunesライブラリの音とMobile PODの音をミックスさせることができます。

このMobile PODはiPhoneでもiPadでも使えるユニバーサルアプリとなっているので、出先でも気軽にギタープレイが楽しめるとっても嬉しいアプリです。こんなものが出ちゃったら、本家PODが売れなくなるのでは……なんてちょっと心配になるほどですが、この価格は買い!だと思いますが、どう思いますか?

Commentsこの記事についたコメント

2件のコメント
  • sigsig

    藤本健さんのブログはいつも面白いものを見せてくれますね!
    Mobile POD絶対買わなけりゃ(汗
    でも僕HD500買っちゃったです~↓
    でもちょっと弾くときに便利なんで・・・
    買いたいと思います!

    2011年11月28日 10:19 PM
  • 藤本健

    sigisigさん
    そういっていただけると書いているほうとしても、とっても嬉しいです。
    たぶん年末はかなり人気製品になりそうです。
    ただ、調べてみるとわかるとも思うのですが、ちょうど記事をアップした後に、どこの店も11月30日入荷分が予約終了状態になっています。Amazonの場合、「次の入荷は12月20日」って書いてありますが、どのくらい品数入ってくるんでしょうね…。

    2011年11月28日 11:45 PM

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