iOS用ポケットサイズオーディオI/F、TASCAM iXJ2を使ってみた

iPhone/iPadで使えるコンデンサマイクのiM2、コンパクトなオーディオ&MIDIインターフェイスiU2と次々と便利なDTM用周辺機器をリリースしているTASCAMですが、9月5日、また新たなiOS用デバイスを2つ発表しました。ひとつは、X-Y方式のステレオコンデンサマイクであるiM2X

 

もうひとつは2系統のライン/マイク入力を持つ入力専用のオーディオインターフェイス、iXJ2です(どちらもオープン価格、実売価格は7,980円前後)。いずれも発売は9月下旬とのことですが、その発表されたiXJ2のほうを借りることができたので、レビューしてみたいと思います。

TASCAMのiOS用小型オーディオI/F、IXJ2


iXJ2の最大の特徴はとにかく小さくて軽いオーディオインターフェイスである、ということ。横幅、厚さなどはiPhoneとほぼ同寸であるため、しっかりと接続することができます。この大きさやデザイン的には、iM2とよく似た感じです。またiXJ2の重量はたった30gですから普段はポケットやカバンなどにに入れて持ち歩いても気になりません。

左がiXJ2、右が以前からあるiM2

 

これは入力専用のオーディオインターフェイスなのですが、ユニークなのは入力端子が2つあるという点です。いずれもステレオミニジャックとなっており、垂直方向のINPUT Aと水平方向のINPUT Bの2つ。とはいえ、4chの同時入力に対応しているというわけではなくINPUT SELECTスイッチを使い必要に応じて切り替えて使うようになっているのです。

2方向にステレオミニの入力端子が用意されている 

 

このスイッチをINPUT AにするとINPUT Aからステレオ信号が、INPUT BにするとINPUT Bからステレオ信号が入るのですが、その中間にSTEREOというものも用意されているのです。この状態にするとINPUT Aが左チャンネル、INPUT Bが右チャンネルのそれぞれモノラルとして使えるようになっています。

TASCAMの無料アプリ、TASCAM PCMレコーダーで使ってみた

 

ためしにTASCAMが無料アプリとして配布しているTASCAM PCMレコーダーで使ってみたところ、入力される音はiPhoneの標準のヘッドホン端子でモニターすることができます。また写真を見ても分かるようにiXJ2には入力レベル調整ができるボリュームが搭載されています。すぐに動いてしまわないよう、やや重めのボリュームになっているのですが、LとRがそれぞれ独立して調整できるようになっているのも便利なところです。そう、普通に動かすとLとRは連動するのですが、指でLチャンネルを固定しながらRチャンネルを動かせば別々に調整できるようになっているのです。2つの端子を使った場合、当然入力レベルが異なる可能性があるわけですから、これはしっかりと使えそうです。

裏側には設定のための各種スイッチが用意されている

 

一方、リアのスイッチを見ると、このINPUT SELECTだけでなく、いろいろなスイッチがあることが分かります。まずはプラグインパワーです。外付けのエレクトレットコンデンサマイクを使うという場合、これをオンにすることでマイクへ電源供給ができるようになっているのです。もちろん、INPUT A、INPUT Bそれぞれ独立して設定できるようになっています。

 

またiXJ2には過大入力を抑えるためのアナログリミッタが搭載されています。このリミッタ、ステレオ、モノラルそれぞれの入力に対応できるよう、動作モードを一括動作(ステレオリンク)/個別動作から選ぶことができるようになっており、これをLIMITER LINKのスイッチで設定します。

 

そうしてもうひとつのスイッチ、MONO SUMというのはステレオで入力された信号を内部のミキサーを使ってモノラルに変換するという機能です。ステレオマイクで録音しているけれど、入力はモノラルでOKといった場合、これをオンにすればいいわけですね。

 

実際、いろいろと使ってみましたが、ラインも録音でき、プラグインパワー対応のマイクも使えるのはなかなか重宝しそうです。とくに電子楽器を接続したり、ミキサーやプレイヤーを接続するなど、外部機器からステレオのライン信号を録音したいというケースは多々あるけれど、そのために大きなオーディオインターフェイスを持ち歩くというのは面倒です。でも、これがあれば簡単にiPhoneを高性能レコーダーとして使うことができますから、なかなか便利そうです。

iPad用のDAW、Auriaでも快適に動作してくれた

 

ためしにiPad用のDAWとして話題になっているAuriaに接続してみたところ、バッチリ使うことができました。この場合、エフェクトを通した音はiPadのヘッドホンからモニターできることも確認しました。

TASCAMロゴの左側のシグナルLEDがレベルメーター風になっている

 

音質的にもとってもクリアで明瞭。ボリューム調整でかなりダイナミックに音量いをいじることができるのも嬉しいところです。また面白いのがLEDです。iPhoneやiPadに接続すると青いインジケータが光るのですが、さらに音の入力があるとLとRそれぞれのシグナルLEDが点灯する形になっています。でも、単に点灯するだけではないんですよ。適量の入力であれば緑に、クリップするほど大きいものになると赤くなるのですが、これがまるでレベルメーターのように下が緑、上が赤くプラプラと光るのです。まあ、この小さなLEDだけでレベル調整する人はいないかもしれませんが、見ているだけでも結構楽しいですよ。

USB端子からiPhone/iPadへの電源供給も可能

なお、iXJ2にはiM2などと同じく、USBミニの端子が用意されています。これはデータ通信などのためのものではなく、外部からiPhoneやiPadに電源供給するためのもの。つまり電池切れの心配をすることなくレコーディングすることを可能にするものなのです。

 

このようにiXJ2はさまざまなアイディアが詰め込まれた、コンパクトなオーディオインターフェイスです。iU2ほど多機能な機材ではありませんが、いつでもポケットに入れて持ち歩き、いざというときにiPhoneに接続してレコーディングに使う、という用途にはベストです。

ニコ生やUSTREAMの放送用にも利用可能

またニコ生やUSTREAMなどの放送をiPhoneやiPadで行う場合、マイクやラインで入力できるデバイスとして使えることも確認できました。応用方法はいろいろありそうですね。

ちなみに9月13日、Appleがプレスイベントを開くので行ってくる予定ですが、ここでiPhone5がリリースされるのでは…と言われています。また、噂ではDOCKコネクタが小型のものに変わるとされています。真相はそのときに判明するわけですが、もしそうなった場合、このiXJ2だけでなく、これまで膨大にあるDOCK利用の周辺機器が使えなくなってしまいますよね(まあ変換ケーブルなどが登場するでしょうけれど)。

そんなときは、iPhone5などの新機種はそれとして使いつつ、いま使っている機材も捨てたり、売却したりするのではなく、iXJ2のような機材と組み合わせてレコーディング専用機、放送専用機のようにして考えるのもいいかもしれません。

【関連情報】
TASCAM iXJ2の製品情報
TASCAM iM2Xの製品情報

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