12月21日に、Steinbergブランドのオーディオインターフェイスとしてヤマハから発売されたUR12は、税込みの実売価格10,800円前後という激安製品。2IN/2OUTのオーディオインターフェイスながら24bit/192kHzまで対応するとともに、DAWであるCubase AI 7がバンドルされているという優れものです。

WindowsやMacと接続して使えるのはもちろんのこと、iPadやiPhoneと接続することも可能など、スペック上は至れり尽くせりという内容。でもこの価格ですから、何か落とし穴があるのではないか…と気になるところ。実際に問題はないのか、音質的にどうなのかなど、試してみたのでレポートしてみましょう。


実売10,800円という低価格で登場したUR12は、iPadとの接続も可能
低価格なオーディオインターフェイスって、樹脂製の安っぽいものが多い中、このUR12はフルメタルのボディーで850g。持ってみるとかなりずっしりときますね。


UR12のフロントパネル。左の1chはマイク入力、中央の2chはHi-Z入力となっている 

フロントパネルを見ると、左にはマイク入力端子、中央にはギター接続のための標準ジャックが、そして一番右にはヘッドホン出力が装備されています。

左のマイク入力端子はXLRのキャノンジャックで、+48Vのファンタム電源も装備しているので、ダイナミックマイクだけでなくコンデンサマイクとの接続も可能になっています。YAMAHA自慢のD-PREマイクアンプも搭載されているので、かなりいい音で録ることができますよ。

Hi-Z端子は基本的にギター/ベース接続用ではありますが、オーディオの世界には「ロー出し、ハイ受け」という原則がありますから、ギター/ベースに限らず、シンセサイザーなどのライン信号(モノラル)を録音することも可能ですね。レベルについては右のノブで調整可能なので、たいがいのものはこれで接続できますね。

ヘッドホン出力もミニジャックではなく、標準ジャックが採用されているのもDTMユーザー的には嬉しいところ。中には「ステレオミニがいい」という人もいるかもしれませんが、制作用途なら、やっぱり標準ジャックですよ!ちなみに、ヘッドホンジャック左にあるDIRECT MONITORのスイッチをオンにすることで、マイクやHi-Z端子から入力された音がそのままヘッドホンへ出力されるようになり、レイテンシーのないモニタリングが可能になります。


シンプルなリアパネル。RCAピンジャックのステレオ出力となっている 

一方、リアパネルは比較的シンプルで、端子はUSBとRCAピンジャックのメインアウトのみ。先ほどのファンタム電源のオン/オフするためのスイッチもリアにあるほか、電源の切り替えボタンというのもあるのですが、これについては後述しましょう。

さて、ここでちょっと比較してみたいのが、同じSteinbergのUR22についてです。UR22は、おそらく今、一番売れているオーディオインターフェイスではないかと思うのですが、実売が税込で15,000円弱というもの。3,000~4,000円程度の価格差となっていますが、これとどう違うのでしょうか?UR22と比較するとUR12の特徴が浮かび上がってきます。


UR22(左)とUR12(右)横幅はピッタリ同じ1/3ラックサイズ 

まず2つを並べてみるとわかりますが、いずれも同じメタルボディで、横幅はUR12もUR22もピッタリ同じ。ただUR22のほうが若干奥行があり998gと148g重くなっています。どちらも2IN/2OUTではあるものの、UR22の入力は2つともコンボジャックとなっていて、2chのどちらにもマイクが接続できるほか、2chのほうはHi-Z/Lo-Zの切り替えも可能になっているのがポイントです。

一方、UR12は2chの同時入力は可能だけれど、その場合、1chはマイク、2chはギター/ベースとなって、外部のステレオ機器からのレコーディングには対応していないのです。とはいえ、打ち込み中心のDTMユーザーの場合、ボーカルのためにマイクを1本使うか、ギターやベースを使って弾ければ十分というケースも多いと思うので、UR12で事足りケースが多いのではないでしょうか?
 

UR12(上)とUR22(下)のリアパネル。UR22はTRSフォン出力でMIDI入出力も装備 

また、リアを比較してみるとUR12がRCAピンジャックでの出力なのに対し、UR22はTRSフォンの出力。またMIDIの入出力端子もあるのが上位版であるUR22の特徴となります。ただし、ヘッドホンでモニターする限りは限りなく近い音のように思います。つまり、ステレオでのレコーディングが不要であり、ヘッドホンでのモニタリングが中心であれば、UR22を選ぶまでもなく、UR12で必要十分ともいえるわけですね。

モニタースピーカーへの出力であっても、RCAピンジャックで十分ともいえますが、スピーカー出力の音質には絶対こだわりたいというのであれば、やはりTRSフォン出力を持ったUR22のほうに分があると思います。


Cubase AI 7がバンドルされている 

いずれの製品にもCubase AI 7がバンドルされているので、これを購入するだけでDTMが始められるというのも大きなポイントです。たった10,800円の投資でオーディオインターフェイスもDAWも揃ってしまうのですから、すごい時代になったものです。Cubase AI 7については、これまでDTMステーションで何度も紹介してきていますが、こんなものをバンドルしてしまって大丈夫なのか…と心配になるほど高機能なDAWです。


Cubase AI 7の画面。これだけスゴイ機能を持ったソフトをバンドルして、メーカーとして大丈夫なのか…

すでにCubase Pro 8などを使っている方も自宅のPC用にCubase Pro 8を利用しつつ、ノートPCにCubase AI 7を入れて持ち歩くといった使い方もいいと思いますよ。まあ、ドングルを差し替えればノートPCでCubase Pro 8を使うこともできますが、間違ってドングルを紛失したりしたら、一大事ですからね……。


もちろんCubase Pro 8でもUR12はバッチリ連動して動作してくれる

さて、それではUR22はすべての面でUR12を上回っているのか、というと実はそうではないみたいなんですね。まず1つ目として挙げられるのがループバック機能の有無です。ループバック機能とは、たとえばiTunesで再生している音を音質劣化なしに、オーディオインターフェイスの入力へ送り届ける機能です。たとえば、ニコニコ生放送USTREAMなどで放送をしている際に、BGMを流しながらマイクからの喋りを入れるといったことをするための機能ですね。もちろん、カラオケを流しながら、歌ったり、ギターを弾いた音を重ねて放送してしまう…なんてこともできますね。


Enable Loopbackにチェックを入れるとループバックが機能する

さらにUR12はUSB Audio Class 2.0に準拠したクラスコンプライアント対応となっているため、iPadやiPhoneに接続して利用できるというのも大きなとメリットです(USB-Lightningカメラアダプタが必要になります)。そうUR22の上位機に位置づけられるUR44やUR28Mはクラスコンプライアント対応だったので、iPadやiPhoneに接続して使うことができましたが、UR22だけはできなかったんです。

ところが、今回UR12が対応したことで、より手軽にiPad/iPhoneで高音質なレコーディング、再生ができるようになったわけですね。ただ、ここで重要になるのが、先ほどの電源について。WindowsやMacからはUSBによるバスパワーで駆動して使うことができますが、iPad/iPhoneからは、そこまで大きな電力を供給することができません。

そこでとった方法は、UR12にACアダプタを接続して電源供給することで、iPad/iPhoneの負荷を減らすというものです。といっても低価格製品であるUR12にはACアダプタは付属していません。そこで、ユーザーが手持ちのiPad/iPhone用のACアダプタとMicroUSBのケーブルを用いて電源供給するという方法ですね。これならみんな持ってますから、簡単ですよね。


iPad用のDAW、SteinbergのCubasisとも相性は抜群 

Garagebandも動いたし、Cubasisもバッチリ動作したので、iPad/iPhone用のオーディオインターフェイスとしても抜群にいいですよ。音質的にもとってもよく、気持ちよくレコーディングができます。

2chの入力が必要なのか、TRSフォンでの出力が必須なのか、MIDI入出力が必要なのか、というのがUR22を選ぶかUR12を選ぶかの分かれ目。24bit/192kHzのオーディオインターフェイスとしての音質、性能は十分に満足のいくものだと思います。

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【関連情報】
UR12製品情報
Steinberg URシリーズ製品情報