iPhoneやiPadで利用可能なオーディオインターフェイスというのは、もはや珍しくない存在です。というよりも最近は「USBクラスコンプライアント」という仕様のオーディオインターフェイスが主流になってきているので、多くのものが利用可能となっているのが実情です。ただ、iPhone/iPadで使うためには、Lightning-USBカメラアダプタが必要で、かつ電源供給のためには、さらにちょっとした工夫が必要になるなど、なかなか面倒なのものが多いというのも実際のところです。

そうした中、Lightning-USBカメラアダプタ不要で、iPhone/iPad付属の充電ケーブルがあれば利用可能なオーディオインターフェイスがTASCAMiXRです。先日、人気アプリのKORG Gadget用に使ってみたらなかなか便利だったので、改めてKORG Gadgetとの組み合わせという観点で、iXRについて紹介してみたいと思います。


KORG Gadgetとの相性が抜群だったTASCAM iXR
TASCAMのiXR、ご存じない方も多いと思いますが、このオーディオインターフェイス自体は1年ちょっと前に発売されており、DTMステーションでも「専用ケーブルは不要。充電用ケーブルでiPadと接続できる薄型オーディオインターフェイス、TASCAM iXRが便利」という記事で取り上げたことがありました。


とっても薄くて軽量なUSBオーディオインターフェイス、iXR

改めて簡単に紹介すると、これはWindowsやMacでも利用可能な2入力/2出力のUSBオーディオインターフェイスで、最大24bit/96kHzでのレコーディング、プレイバックが可能という機材です。


iPhone/iPadの充電ケーブルで接続できてしまう

最大の特徴はiPhoneやiPadと充電ケーブル1つで接続でき、特別なケーブル類は不要なこと。この場合は、もう一つのUSB端子をiPhone/iPadのACアダプタに接続して電源供給する必要はあるのですが、ごく普通のUSBケーブルで接続できるので、これも便利なところですね。


iPadだけでなく、iPhoneでも利用可能

iXRをiPhone/iPadと接続すれば、どんなアプリででも利用可能だし、以前の記事でも書いた通りSteinbergのCubasis LEを無料で使うことも可能です。もちろん普通にミュージックやSpotifyなどをiXRから高音質に再生することもできるのですが、今回フォーカスを当ててみたのが、大人気のDTMアプリ、KORG Gadgetです。

Cubasis LEが無料で利用できるのもポイントだが、今回はKORG Gadgetにフォーカスを当ててみた

KORG Gadgetは2014年のリリース以来、どんどんバージョンアップを繰り返し、2017年10月末現在のバージョンは3.3.2。この間、利用可能なガジェット=音源の種類もどんどん増えると同時に、機能も大幅に向上してきました。まさにKORGが切り開いて、世界的大ヒットになった音楽制作アプリであり、ある種DAWと呼んでもいいアプリです。


現在Ver 3.3.2となっているKORG Gadget

その進化の過程において、Ver.3になったときに追加された、これまでのガジェットになかったタイプのものがモダン・ビンテージなテープレコーダー・ガジェットであるZurichと、ギターアンプ・シミュレータ・ガジェットのRosarioです。


Mac版がリリースされたタイミングでVer 3となったGadgetにはZurichとRosarioが追加された

そう、これまではドラムマシンやシンセサイザー、PCM音源など、基本的にMIDIのソフトウェア音源だったのに対し、ZurichやRosarioはオーディオをレコーディングするタイプのもの。そのため、これらを活用するにはオーディオインターフェイスが必須となってくるのです。そして、そのオーディオインターフェイスとしてiXRがいい感じに使えるのです。iOSで使えるiXRの設定アプリもあり、これがうまく連携する形にもなっているんですね。


iXRを接続すると、「Input 1+2」というステレオ録音と、「Input 1」、「Input 2」のモノラル録音が選択できる

順にみていきましょう。まずZurichは普通にオーディオをレコーディングしていけるガジェットであり、iXRを接続した場合はモノラルだけでなくステレオでの録音も可能となっています。たとえば、マイクを接続して、ボーカルを録ったり、その他各種楽器を録音していくことができます。この際、iXRは+48Vのファンタム電源を供給することができるので、コンデンサマイクを接続して、繊細なボーカルを録っていくといったことも可能です。


+48Vのファンタム電源をONにして、コンデンサマイクを接続

またiXR側の入力スイッチをLINEに設定しておけば、外部のシンセサイザキーボードなどをステレオ入力していくといった使い方も可能ですね。


Zurich搭載のEQやフィルターも活用できる

一方、Zurich内にEQやフィルターも複数種類入っているから、録音した音を簡単に調整することができるのも便利なところです。これによって、ボーカルを含めた生音が取り込めるため、従来のドラムとシンセでの楽曲づくりとは、またちょっと違った展開が可能になるわけです。


iXRの細かな設定はTASCAM iXR Settings Panelというアプリからも行える

しかし、このGadgetのZurichが楽しいのは、なんといっても、クルクル回るこのテープレコーダーの雰囲気。単にDAWで録音するのとはちょっと違った感じで、気分も上がりますよね。ちなみに、いくら回っても、テープの巻いている量は変化しないようですが…(笑)


ギターアンプ・シミュレーターのRosario

そして、もう一つのオーディオ活用がギターアンプ・シミュレーターのRosarioです。これも、従来の音源系のガジェットとは大きく異なるもので、まさにエフェクトですが、既存の音源に掛けるエフェクトではなく、もちろん外部からのギター入力に対するものです。Rosarioを立ち上げ、そのトラックのRECボタンを押した状態で、ギターを弾くと、迫力あるギターアンプサウンドが飛び出してくるわけです。


各種プリセットを選ぶこともできるし、アンプやエフェクトを個別に選択、設定することもできる

Fender、Marshall、VOXなどの、各種著名アンプを選択できるのとともに、さまざまなエフェクトも利用できるわけですが、当然ギターを入力するためにはオーディオインターフェイスが必要となり、それにiXRが利用できるわけですね。1ch、2chのコンボジャック右のスイッチを押し込むとINSTモードとなり、ギターに直結可能となります。この状態で弾けば、アンプを通したサウンドになるわけです。


INSTボタンをONにしてギターを入力

しかもRosarioは単なるギターアンプ・シミュレーターではなく、Zurich同様、これ自体でレコーディングも可能になっているのでまさに作品を作っていくのに活用できるわけですね。


iXRのMIDI INにMiDI PLUSのX4miniを接続したところ、バッチリ使うことができた

もう1つ、iXRがKORG Gadgetとマッチして活用できるのがMIDI端子です。KORG Gadgetは画面表示される鍵盤を適当に押すだけでもスケールにあった演奏ができるわけですが、外部からMIDI入力することで、楽器としてしっかり演奏していくことも可能です。そしてそのMIDI入力をiXRのMIDI INを通じて行うことができるのです。


立ち上げた音源をMIDIキーボードから演奏することができる

接続は手持ちのMIDI端子を持った楽器のMIDI OUTをMIDIケーブルで、iXRのMIDI INに接続するだけ。たとえば、先日記事で紹介したMiDi PLUSのX4miniの場合、USB端子に電源を供給した状態で鍵盤を弾くとMIDI OUTから信号が出るので、それをiXRに入れれば、KORG Gadgetを演奏できるというわけです。


MIDI入力としてTASCAM iXRを指定できる

そして、MIDIで入力した音も、他のトラックの音もすべてiXRのメインアウトおよびヘッドホン端子から高品位な音で出力されるというわけです。


iXRのヘッドホン出力はミニ端子になっている

もっとも前述のとおり、iXRはKORG Gadgetに限らず、各種アプリで使えるし、Windows、Macでも利用可能なオーディオインターフェイスなので、いろいろな活用が可能なので、KORG Gadgetユーザーなら、導入を検討する価値があると思いますよ!

ちなみに、現在TASCAMでは期間限定でiXRの無償貸出キャンペーンが展開されています。これは試しに使ってみたいという場合に、14日間借りることができるというもの。配送料も送付時・返送時とも原則TASCAM負担なので、気軽に使うことができそうです。購入しても12,150円前後と手ごろではありますが、やっぱりちゃんと使えるのか気になるという場合は、このキャンペーンを活用してみるのもよさそうですね。