Sound Magicから、MIDI 2.0の可能性を最大限に引き出す画期的なピアノ音源がリリースされました。CineGrand2(通常価格$199=約30,000円、現在リリースセール中で半額の$99=約15,000円)は世界初のフル機能MIDI 2.0対応バーチャル・ピアノとして、従来のMIDI 1.0では実現できなかった高解像度な演奏表現を可能にします。WindowsおよびMac対応で、わずか700MBという軽量サイズでありながら、54GBもの大容量サンプルライブラリに匹敵する音質を実現したハイブリッド・モデリング技術と、MIDI 2.0の革新的な機能を組み合わせることで、映画、テレビ、ゲーム音楽の制作現場に新たな表現力をもたらします。
これまでMIDI 2.0対応のピアノ音源といえば、2023年にリリースされたSynthogyのIvory 3 German Dが先駆的存在でした。同製品は65,536段階のベロシティ対応を謳い、MIDI 2.0対応ソフト音源の第一歩を築きました。しかし、CineGrand2はIvory 3の基本的なMIDI 2.0対応を大幅に拡張し、Freeform LayerやEZ Gestureといった革新的技術を追加することで、MIDI 2.0の真の可能性を引き出すフル機能対応を実現しています。そして今回、もう一つの注目すべき動きがありました。Sound Magicの代表的フリーウェアのピアノ音源、Piano Oneが、完全リニューアルを遂げてMIDI 2.0対応を果たしたのです。これらの製品は、DTMユーザーがMIDI 2.0の世界をより深く体験できる貴重な機会を提供しています。

フリーウェアのピアノ音源Piano OneがMIDI 2.0にリニューアルされると同時に高品位なCineGrand2がリリースされた
MIDI 2.0対応ピアノ音源の新章:フル機能対応への進化
MIDI 2.0対応のピアノ音源といえば、これまでSynthogyのIvory 3 German Dが事実上唯一の選択肢でした。2023年3月にリリースされたIvory 3は、65,536段階のベロシティ対応とRGBエンジンによるサンプリング+モデリングのハイブリッド技術で話題を集めました。DTMステーションでも「MIDI 2.0に対応した初の音源!?新世代RGBエンジン搭載のバーチャル・ピアノ、Ivory 3 German Dが発売開始」という記事で詳しく紹介したほか、今年のNAMM SHOWでもRoland A-88MKIIとの組み合わせによるPiano Profileのデモの記事も紹介するなどしていました。
しかし、Ivory 3のMIDI 2.0対応は主にベロシティの高解像度化に焦点を当てたものでした。そこに登場したのがCineGrand2です。

MIDI 2.0にフル対応したピアノ音源、CineGand2
CineGrand2が「フル機能MIDI 2.0対応」と謳うのは、単なるベロシティの高解像度化を超えて、MIDI 2.0の包括的な機能セットを活用しているからです。従来のベロシティレイヤーの概念を根本から変革するFreeform Layer、手の動きを認識するEZ Gestureに加え、高解像度ペダルメッセージやポリフォニック・アフタータッチなど、MIDI 2.0が提供する多様な機能を個別に取り込み、包括的に活用しているのが特徴です。
この違いは、まさにMIDI 2.0の「部分対応」から「フル活用」への進化を意味しており、ピアノ音源の表現力において新たな世界を切り開くものといえそうです。まずは、実際、CineGand2でどんなサウンドが鳴るのか以下のデモ曲を聴いてみてください。
MIDI 2.0を活用し革命的に表現力の向上させるFreeform Layer
MIDI 2.0は、約40年ぶりのMIDIメジャーアップデートとして2020年に正式にリリースされた新規格です。DTMステーションでは「日米合意でMIDI 2.0が正式規格としてリリース。MIDI 2.0で変わる新たな電子楽器の世界」や、最新の業界動向を追った「ヤマハ、ローランド、コルグ、カワイ、ズーム……楽器メーカーみんな一緒にMIDI 2.0の世界実現に向けて活動中」といった記事で詳しく紹介してきました。
従来のMIDI 1.0では、ベロシティ(音の強弱)は128段階でしか表現できませんでしたが、MIDI 2.0では最大65,536段階という超高解像度での制御が可能になりました。これは約500倍の精度向上を意味します。

MIDI 1.0ではベロシティーが128段階だったのが、MIDI 2.0では65,536段階になるとともに、Freeform Layerでベロシティーカーブも自由に設定できるようになった
Ivory 3がこの高解像度ベロシティの先駆者として注目を集めましたが、CineGrand2はさらに進んで、この高解像度データを活用した「Freeform Layer」という革新的な技術を搭載しています。従来のベロシティレイヤーは特定のベロシティ値に固定されていましたが、Freeform Layerはこの制限を打ち破り、全ベロシティ範囲に割り当て可能で、他のレイヤーとミックスしたり、フィルターで処理することも可能です。その結果、マルチベロシティレイヤーとラウンドロビンサンプルを組み合わせたような効果が得られ、鍵盤を触るたびにユニークなサウンドが生成されます。

ベロシティーごとに別のフィルターを通すなど、非常に自由度高い使い方が可能
さらに、MIDI 2.0の高解像度ペダルメッセージにも対応し、より滑らかなペダリング体験を実現。ポリフォニック・アフタータッチも活用してピアノの演奏スタイルを判定するなど、Ivory 3の基本的なMIDI 2.0対応では実現できない細やかな表現制御を可能にしています。
映画音楽のプロが選んだ2台のグランドピアノを収録
CineGrand2は、映画、テレビ、ゲーム音楽の制作現場で活躍する作曲家のニーズを満たすために、2台の厳選されたグランドピアノを収録しています。
Cinema BLÜTHNER
ドイツの名門、ブリュートナー社のModel 1を再現したこのピアノは、150年以上のピアノ製造の知識が注ぎ込まれた傑作です。特に弱音域での表現力が際立っており、他のピアノでは聴くことのできない繊細な音色を持っています。
Cinema Blue
スタインウェイ・ピアノをベースにしたCinema Blueは、豊かで贅沢なサウンドが特徴で、魅力的でメロウな音色を提供します。映画音楽での情感豊かな表現に最適です。
これらのピアノは、単なるサンプリングではなく、最高のスタジオ環境で専門のピアニストによって演奏・録音されており、Sound Magicの最新ハイブリッド・モデリング技術によってサンプリングとモデリングの両方の利点を兼ね備えています。
EZ Gestureで直感的なコントロールを実現
CineGrand2のもう一つの革新的機能が「EZ Gesture」です。これはMIDI 2.0の高解像度コントローラーメッセージを活用して、ユーザーの手の動きを追跡し、特定のジェスチャーを認識する技術です。

TUNING画面を開くと、右下のほうにEZ Gestureというスイッチがある
EZ GestureはTUNING画面の右下で設定する形になっています。「Gesture Source」で使用するコントローラーを選択し、「Gesture Destination」でその動作を設定できます。現在の設定では、ジェスチャーを使用しない(OFF)か、ピアノの切り替えに使用するかを選択できるようになっています。

EZ Gestureをオンにするとソースとターゲット先が指定できるようになる
このシステムにより、モード切り替え、プリセットやバンクの変更、内部プラグインパラメーターの制御などを、すべて直感的な手の動きで行うことができます。従来のように細かなノブやスライダーを操作する必要がなく、演奏中でも自然な動作でサウンドをコントロールできるのです。特に、複数のピアノ音色を使い分ける映画音楽やゲーム音楽の制作現場では、演奏の流れを止めることなく瞬時に音色を切り替えられるため、創作の集中力を維持できる大きなメリットがあります。

ソースには各コントロールチェンジが指定できるようになっている
サラウンド・イマーシブオーディオ対応で未来を見据えた設計
CineGrand2は現在の映像制作トレンドを反映し、サラウンドサウンドやイマーシブオーディオにも対応しています。これを実現しているのが「Virtual MDIR Stage」機能です。

IMAGER画面を開くと、ホール画面が表示される
この機能は「仮想空間内でサウンドを自由に移動させることができ、完璧な3D音響を最終出力に適用する」システムとなっています。特に楽器が多数存在する混雑したミックスやプロジェクトにおいて、ワークフローを大幅に改善するゲームチェンジャー的な機能として位置づけられています。

ピアノアイコンをドラッグすることが可能で、それによって音場が変化していく
具体的な機能としては、マイクテクニック(NOS、AB、XY、M/S)の選択、マイクパターン(Omni、Cardioid、8、Hyper Cardioid)の設定、さらにはコンサートホール、ホール、スタジオ、小部屋といった異なる空間タイプの選択が可能です。「Height」スライダーにより音源の高さをコントロールして3D効果を生み出し、ステージ上でピアノアイコンを自由に移動させることで音源のパンニングを直感的に調整できます。

マイクの設定をいろいろ変更できるようになっている
これは映画やゲームの制作現場で求められる空間的な音響表現に対応するもので、従来のステレオ再生を超えた立体的なサウンドデザインが可能になります。特にAtmosやその他のイマーシブオーディオフォーマットでの制作において、ピアノの音像を3次元空間内で自在に配置できるため、より没入感のある音響体験を創出できます。
軽量でありながら高品質を実現するハイブリッド・モデリング技術
CineGrand2の最も驚くべき特徴の一つは、わずか700MB程度という軽量サイズでありながら、54GBもの大容量サンプルライブラリに匹敵する音質を実現している点です。これは同社の最新ハイブリッド・モデリング技術によって可能になりました。
新しいハイブリッド・モデリングエンジンは、前世代と比べてわずか7%のデータサイズでありながら、165倍のサンプル量に相当する表現力を実現。これは音源エンジンの革新的な進歩を象徴するものです。
この技術は、サンプリングの持つ本物らしさとモデリングの持つ表現力を組み合わせたもので、動的で常に変化するサウンドと、豊かな弦の相互作用によってピアノに生命を吹き込みます。従来のサンプル音源のような機械的な感じではなく、まさに楽器としての魂を持った演奏体験を提供します。
あの名作フリーウェアPiano Oneが完全リニューアル!MIDI 2.0対応で生まれ変わった定番ピアノ音源
CineGrand2と並んで今回注目すべきは、Sound Magicの代表的フリーウェアPiano Oneの完全リニューアルです。Piano Oneは以前から「Bechstein D 282、Bösendorfer 290SE、Yamaha C7…、8種の最高峰ピアノを再現する1TB超のサンプリング音源、Neo Pianoの実力]」の記事でも触れたように、Yamaha C7コンサートグランドをベースにした1GBの高品質フリーピアノ音源として、世界中のDTMユーザーに愛用されてきました。

大きくリニューアルし、MIDI 2.0対応となったPiano One
しかし、今回リリースされたPiano One v1.0は、従来のバージョンとは完全に別物と言えるほどの大幅なリニューアルを果たしています。最新のNeo Piano Yosemiteハイブリッド・モデリング・エンジンを搭載し、何よりMIDI 2.0にフル対応したことで、商用グレードの高品質ピアノモデルを完全無料で体験できる画期的な存在となりました。
UIも機能も一新されたPiano One
新しいPiano Oneは、UIが完全に刷新され、MIDI 2.0の各種機能に対応した設定項目が多数追加されています。Magic Hub機能により、MIDI 2.0デバイスとの橋渡し役を果たし、古い7bitのMIDI 1.0信号を高解像度MIDI 2.0フォーマットにアップサンプリングする機能も搭載。これにより、古いMIDI機器にも新しい命を吹き込むことができます。

MIDI 1.0環境下においてもアップサンプリングでより滑らかに
さらに、EZ Gesture機能も搭載されており、MIDI 2.0の高解像度コントローラーメッセージを活用して、ユーザーの手の動きを追跡し、直感的な操作でモード切り替えやプリセット変更が可能になっています。
なお旧バージョンでは、機能を抑えた「カットダウンモデル」によってファイルサイズを抑えていましたが、新しいPiano Oneではこの戦略を完全に撤廃。商用グレードのフル機能ピアノモデルを採用し、音質や表現力に一切の妥協がない設計となっているのが大きな進化点です。
ダウンロード方法にちょっとした工夫が
新しいPiano Oneの入手方法は、従来よりも少しトリッキーになっています。公式サイト(https://neovst.com/piano-one/)からダウンロードリンクにアクセスすると、パスワードの入力が求められます。

Sound MagicのPiano Oneサイトから入手できる
このヒントとして「China Impressionの頭文字1文字」とあるので、アルファベット1文字、つまり「C」を入力してみてください。今後このパスワードは変更になるかもしれないので、うまくいかない場合は確認してみてください。もしくは、メルマガ登録をすることで、ダイレクトなダウンロードリンクが送られてくる方法もあります。
Sound Magicの戦略的な取り組み
Sound Magicは「このような素晴らしいピアノを無料で提供することで、多くのユーザーに当社の他の製品にも興味を持ってもらいたい」と率直にコメントしており、同社の技術力を広く知ってもらう戦略的な取り組みでもあります。実際、CineGrand2の軽量でありながら高品質を実現するハイブリッド・モデリング技術や、MIDI 2.0の革新的な活用方法を、まずは無料のPiano Oneで体験できるというのは、ユーザーにとって非常に価値のある機会と言えるでしょう。
MIDI 2.0の世界に足を踏み入れたいユーザーにとって、Piano Oneは最適な入門ツールとなるはずです。
Sound Magic:革新的技術で常に業界をリードするメーカー
Sound Magicについてご存じない方もいると思いますが、同社は2007年に中国・北京で設立され、現在はアメリカ・アナハイムやロンドンにも支社を持つ国際的なプラグインメーカーです。同社の特徴は、他社とは一線を画す独自技術の開発力にあります。
NAMM ShowのNAMM Foundationが主催するTEC(Technical Excellence & Creativity)アワードでは、2013年のImperial Grandを皮切りに、2015年のDSD Tool、2019年のNeo Piano、2020年のNeo Erhu、Neo EQ、Neo Reverb、2022年のChina Ensembleなど、毎年のようにノミネートされる常連となっています。これは同社の技術革新力が業界から高く評価されている証拠です。

これまで数々の賞を受賞してきたSound Magic
同社はミュージック・ドメイン・シンセシス、ハイブリッド・モデリング・テクノロジー、ヘッドホン・バイタライザー、モデリング・レガート・テクノロジー、3Dダブラー・テクノロジーなど、数々の独自技術を開発し、それらをプラグインに実装することで、他社では実現できないユニークな製品を生み出しています。
そのSound Magicが今回出したのがこのCineGrand2とPiano Oneです。まだまだMIDI 2.0対応製品が少ない中、とくにフリーウェアでMIDI 2.0対応製品を出してきたことは、DTM業界におけるMIDI 2.0普及の重要なマイルストーンとなりそうです。
また世界最先端のMIDI 2.0技術と高品質なピアノサウンドを提供してくれるCineGrand2も、通常価格$199(約30,000円)という手頃な価格設定でありながら、現在は発売記念として$99(約15,000円)のイントロダクション価格で提供されており、MIDI 2.0対応環境を持つユーザーにとっては見逃せない機会といえそうです。まずはPiano Oneを試してみたうえで、CineGrand2の購入を検討してみてはいかがですか?
【関連情報】
CineGrand2製品情報
Piano One製品情報
【価格チェック&購入】
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