各製品の一斉値下げを実施。今、コストパフォーマンスの高さが目立つPreSonusのオーディオインターフェイス群

Roland、Steinberg、PreSonus、Focusrite、TASCAM、ZOOM……、国内外のメーカーがさまざまな製品を出しているオーディオインターフェイス。ユーザーから見ると、たくさんありすぎて、何を選べばいいのかなかなかわからない……というのが実情かもしれません。とくに1~2万円程度の製品は、各社似たスペックであり、決め手に欠けるというのも事実。そうした中、最近価格面で目を引くようになったのがPreSonusのオーディオインターフェイス群です。10月に既存製品の値下げを行うとともに、エントリー向け新製品をさらに追加したので、より目立っているようなのです。

PreSonusは、いま国内外で注目度の高いDAW、Studo Oneを開発するのメーカーでもあり、マイクプリアンプメーカーの老舗でもあるアメリカの会社。そのPreSonusのオーディオインターフェイスを買うとStudio One Artist 4が付属するというのも嬉しいところ。しかもStudio Magicプラグイン・スイートという強力なプラグイン集も付属するなど、オマケの充実度合いがスゴイのも大きなポイントです。もっとも、そのPreSonusの1~2万円程度の製品だけでもかなりの数があって、どう選ぶべきか戸惑いそうです。そこで、今回はコストパフォーマンスの高い、エントリー機材に絞って、どんな製品があり、それぞれがどう違い、どう選べばいいのかを見ていこうと思います。

さまざまなラインナップが揃うPreSonusのオーディオインターフェイス

競争の激しい、オーディオインターフェイスの世界。以前では信じられないほど高性能な機材が手ごろな価格で購入できるようになっているのですから、メーカーは大変かもしれませんが、ユーザーとしては嬉しい限り。

オーディオインターフェイスの基本的な知識や選び方に関しては「DTM初心者のためのオーディオインターフェイス選び」という記事で、書いているのでそちらに譲りますが、オーディオインターフェイスを一言で説明すれば、パソコンで音の入出力をするための機材です。もちろん、どのパソコンでも音を出したり、マイクを接続して録音することはできるのですが、パソコン本体のオーディオ機能では性能が低いし、使いづらいので、音楽制作にマッチさせるための機材であり、DTMにおいては必須のアイテムなのです。

そのため、これからDTMを始めたい、という人にとっては、まずオーディオインターフェイスから始めることになるわけですが、すでに持っている人でも、この価格ですからもう1台持っていて損はないアイテムです。持ち歩き用の機材にするとか、別の場所に置くためとか、マイクプリの違いをうまく利用する、付属DAWやプラグインを入手するため、予備機材……と持っておくべき目的はいろいろありますからね。


今回はPreSonusのオーディオインターフェイスのうち低価格な5製品をピックアップした

そうした中、今回ピックアップするのが、PreSonusの約1~2万円のオーディオインターフェイス、5製品です。具体的には以下の5つ。※カッコ内は税込み実売価格

  • ・AudioBox iOne(9,980円)
    ・AudioBox USB 96(12,800円)
    ・AudioBox iTwo(14,800円)
    ・Studio 2|4(16,800円)
    ・Studio 2|6(20,800円)

この5つに共通するのは、WindowsでもMacでも使えるUSBバスパワー動作のオーディオインターフェイスで、前述のStudio One ArtistというDAW、さらにはStudio Magicプラグイン・スイートというプラグイン集が付属しているという点。つまり、これらのうちどれかを入手すれば、すぐにDTMを始めることができるし、Studio Oneを使ってみたいという人なら、これで入手できてしまうのです。


各機材のリアパネル。上からAudioBox USB 96、AudioBox iOne、AudioBox iTwo、Studio 2|4、Studio 2|6

ちなみにStudio One Artist 4のダウンロード版の価格は12,800円。つまり、AudioBox USB 96の場合、ある意味オーディオインターフェイスがタダとも取れるわけだし、AudioBox iOneなどになると、もう訳のわからない価格現象が起きてしまうわけですよね(笑)。

PreSonusの各オーディオインターフェイスに付属するStudio One Artist 4

もちろん、これで入手可能なStudio One Artist 4は、このPreSonusのオーディオインターフェイスがないと動かないというわけではないんです。つまりこれまで持っているオーディオインターフェイスででも利用することが可能なので、メチャメチャお得な製品であることが分かりますよね。

では、それぞれで何が違うのでしょうか?文章で説明するより、表で見たほうが分かりやすいと思うので、まずは下記をご覧ください。

AudioBox iOne AudioBox USB 96 AudioBox iTwo Studio 2|4 Studio 2|6
入出力数 2in/2out 2in/2out 2in/2out 2in/2out 2in/4out
最高サンプリングレート 96kHz 96kHz 96kHz 192kHz 192kHz
ビットデプス 24bit 24bit 24bit 24bit 24bit
マイクプリアンプ Class A x 1 Class A x 2 Class A x 2 XMAX-L x 2 XMAX-L x 2
MIDI IN/OUT
iOS(Lightning)
対応
USB端子 Type B Type B Type B Type-C Type B
150mm 192mm 139.7mm 180mm 180mm
135mm 135mm 139.7mm 144mm 144mm
43.5mm 43.5mm 44.45mm 44mm 44.45mm
質量 478g 630g 640g 900g 700g
Studio One Artist
Studio Magic
実売価格(税込) 9,980円 14,800円 12,800円 17,800円 20,800円

オーディオインターフェイスについて、よく理解している方なら、この表で十分かと思いますが、少し解説をしておきましょう。

価格からも分かる通り、一番お手頃なのがAudioBox iOneです。これで普通は十分なスペックを持っているのですが、接続できるマイクは1つまで、ライン入力も1つまでだから、ステレオ入力が必要という場合はAudioBox USB 96以上が必要となります。

音質にこだわるのであれば、Studio 2|4、Studio 2|6がお勧めです。Studio 2|4は、この度発売されたばかりの新製品で、小さいながらも24bit/192kHzに対応するとともに、マイクプリアンプにはXMAXクラスAという、PreSonusの伝統ともいうべき高品位な回路が搭載されています。先ほども少し触れた通り、PreSonusはマイクプリのメーカーとして、古くから名の通ったメーカーであり、オーディオインターフェイスやStudio Oneなどはこの10年の話。その実績あるマイクプリがここに搭載されているというだけでも、“買い”の機材だ思いますよ。

PreSonus伝統のマイクプリ、XMAXのロゴ
XMAXクラスAマイクプリアンプはディスクリート回路で構成されているハイエンドなもので、高いヘッドルーム、ディープな低域、スムーズな高域が特徴となっています。ボーカルやアコースティック楽器をレコーディングする際の音質を引き立ててくれるはずです。

Studio 2|4のリアパネル。USB端子はUSB Type-Cになっている

ちなみに、この新製品であるStudio 2|4のみは、接続端子が小さなUSB Type-Cとなっています。新型iPad ProがUSB Type-C対応になったことなどから、ますます世の中のType-C化が進むと思われますが、それに対応したオーディオインターフェイスというわけですね。もっとも、仕様上はUSB 2.0であり、従来からのUSB端子のPCとの接続も可能なので、互換性に関する心配は不要です。

2種類のケーブルが付属しているので、PC側はType-Cでも従来からのType Aでも大丈夫

一方、iPhoneやiPadでも使いたいということであれば、AudioBox iOneもしくはAudioBox iTwoが対応機種となります。それ以外の3機種でも使えないわけではないのですが、別途Lightning-USBカメラアダプタとUSBケーブルが必要になるのに対し、AudioBox iOne、iTwoならiPhone/iPadの充電ケーブルだけで接続できてしまうので、とってもスマートになるのです。

ちなみに、先日発売された最新のiPad Proの場合はLightning端子ではなく、USB Type-C端子となったため、AudioBox iOne、iTwoに限らず、5機種すべてで使うことが可能です。

AudioBox iOne(上)とAudioBox iTwo(下)

さて、もう一つ、これらPreSonusのオーディオインターフェイスで見逃せないのが、ここにStudio Magicプラグイン・スイートが付属している点です。先ほど、Studio One Artist 4とStudio Magicプラグイン・スイートを「オマケ」と書いちゃいましたが、実はこのStudio Magicプラグイン・スイートに入っている7つのプラグインだけでも、裕に5万円以上の価値のあるソフト群なんです。

以下に7つのプラグインについて表で紹介しておきますが、いずれも、Studio One Artist 4で利用できるのはもちろん、VST、AU、AAXで動作するプラグインなので、ほかのDAWで利用することも可能。これを目的に、これらPreSonusのオーディオインターフェイスを買っても損はないほどですよね。

SPL Attacker SPL Attackerは、SPLの有名なTransient Designerと同様のエンベロープ・プロセッシング・テクニックを採用したマイクロ・プラグイン。SPL Attackerを使用すれば、全てのアタック成分を信号レベルに関係なく増幅されます。SPL Attackerは特定周波数の代わりにトランジェントに集中することで、サウンドのアタック・カーブを増幅します。 これにより、ローレベルでミックスすることができ、トラックの関係性を維持しつつミックス内のスペースを広げることが可能です。
Mäag Audio EQ2. Plugin AllianceのMäagAudio EQ2は、MägAudio EQ2 2バンド・ハードウェア・イコライザーのサウンドを実現。 MäagAudioのEQデザインは、位相シフトを最小限に抑え、オリジナルのミックス・バランスを崩すことなく空気感を与えることができ、入力アッテネーターを使用するとEQ前段でノーマライズすることもできます。
Lexicon MPX-i Reverb. LexiconのMPX-i Reverbは、7つのクラシックなLexiconプレート、ホール、チャンバー、ルーム・リバーブを提供。 合理化されたインターフェースと緻密にデザインされた100種類のプリセットにより必要なサウンドを素早く得ることができ、 入出力のメータリングによりレベルを一目でモニターすることができます。
Klanghelm SDRR 2 Klanghelm SDRR2tubeでトラックに暖かさ、深み、キャラクターを加えることができます。SDRR2tubeは、サチュレーション・プロセッサー、コンプレッサー、EQ、ビット・クラッシャー、ステレオ・ワイナーを備え、 包括的なコントロール・セットによりキャラクターをコントロールできミックスを仕上げることができます。
Output Movement スタジオやステージ用のエフェクト・プラグインであるOutput Movementを使用して、インストゥルメント、シンセ、フルトラックなどいかなる入力ソースをパワフルでリズミカルにトランスフォームできます。 サイドチェーン、独自のFluxモード、LFO、ステップ・シーケンサーおよびマクロを備えた4つのリズム・エンジンでシームレスにブレンド。モジュレーションに最適化されたアナログ・モデル・エフェクトでは、リバーブとコンプレッサー・ポンピング、フィルターとEQの開閉、ディレイ・モーフィング、チューブ・ディストーションを追加できます。
Brainworx bx_opto. Plugin AllianceのBrainworx bx_optoは、伝説的なコンプレッサー回路の優れた部分と特徴を組み合わせています。 その結果、強力なダイナミクス・プロセッサーとなり、アナログ・オプティカル・コンプレッサーでは表現できないサウンドまでも提供しています。
Arturia Analog Lab Lite. ArturiaのAnalog Lab Liteは、Arturiaバーチャル・インストゥルメントのV-Collectionから、物理モデリングのクラシックなアナログシンセ、オルガン、ストリングス・マシン、ピアノのグレイテスト・ヒット・コレクション。オーバーハイム、ローランド、シーケンシャル・サーキット、アープ、ハモンド、フェンダー、ウーリッツァー、モーグ、ヴォックスの象徴的な楽器モデルが楽しめます。

以上、いま価格が安くなって、目立っているPreSonusのオーディオインターフェイスについて紹介してみました。もちろん、ここで紹介した5製品以外にも、入出力ポート数が多く、より高機能な上位製品もあるし、ヘッドホンやマイクなどがセットになった製品もあるので、チェックしてみるといいと思いますよ。

ヘッドホンやマイク、モニタースピーカーがセットになった製品もある。写真はAudioBox Studio Ultimate Bundle

【関連情報】
Studioシリーズ製品情報
AudioBox iシリーズ製品情報
AudioBox USB 96製品情報

【価格チェック】
◎Rock oN ⇒ Studio 2|4Studio 2|6
◎Amazon ⇒ Studio 2|4Studio 2|6
◎サウンドハウス ⇒ Studio 2|4Studio 2|6
◎MI7 Store ⇒ Studio 2|4、Studio 2|6
◎Rock oN ⇒ AudioBox USB 96
◎Amazon ⇒ AudioBox USB 96
◎サウンドハウス ⇒ AudioBox USB 96
◎MI7 Store ⇒ AudioBox USB 96
◎Rock oN ⇒ AudioBox iOne、AudioBox iTwo
◎Amazon ⇒ AudioBox iOneAudioBox iTwo
◎サウンドハウス ⇒ AudioBox iOneAudioBox iTwo
◎MI7 Store ⇒ AudioBox iOne、AudioBox iTwo

Commentsこの記事についたコメント

2件のコメント
  • YoruhitP

    UC Surface にも少し触れてあげてください(‘A`)

    2018年11月28日 9:15 PM
    • 藤本 健

      YoruhitPさん

      そうでしたね。以前、Quantumとかの記事では取り上げていたのですが、
      https://www.dtmstation.com/archives/52002524.html
      今回抜けてました…。
      Studioシリーズだとこれがつかえますもんね。

      2018年11月29日 10:59 PM

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