Native InstrumentsがDTM初心者向けの1万円台のキーボード、オーディオIFを続々と発表。KOMPLETE STARTやMASCHINEソフトウェアなど製品価格以上のソフトが付属

1月24日からスタートしたThe NAMM Show 2019に合わせ、Native Instrumentsが新製品を続々と発表しました。今回発表されたのは主にDTM初心者をターゲットとした低価格なミニキーボードKOMPLETE KONTROL M32および2IN/2OUTでコンパクトなオーディオインターフェイス、KOMPLETE AUDIO 1およびKOMPLETE AUDIO 2、さらに新世代のTRAKTORアプリとなるTRAKTOR DJ 2です。

いずれも発売は今年3月以降と、もう少し先になりそうですが、発売前のプロトタイプを見てきたので、これらがどんな製品なのか、初心者にとって使いやすいものなのか、既存のDTMユーザーやKOMPLETEユーザーにとって、どんなメリットがあるのかなど、まず第一報というかファーストインプレッションということで紹介してみたいと思います。


NIから32鍵盤のキーボード、KOMPLETE KONTROL M2およびコンパクトなオーディオIF、KOMPLETE AUDIOが誕生(写真は発売前のプロトタイプ)

今回の新製品の目玉の1つともいえるのが、KOMPLETE KONTROL M32という32ミニ鍵盤のキーボードです。3月6日発売予定で、実売価格が14,800円(税込み)と手ごろな価格のこの製品、見るとわかる通り、昨年秋に発売になったばかりのKOMPLETE KONTROL Aシリーズのミニチュア版のようなスタイルになっています。


KOMPLETE KONTROL M32はKKAシリーズと機能は同じで、よりコンパクトになったミニ鍵盤モデル

実際機能的にはKOMPLETE KONTROL A25、A49、A61とほぼ同等で、スイッチ類の数や有機ELディスプレイなども一緒。ピッチホイール、モジュレーションホイールの代わりにタッチ式のスライダーとなっていますが、機能性、操作性においてもほぼ同等のものとなっています。


KKAシリーズと同じ有機ELディスプレイを搭載

「それって、他社のミニキーボードと何が違うの?」と疑問に感じる方も少なくないと思いますが、KOMPLETE KONTROL M32(以下KKM32)は、一般的なMIDIキーボードと同様、各種DAWや各種ソフトウェア音源と組み合わせて演奏ができるのはもちろんです。しかしNative Instrumentsだけに、同社のKOMPLETEシリーズのソフトウェアやMASCHINEソフトウェアと有機的な連携をし、まさにハードとソフトが融合した形で使えるというのが大きなポイントとなっています。


ピッチホイールとモジュレーションホイールの代わりにタッチストリップとなっている

たとえば、KOMPLETE KONTROLソフトウェアと連携させることで、NIの各種ソフトウェア音源をKKM32の操作だけで呼び出し、音色をチェックし、選択して弾く……ということが可能になります。その操作は4方向プッシュ式エンコーダーをクルクル回して、有機ELディスプレイの表示でチェックしながら、ピッと押すだけ。初心者でも違和感なく簡単に使うことが可能です。


右にある4方向プッシュ式エンコーダーで、サウンドのブラウズやプロジェクトのナビゲート操作が可能

が、初心者向けといいつつ、KOMPLETE KONTROL SシリーズやKOMPLETE KONTROL Aシリーズを持っていないKOMPLETEユーザーにこそお勧めしたい製品でもあるんです。そう、マスターキーボードとして他社製品を使っていたとしても、KKM32をリモートコントローラ的に使うことで、作業効率が非常によくなるからです。8つのタッチセンサー式ノブを使って操作したり、Smart Playといって100種類以上のスケールやモードを白鍵のみで演奏したり、コードやアルペジオを1つの鍵盤で演奏する機能も便利に使えるはずです。

もっともNI製品だけでなくArturia製品やWAVES製品など、Native Kontrol Standard(NKS)対応のプラグインも最近は増えてきているので、これらに関しても一般的なMIDIキーボードとは明らかに違う快適な操作環境が得られるのが大きなメリットです。

そのほかにもMASCHINEソフトウェアとのスムーズな連携、Logic Pro X、GrageBand、Ableton Live(CubaseおよびNuendoは初期リリース後に対応予定)などのDAWと即連携させることができるのもDTMユーザーにとっては有意義なところですね。

なお、このKKM32には以下のソフトウェアがバンドルされているのも見逃せないポイント。つまりパソコンとKKM32があれば、即DTMをスタートできる製品でもあるのです。

Ableton Live 10 Lite : 音楽制作ソフトウェア
MASCHINE ESSENTIALS
KOMPLETE KONTROLソフトウェア
MONARK : MiniMoogを再現するモノフォニックシンセサイザ
REAKTOR PRISM : 物理モデリングシンセサイザ
SCARBEE MARK I : エレクトリックピアノ
KOMPLETE STRAT : 計17種類の音源やエフェクトに加えループやサンプリも収録

ちなみにKOMPLETE KONTROLソフトウェアは、このタイミングで2.1にバージョンアップされて、いくつかの機能強化が図られる模様です。まだ実際に触っていないのでよくわからないのですが、1つはプレイバックサンプラーを新たに搭載したこと。WAVファイルなどサンプリング素材を読み込ませるだけで、サンプラーとして利用可能になります。一方、この2.1から他社のMIDIコントローラーにも対応したようなので、他社製品と組み合わせて使うこともできそうです。一方、Sounds.comとの連携というものも打ち出されていますが、国内で利用可能になるのは少し先になるとのこと。これについては、詳細が判明したときに、改めてじっくり紹介してみたいと思っています。

KOMPLETEシリーズのエントリー版であるKOMPLETE STARTもバンドルされている

一方、KOMPLETE STARTはKOMPLETEシリーズのエントリー版という位置づけのもので、スタジオ品質の9つのインストゥルメント、6つのエフェクト、Expansionサウンドパックから厳選された約1,500のループとサンプルなどから構成されているもの。具体的なインストゥルメントとしてはフロアを揺るがす重低音が出せるTRK-01、鮮明なシンセサウンドが自慢のMIKRO PRISM、チューブコンプレッサのSUPERCHARGERなどなどが収録されています。

続いてはコンパクトな24bit/192kHz対応の2IN/2OUTのオーディオインターフェイス2製品、KOMPLETE AUDIO 1およびKOMPLETE AUDIO 2です。いずれも360gでほぼ同じサイズのコンパクトな製品で、もちろんWindows(ASIO/DirectSound/WASAPI)でもMac(CoreAudio)でも使えるというもの。


ほぼ同サイズの双子の兄弟のようなオーディオIF、KOMPLETE AUDIO 1(左)とKOMPLETE AUDIO 2(右)

KOMPLETE AUDIO 1が12,800円(税込み)、KOMPLETE AUDIO 2が16,800円(税込み)となっていますが、その違いは入出力です。


KOMPLETE AUDIO 1はマイク入力と、TRS入力を1つずつ備えている

写真を見てみるとわかる通りAUDIO 1の入力は片方がXLRのマイク入力、もう片方がTRSフォンのライン入力という高性能モノラル1系統ずつ、一方出力はRCAピンジャックのステレオ1系統となっています。


KOMPLETE AUDIO 1のリアにはRCAピンジャックの出力が用意されている

一方のAUDIO 2のほうはXLRもTRSフォンも挿すことができるコンボジャックが2系統となっており、出力のほうはTRSフォンのステレオ1系統という構成です。AUDIO 1もAUDIO 2もマイク入力に対しては+48Vのファンタム電源供給も可能で、フロントのLINE/INSTスイッチの切り替えで、ギターなどと直結するためのHi-Zモードとしても使えるオールマイティーなオーディオインターフェイスとなっています。


KOMPLETE AUDIO 2のフロントにはコンボジャックが2つ用意されている

両方に共通するポイントとしては、トップパネルに大きなボリュームノブが搭載されていることこれによって、細かな音量調整ができるようになっています。またその左には入力音量のチェックができるデジタルVUメーターも搭載されています。


KOMPLETE AUDIO 2のメイン出力はバランス対応のTRSフォンのステレオペアとなっている

ユーザーにとって嬉しいのは、ここにハードウェア価格を上回るソフトがいろいろ付属していること。具体的には

Ableton Live 10 Lite : 音楽制作ソフトウェア
MASCHINE Essentials : MASCHINEソフトウェア
REPLIKA : プロ品質のディレイ
SOLID BUS COMP : パワフルなコンプレッサ
PHASIS : 新機能を搭載した定番のフェイザー
MONARK : MiniMoogを再現するモノフォニックシンセサイザ
KOMPLETE START : 計17種類の音源やエフェクトに加えループやサンプルも収録

となっています。先ほどのKKM32のバンドルソフトと似ていますが、少しバリエーションに違いがあるんですよね。

ちなみに両方に付属しているMASCHINE ESSENTIALSはMASCHINEソフトウェアのフルバージョン(MASCHINE MK3、MIKRO、JAMと同じ)とサンプル、ワンショット、ループ、インストゥルメントを収録した1.6GBのMASCHINE Factory Selectionとなっています。さらに、フルバージョンのMASCHINEファクトリーライブラリー、KOMPLETE 12 SELECTへのアップグレードオプションも用意されています。


KOMPLETE AUDIO 2のトップパネルにはVUメーター、大型ボリュームノブがある

さらにもう一つの新製品がTRAKTORの新バージョン、TRAKTOR DJ 2。これはiPad、Windows、Macのそれぞれに対応するアプリケーションで、iPad版が1,380円そしてWindowsおよびMac版が6,280円の予定となっています。


TRAKTOR DJ 2のPC版

TRAKTOR自体は最初のバージョンが出たのが2000年なので、19年の歴史を持つソフトですが、これまでの既存のバージョンを元に拡張する形で開発がされてきました。が、今回は全く新たに作り直した新しい世代のTRAKTORとなっており、動作も軽快になり、より使いやすいものへと変身しています。また新たにプログラムを1から開発したことでiOSとWindows/Macに同じように対応できているのです。


iPad版TRAKTOR DJ 2も機能的には、Windows/Mac版と同等

最新のTRAKTOR S2 mk3コントローラと連動するのも特徴のひとつです。なお、iPad版はAppleのApp Storeから販売されるほか、Windows/Mac版はNIオンラインストアで販売されます。また今後TRAKTOR KONTROL S2 mk3を購入すると無償で付属するほか、S2 Mk3の既存ユーザーは無償でダウンロードできるとのことです。いずれも機能的にはほぼ同等なので、iPadさえあれば安価にてプロ品質のDJプレイができるのは大きな魅力ですね。

以上、NAMMで発表されたNative Instrumentsの新製品についてざっと紹介してみました。気になるのはSounds.comとの連携機能が具体的にどうなるのかなどですが、この辺はまた詳細情報が分かったらお知らせしていきたいと思います。

【関連情報】
新製品キャンペーンページ
KOMPLETE KONTROL M32製品情報
KOMPLETE AUDIO 1 & 2製品情報
TRAKTOR DJ 2製品情報

【価格チェック】
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Commentsこの記事についたコメント

1件のコメント
  • christopherpils

    TraktorDJ2は先日バージョンアップのあったTraktorPRO3とはまた別なのですね。
    PROの方が3.1になりインターフェースなど大きく変わるという情報もみかけましたが、
    NAMMで発表があったのでしょうか。

    2019年1月25日 8:56 AM

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