プロからの絶大な信頼を得ているUniversal AudioのオーディオインターフェイスApolloシリーズ。その中でもApollo Twinはユーザー数も多く、これまでDTMステーションでも、何度か取り上げてきました。この度、そのApollo Twinが第3世代となりThunderbolt 3接続、AD/DAコンバーターも一新しApollo Twin X DUO/QUADとなって新たに発売されました。またユーザーの声に答え、マイクプリを4基搭載、ヘッドホンアウトが2個ついた小規模のコーライティング向けのApollo x4が新たにライナップに加わりました。
これで昨年「DSPパワーを大幅に強化し、音質も向上させたUniversal AudioのApollo第3世代製品、Apollo xシリーズの実力」という記事でも紹介したラックタイプのApollo xシリーズと合わせて、第3世代が揃いました。また現在Apollo Twin XとApollo x4のプロモーションセールとして、最大$1,298相当のクラシックUADプラグインを無料でもらえるキャンペーンも実施中とのこと。実際今までのApollo Twinとなにが違うのか、Apollo x4どんな人におすすめなのか、新しく買い替えるべきなのか…など、Inter BEE 2019の開催に合わせ来日していたUniversal Audioのインターナショナル・セールスマネジャーであるユウイチロウ“ICHI”ナガイさんに話を伺うことができたので紹介してみましょう。
新たに発売になったApollo Twin X(左)とApollo x4(右)
--今回Apollo xシリーズに、新しくApollo Twin XとApollo x4が発売されましたが、あらためApollo xシリーズについて教えてください。
ICHI:Apolloは2012年に発売して以降、昨年の冬に発表したラックタイプのApollo xシリーズで第3世代を迎えた。単なるオーディオインターフェースではなく、最高水準のマイクプリやエフェクト類の数々を備え、大規模なミキサー機能も装備するなどまさしくスタジオそのものといってもいいシステムです。数多くのビンテージ機材を忠実に実現するUAD-2システムは、CPUパワーを使わずに搭載されているUAD DSPチップによって処理されるため、パソコンへの負担を掛けずにビンテージ機材を自由に使えます。そして今回はデスクトップモデル第3世代モデルApollo Twin XとApollo x4を発売しました。Apollo x4は、ユーザーからの「Apollo Twinも最高だけど、もう少しコラボレーションワークフローに対応してほしい。インプット、アウトプット、ヘッドホンアウトを増やして」という要望にお応えして、ラックモデルに近いインプット数、アウトプット数を持ちつつ、Apollo Twinに近いサイズ感の製品となっています。
Inter BEE 2019の会場でお話を伺ったユウイチロウ“ICHI”ナガイさん
--Apollo Twin XとApollo x4の違いは?
ICHI:Apollo x4はApollo Twin Xと比べマイクプリ、ヘッドホンアウトの数が倍になっています。スペックでいうと、Apollo x4は12in/18out(うちADATが8in/8out)。Apollo Twin Xは10in/6out(ADATが8in)という入出力数です。またApollo x4はUnisonマイクプリアンプが4基、Apollo Twin XはUnisonマイクプリアンプが2基搭載されています。今回のデスクトップモデルにxと名前が付いたように、去年発売したApollo xシリーズのときに設計し直したオーディオコンバーターを搭載し、Apollo x16の世界最高ダイナミックレンジ133dBのデザインを引き継いでいます。Apollo Twin XとApollo x4はオーディオコンバーターは同じものを積んでおり、ダイナミックレンジ127dBという今までのプロスタジオのオーディオコンバーターのクオリティが、この小さいボディに凝縮されています。DSPは、Apollo Twin MkⅡのときと同じものを搭載し、Apollo Twin X Duoは2基、Apollo Twin X Quadは4基、Apollo x4は4基装備してあります。価格は、Apollo Twin X DUOが97,000円(税別)、Apollo Twin X QUADが150,000円(税別)、Apollo x4は195,000円(税別)となっています。
これまでのラックマウントタイプのApollo x6の下位モデルの位置づけとして誕生したApollo x4
--これでThunderbolt 3のラインナップが揃ったということですね。
ICHI:去年の冬にラックタイプのApollo xが出て、今年の夏にUAD-2 Satellite Thunderbolt 3が出ましたので、これで第3世代ライナップは、Arrowから始まり、Apollo Twin X、Apollo x4、ラックシリーズApollo x6、Apollo x8、Apollo x8P、Apollo x16とThunderbolt 3のラインナップが綺麗に揃ったことになります。
--一方、これまでのApollo Twin MkIIなどはライナップとして残るのでしょうか?
ICHI:Apollo Twin USB、Apollo Twin MkⅡDuo、Apollo FireWire、Apollo 8は残りますので今後も販売を継続していきます。
従来のApollo Twinシリーズよりさらに音質を向上させたApollo Twin X
--Apollo Twin XとApollo x4ですが、どういうユーザーにおすすめの製品なのですか?
ICHI:Apollo Twin XはDTMユーザー向けとなっています。打ち込みがメインで、繋ぐとしてもマイクやギターのみという、マイクプリがそこまで必要ない人におすすめです。Apollo x4は、共同作業だったり、エンジニアの方で家にミュージシャンが来る人向けで、マイクプリやヘッドホンアウトが複数ほしい人、小規模の数名で音楽制作する人向けです。またラックタイプのApollo xシリーズは、フルのバンドレコーディングだったり、設置してサラウンドミックスをしたりする人向けです。Apollo x4とApollo x6は、デスクトップモデルかラックタイプかの違いはあるものの、スペックは近いものとなっていて、選ぶ基準は、Apollo x4がUnisonマイクプリアンプを4基搭載、DSPが4基、Apollo x6はマイクプリアンプを2基、DSPが6基となっているので、マイクプリの数をとるか、DSPの数をとるかになります。
--今すでにApollo Twin MkⅡを持っている人は、買い替えるべきなのでしょうか?
ICHI:ADコンバーター、DAコンバーターの音質が大幅に向上しているので、モニタリング環境がしっかりしていれば、すぐにその違いが分かるはずです。音質にこだわるのであれば最高のアップデートになると思います。DSPのスペックは同じなので、AD/DAコンバーターのクオリティにこだわるのであれば、アップデートする意味はあります。そして、買い替えたとしても、今までのApolloは最初期のものであったとしても、最新のモデルと合体して使えるので無駄にはなりません。よくある使い方としては、デスクトップモデルのApollo Twinを買ってスタートし、その後ラックモデルのApolloに乗り換えていくパターンです。そうした場合は、ラックモデルのApolloをメインのモニターアウトとして使って、DSPも拡張し、デスクトップモデルをモニターコントロールにも使用できます。またデスクトップモデルはモバイルでも使って、ラックはホームスタジオ用にすることもできますね。
Apolloは単なるオーディオインターフェイスではなくスタジオそのものであるのが他社製品との最大の違い
--数多くのメーカーから、多くのオーディオインターフェイスが発売されているなか、あらためて、Apolloの強みを教えてください。
ICHI:Apolloシリーズは、ただのオーディオインターフェースにとどまらず、一台あればスタジオを構築することができるのが、他社製品との大きな違いです。というのもUnisonテクノロジーでマイクプリのアナログ回路の特性自体を再現していますし、UADプラグインではDSPパワーによって、アナログ回路をエミュレーションしているからです。実際各メーカーとの共同開発を行っていて、実機の開発時の仕様書を公開してもらったり、回路図を見せてもらうなどの協力を経て、プラグインをリリースしています。なので、まさに本物のギターアンプやマイクプリ、EQやコンプレッサー…など、実機を再現しているため、それらを自由に選んで夢のスタジオを組めるのです。実際グラミー賞エンジニアもUnisonマイクプリアンプを使っていて、実機のように掛け録りできるクオリティを誇っています。そんなUAD-2のプラグインは、11月15日のUAD ソフトウェア v9.11アップデートで総プラグインが200個を超えました。
--v9.11アップデートでなにが追加されたのでしょうか?
ICHI:80年代90年代のヒップホップ、R&Bの名機Avalon VT-737 Tube Channel Strip、Sonnoxが開発したディエッサーSonnox Oxford SuprEsser DS、Diezelの出発点ともいえるギターアンプDiezel VH4 Amplifierが追加されました。またアップデートというと、UAD-2のモデリング技術が詰まったリアクティブロードボックス/ギターレコーディングシステム OXも、キャビネットが追加されたり、プリセットが増えたり、フットペダルが使えるようになりました。
--最後に来年以降Universal Audioはどう進化していきますか?
ICHI:今後も音楽が作りやすい環境をどんどんアップデートしていきます。今回のリリースで第3世代目が全部そろったので、今からApolloを使い始める人は最高のタイミングだと思います。もちろん、今後リリースしつづける新しい製品も今の製品と合体するので、一生使い続けることが可能ですよ。
2020年もまだまだ新しい製品をどんどん出していくと話すICHIさん
冒頭でお伝えしたように、現在UAデスクトップインターフェイス・プロモーションを行っているので、Apollo x4、Apollo Twin X、Arrowオーディオインターフェイスを購入して登録すると、最大$1,298相当のクラシックUADプラグインを無料で手に入ります。またラックタイプのApollo xシリーズを購入すると、UAD-2 Satellite DSPアクセラレーターがもらえるキャンペーンも行われています。どちらのキャンペーンも期間は12月31日までとなっているので、この機会にApolloの世界をDTM環境に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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