KDJ-ONEの基本コンセプト、標準機能については以前の記事「独占単独取材!ゲーム機風な小型DTM機材、KDJ-ONE登場へ」で紹介しているので、そちらを参照していただきたいのですが、一言でいえば小さなDAW。強力なシンセサイザが搭載されていて、音色が自由にエディットできたり、MIDIシーケンス機能で自在にコントロールして演奏することができます。またACIDizedされたWAVファイルを貼り付けて利用したり、本体にもサンプリング機能を装備しているため、自在に音を取り込んで曲を作っていくことが可能という強力なガジェットです。
マルチタッチのパネルでピンチイン/アウトといった操作もできる
オーディオ入出力やUSB端子、マイクロSDスロットなどを装備
左右に搭載された小型スピーカーの横にボタンがついているのですが、右側がパワーボタン、左側がサンプリングボタンとなっており、サンプリングボタンを押せば、すぐにレコーディングできるというのも便利なところ。ライン/マイク入力端子からのレコーディングはもちろんのこと、本体フロント部分には小型マイクも内蔵されているため、それを利用することもできる仕様です。
ソフトウェア的には基本的に従来と変わっていませんが、そこに新たに追加されたのがソングモード。これは6トラックで作成したシーケンスパターンを並べていくというもので、最大同時に4つ並べることができるため、実質的には最大24トラックの同時再生が可能というわけです。またユニークなのは、ここに並べるデータとしてシーケンスパターン以外にループ素材、さらにはLowPassフィルターやリバーブなどのエフェクトを置くことが可能になっていること。そのパラメータ自体を変化させることが可能になっているので、最終的にかなり自由度の高い楽曲作りができそうです。
新たに搭載されたソングモード画面
かなり凝っていると感じたのが、シンセサイザ部分。255のウェーブテーブルを持っていて、そこに波形が入っています。基本的には固定データとなっているのですが、アップデートして入れ替えることも可能なのだとか。そこをどのように展開するかは、今後考えていくとのことですが、音作りの幅は大きく広がりそうな予感です。
フィルターやエンベロープなどのシンセ機能は、大和田さんが好きなKORGのELECTRIBE MXをオマージュしたものになっているとのことで、かなり完成度は高そうです。また、結構こだわりを感じたのがファミコンサウンドの再現部分。たとえばReasonのRedrum風な構造のドラム音源には、通常のウェーブテーブルデータのほかに専用のノイズジェネレータが搭載されているのですが、これが面白いのです。ノイズのサンプリングビット数を1~15の範囲で変更できるようになっており、1ビットに設定するとファミコンとソックリのものになる、といった具合。ほかにもファミコンサウンドを再現するための仕掛けがいろいろと設けられているあたりに大和田さんの思い入れが感じられます。
前述のとおりUSB端子を経由しての接続も可能であり、PC側にも強力なユーティリティソフトが用意されます。WindowsとMacの双方に対応しており、まずKDJ-ONEの画面そのものがPC側に現れ、KDJ-ONEをリモートコントロールできるようになっています。その上で、さまざまなファイルコンバート機能が装備され、ACIDizedファイルを渡せるほか、MIDIファイルを渡したり、反対にKDJ-ONEで生成したシーケンスデータを受け取ってMIDIファイルにして出力するといったことも可能。
KDJ-ONEについていろいろと語ってくれた大和田豊さん