なんで、もっと早く出せなかったんだ!」といった声がいっぱい出てきそうですが、ニコニコ生放送ニコニコ動画の「歌ってみた」、「演奏してみた」用のオーディオインターフェイスとしてデファクトスタンダードとなっていたRolandUA-4FXが、UA-4FXIIという新機種として復活することになりました。

大きさは従来のUA-4FXより一回り小さくなりますが、見た目もそっくりで、基本的な機能は従来のものをそのまま踏襲。もちろんUSB 2.0に対応すると同時にON AIRボタンを装備したり、LOOP-BACKボタンを前面に出すなどUA-4FXIIは、ネット放送をより使いやすくするための現代のオーディオインターフェイスとして大きく進化しているのです。発売は12月中旬でオープン価格(実売価格は20,000円前後)とのことですが、一足早く使ってみたので、これがどんなものなのかを紹介してみましょう。


STREAM STATION
との愛称で、生まれ変わったUA-4FXII
 
もともとUA-4FXが発売されたのは2005年だからもう11年も前のこと。その後、2010年ごろには生産終了となっていましたが、ネット放送の世界では、どんどん人気となっていき、最近ではヤフオクなどで高値で取引されています。

そのUA-4FXがようやくRolandの手によって復刻されるわけです。当時のUA-4FXは生産された年代によりEDIROLブランドのものとCakewalkブランドのものがありましたが、今回のUA-4FXIIはRolandブランドとなります。


初代UA-4FX(左)と新しいUA-4FXII(右)


その元モデルであるUA-4FXについてご存知ない方もいると思うので、簡単に説明すると、これは当時としては珍しい、トップパネル型のUSBオーディオインターフェイスで、内部にエフェクト機能を搭載していたのが大きな特徴となっていました。

リバーブコーラスEQコンプのほか、真空管アンプシミュレータも搭載されていたのですが、人気の理由はこれらのエフェクトを本体のスイッチやツマミだけで操作できたという点でした。つまりボーカル用にマイクを接続した後、リバーブのツマミを回せばリバーブがかかり、LOW BOOSTを上げれば低音を持ち上げる……といったことができ、オーディオエフェクトなど使ったことがない人でも直感的使うことができたのが、大きくウケていたのです。

最近になって、TASCAMがMiNiSTUDIOなど、ニコニコ生放送用のオーディオインターフェイスなどを出しては来ていますが、このパネル上の操作だけで、すべての音作りができてしまうという意味ではUA-4FXの優位性は変わらなかったんですよね。


上が初代UA-4FX、下がUA-4FXII


そこに登場した今回のUA-4FXII、従来のUA-4FXとまったく同じものかというと、そうではないんですよね。たとえば、パネル面に並んでいるエフェクトのパラメータを見ても、いろいろ変わっているのが分かりますよね。


3つあるエフェクトタイプは、SELECTスイッチで切り替える

UA-4FXIIでは「MIC/GUITAR」タイプ、「MASTERING」タイプ、「TOTAL MIX」タイプの3つのタイプを切り替える形となっており、「MIC/GUITAR]は歌やナレーションにエフェクトをかけたり、迫力あるギターサウンドを作るためのもの、「MASTERING」は真空管のオーディオアンプのシミュレータを使って、暖かい音にしたり、オートレベル機能で音圧を調整できるマスタリング用、そして「TOTAL MIX」はマイクやギターにエフェクトをかけつつ全体をバランスよくまとめるものとなっています。


UA-4FXIIのエフェクトの各パラメータ
 

それぞれのエフェクトのパラメータは、この表のようになっており、初代UA-4FXとはちょっと違うんですよね。ちなみに入力がギターなのかマイクなのかをスイッチで切り替える仕掛けとなっていますが、どちらの設定にするかによって、エフェクトの種類が変わってくるなど、なかなかうまく設計されていますよ。


パラメータの調整でギターサウンドも大きく変化する


そのスイッチをギター入力とした際、アンプシミュレーターはギターアンプとして機能するようになり、パラメータの値によって、ギターアンプの種類を変えたり、ゲインやプレゼンスを変えることができるようになっています。


さまざまな機器と接続できるUA-4FXII


入出力も変化しているのですが、接続できる機器はこの図のようになっています。一通り、何でも接続でき、マイクもコンデンサマイク、ダイナミックマイクともに使えるわけですが、DTM系じゃないユーザーにとってもちょっと便利だあと思ったのが、4極のヘッドホンマイクが使えること。試しにiPhone用のイヤフォン/マイク(iPhone7用はLightningになっちゃったので当然接続できませんが…)も、ちゃんとマイク機能を使うことができましたよ!


各種入力端子を備えている


そして、放送用という意味で断然使いやすくなったのが、ON AIRボタンとLOOP-BACKボタンがパネル面に搭載されたという点です。まずON AIRボタンはマイクやギター、LINE INに入ってきた音をオン/オフできるという機能。これがあることで、こちらの声を放送したくないときは完全に遮断する、ということが簡単にできるわけですね。


ON AIRボタンと、LOOP-BACKボタンがトップパネルに
 

またLOOP-BACKのほうは、PCの再生音を放送できるようにする機能です。たとえばiTunesから曲を流してそれをバックに歌ったり、ゲーム実況など、PCの音を放送しつつ、それに合わせてマイクを使って解説していくことが可能になり、そのオン/オフをボタンで操作できるわけですね。


UA-4FXIIの内部のブロック・ダイアグラム


この辺の信号の流れと、エフェクトの関係がどうなっているかが、少し混乱しそうですが、シグナル・フロー図を見ると一目瞭然。なかなかうまくできていますよね。初代UA-4FXでは、USB 1.1での接続であったこともあり、再生時はPLAYBACKモードに、録音時はCAPTUREモードに切り替える必要があるなど、操作が複雑でしたが、UA-4FXIIでは、そうした面倒さが解消されているのも、使いやすくなったポイントでもあります。


ファンタム電源スイッチは、不評だった底面から、右サイドになった 

ところで、今回使ってみて、とくに強力に感じたのがAUTO-LEVELというパラメータ。いわゆるコンプレッサの機能なのですが、これを上げておくことで、マイク入力の音圧を簡単に整えることができるんです。つまり、マイクに近い位置でしゃべっても、少し離れても、音の大きさのツブが揃って、すごく聞き取りやすくなるんですよね。これを、普通のコンプレッサで操作すると、スレッショルドやレシオをいじる必要があり、初心者にはかなり難易度の高いものとなりますが、これはツマミ一つで動かせるので、とっても簡単。コンプレッサが分かっている人にとっても、とっても使いやすいと思いますよ。


オーディオインターフェイスとしてのパラメータ設定画面

このように、強力で分かりやすいエフェクトを本体内に搭載したことで、とっても使いやすく、便利なUA-4FXですが、もちろん、これはRolandのオーディオインターフェイス。WindowsであればASIO、MacならCoreAudioのドライバに対応していますから、SONAR、Cubase、Studio One、Pro Tools、Ability、Ableton Live、Logic……と各種DAWと接続して使うことができます。


UA-4FXIIのリアパネル。出力端子はRCAピンジャックになっている
 

また初代UA-4FXでは24bit/96kHzまででしたが、UA-4FXIIでは最高で24bit/192kHzで使うことも可能です。もっともエフェクト機能などがあるので内部処理は48kHzとなっているので、超高音質でのレコーディング・再生というわけにはいかないようですが、エフェクト処理した音をレコーディングすることもできるし、DAWで作った音をUA-4FXIIのマスタリング機能を通してモニターすることができるなど、用途はいろいろ。すでに手元にオーディオインターフェイスを持っている人でも、ひとつ手元に置いておいて損のない機材だと思いますよ。

※今回使用したUA-4FXIIは発売前のプロトタイプであるため、発売時にデザインや仕様などが変わる可能性がありますので、ご了承ください。 

【製品情報】

UA-4FXII製品情報