Perfumeセカオワに代表されるケロケロボイス。あのケロケロボイスにはアメリカのソフトメーカー、Antares Audio TechnologiesAuto-Tuneというソフトが使われていることは多くの人が知っていることと思います。最新版はAuto-Tune 8で定価で59,400円(税込)というソフトなんですが、その本家AntaresのAuto-Tuneエンジンを搭載したAuto-Tune MobileというiPhone/iPad用アプリがたった600円で販売されていたって知ってましたか?

iOS用のアプリ、どんどん新しいものがたくさん出ていて、私もまったく追い切れていないのですが、先日、nanaに取材に伺った際、nanaの開発エンジニアに教えてもらって知ったんですよね(nana搭載のケロケロエフェクトとは別ものとのことです)。しかも調べてみると最初にリリースされたのは2013年11月なので、もう4年近く前に登場していたようです。その後バージョンアップが繰り返されて現在はバージョン3.1。AudiobusInter-App Audioに対応するなど、まさに最新のアプリへと進化してきているのです。「いまさらか?」なんて言う人もいそうですが、改めてAuto-Tune Mobileについて紹介してみたいと思います。


iOS用の600円のアプリ、Auto-Tune Mobileを使ってみよう!

あのケロケロボイスって、どうしてあんな歌声なんでしょうか?あれはピッチ補正機能を用いて、強制的に指定のピッチに合わせ込んでいるために、あんな風なサウンドになるんですよね。だからAuto-Tuneに限らず、ピッチ補正機能を装備しているCelemonyMelodyneでも、Cubase搭載のVari Audioでも同様のことは可能です。


Windows/Mac用のソフトウェア、Auto-Tune 8 

でもやっぱり本家のAuto-Tuneを使ってみたい!」と憧れている人も少なくないと思います。その本家のAuto-Tuneが600円ならやっぱり試してみたいところでしょう。

ネットを検索してみたらそのiOS版であるAuto-Tune Mobileを用いて歌っているなかなか上手な作品があったので、ご覧になってみてください。



KITAKEN(@ktkn_cute)さんという方による作品ですが、このボーカル部分で使っているのがAuto-Tune Mobile。600円のアプリでこれだけのことができてしまうのですから、使ってみる価値はありそうですよね。


Auto-Tune Mobileを起動してみると、こんな画面になっている 

画面を見てみると、Auto-Tuneのプラグイン版、Auto-Tune EFX3とそっくりなユーザーインターフェイスですね。実際に使ってみましょう。


見比べてみるとPC用のプラグインソフト、Auto-Tune EFX3とソックリ

一番単純な使い方は、このアプリ単体でリアルタイムにケロケロ化させるエフェクトとして使うこと。つまりマイクに入った歌声を、そのままケロケロボイスとして出力するという手段です。ただし、この場合ヘッドホンやマイクを使わずにiPhone単体で使おうとすると、iPhoneのスピーカーから出てくる音をそのままマイクが拾ってしまうため、ハウってしまいます。とりあえず、iPhone付属のヘッドセットでもいいので、これを使ってハウらないようにしてから試してみてください。


C、E、Gだけを指定して歌ってみると効果がハッキリわかる 

することは、いたってシンプル。マイクから歌うだけでOK。ちょっとケロった声になりますよね。「イマイチ効果がよく分からない……」というのであれば、少し使う音程を絞ってみましょう。画面にはC、Db、D、Eb、E……と12の音階がすべて青く点灯しています。これをタップして、C、E、Gだけにして歌ってみてください。


キーやスケールを設定していくことができる 

どうですか?どんな音程で歌っても、ドミソの音に強制的に置き換えられるのとともに、違う音程で歌った声が、ケロった感じになっているのを確認できるでしょう。ここまで絞らなくても、キーとスケールで出る音程を設定していくことが可能です。たとえば、キーをDに設定してBluesを設定すればブルース調で歌うことができるわけですね。


DキーでBluesを設定してみると、こうなる 

また画面下にはRetune Speedというパラメータがあります。デフォルトではNormalに設定されていますが、これは音程の強制変換をどのくらいのスピードで行うかを指定するもので、Normalだと約50msecとなります。これを一番右のAuto-Tune Effectにすると、基本ゼロレイテンシーの、いかにもAuto-Tuneという音になるわけですね。


レイテンシーの設定画面 

なお、画面左下のボタンを押すことで、レイテンシーに関する設定が可能になっており、バッファサイズを64、128、256から選べるようになっています。デフォルトでは128ですが、64に設定すれば、さらにレイテンシーを縮められます。どうしてもブチブチいってしまうなど、調子が悪い場合には256に設定してみてもいいかもしれません。

このように一人で遊ぶだけなら、このヘッドセットで歌ってみるというのもいいのですが、iPhoneのヘッドホン出力をカラオケの入力へもっていけば、ケロケロボイスをカラオケで披露しちゃうといった遊び方もできそうですね。

アプリ単体で使うとしたら、この程度のことができるというものなのですが、これはiOSで動作する最新のアプリ、ほかの機材やアプリと組み合わせることで、さらにいろいろなことができるんです。その実例をいくつか紹介していきましょう。


MIDIキーボードと組み合わせると、使う音をキーボードから指定できる 

まずはMIDIキーボードとの組み合わせから。ご存知の通り、iPhoneやiPadはiRig KEYSのようなLightning端子を装備したMIDIキーボードとの接続ができるし、USB-Lightningアダプタを用いれば各種USB-MIDIキーボードとの接続も可能です。さらにBluetoothで接続できるmicroKEY Airなどを利用すれば、Lightning端子を使用することなく、MIDIキーボードを接続できるようになっています。


利用するMIDI入力デバイスを指定することもできる 

Auto-Tune Mobileの画面右下の4つの矢印のボタンをタップすると入力するMIDIインターフェイスを指定することができるので、接続したキーボードをオンにしてください。この状態でMIDIキーボードを弾くと……。そう、これで使う音程を指定することができるんです。つまりキーボードでコードを抑えながら歌っていけば、特定の音程に固定されるのではなく、曲の進行に合わせて変えていくことが可能になるわけです。ちょっとボコーダー的に使い方ですよね。


Audiobus3を用いて、入力にはマイク、出力にFL Studio Mobileを設定して録音してみた 

せっかくならリアルタイムに音を鳴らすだけでなく、歌った結果をレコーディングしていきたいということもあるでしょう。そんなときはAudiobusを使うというのが一つの手段です。Audiobusでは、入力、エフェクト、出力の3つにおいて、アプリやデバイスを指定することができるようになっていますので、このエフェクトとしてAuto-Tune Mobileを指定するのです。

この際、入力はマイクに設定し、出力をレコーディングアプリに設定すればいいわけですね。たとえばMultitrack DAWFL Studio mobileMusic StudioといったDAWを指定してもいいし、iRig Recorderのような単純なレコーディングソフトを指定して録っていくというのもいいですよね。


CubasisのInsert EffectsとしてIAAのAuto-Tune Mobileを設定する

さらに一歩進んだ使い方がIAAInter-App Audioを利用した使い方です。IAAについては以前「iPad/iPhoneでDTMを使いこなすためのInter-App Audio基礎知識」という記事を書いているので、これを参考にしてほしいのですが、Auto-Tune MobileはIAAに対応しているので、CubasisAuriaなど、さらに一歩上をいくDAWで大きな威力を発揮することができるのです。

たとえば、Cubasisを例に見てみましょう。事前にCubasisにボーカルを普通にレコーディングしておいたとしましょう。後から、「やっぱりこのボーカルをケロケロボイスにしたい」といった場合、まさにエフェクトとして使うことができるのです。


IAAとして組み込まれた側のAuto-Tune MobileからリモートでCubasisのプレイ・ストップの操作も可能

この場合、Insert EffectsとしてInter-App Audioを選択すると、この中にAuto-Tune Mobileが見つかるので、これを選べばいいだけです。もちろんこの場合でもMIDIキーボードからの制御は可能だし、必要あれば、CubasisのMIDIトラックからMIDIノート信号をAuto-Tune Mobile側へ送るといったことも可能なんです。

こう考えていくと、かなり応用範囲も広く使っていくことができそうですよね。PC版のAuto-Tune EFX3に搭載されているハーモニー機能は装備されていませんが、それでもこれだけのことができるのですから、ちょっと試してみる価値はあると思います。これで物足りなければPC版を導入しているという流れでも悪くないと思いますよ!

※追記 2017.5.14
この記事をUPして、結構すぐにジェットダイスケ(@jetdaisuke)さんが、“iPhoneアプリなら600円「Auto-Tune Mobile」あの元祖ケロケロボイス「オートチューン」がiOSに。歌ってみた動画を撮影した結果…”というタイトルで以下のビデオをUPされていたので、ご紹介しておきます!結論としては「ボクはやっぱりボコーダーのほうが好きですね」とのことではありましたが(笑)。

 

【アプリ購入】
◎App Store ⇒ Auto-Tune Mobile
◎App Store ⇒ Audiobus 3
◎App Store ⇒ Cubasis
◎App Store ⇒ Multitrack DAW
◎App Store ⇒ FL Studio Mobile

【価格チェック】
◎Amazon ⇒ Auto-Tune 8
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