DeeMax、DeeFat、DeeComp……、DOTEC-AUDIO、全9製品が揃う激安MEGA PACKが登場。各製品の驚きのアップデートポイントも一挙紹介

DTMステーションで、これまでいろいろと紹介してきたDOTEC-AUDIOのプラグイン。ちょうど3年前、DeeCompとともに彗星のように登場した日本のプラグインメーカー、DOTEC-AUDIOは、レバーをグイッと持ち上げるだけで爆音にすることができるマキシマイザーのDeeMaxや、スライダーひとつでいい感じに音を太くしてくれるDeeFatなど、これまでの常識を覆すユニークで、かつプロも使える実用性を打ち出すプラグインを次々とリリースしてきました。その数は有料のプラグインが9製品、DeeGateDeePanpotなど無料のプラグインまで入れれば13製品にもなっています。

まさに日本のWavesといった感じのDOTEC-AUDIOですが、これまで基本的にネットのダウンロード販売を中心に展開してきています。各製品とも5,000円程度と安く、1度購入したユーザーには大きな割引をすることも多くのファンを集めてポイントだと思います。そのDOTEC-AUDIOが一般の楽器店などで販売するMEGA PACKという全部入り製品を激安価格で発売しています。「せっかくなら、まとめて欲しい!」という人にとっては安く入手できるチャンスです。一方、DOTEC-AUDIOでは製品リリース後に、エンジン強化を図ったり、便利な機能を追加するアップデートがどんどん行われていきたので、主なアップデートポイントを、開発者であるフランク重虎さんに伺ってみました。
DOTEC-AUDIOの全部入りパッケージ、MEGA PACKが登場


改めて、DOTEC-AUDIOの製品一覧を作ってみると、以下の13種類のプラグインがあります。

1 DeeGraphComp グラフィックコンプレッサ 5,000 円
2 DeeWider ステレオイメージャ 2,500 円
3 DeeMax マキシマイザ 5,000 円
4 DeeComp コンプレッサ 12,000 円
5 DeeTrim オートレベラー 2,500 円
6 DeeFat オートコンプレッサ 5,000 円
7 DeeFX マルチエフェクタ 5,000 円
8 DeeEQ イコライザ 5,000 円
9 DeeChannelTool チャンネルストリップ 2,500 円
10 DeeGate ノイズゲート 0 円
11 DeePanpot チャンネルツール 0 円
12 DeeGain チャンネルツール 0 円
13 DeeSpeaker モニターシミュレータ 0 円
合計 44,500 円

これを作っているのは、自らがミュージシャンでありプロデューサーでもあるフランク重虎さんと、数多くのソフト開発を手掛けてきた飯島進仁さんの2人。コア部分は重虎さんが開発し、プラグインとしてまとめ上げるのが飯島さん。単純計算で3か月に1本以上のペースで、新発想のプラグインを次々と出してきているのですから、ホントにスゴイですよね。
MEGA PACKは楽器店のみで扱い。DOTEC-AUDIOのダウンロードサイトでは購入できない
上記の表からも分かる通り、全製品の価格を合計すると44,500円。WindowsでもMacでも利用でき、VST、AU、AAXでも使えることを考えれば十分安いと思いますが、DOTEC-AUDIOの場合、1本でもDOTEC-AUDIO製品を購入した方なら割引を受けられる「シリアルキー割引」を常に実施していて、どれも1,500円引きで買えちゃうのも嬉しいところ。DeeWiderやDeeTrimなど2,500円の製品の場合、1,500円引きで、1,000円になっちゃうんだから、「これで大丈夫なんだろうか……」と心配しちゃうほど。
有料の9本のプラグインが入っている
有料製品が9本あるので、1つを購入後、残り8つをシリアルキー割引適用で購入すれば12,000円引きとなるので、全部をネット購入すれば32,500円。それに対し、先日発売されたMEGA PACKは全部セットで、25,000なので、それよりも割安ということですね。「すでにDeeMaxを持っている」という人でも少し安くなる計算ですよね。

さて、これらDOTEC-AUDIOのプラグイン、Deeシリーズですが、9月24日現在のバージョンを見てみるとDeeWiderはVer2.0.0、DeeCompがVer2.5.0、DeeFXが1.1.1など、リリース時に記事で紹介した1.0.0のときと比較すると機能や性能の向上が図られています。2.x.xへのメジャーバージョンアップでも、ユーザーは無料でアップデートできるのも嬉しいところ。そのバージョンアップによる機能強化ポイントをいくつか重虎さんに伺ってみました。

ちょっと聞いてみたところ、アップデートポイントは膨大にあったので、重虎さんお勧めの3つということで挙げてもらいました。
重虎さんに、バージョンアップのポイントを3つピックアップしてもらった
「DOTEC-AUDIOとして最初にリリースしたのがDeeCompでしたが、パフォーマンスを改善したり、KNEE機能を追加した後、昨年末の2.5へアップデートするタイミングでM/S INPUTボタンを追加しました。これはステレオ入力された信号を内部的にMidとSideに分けてコンプレッサー処理をするというものです。これによってMidを圧縮して、全体の音量感を上げることが可能になります」と重虎さん。以下にそのデモがあるので、聴いてみてください。

前半は、OFFの状態で、後半でM/S INPUTボタンをONにしてコンプレッサを掛けているわけですね。聴いてみると、左右から出てくる音の音圧が上がって広がりを感じると同時に、全体的にも大きく音圧が上がっているのが分かりますよね。
PEAK/RMSスライダーで、スレッショルドの検知方法を変化させることができる
「さらにM/S INPUTボタンと同じタイミングでPEAK/RMSスライダーも追加しています。これによってスレッショルドの検知方法をPEAKとRMSの間で調整可能になりました。PEAKに素早く反応しつつRMSの平滑化された動きで圧縮が可能になるので、ぜひ試してみてください」

Deeシリーズの中ではパラメーターが多く、また12,000円とちょっと高い値付けのDeeCompではありますが、これだけわかりやすく使いやすいコンプレッサはほかにないですから、これ目当てでMEGA PACKを導入というのもありだと思いますよ。

「2つ目の紹介したいのが、ステレオイメージャーのDeeWiderのアップデートについてです。当初、ユーザーのみなさんからも『重い』という声も上がっていたのですが、LCRの分離方法をゼロから設計し直した結果、CPU使用率が1/40になりました。さらにリアルタイムで使った場合、3msec程度のレイテンシーがあったのですが、この改変によって、ほぼゼロレイテンシーで処理することができ、使用感としても、非常に軽いエフェクトになっています」と重虎さんは説明してくれました。
軽くなり、モノラル音源も自然にステレオ化できるようになったDeeWider
「また機能という面では、モノラル音源を疑似ステレオ化するDUOスイッチを搭載しました。モノラルでレコーディングされたボーカルやベースに利用することで、ほかのエフェクトではなかなか実現できない自然でワイドな音場が得られます」(重虎さん)

上記のビデオを見れば、自然に音が広がってくれるのがよくわかりますよね。ステレオイメージャーって、もちろん、他社からもさまざまなプラグインが出ていますが、これほど簡単で、かつ気持ちよく音を広げられるものはほかにないと思いますね。

「3つ目に挙げるとしたら、マルチエフェクトのDeeFxに追加したヴァイナルストップ機能です。これはレコードを止めたような効果を出すものなのですが、作家需要も多いために追加しました。この種の専門プラグインが無いと少々面倒な作業が必要です。2分音符、4分音符、8分音符の長さで、ホストのテンポに同期する形で音を止めることができます」と重虎さん。実際の効果は以下のビデオを見れば一目(聴)瞭然。

確かに、ありそうでいてなかなかないエフェクトですよね。PCDJ系のソフトだとこうしたことができるけれど、そのためにわざわざPCDJソフトを通すというのも面倒ですし、かといってピッチシフトやタイムストレッチを使ってもこううまくはいきません。こうした効果を出すためには打ってつけの機能ですね。

この部分をクリックすると、レコードの回転を止めるような感じで音が止まる

「もう一つDeeFXのディストーションにビットクラッシャーモードを搭載しました。下部の波形をクリックすると、ディストーションがレトロゲーム、ロービットサンプリングのような効果を与えることができ、いわゆるビットクラッシャーになるのです。フィルターと組み合わせることで、より使えるエフェクトとして機能すると思います」(重虎さん)

なるほど、ヴァイナルストップ機能、ビットクラッシャー機能それぞれを1つのエフェクトとして発売してもいいのでは……と思ってしまいますが、既存ユーザーのために、いろいろな機能を後から無料で追加してくれるのがDOTEC-AUDIO流ということなんですね。
最新版のDeeMax Ver 2.5.0
と、重虎さんには3つだけピックアップしてもらいましたが、ほかにも追加機能や性能強化はいろいろ。DeeMaxについては以前の記事でTurboボタンやSafeボタンについて紹介しましたが、DeeFatにはBASSエンハンサーの3段階切り替えスイッチを追加され、好みの音質が作りやすくなっています。
DeeFatには3段階切り替えのBASS ENHANCERが搭載に
またDeeTrimにはVocalモードが追加され、ボーカルなど声素材の特性に合わせた処理をするようにしています。このVocalモードは内部のノイズキャンセル最適化をすることで、ボーカルを気持ちよく聴けるように処理するものなのですが、長音の楽器に使用しても効果的に使うことができます。
DeeTrimにはボーカルにピッタリ合うVOCALボタンを装備

このように、Deeシリーズは、各種かなり大きなアップデートをしているので、買ってから一度もバージョンアップしてない……という方はこの機会にアップデートしてみるといいですよ。

ご存知の通り、Deeシリーズはどれも無料でダウンロードして試すことができます。アクティベートしないとデモモードとして動作するため、一定時間経過すると機能が止まってしまい、再度起動しなおさないといけなくなるのですが、お金を払わなくても実際どんな効果があるのか、十分納得するまで試すことができます。

10月2日に放送予定のDTMステーションPlus!には、フランク重虎さん、飯島進仁さんにも登場していただき、これらDeeシリーズについて実演を交えながらたっぷりと解説していきますので、ぜひお楽しみに!

このタイミングで全部入りのMEGA PACKで導入するもよし、1つずつ追加していくのもよし、みなさんなりの導入方法でDeeシリーズを使い倒してみてはいかがですか?
【価格チェック&購入】
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◎DOTEC-AUDIO ⇒ DeeEQ
◎DOTEC-AUDIO ⇒ DeeChannelTool

【関連情報】
MEGA PACK 2018 JUNE製品情報
DOTEC-AUDIOページ

【第115回 DTMステーションPlus!】
10月2日 20:30~22:30
ニコニコ生放送 
FreshLive

Commentsこの記事についたコメント

1件のコメント
  • retro future

    シンプルでわかりやすいって重要ですね。

    2018年9月25日 2:43 AM

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