歌うシンセサイザ、CASIO CT-S1000Vに搭載された驚異的エフェクト機能を探ってみた

今年3月の発売以降、幅広い層に売れているというCASIOの歌うシンセサイザキーボードである、CT-S1000V。ちょうど、このCT-S1000Vの楽曲コンテストともえいる「CT-S1000V Challengeというイベントも盛り上がっているところですが、当初はずっと品薄状態で、なかなか入手できなかったようですが、最近はだいぶ落ち着き、楽器店、量販店、通販でも購入できるようになってきています。自由に歌詞を設定して歌わせることができるボーカルシンセシス機能が搭載されているのが最大の目玉ではありますが、INSTRUMENTモードに切り替えることで、強力なシンセサイザとしても機能するのもポイントであり、USB経由でPCとも連携が可能になっていることは、以前の記事でも紹介してきたとおりです。

実売価格が50,000円前後という値段からは信じられない機能が数多く搭載されているのですが、その機能の一つとして今回ピックアップしたいのがアクティブDSPという機能。つまりデジタル処理によるエフェクト機能です。ピアニストの佐藤航@Gecko0120)さんをゲストにお招きして収録した「江夏と藤本のオトトーク」の番組内で、そのアクティブDSP機能の奥深さを覗いていったのですが、その後調べてみたら、トンでもないほどの機能が詰め込まれていたことが分かりました。このアクティブDSP機能だけで50,000円といっても高くないと思うほどの内容なのですが、実際どんなものなのか紹介してみましょう。

佐藤航さんをゲストにお招きしての「江夏と藤本のオトトーク」

これまでも、いろいろな角度から記事で紹介してきたCASIOのCT-S1000V。Casiotoneのラインナップのひとつということで、誰でも気軽に楽しめるファミリーキーボード……のようなイメージが沸いてしまうのですが、モンスターマシンといっても過言ではない強力なシンセサイザです。スピーカーも内蔵されているから、確かに電源を入れれば、何も知らなくてもすぐに弾けて、ダイヤルを回せば、さまざまなサウンドを鳴らせるという意味ではCasiotoneなんですが、深堀りしていくと、恐ろしいほどさまざまな機能が潜んでいて、ここまでやっているのか…と驚かされます。

そのCT-S1000Vの面白さを探っていくYouTube番組としてマリモレコーズの江夏正晃(@DJebee1)さんと私とで「江夏と藤本のオトトーク」という10分ほどの番組を展開していますが、その第32回、第33回とピアニストで作曲家の佐藤航さんをゲストにお招きしているのですが、その第33回において佐藤さんからCT-S1000Vに搭載されているアンプシミュレータ機能についての話があがったのです。ぜひ、以下の番組をご覧ください。

番組後半で、そのアンプシミュレータ機能を探っていっているわけですが、かなりマニアックな機能であることが分かると思います。佐藤さんが話しているとおり、MENUボタンを押して「ACTV DSP」(アクティブDSP)を選んだ上で、27番の「Amp Cab」を選択すると、アンプシミュレータが機能するようになっているんです。

MENUボタンを押した後、「ACTV DSP」のボタンを押す

番組内では主にエレピサウンドにかけていましたが、もちろんエレキギターでもオルガンでもシンセリードに対してかけることもできるし、必要あればボーカルシンセシスにかけることも可能です。

ダイヤルを使って27番を選ぶとAmp Cabというものが出てくる。これがアンプシミュレータとなっている

CT-S1000VではK1、K2、K3と3つのノブがあり、通常の音色であればK1をカットオフ、K2をレゾナンス、K3をモジュレーションに割り振ってシンセとしてすぐにパフォーマンスできるようになっていますが、このAmp CabにおいてはK1でシミュレーションするアンプモデルを選択できるようになっています。

K1のノブを使ってアンプのモデルを選ぶ

番組内でも紹介したいるとおり、ここには数多くのモデルが収録されています。たとえば「MS-PLX」、「MS-J800」、「FD-TWRV3」、「VX-A30」……なんて具合で見れば何をモデリングしているのか想像できる名前になっています。トータルで127種類のアンプが用意されているようで、それぞれ特徴あるサウンドに変わってくれます。

ただK1のノブ、ちょっと動かすだけでパラメータがどんどん動くので、この操作で目的のアンプを選びだすのはちょっと大変。でもPARAMETERというボタンを押してから操作すれば、大きいダイヤルで選んでいくこともできるし、+/-ボタンで1つずつ動かして選択していくこともできますね。

K1ノブだけでなく、PARAMATERボタンを押せば、ダイヤルや+/-キーでも選択可能

また、この「27:Amp Cab」を選んだ場合は、このモデルの変更とWetLevelとDryLevelの調整ができるだけに留まりますが、実はもっともっと幅広い使い方もできるようになっています。この辺は番組収録後、帰宅してからCT-S1000Vを改めて使ってみて分かったのですが、その辺をもう少し紹介してみましょう。

マニュアルにもアクティブDSPについて細かく記載されている。音源の後段にアクティブDSPが配置される形だ

前述の通り、アクティブDSPで27番を選ぶとアンプシミュレータになるわけですが、このアクティブDSPには100種類のプリセットが用意されており、どれを選ぶかによって、ホントにさまざまなサウンドに変わります。EQ、コンプレッサ、リミッタ、フェイザー、コーラス、フランジャーオートパン、ディストーション……といろいろあるわけですが、プリセット番号が大きくなると、いろいろなエフェクトを組み合わせたものが用意されているのです。

たとえば28番はReAmp1となっており、4つのモジュールに別々のエフェクトが設定されている

実はこのアクティブDSPはモジュール1~4と最大4つのモジュールを組み合わせられる形になっていて、それぞれのモジュールごとに別のエフェクトが配置することができるようになっているのです。

たとえば「28:Re-Amp 1」はその名の通り、リアンプ用のエフェクトなのですが、

モジュール1:Compressor
モジュール2:Amp Cab
モジュール3:Enhancer
モジュール4:Tone Control

となっており、「52:FlgDAmp」はフランジャー・ディレイ・アンプを意味しているようで、

モジュール1:Drive
モジュール2:Amp Cab
モジュール3:Flanger
モジュール4:Delay

といった具合なんです。

このようにAmp Cabが組み込まれたプリセットにおいては、アンプシミュレータとほかのエフェクトをセットで使うことができる、というわけなのです。もちろん、こうした組み合わせの場合でもどのアンプを使うので127種類の中から選ぶことができる、というわけなのです。また、いまの52番であれば、歪み具合をDriveパラメータで調整することもできるわけですね。

ReAmp 1の場合、Compressor、Amp Cab、Enhancer、Tone Controlから構成されている

とにかく、CT-S1000Vは、どこを掘っても、かなり深くまで入り込むことができ、それぞれ驚きの機能が搭載されています。また今度、ドラム機能やアルペジエーター機能、コード機能なども深堀りしていければ…とも思っているところです。

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ところで、まったく個人的なことですが、今回のオトトークの収録を終えた後、「こんな偶然があるのか!」と驚く面白いことがあったので、ちょっとだけ…。ゲストの佐藤航さん、ハッキリした記憶はなかったものの、名前に見覚えがあったので、名刺管理アプリEightで検索たら、何年か前にお会いて、今回あったのは2度目。佐藤さんもどこであったのかよく覚えてはいないようでした。

番組収録後、佐藤航さんと写真を撮って……

その収録が終わったあと、佐藤さんと雑談をしていたのですが、「藤本さんって、元リクルートなんですよね? 私の父もリクルートにいたんですよ」との発言が。確かに大きい会社なんでいろんな人がいるよな、佐藤さんという名前なら、いっぱいいるだろうし…、とその時点では思ったのです。試しに名前を聞いてみたら「佐藤ヒロシ」さんとのこと。あれ?とは思ったものの、一番いっぱいいそうな名前だし……なんて思ったのですが、さらに話をしていくと、そのお父さんと私と比較的年齢も近そう…。

「もしかして、この人?」とFacebook友達でもある1つ上の先輩を見せたら、「そうです!」と。その佐藤さん、私がリクルートの社員として仕事をしていたとき、10年近く一緒に仕事をしていた人だったのです。帰りの電車で、そのお父さんのほうに、「息子と一緒にビデオ撮影したよ」と伝えたわけですが、世間は狭いというか不思議なつながりというか…。それ以上に親子世代で一緒に仕事をするようになったことに驚愕したわけですが、CT-S1000Vを通じて、いろいろなつながりができるのは嬉しいですね。

CT-S1000V Challenge

【実施概要】
CT-S1000VのVocal Synthesis機能を使用した楽曲動画の投稿キャンペーンです。投稿された動画はCASIOで内容を確認したのち、このウェブサイト内にて紹介されます。動画の中から選ばれた最優秀者作品の投稿者に賞金を贈呈します。

【最優秀賞】
10万円(1名)
CASIO公認CT-S1000Vプレイヤーとして、CASIO製品のデモンストレーション活動(NAMM Showほかイベント出演など)へ参加できる機会がございます。
【応募期間】
2022年9月16日午前10時~2023年2月16日午後23時59分
【審査基準】
楽曲の中でのVocal Synthesisの使い方に創造性と独自性があるかを考慮し、応募作品を評価します。
【応募方法】
[1]CT-S1000VのVocal Synthesis機能を駆使したオリジナル楽曲を含む動画を作成してください。
[2]作成した動画を各種SNSのいずれかへ#cts100v_challengeのハッシュタグをつけてご投稿ください。
[3]本キャンペーンのエントリーフォームからエントリーしてください。

※詳細はCASIOサイト参照のこと。

【関連情報】
CASIO CT-S1000V製品情報
DTMステーションPlus! YouTubeチャンネル
CT-S1000V Challange情報
日比谷音楽祭2022 カシオ 「Privia / Casiotone ×ライフスタイル」ブース情報
日比谷音楽祭 2022サイト

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【番組情報】
江夏と藤本のオトトーク・YouTube再生リスト

【価格チェック&購入】
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