AI歌唱ソフト、VoiSonaに買い切りプラン、パッケージ版が登場。第一弾は鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)CVの機流音、すぅ(SILENT SIREN)CVのAiSuu

すでに発表されているのでご存じの方も多いと思いますが、本日12月14日よりテクノスピーチからAI歌唱ソフトVoiSonaのボイスライブラリ、機流音(きるね)とAiSuu(あいす)の買い切りプラン(各13,200円[税込])および特別パッケージ版(各15,400円[税込])が発売されました。昨年9月に正式リリースとなったVoiSonaは、エディタは無料でデフォルトのソングボイスライブラリである知声が無料であることから、幅広いユーザーに使われるようになりました。これまで、さとうささら結月ゆかり 麗などCeVIO AIからの移植ライブラリが登場してきたほか、今回の機流音、AiSuuのほかMYK-IVなどVoiSonaオリジナルのライブラリも登場していましたが、これらはいずれも年額6,600円、もしくは月額880円のサブスクプランとなっていました。

これまで使ってみたいと思いつつ、サブスクであることに抵抗を感じていた方も少なくないと思います。そうした中、機流音とAiSuuが買い切りの形で登場し、課金が続くことなく永続的に利用できるようになりました。またこのタイミングで機流音、AiSuuともに高品位な音声出力を実現する2.0というバージョンのライブラリが追加されているのも注目のポイントです。一方で、すでに機流音やAiSuuをサブスクしてきた方も、期間限定の移行キャンペーンにより、損することない形で今回の買い切り版に乗り換え可能となっているのも嬉しいところ。実際どんなものなのか紹介するとともに、開発元のテクノスピーチの代表取締役である大浦圭一郎さん、エンタメ事業部プロデューサーである塚田恵佑さんにオンラインインタビューの形でお話を伺ってみたので、その内容もお伝えいたします。

VoiSonaの機流音とAiSuuの買い切り版の発売が開始された

機流音、AiSuuの買い切りプランと特別パッケージ版が新たに登場

機流音、AiSuuについては1年前に「AI歌唱ソフト、VoiSona の新ボイスライブラリとして、ゴールデンボンバー鬼龍院翔CVの『機流音』 、SILENT SIRENすぅCVの『AiSuu 』がリリース。AI歌声合成の世界に新しい波」という記事で紹介したことがありました。鬼龍院翔さんや、すぅさんという著名なボーカリストの歌声をDTMで自由に歌わせて利用できるという意味で、まさに画期的なことだったと思います。

その機流音とAiSuuが、リリースから1年のタイミングで買い切り版も登場する形となったのです。これまで通りのサブスクの形態も残しつつ、新たなメニューが加わった形で、それぞれの価格は以下のようになっています。

ここで気になるのは、これまでサブスクで使っていた方々への対応について。実は今日が、まさにサブスクがスタートしてからちょうど1年というタイミング。つまり、年間サブスク契約をしていた方は、これまで6,600円を支払った、ということになります。ここで買い切り版が登場となると、ちょっと複雑な思いを抱かれるかもしれませんが、そうした思いを払拭する、すごいキャンペーンが2023年12月14日~2024年3月13日の期間限定で実施されています。

それはサブスクの年間プランから買い切り版に移行する場合、これまで支払った全額=6,600円が割引またはキャッシュバックされる、というもの。これなら実質的に1年前の最初の時点で買い切り版を購入したのとまったく同じことになるわけです。

ただし、月間プランのユーザーの場合の還元額は月額と同じ880円に留まっており、ここは年額で購入したユーザーの人が優遇される形になっているようです。

特別パッケージ版には同梱物がいっぱい

その買い切り版はダウンロードする形の買い切りプランと、さまざまな同梱物も入っている特別パッケージ版があり、ダウンロード版の場合はテクノスピーチのVoiSonaサイトからの購入、パッケージ版は通販サイトであるBOOTHからの購入となっています。

機流音の特別パッケージ版

ちなみにその特別パッケージ版の同梱物ですが、機流音の場合は以下のそれぞれ、

特製スリーブケース
リバーシブルジャケットトールケース
PVC カード(「機流音」ライセンスコード印字)
PVC カード専用台紙
限定ポストカード2 種
限定アクリルフィギュア(1/10 スケール)

AiSuuの場合も、以下のそれぞれとなっています。

特製スリーブケース
リバーシブルジャケットトールケース
PVC カード(「AiSuu」ライセンスコード印字)
PVC カード専用台紙
限定ポストカード2 種
限定アクリルフィギュア(1/10 スケール)

AiSuuの特別パッケージ版

より人間的に歌う機流音 Ver 2.0、AiSuu Ver 2.0が登場

一方で、もう一つの注目ポイントは、今回のタイミングで機流音、AiSuuとも従来からの1.xというボイスライブラリに加え、2.0が登場した、という点です。2.0については、以前「イケボのAI男性ボーカル「MYK-IV」がVoiSonaでリリース。よりリアルになったVoiSonaの新エンジン2.x Betaも試験的運用を開始」という記事において、より高品位に歌わせることができる新技術が登場したことを紹介したことがありました。その時点ではまだベータ版という扱いでしたが、いよいよ正式版となり、すでに知声では実装されていましたが、機流音とAiSuuにも実装された形です。

機流音、AiSuuの2.0.0が追加された

以下は、その機流音、AiSuuの2.0公式ソングです。

これを聴いても分かるとおり、2.0になり、より滑らかに、より人間らしい歌い方になった形ですが、人によっては従来の歌い方のほうが好き、という人もいるでしょう。その場合は1.xというバージョンも利用可能なので、このタイミングで新規に購入する人も含めて、1.x、2.xの両方が使える形になります。

そうした点も含め、テクノスピーチの大浦圭一郎さん、塚田恵佑さんにお話しを伺ってみました。

テクノスピーチ・インタビュー

--これまで、VoiSonaのボイスライブラリはサブスクで展開してきたのが、今回買い切りにで登場したのはどうしてなのですか?
塚田:これまで当社ではCVをご担当いただいているアーティストのみなさんへの長期的、かつ継続的な還元にこだわって、サブスクという料金体系でサービスをご提供してきました。「AIを演者の味方に」という基本理念に変わりはありません。一方で、有難くもVoiSonaへの参入をご検討いただいているサードパーティー様の方から、「買い切り型のプランはできないのか?」というご要望を逆に頂いたことがありました。これをきっかけに、従来のサブスク型は継続しつつも、アーティスト様やサードパーティ様のご要望如何では、買い切り提供も可能な体制を設けるようにしよう、という社内議論がありまして、今回、まずは機流音とAiSuuにて買い切りプランスタート、という形となりました。

テクノスピーチのエンタメ事業部プロデューサー、塚田恵佑さん

--すでに出ているほかのボイスライブラリも順次、買い切り版が登場するという理解でいいのでしょうか?
塚田:そこはアーティスト様やサードパーティ様のご意向を伺いながらの調整となりますので、必ずしもすべてのボイスライブラリに買い切りプランが追加されるわけではありません。アーティストさん、声優さん側ともすり合わせをしながら進めており、すでに買い切りプランをリリースすることが決まっているものもいくつかあります。逆に新しいボイスライブラリでもサブスクだけになるものあります。

--すでに機流音、AiSuuをサブスクで使ってきた人にとって、絶妙な価格設定、キャッシュバックでの買い切り版のリリースには少し驚きました。
塚田:昨年、最初のリリース時点では買い切りプランが選択できなかったわけですので、これまでサブスクしていただいたユーザーのみなさんが不利にならないように考えた結果、現行プランの利用額を全額割引またはキャッシュバックさせて頂くキャンペーンの実施を決めました。またそのために、年間プランの更新を迎える前のタイミングでのリリースもマストでした。

--一方で2.0については、MYK-IVのときはベータ版だったのが、いよいよ正式版としてのリリースになるのですね。
大浦:この2.0、簡単に説明すると少し処理が重くなるけれど、よりいい歌声になる技術になっています。具体的にいえば、人間の声帯にあたる部分をより精細にして、クリアな音になります。以前DTM系の方々からは「声にボコーダー感がある」といった指摘をちらほらいただくことがありましたが、そこを軽減し、より人間の歌声に近づく形にしています。

テクノスピーチの代表取締役、大浦圭一郎さん

--機流音、AiSuu以外もこのタイミングですべて2.0になるのですか?
大浦:知声においては、すでに2.0を出していますが、ほかのボイスライブラリは今後順次対応させていく予定です。

--これまでCeVIO AIから来たボイスライブラリや無料の知声とその英語版で有料のChis-Aを含めるとトータル10種類ありますが、今後の新規ボイスライブラリの計画はいかがですか?
塚田:年明けから、CeVIO AIからのクロスプラットフォーム化製品ではない、初のサードパーティーのボイスライブラリのリリースがいくつか予定されています。一方、機流音・AiSuuのような当社オリジナルキャラクターのボイスライブラリとは別シリーズで、キャラクタ設定のない、ナンバリングだけのボイスライブラリ製品のリリースも予定しています。キャラクターが作品作りに活きるケースもあれば、キャラクターの色が無いボイスライブラリを使いたいケースもあると考えておりますので、情報をそぎ落として、色がなく使えるものもシリーズ化して出していこう、という考えです。

--今回はボイスライブラリに関するニュースだったわけですが、エディタ側については何か動きはありますか?
大浦:ちょうど先週システム側をバージョンアップしたところですが、主なところとしてはスタンドアロン版を改修しています。これまでスタンドアロン版では、まずVoiSona自体を起動して、ソングトラック=VSTiトラックを追加し、その後開いたエディタでキャラクタを選ぶという、歌わせるまでに3回の手順が必要で、とくに初心者ユーザーの方にはわかりにくい面がありました。とくにVSTiトラックに追加するという部分がうまく伝わっていなかったこともあり、「使い方が分からない」という声が上がっていたのも事実です。そこで今回ソングトラックを追加しそのトラックをクリックしたら最初から埋め込みでエディタが表示される形に変更しました。これでスタンドアロン版もだいぶ使いやすくなったかと思います。プラグインで使う場合は大きな違いはありません。

スタンドアロン版においてソングトラックを作成すると上記赤枠のとおり、画面下にエディタがワンウィンドウ内に表示される

--そのほか、何か読者のみなさんに伝えておきたいことなどはありますか?
塚田:今回のサブスクから買い切りプランや特別パッケージへの移行キャンペーンは2024年3月13日までの期間限定となっていますので、その点はくれぐれもご注意ください。また、来週12月19日が機流音、AiSuuのデビュー1周年ということで、1周年記念ソングを発表する予定ですので、ぜひ楽しみにしていてください。

--ありがとうございました。

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